繰延税金負債とは?発生するケースや仕訳例を紹介 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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繰延税金負債とは?発生するケースや仕訳例を紹介

悩む男性

税効果会計(税務と会計との差を調整する処理)で使用される勘定科目に「繰延税金負債」があります。通常の税務処理ではあまり見られない勘定科目のため、その内容についてはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、繰延税金負債の概要を解説し、具体的にどのようなケースで繰延税金負債が発生するか5つのケースを取り上げて紹介していきます。
また、実際の繰延税金負債の仕訳例についても確認していきます。

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1. 繰延税金負債とは?

悩む男性

繰延税金負債とは、税効果会計で使用される勘定科目です。
会計における利益と税務での課税所得に差があるとき、会計上は当該期に処理される税額が税務上は来期以降に課されることになるため、差額の繰り延べ処理が必要になります。
この繰り延べ処理時の差額に対する税金の相当額を税金繰延負債といいます。
繰延税金負債は、税効果会計の適用が強制されている上場企業のほか、会社法上における大会社では覚えておきたい勘定科目となります。

1-1. 税効果会計での算出方法を確認

ここでは、税効果会計での算出方法を確認していきます。
通常、法人で利益を求める場合には、取引内容を帳簿に記載し、収益から費用を差し引くという処理を行います。
その処理を行う際には、以下に示す算出方法により求めます。

利益(会計上の利益)=収益-費用

しかし、法人税を算出する際に使用する利益は、会計上の利益と必ずしも同じとは限らないため注意が必要です。その理由として、法人税を算出する際に使われる利益が、税金を負担する能力にあわせた課税になっていることが挙げられます。
そのため、税務計算を行う際の利益は所得、収益は益金、費用は損金とし、以下の方法で税務計算上の利益を求めていきます。

所得(税務計算上の利益)=益金-損金

税効果会計とは、この会計上の利益と税務計算上の利益の差を調整計算するための会計方法と考えるとよいでしょう。

1-2. 税効果会計で使われる勘定科目とは

先ほど、繰延税金負債とは、税効果会計において調整計算を行う際に使用する勘定科目との紹介をしました。
以下に税効果会計で使用される勘定科目を紹介します。

  • 法人税等調整額→損益で使用する
  • 繰延税金資産、長期繰延税金資産→資産で使用する
  • 繰延税金負債、長期繰延税金負債→負債で使用する

通常、税効果会計を使用して調整する差額は時間とともに減少し、解消するのが一般的です。しかし、差額解消までに1年以上かかるときは、長期繰延税金資産もしくは長期繰延税金負債などの勘定科目で計算を行います。

2. 繰延税金負債が生じるケース

お金の仕分け

通常、会社の所得や利益よりも早い段階で計上するのが一般的です。そのため、繰延税金負債が生じるケースは限定されると考えられています。
以下、繰延税金負債が生じるケースを5つ取り上げ、紹介していきます。

2-1. その他有価証券評価差額金

時価評価の対象となる売買目的ではないその他有価証券で評価益が発生したとき、繰延税金負債が生じます。
評価差額すべてをその他有価証券評価差額金として計上した場合は、その他有価証券評価差額金が本来の価値以上となることを避けるため、その他有価証券の含み益が発生した際の税金を考慮に入れなければなりません。
そのため、評価益のなかから税金相殺分は繰延税金負債として計上します。その結果、その他有価証券評価差額金を減らすことが可能となります。

2-2. 固定資産圧縮積立金および特別償却準備金

圧縮記帳や特別償却をした場合、固定資産圧縮積立金および特別償却準備金で、直接減額方式を行わずに積立金方式を採用すると、繰延税金負債が生じます。
直接減額方式を採用し、固定資産の金額を減らした場合には、通常行う減価償却実施時よりも利益が出やすくなるだけでなく、総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)も大きくなります。
この場合、直接減額方式を利用することによる会計上の影響が避けられないため、積立金方式を採用することとなります。

2-3. 繰延ヘッジ損益

税効果会計は、ヘッジ会計で会計処理をした際の評価益にも適用されます。
実際に仕訳を行うときには、会計の繰延ヘッジと税務の繰延ヘッジの要件が異なるため、それぞれ処理が変わってくる点に注意しましょう。

2-4. 前払年金費用

退職給付引当金などの前払年金費用も、税効果会計で対象となります。すでに退職給付引当金が負債として計上されているときは、別表加算し、繰延税金資産を計上します。
ただし、退職給付引当金がマイナスになる場合には、別表減算となるため、繰延税金負債が計上されます。

2-5. その他の準備金および積立金

その他の準備金および積立金の計上によって、税金の繰延が実施される場合もあります。
準備金や積立金を計上するときは、来期以降の税負担が会計上の利益よりも増加する可能性があるため、繰延税金負債を計上します。

3. 繰延税金負債の仕訳例

計算している様子

最後に、繰延税金負債の仕訳例を紹介します。
上述の繰延税金負債が生じるケースのうち、「その他有価証券評価差額金」「固定資産圧縮積立金および特別償却準備金」「繰延ヘッジ損益」の仕訳例を示しますので、実際に仕訳を行う際の参考にしてください。

3-1. その他有価証券評価差額金の仕訳例

その他有価証券評価差額金の仕訳例です。
その他有価証券評価差額金を200、実効税率50%の場合を想定したものとなります。

その他有価証券 200 その他有価証券評価差額金 200
その他有価証券評価差額金 50 繰延税金負債 50

3-2. 固定資産圧縮積立金および特別償却準備金の仕訳例

次に紹介するのは、固定資産圧縮積立金および特別償却準備金の仕訳例です。
固定資産圧縮積立金を200計上し、実効税率が50%の場合は、以下のとおりとなります。

繰越利益剰余金 200 固定資産圧縮積立金 200
法人税等調整額 50 繰延税金負債 50

3-3. 繰延ヘッジ損益の仕訳例

繰延ヘッジ損益の仕訳例です。
仕訳の方法は、税務上の繰延ヘッジの要件を満たす場合と満たさない場合とで異なります。
以下、ヘッジ手段の含み益が200、実効税率50%の場合の仕訳例となります。

税務上の繰延ヘッジの要件を満たすときの仕訳例

デリバティブ 200 繰延ヘッジ損益 200
繰延ヘッジ損益 50 繰延税金負債 50

税務上の繰延ヘッジの要件を満たさないときの仕訳例

デリバティブ 200 繰延ヘッジ損益 200
法人税等調整額 50 繰延税金負債 50

4. 繰延税金負債は税効果会計で適用される勘定科目の一つ

ポイントを指さす男性

繰延税金負債は、税効果会計で適用される勘定科目です。会計上の利益と税務における課税所得との差分が発生した際、この繰り延べ差額に対する税金の相当額を指したものでもあります。
一般的にはあまり使われない繰延税金負債ですが、実務で使用しなければならないケースもあります。「その他有価証券で評価益が発生した場合」や「固定資産圧縮積立金および特別償却準備金で積立金方式を採用した場合」「ヘッジ会計で会計処理をした際の評価益」など使用機会は限られますが、繰延税金負債が発生した場合には正しい会計処理を行うことが重要です。

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jinjer Blog 編集部

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