電子帳簿保存法における契約書の取り扱い方法と注意点 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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電子帳簿保存法における契約書の取り扱い方法と注意点

契約書は7年間保管する義務があります。企業によっては膨大な量の契約書を紙媒体のまま保管するよりも、電子化して保管した方が業務の効率化や保管スペースの確保の問題の解決につながるでしょう。

しかし、電子契約書を保管するためには、電子帳簿保存法について知っておかなければなりません。

電子帳簿保存法を守って作成・保管された電子契約書は法的効力を保持しているため、データのままでも税務調査に使用可能です。

今回は、電子帳簿保存法における電子契約書の取扱いがどのようになっているのか、その基礎知識について解説します。

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1. 電子帳簿保存法における契約書の取り扱い

書面にサインをしている

電子帳簿保存法には3つの区分(電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データ保存)があり、契約書はこの中の「スキャナ保存」か「電子取引データ保存」に該当します。

紙で作成した契約書を電子化する場合はスキャナ保存を選び、最初から電子契約をしている場合は電子取引データ保存を選ぶことになります。

いずれの場合も電子化にはメリットがありますが、契約書としての有効性を電子化後も保持するには電子帳簿保存法の要件を満たさなければいけません。

要件は後述しますが、解像度やカラー、タイムスタンプ、入力期限などさまざまなものがあります。簡単には導入できるものではないため、契約書の電子保存を検討する場合は慎重さも求められます。

2. 契約書を電子化する3つのメリット

契約書を電子化することにはさまざまなメリットがあります。その中でも特に大きな3つのメリットを紹介します。

2-1. 収入印紙が不要になる

印紙税法により、紙の契約書には収入印紙を購入して貼らなくてはなりません。印紙の金額は契約書に記載されている金額によって変わります。

たとえば、100万円の契約書には1,000円の収入印紙が必要です。

契約書1枚ごとに収入印紙を貼らなくてはならず、企業にとって大きな負担です。電子保存した契約書には収入印紙が不要であるため、この印紙代を削減することができます。

2-2. ペーパーレス化の促進ができる

ここ数年は環境保護や業務効率化の観点からペーパーレス化が推進されています。契約書の電子化もペーパーレス化の取り組みであり、電子保存が増えるほど紙の使用量を抑えられるようになります。

環境保護はもちろんですが、印刷代や用紙代の削減にもなるためコストの面からもメリットを感じられるでしょう。

2-3. 保管場所や管理に困らない

紙媒体の書類が減れば、それを保管する場所や管理に困ることも減るでしょう。大量の書類やファイルから必要な書類を探す手間も減り、業務の効率化も図れます。

また、災害による消失の心配もありません。システムのセキュリティがしっかりしていれば盗難・情報漏洩のリスクも抑えられます。

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3. 電子契約サービスなどを用いて契約締結した場合の保存要件

契約書を電子化して保管するには、電子帳簿保存法で定められている要件を満たす必要があります。このとき、契約書の送付方法によって満たすべき要件が異なるため注意しましょう。

電子契約サービスなどを用いて契約締結した場合、電子帳簿保存法の「電子取引データの保存要件」を満たさなければなりません。

電子取引データの保存要件は以下の2つを満たす必要があるため、注意しましょう。

  • 可視性の要件
  • 真実性の要件

それぞれ解説します。

3-1. 可視性の要件

可視性の要件では、契約書に記載された契約内容を速やかに、確実に確認するための要件を定めています。

「電子データの画質が荒く、判読できない」「PCや保存に利用しているシステムの操作方法がわからず、契約書の内容を確認できない」など、可視性に問題が発生しないように細かく定められているため、注意しましょう。

具体的には以下の要件を満たす必要があります。

契約内容の見読性を確保する

契約書を電子保存した画像データの質が悪く、文字が読めないものは認められません。画質が悪いものはモザイクのように表示されてしまい、文字だけでなく社印やサインなどの可視性も悪いです。

肉眼で確認可能で、必要に応じて書面に出力可能であることが求められます。

ディスプレイやプリントアウトなどで、契約書の内容が閲覧可能であること

税法における電子契約書の保管義務期間は、紙媒体の場合と同じ7年です。その期間中は、納税地や事業所内で契約書の内容が円滑に閲覧できる状態であることが求められます。

実際にデータを保管しているデータセンターの所在地が納税地の管轄内である必要はありませんが、納税地または事業所在地にあるPCやプリンターなどからネットワーク経由でアクセス可能でなくてはなりません。

また、普段の業務ではもちろん、税務調査時に調査員がディスプレイを利用できるよう台数を調整しておきましょう。「空いているディスプレイがないので見せられません」ということでは、見読性を確保しているとは言えず、電子保存も認められません。

過去の電子契約書も検索可能であること

過去の電子契約書についても、検索してスムーズに閲覧できるようにしなくてはなりません。契約書の日時、契約内容、金額など、さまざまな条件での検索可能なシステムが必要です。

