電子帳簿保存法の定期検査は「誰」が「何」をするの?まとめて解説
更新日: 2024.10.10
公開日: 2020.11.30
jinjer Blog 編集部
※2021年の電子帳簿保存法改正により、適正事務処理要件(相互けん制、定期検査等)が廃止されました。 よって2022年の施行より不要となりますのでご確認ください。 |
電子帳簿保存法に基づき、電子データの領収書を作成したら、直ちに紙の領収書を破棄できるわけではありません。紙の領収書は、定期検査が行われて初めて破棄できるようになります。
電子帳簿保存法の定期検査は、非常に厳格な手続きです。制度の趣旨や手順、注意点などをまとめましたので、最後まで是非、読んでみてください。
電子帳簿保存法の概要や保存要件についてはこちらの記事で解説しています。合わせてご覧ください。
関連記事:参考記事:【2023年版】電子帳簿保存法とは?概要と改正内容をわかりやすく解説
目次
一部猶予が与えられた改正電子帳簿保存法ですが、各社の対応状況はいかがなのでしょうか。
そこで電子帳簿保存法に対応したシステムを提供するjinjer株式会社では「改正電子帳簿保存法対応に向けた課題」に関する実態調査を実施いたしました。
調査レポートには
・各企業の電帳法対応への危機感
・電帳法に対応できていない理由
・電帳法の対応を予定している時期
・電帳法対応するための予算の有無についてなどなど電子帳簿保存法対応に関する各社の現状が示されています。
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1. 電子帳簿保存法における定期検査とは
電子帳簿保存法の定期検査は、年1回以上のペースでおこなわれるべきものとされています。定期検査を怠ると、ペナルティを受ける場合もあるので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
1-1. 電子帳簿保存法における定期検査の基本
電子帳簿保存法の定期検査は、年1回以上することと、通常の事務処理をしていない第三者がおこなう点にポイントがあります。
定期検査の頻度が多くなると大変だという印象がありますが、紙の書類を少しでも減らしたい場合は、定期検査の頻度を多くすることになります。
定期検査の後でなければ、紙の領収書などを破棄できないからです。
定期検査を事務処理を担当しない第三者がするのは、不正な会計処理を防ぐのが目的です。第三者がチェックをおこなえば、紙の領収書の改ざんにも気づきやすくなります。
定期検査は、税務や会計の知識がなくてもできますので、知らないで選んだ任意の従業員に担当してもらうことも可能です。
1-2. 電子帳簿保存法における定期検査には紙の領収書を破棄する目的もある
電子帳簿保存法の定期検査は、会計上の不正処理を防止する目的があるほか、紙の領収書を捨てるため、という意味もあります。
電子化した領収書を作って直ちに削除するでは、領収書の改ざんの見落としに繋がります。かといって、いつまでも紙の領収書を保管し続けるのは、制度の趣旨に合っていません。
そこで、紙の領収書と電子データが一致していることを定期検査で確認し、紙の領収書を捨てるという処理の流れに決められているのです。
つまり、定期検査をする前に紙の領収書を捨ててしまうのは絶対にNGなので、うっかり捨てないように注意しましょう。
1-1,2をご覧頂けた方は電子帳簿保存法における領収書について管理方法や注意すべき点を把握しておく必要があることがお分かりでしょう。
正しく認識し領収書の電子データ化を実施することで、コストダウンはもちろん経費精算の効率化も可能となりますので是非確認しておきましょう。
1-3. 電子帳簿保存法の定期検査を怠るとペナルティーが科せられることもある
電子帳簿保存法における定期検査は、実施が義務付けられています。面倒だからという理由で定期検査を怠ってしまうと、行政指導を受ける可能性があります。
さらに、悪質であると見なされると、連結納税青色申告の承認取り消し、電子帳簿保存の承認取り消しになる場合もあります。
企業によっては、存続が困難になるペナルティとなる場合もあります。倒産に追い込まれないとしても、企業にとって大きな不利益になる可能性が大きいです。
電子帳簿保存法の定期検査は、必ず実施するようにしましょう。
そのほか電子帳簿保存法においてどのようなパターンが違反や罰則にあたるかも併せてご確認頂けると理解が深まります。
2. 電子帳簿保存法の定期検査でおこなう3つのこと
電子帳簿保存法の定期検査では、対応するべきことも法令によって決められています。基本的流れは、3つのステップからなります。順にわかりやすい説明をしますので、参考にしてみてください。
2-1. 電子帳簿保存法に基づく電子化ルールが履行されているかの確認
電子帳簿保存法の定期検査でまずするのは、決められた電子化のルールが守られているかどうかの確認です。
決められた手続きがおこなわれていなければ、電子化された領収書などの信憑性がなくなるからです。
電子化ルールの履行の確認は、経理担当者へのヒアリングの方法でおこなわれます。電子化する際の手順を経理担当者に説明してもらい、手順書の記載と相違ないかを確認します。
電子化ルールの手順の確認は、時間がかかる手続きではありません。定期検査に慣れていれば、5分以内に完了することもあるでしょう。
2-2. ランダムに抽出した紙の領収書と電子データとの突合検査
紙の領収書と電子化されたデータとの突合は、全部おこなうわけではありません。基本的には、統計的に有意なデータが得られる50から100程度のサンプルでおこなわれることが多いです。大企業で定期検査を厳格に行う場合でも、400を超えるサンプルが選ばれることは少ないでしょう。
紙と電子データの突合検査は、まずは、紙の領収書などに改ざんの痕跡がないかを確認します。紙の書類に問題がなければ、電子化されたデータと情報が一致しているかどうかの確認を行い、電子化されたデータに問題がないかどうかをチェックします。
