重加算税が適用されるケースを確認!税額や会計処理方法についても解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.8.2
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国税の申告内容に問題があったときには、行政上の制裁という意味合いで加算税が課税されることがあります。中でも、重加算税は申告内容に仮装や隠蔽などがあったときに課税されるもので、加算税の中で最も重いペナルティーに該当します。
重加算税の税率は高めに設定されているので、課税されないよう回避することが重要です。
ここでは、重加算税が適用されるケースについて詳しく紹介していきます。また、重加算税の会計処理方法など、重加算税の対象となった場合の対応についても解説いたします。
目次
1. 重加算税とは?
個人や法人が利益を得たときには、申告をおこない税金を納めなければなりません。内容を正しく申告し、期限内に申告や納税を終えなければ加算税という形でペナルティーを課されることがあります。
加算税には納税額が過少だったときに課せられる過少申告加算税や、申告をしなかったときに課せられる無申告加算税、源泉所得税の納付期限を過ぎたときに課せられる不納付加算税といった種類があります。これらの加算税は、ミスによって過少申告や無申告、不納付があった場合に適用となります。
さらに、事実の隠蔽や仮装といった行為が確認されたときには重加算税と呼ばれる加算税が課税されます。重加算税はほかの加算税に比べて課税額の税率が高く設定されています。課税される税金の額が多い場合には、重加算税の額も膨れ上がってしまうことになるので十分な注意が必要です。
関連記事:加算税とは?主な種類や税率、納付義務、端数計算の方法について解説
2. 重加算税の税額と具体的な計算方法
重加算税の全額は増差額をもとに計算されます。増差額とは、本来納めるはずだった税額から当初申告した税額を差し引いた金額です。
その税額は、過少申告や不納付があった場合には過少申告加算税または不納付加算税に代えて35%となっています。また、無申告があったときには無申告加算税に代えて40%の税率で課税されます。
例えば実際の税額よりも200万円過少申告していたことが判明し、これが故意の隠蔽や仮装によるものであると判断されたときには、200万円の35%にあたる70万円を追加で課税されることになります。
多くの場合、重加算税の課税には延滞税が加算されます。このケースでは本来支払うべきだった税金200万円と重加算税70万円に加え、延滞した期間に応じた数十万円の延滞金が請求されます。
なお、2017年以降には、短期間のうちに隠蔽や仮装が繰り返されたときに加算税の税額が10%増える制度が導入されています。この要件に該当した場合、過少申告や不納付で45%、無申告で50%という重加算税が課税されることになります。
関連記事:過少申告加算税とは?計算方法や過少申告加算税が課されないケースも解説
3. 重加算税が適用されるケース
国税通則法第68条によると、納税者が事実の全部また一部を隠蔽または仮装した場合に重加算税が課税されます。
事実の隠蔽とは、税金の支払いに関する事実の一部または全部を隠すことを指します。例えば実際にあった売上を意図的に除外して申告書を作成したり、証明書類を廃棄して提出しなかったりしたときには、事実の隠蔽とみなされてしまいます。また、棚卸の際に実際よりも少なく計上したことが事実の隠蔽とされるケースもあります。
事実の仮装は、架空の事実が存在するように見せかけることをいいます。たとえば実際にはない架空の取引を作って計上したり、他人の名義を利用して書類を作成したりしたときには、事実の仮装があったとみなされます。
実在しない会社との取引や架空の給与支払い、実際に取引をしていない状態での経費の水増し計上などが判明したときには、事実の仮装があったとされ重加算税を課税されることになるので気をつけましょう。
ただし、申告額が間違っていた場合でも重加算税の対象とならないケースもあります。例えば経理担当者のミスにより計算が間違っていたことが認められれば、基本的には重加算税を課せられることはありません。また、本年度の売上を翌年度に回してしまったときや、経費に計上できないものを計上してしまったときなど、故意ではないミスが起きたときには内容を説明した上で重加算税の課税を回避できることがあります。
税務調査でこれらの問題が発覚したときには、意図的でないことを十分に説明し納得してもらうことが肝心です。
4. 重加算税の会計処理方法
重加算税を課税された場合には、納税ののち適切に会計処理をしなければなりません。
重加算税をはじめとした加算税は損金として算入することができません。会計処理上では、重加算税は租税公課という扱いになります。
仕訳をするときには、借方の欄には租税公課、貸方の欄には現金と記載するのが一般的です。借方と貸方それぞれに記載する重加算税の金額は一致している必要があります。
なお、重加算税は損金扱いにならないため、納税した年度の所得には影響を与えません。
5. 重加算税の対象となった場合の対応
税金を納める企業や法人、個人は、国税庁または地方支分部局である国税局、国税事務所、税務署などの税務調査を受けることがあります。重加算税が課税されるケースのほとんどは、税務調査で問題が判明した場合です。
税務調査で違反が認められたときには修正申告または更正処分がおこなわれます。また、内容に問題があるときには再調査を請求できることもあります。それぞれの方法について見ていきましょう。
5-1. 修正申告
税務調査で問題が認められたときには、修正申告を求められるのが一般的です。修正申告は、先におこなった申告の誤りを正して新たに申告する手続きです。
調査官の指示通りに修正申告をすれば、過少申告加算税などが免除される可能性があります。ただし、隠蔽や仮装があったと認められたときの重加算税は免除されないケースが多いので注意したいものです。
また、修正申告後であっても、一定の延滞税が発生することになります。
5-2. 更正処分
更正処分とは、申告内容の税額などを修正する処分のことを指します。更正処分では自ら内容を修正するのではなく、税務当局側が税額を見直して申告書を作成し直します。
5-3. 不服申立
調査内容が納得いかないときには、不服の申立をすることも可能です。ただし、不服申立の期限は通知を受けた日の翌日から1ヶ月以内となっています。
不服申立の方法には、再調査の請求や審査請求といった方法があります。再調査の請求は処分を受けた税務署の税務署長または国税局長に依頼します。審査請求は国税不服裁判所に対して求めることになります。
税務当局の指摘のうち、納得いく部分に関しては修正申告をし、一部分にのみ納得がいかないと不服申立をすることも可能です。
ただし、修正申告を終えたあとには原則として不服申立ができなくなります。内容に納得がいかないときは修正申告をする前に不服申立をしたほうがよいでしょう。
6. 重加算税の対象とならないために普段から丁寧な会計処理を
重加算税の対象となったときには、本来支払う税額に加えて35~40%もの重加算税を支払うことになります。常習性があるとみなされたときには税率が45~50%に引き上げられることもあります。
重加算税が適用されるのは、故意の隠蔽や仮装が認められた場合に限ります。税務調査で問題を指摘されてしまうと、高額な重加算税や延滞税を支払わなければならない上、煩雑な手続きも必要となります。
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