検索に関する要件は以下のとおりです。

  1. 「取引年月日「取引金額」「取引相手」「税務調査対象年度」など、契約書の主な内容を条件として検索可能
  2. 2つ以上の項目を組み合わせて検索可能
  3. 日付と金額は範囲指定で検索可能

ただし、調査員のダウンロード求めに応じることができる場合は、2と3の要件が不要となります。

電子契約システム利用関係者の全員がわかるマニュアルを用意する

電子契約書のシステムを利用する人全員が理解できるマニュアルを用意し、必要なときにすぐ見られるように備えておく必要があります。

マニュアルはあるものの存在が知られていなかったり、形骸化していたりする場合はこの要件を満たさないことになります。すぐに確認でき、認知されている状態を維持しましょう。

3-2. 真実性の要件

真実性の確保とは、その書類が改ざんなどをされていないことを証明できることを言います。

電子帳簿保存法において「真実性の確保要件」を満たすためには、以下のいずれかを満たす必要があるとしています。

  • タイムスタンプを付与された書類を受領する(受け取る場合のみ)
  • 受領後速やかにタイムスタンプを付与するとともに、保存をおこなう本人またはその監督責任者の情報を確認できるようにしておく
  • 受領から入力までの事務処理規程を定めて、規程に則った運用を徹底する
  • データの「削除や編集をおこなった履歴が残るシステム」または「削除や編集がおこなえないシステム」を利用する

スキャナ保存以外の契約書で、タイムスタンプの付与ができない場合は、電子契約書を適切に訂正・削除するために社内規程の整備が必要です。

3-3. 紙の契約書を電子保存する場合は、スキャナ保存要件を満たす必要がある

紙媒体で締結した契約書を電子化する場合は、電子帳簿保存法における「スキャナ保存要件」を満たす必要があります。

最初から電子データで作成された契約書の保存要件とは異なるため、混同しないように注意しましょう。

スキャナ保存要件について詳しく知りたい方は下記の記事をご確認ください。

関連記事:【2023年版】電子帳簿保存法とは?概要と改正内容をわかりやすく解説

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4. 契約書を電子保存する際のチェックポイント

ポイントを示している

最後に契約書を電子保存する際に必ず確認しておきたいチェックポイントを知っておきましょう。前述の保存要件と重なる部分も多いですが、電子保存を導入する際の必須の確認事項です。

4-1. 納税地で7年間保存する必要がある

紙の契約書の保存期間は7年ですが、電子保存した契約書も同じです。必ず納税地で確認可能な形をとって7年間保管するようにしましょう。

なお、欠損金が生じた事業年度の契約書や株式会社の会計帳簿の保存期間は10年です。ほかにも契約書や書類によって保存期間が異なるケースがあるため、保存期間には十分な注意が求められます。

4-2. いつでも内容を確認できる状態にする

税務署から要請があった場合や、社内での確認が必要な場合など、あらゆるケースを想定して契約書の内容はいつでも確認できるようにしなければいけません。

また、確認できるだけでなく見読性も必要であるため、目で確認できる状態に素早く検索できることが求められます。

検索のしやすさや解像度などに問題があるとこの条件を満たせなくなります。スキャナ保存をする場合を含めて、確認のしやすさもチェックしましょう。

4-3. 内容に偽りがない状態を維持する

電子データは改ざんができてしまうという弱点があります。そのため、偽りがないことを証明できる状態で保存しなければ、契約書としての意味を成しません。

電子帳簿保存法の要件に則り、改ざんや修正がされていない間違いのない契約書であることを証明しましょう。

偽りがない状態は保存時だけでなく、保存期間中は継続させなければいけません。途中で要件を満たせなくなることがないように十分に注意して保管しましょう。

4-4. 過去のデータも検索可能な状態にする

過去に保存した契約書が検索できる状態であることも重要なポイントです。

単純に探し出せればよいのではなく、電子帳簿保存法の保存要件に則って検索条件や日付の範囲指定などの指定が必要です。

この条件を満たすには電子帳簿保存法に適合したシステムやソフトウェアが必要になるため、導入する場合は環境整備にも意識を向ける必要があります。

5. 保存要件を満たして契約書を電子保存できるようにしよう

電子契約書は紙の契約書には欠かせない収入印紙が不要であり、ペーパーレス化推進や保管スペースが不要などのメリットがあります。

しかし、法的効果があり、税務調査に使用可能な状態で契約書を保存・保管するには、電子帳簿保存法にある要件を満たすよう社内整備が必要です。導入を検討する際は保存要件を満たせることをまずは確認しましょう。

また、電子契約書の見読性・正当性の確保など、電子帳簿保存法の改正ごとに要件が変わることもあります。そのため、常に最新情報を得て、改正に備えることが大切です。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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