この突合検査の過程では、事務処理を担当しない第三者の参加が重要です。第三者が検査を行うことで、客観的な視点から不正行為を防止し、透明性が確保されます。また、検査結果は必ず記録として残され、次回の定期検査に活かされるべきです。
このように、定期検査が効果的に実施されることで、企業全体の経理業務の信頼性が向上し、法令遵守がより強固なものとなります。さらに、定期的な運用を通じて業務プロセスの見直しや改善が促進され、経理担当者の負担軽減にも寄与します。
2-3. 電子帳簿保存法に基づく定期検査の実施記録をつける
電子化の手順の確認と紙と電子データの突合検査が完了したら、定期検査の実施記録をつけます。定期検査の実施記録は、責任の所在を明確にするためのものです。たとえば、税務調査で領収書の改ざんが発覚した場合、該当期間の定期検査を実施した担当者が誰かが分かれば、その担当者が不正を見抜けなかったことになります。
定期検査を実施したかのように装っている会社なら、経理責任者や会社代表者に責任があると考えられます。このようなチェック体制を構築することで、未然に領収書の改ざんなどの不正を防いでいることになります。
3. 電子帳簿保存法の定期検査をおこなううえでの3つの注意点
電子帳簿保存法の定期検査では、実施するうえでの注意点がいくつかあります。ここでは、とりわけ重要な注意点を3つ取り上げて、解説したいと思います。
3-1. 年に1回以上の頻度で必ず定期検査を実施すること
電子帳簿保存法の定期検査では、「必ず定期検査を実施する」ということが重要になります。定期検査をきっちりと実施していれば、社員の経費精算での不正を未然に防げます。さらに、行政処分を受けるリスクがなくなり、きっちりとした会計データで経営計画も立てられるようになります。
最初は、定期検査について面倒だという印象があるかもしれません。しかし、記帳と同様、きっちりとやる習慣ができれば、しっかりやるのが当たり前という感覚になります。税務調査での調査官が受ける印象も変わりますので、まずはしっかりと定期検査をすることを意識しましょう。
加えて、定期検査は、紙と電子データの整合性を確認するだけでなく、企業内部の透明性を高める重要なプロセスでもあります。第三者によるチェックを取り入れることで、独立した視点からの監査が実現し、不正の発見や改善が促進されます。この点を理解し、定期検査を適切に実施することで、企業の信頼性が一層強化されるでしょう。
また、定期的な検査の実施記録は、将来的な税務調査においても重要な証拠として役立ちますので、しっかりと記録を保管することが求められます。
3-2. 定期検査を実施したら紙の領収書を必ず破棄すること
紙の領収書は、定期検査の完了後、破棄するのが原則です。経理担当者によっては、念のため紙の領収書も残しておきたいと考えると思います。
しかし、定期検査の実施後は、紙の領収書を「捨てなければならない」というのが基本です。「捨てても良い」ではなく、「必ず捨てるべき」というのが、電子帳簿保存法の基本です。紙の領収書は、残しておいても業務を混乱させるだけです。電子データにした後は、電子データが正式な書類になります。慣れないうちは、不安に感じるかもしれませんが、だからこそ電子帳簿保存法の定期検査をきっちりと実施するようにしましょう。
さらに、紙の領収書を破棄することに対する不安は、適切な運用体制と定期検査の実施を通じて軽減できます。
定期的に検査を行い、透明性を確保することで、電子帳簿として管理されているデータが信頼できるものであることを確認します。このプロセスにより、経理業務全体の効率が向上し、将来的な監査に対する備えも十分に整えることができます。定期検査を実施し、問題があれば早期に対応することで、安心して紙の領収書を破棄できる環境を整えましょう。
3-3. 不明な点があるときは税理士等の専門家に相談して行うこと
電子帳簿保存法の定期検査は、非常に厳格な手続きだと言えます。制度の仕組みも煩雑なので、経理担当者が十分に理解していない場合もあると思います。「よく理解していなかった」「うっかりしていた」で定期検査に不備が生じていたら、責任を負うのは、企業です。重いペナルティが科せられることもあるので、よくわからない手続きについては、税理士などの専門家に相談することも大切です。大切な従業員と、その家族、企業を守るためにも、正確な定期検査を実施する、という点を意識することが大切です。
さらに、定期検査を徹底することで、企業の経理業務の透明性が高まるとともに、社内の不正を防止する効果も期待できます。検査においては、紙の領収書と電子データの整合性を確認することが基本ですが、実施記録をきちんと残すことで、将来的な税務調査への備えも万全になるでしょう。
このような取り組みを通じて、企業の信頼性が向上し、社員が安心して働ける環境が整います。
4. 電子帳簿保存法の定期検査のマニュアルを作成するのがおすすめ
電子帳簿保存法の定期検査を正しくおこなうには、手続きのマニュアルを作成するのが有効です。間違いのないマニュアルが完成すれば、その通りに実施すれば良くなります。
完成したマニュアルを税理士等に確認してもらえば、安全に定期検査がおこなえるはずです。
1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが格段に下がりました。
しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律そのものの内容、対応の手順など理解しなければならないことは多いです。
「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
・電子帳簿保存法の内容に関するわかりやすい解説
・2020年10月の改正内容と2022年の最新内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。
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