電子記録債権とは?誕生の背景、仕訳と会計処理についわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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電子記録債権とは?誕生の背景、仕訳と会計処理についわかりやすく解説

電子記録

経済産業省が2026年までに約束手形の廃止を目指す方針を発表しました。手形に代わる決済手段として期待されているのが、金銭債権を電子化した「電子記録債権」です。

電子記録債権は全国銀行協会が提供するでんさいネットなどで管理できるため、手形のように「手形用紙に記入し、交付する」「受け取った手形を保管する」といった事務作業が発生しません。

この記事では、従来の手形や売掛債権の問題点を克服した電子記録債権の特徴や誕生の背景、仕訳方法を解説します。

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などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで当サイトでは、勘定科目や仕訳に関する基本知識と各科目ごとの仕訳例を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。 会計の理解を深めたい方には必須の知識となりますので、ぜひ資料をダウンロードしてご覧ください。


1. 電子記録債権とは?

はてなをたくさん浮かべる女性

2008年12月に電子記録債権法が施行され、新たに「電子記録債権」が創設されました。
電子記録債権は、これまでの金銭債権を電子化し、全国銀行協会のでんさいネットなどで管理できるようにした利便性の高い金銭債権です。

金融庁・法務省は、電子記録債権を以下の通り定義しています。

「電子記録債権」とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする、既存の指名債権・手形債権などとは異なる新たな金銭債権です。

引用:金融庁・法務省|電子記録債権

つまり、電子記録債権はでんさいネットなどの電子債権記録機関に登録することで効力が発生し、他者に譲渡することが可能になる金銭債権を指します。

1-1. 電子記録債権を利用した取引の流れ

電子記録債権を利用した取引は大きく次の3つのステップに分かれます。

  • 電子記録債権の発生
  • 電子記録債権の譲渡
  • 電子記録債権の支払
1-1-1. 電子記録債権の発生

取扱金融機関の窓口を通じて、でんさいネットなどの電子債権記録機関で「発生記録」をおこない、電子記録債権を登録します。

1-1-2. 電子記録債権の譲渡

電子債権記録機関で「譲渡記録」をおこない、登録した電子記録債権を他者に譲渡します。このとき、電子記録債権を分割して譲渡することも可能です。

1-1-3-. 電子記録債権の支払

手形と同様に、支払期日になると電子記録債権の引き落としがおこなわれ、取引先の銀行口座に払い込まれます。支払いは電子債権記録機関が自動的におこない、「支払等記録」として記録が保管されます。

2. 電子記録債権が誕生した背景

注意

そもそも、なぜ電子記録債権が誕生したのでしょうか。
電子記録債権が誕生した背景は、2003年7月の「e-japan戦略II」まで遡ります。

金銭債権を電子化し、従来の手形や売掛債権の問題点を解決するというアイデアは、2008年12月の電子記録債権法の施行によって実現しました。

電子記録債権制度が創設されるまでの沿革は以下の通りです。

年月 出来事
2003年7月 IT戦略本部決定「e-japan戦略Ⅱ」
2005年12月

法務省、経産省、金融庁「電子債権に関する基本的な考え方」

法制審議会、金融審議会等での検討

2007年6月 電子記録債権法の成立
2008年12月

電子記録債権法の施行

 
電子記録債権が誕生した背景には、従来の手形や売掛債権が抱えるリスクがあります。電子記録債権を利用すれば、以下の6つのリスクを全て克服することが可能です。

 

手形

作成、交付、保管にコストがかかる

紛失・盗難リスクがある

分割して譲渡できない

売掛債権

二重譲渡のリスクがある

債権譲渡の対抗要件として、債務者の承諾や通知が必要

人的抗弁により債務が履行されないリスク

参考:全国銀行協会|電子記録債権とは

3. 電子記録債権の仕訳と会計処理

 

重要

手形や売掛債権のやりとりと同様に、電子記録債権で取引をおこなった場合は、帳簿への記録が必要です。電子記録債権の仕訳処理では、「電子記録債権」「電子記録債務」の2つの勘定科目を利用します。

