総勘定元帳の保存期間とは?ほかの帳簿や記帳との違いと合わせて解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.5.10
MEGURO
総勘定元帳などの帳簿には保存期間が定められており、それを遵守しないと法的なペナルティが発生します。保存期間や保存方法については遵守しなくてはいけません。ここでは、総勘定元帳の保存期間や保存方法についてそのほかの帳簿と比較しながら紹介いたします。
関連記事:総勘定元帳とは?作成する理由や転記方法、保存期間や形式など網羅的に解説
1. 総勘定元帳の保存期間
まず、所得税法上の保存期間について解説をします。後述しますが、帳簿は所得税法と会社法によって定められている保存期間が違います。基本的には会社法の方が保存期間が長く設定されているため、そちらを優先しなくてはいけません。
総勘定元帳の保存期間ですが7年間と定められています。
また、保存期間が定められている理由としては確定申告の際に帳簿を利用することが要因になっています。
確定申告を行うと、会社の所得税が決まります。税務署は申告された所得税の金額に対して、本当に正しいのかを確認しなくてはいけません。たとえば、意図して所得を隠している場合があります。取引によって発生した売り上げの一部を計上していないかもしれません。
もちろん、これらの行為は虚偽申告や脱税に該当する違法行為です。しかし、これらを行っている会社があるのは事実です。こういった会社から正しい税金を徴収するために、税務署は会社に対して税務調査を行います。その際に税務署が確認する情報として、総勘定元帳などの帳簿が必要になるのです。
もし、総勘定元帳が保存されていなかったら、虚偽申告をしているのではないかと疑われてしまいます。追加徴税になる可能性もゼロではありません。そのため、法律によって定められている保存期間は守らなくてはいけないのです。
1-1. 法人税上で定められた帳簿の保存期間
また、所得税法と会社法によって保存期間が異なるとご説明しましたが、帳簿の保存期間は法人税上でも定められています。法人税上では、所得税上と同じく確定申告の提出期限から原則として7年間保存しなくてはいけません。
ちなみに帳簿の保存と記帳は別の行為です。記帳は帳簿の内容を記載する行為であり、保存とは関係がありません。記帳していれば問題ないと考えている方がいるかもしれませんが、その書類を正しい方法で保存をしていないと税務署が帳簿を確認できず、そもそも作成していないと思われる場合もあるので注意が必要です。
1-2. そのほかの帳簿や記帳の保存期間
総勘定元帳以外にも帳簿はあります。それらの保存期間ですが、総勘定元帳と同じく原則として7年間保存をしなくてはいけません。しかし、帳簿の種類によっては5年間の保存で問題ない場合があります。
それは請求書の控え、見積書、契約書、納品書控え、注文書などです。取引を行う過程でやり取りをした書類に関しては、5年間の保存義務となります。しかし、これらは取引の際に使用した書類になるので、破棄してしまうと帳簿の内容がわからなくなるかもしれません。
保存している書類の数が多く、整理が困難な場合は適度に処分することも必要です。しかし、保存期間を超えて保存をしていても問題はないので、取引の内容が誰が見ても明らかになるように必要な書類は残しておくのがおすすめです。
また、青色申告における帳簿保存期間について解説をしましたが、白色申告の場合でも確定申告を行っている限り、帳簿を保存しなくてはいけません。その期間ですが、青色申告の場合と比べて短く、5年間となっています。
しかし、記帳制度適用者が作成した書類については7年間の保存義務があるので注意してください。
2. 帳簿と書類の電子データ保存について
2022年1月におこなわれた電子帳簿保存法の改正によって、書類のデータ保存におけるルールが大きく変わりました。
ここでは、電子帳簿保存法によって定められている、帳簿と書類の保管方法ついて解説します。
2-1. 帳簿は「一貫して電子データで作成した場合のみ」電子保存可能
仕訳帳や総勘定元帳などの国税関係帳簿は、パソコン等を用いて「最初から最後まで」電子データで作成した場合のみ、電子保存することが可能です。
一部でも手書きのものが含まれる場合は、電子保存が認められないため注意しましょう。
また、要件については2種類存在します。
「優良な電子保存」の要件を満たすことで、過少申告重加算税の軽減措置や税控除額の増加を申請できるようになるため、よく確認しておきましょう。
2-2. 電子データで受領した書類は電子データで保存しなければならない
領収書や請求書などの国税関係書類を電子データで受領した場合は、電子データで保管することが義務化されました。
紙媒体で受領した国税関係書類は、紙媒体のまま保存できるため、注意しましょう。
電子データ保存の必要要件
また、電子保存をする際には法律で定められた要件を満たす必要があります。
主な要件は以下のとおりです。
- システム概要に関する書類の備付け
- 見読可能装置の備付け
- 検索機能の確保
- データの真実性を担保する措置
この中で「システム概要に関する書類の備付け」とはシステムに関するマニュアルを用意するという意味であり、「見読可能装置の備付け」とはデータを確認できるようにディスプレイやアプリを用意するという意味となります。これらの要件を満たしていなければ、会社はデータの確認ができません。そのため、この2つの要件は意識せずとも満たしているケースが多いです。
電子データ保存の課題点
問題となるのは「検索機能の確保」と「データの真実性を担保する措置」です。まず、「検索機能の確保」についてですが、これはフォルダの検索機能を使えるようにしたり、エクセルで索引簿を作成してファイルを紐付けしたりしなくてはいけません。ファイル名を検索に対応させるなどの工夫が必要になります。
そして「データの真実性を担保する措置」についてですが、タイムスタンプを活用したり、データの訂正や削除が記録される、または、禁止されているシステムを使用したりしなければなりません。
電子保存をする際には、要件が遵守されているかについても確認をしてください。
最新の要件については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2023年版】電子帳簿保存法とは?概要と改正内容をわかりやすく解説
3. 会社法上の保存期間
会社法上では帳簿書類の保存期間が10年と定められています。会社法に定めのない書類については、税法を適用して保存をしなくてはいけません。重要性が高い書類に関しては、会社法でも保存期間が定められているため、税法上の保存期間が終了したとしても破棄できない点に注意してください。
また、決算書や申告書、総勘定元帳などは、保存期間こそ定められていますが、後から確認することも多い書類となります。書類をたくさん保存しなくてはいけないのは、手間に感じるかもしれませんが、破棄することで困る可能性もあります。
保存期間が終了したとしても、すべての書類を破棄するのではなく、書類に重要性に応じて残しておくなどの対応を心がけてください。
4. 保存期間を遵守してトラブルを防ごう
帳簿の保存期間について解説をいたしました。保存期間を遵守しないことで起こるトラブルもあります。不必要な出費や手間を生む場合もありますので、保存期間や保存方法には注意をしてください。
また、法律の内容が改正される際もしっかりと理解し、対応するために事前準備することも大切です。
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