ここでは、電子記録債権の支払企業(債務者)・納入企業(債権者)それぞれの会計処理を解説します。

3-1. 電子記録債権の支払企業の会計処理

電子記録債権で仕入代金を支払う場合、会計上は一旦「仕入」の勘定科目で記帳してから、改めて「買掛金」を「電子記録債務」に振り替える処理をおこなうのが一般的です。
例えば、100万円の買掛金の支払いを電子記録債権でおこなった場合、以下のように記帳します。

仕入 1,000,000円 買掛金 1,000,000円
買掛金 1,000,000円 電子記録債務 1,000,000円

3-2. 電子記録債権の納入企業の会計処理

電子記録債権を売掛金の支払いを受けた場合も、同様に一旦「売掛金」として記帳し、売掛金を「電子記録債権」に振り替えます。
例えば、100万円の売掛金を電子記録債権として受け取った場合、以下のように記帳してください。

売掛金 1,000,000円 電子記録債権 1,000,000円
売上 1,000,000円 売掛金 1,000,000円

4. 電子記録債権のメリット

プラスと書かれた積み木

電子記録債権のメリットとして以下が挙げられます。

  • 印紙代が不要
  • 事務作業の効率化
  • 債権紛失を防止できる
  • 資金繰りが円滑化できる

4-1. 印紙代が不要

電子記録債権であれば手形取引で発生していた印紙代の節約が可能です。さらに印紙代だけでなく郵送にかかる費用や手形の購入にかかっていた費用を抑えられます。また、ペーパーレス化によって手形の発行に関わっていた従業員の人件費削減の期待できるでしょう。

4-2. 事務作業の効率化

手形を利用しているケースではさまざまな事務作業が発生します。一方、電子記録債権であれば手形と違い、送金をはじめとした手続きがオンラインで完結するので事務作業の負担を軽減して効率化につなげられます。

4-3. 債権紛失を防止できる

手形での取引は紛失につながる可能性があるため、債権者には適切な管理が求められます。一方、電子記録債権によってペーパーレスを実現することで、債券紛失を防止できます。

4-4. 資金繰りが円滑化できる

電子記録債権を導入することで資金繰りの円滑化も期待できます。手形で取引していた場合、資金化できるのは支払期日の翌営業日以降でした。一方、電子記録債権であれば支払期日に自動入金されるうえに、必要に応じて分割して利用できるなどの特徴があります。

5. 電子記録債権のデメリット

デメリットと書かれた積み木

電子記録債権はメリットだけでなく、次のようなデメリットもあります。

  • 取引先が導入していることが条件
  • 認知度が高くない
  • 審査通過の難易度が高い
  • 未回収の責任を負う

5-1. 取引先が導入していることが条件

電子記録債権を導入する前提として、自社だけでなく取引先も導入していることが条件です。取引先がすでに導入しているのであれば、問題はありません。しかし、取引先が導入していないのであれば導入を打診して協力を得る必要があります。

5-2. 認知度が高くない

電子記録債権は認知度が高くない傾向にあります。そのため、取引先に電子記録債権の導入を打診しようとしても、理解を得られないかもしれません。特にITに明るくない取引先の場合、導入の了承得るのが難しい可能性があります。取引先の了承が得られなかったのであればファクタリングなどの資金調達方法を検討してみましょう。

5-3. 審査通過の難易度が高い

電子記録債権を利用するには審査を通過しなければなりません。電子記録債権の審査は銀行による審査と同じ基準のため、自社の財務状況や経営状態もチェックされます。自社の財務状況や経営状態が悪化している場合、審査に通過しない可能性があります。

5-4. 未回収の責任を負う

電子記録債権の譲渡時は譲渡側が保証人として扱われます。もし債権を支払う企業が支払不履行になってしまうと、保証人が未回収の責任を負う必要があります。

6. 電子記録債権なら支払業務のペーパーレス化が可能!

ペーパーレス

手形や売掛債権に代わる支払手段として、近年注目を集めているのが電子記録債権です。電子記録債権を導入すれば、支払企業(債務者)・納入企業(債権者)の両方がメリットを得られます。

手形取引の「手形の作成・交付の手間」「紛失・盗難のリスク」を解消し、支払業務を効率化することが可能です。経済産業省の意向により、2026年を目処に約束手形の取り扱いが廃止される可能性があります。

手形取引から電子記録債権での取引へ移行する場合は、でんさいネットなどのサービス導入を検討しましょう。

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jinjer Blog 編集部

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