単一性の原則とは?意味や目的をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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単一性の原則とは?意味や目的をわかりやすく解説

解説する男性単一性の原則とは、企業が作成する会計帳簿を1つのみとするルールです。会計監査においては1つの事実に対して複数の帳簿を作成する二重帳簿は認められません。1つの会計帳簿が自社で唯一の会計帳簿となるよう、単一性の原則に準拠した帳簿作成を実施しましょう。

なお、単一性の原則は企業会計原則の一般原則で規定される原則です。企業会計原則は事業規模を問わず全ての企業が準拠すべき会計処理の規範でありるため、企業の経理業務に携わる際はその内容をしっかり理解しておきましょう。

本記事では企業会計原則の一般原則である単一性の原則について分かりやすく解説します。

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1. 単一性の原則とは?

手の上にはてな単一性の原則とは、企業が作成する全ての財務諸表は1つの会計帳簿を基に作成されたものでなければならないとする原則です。ここでは単一性の原則の意味や、単一性の原則を規定する企業会計原則について解説します。

1-1. 単一性の原則は企業の会計帳簿を1つのみとするルール

単一性の原則の意味を簡潔に言えば「企業が作成する会計帳簿を1つのみ」とするルールです。企業会計原則では、単一性の原則に基づき1つの会計事象を複数の会計帳簿に記載することを認めていません。

企業経営では、株主総会での使用や税務署への提出など、目的に応じて形式の異なる複数の財務書類の作成が必要となるケースがあります。このとき、作成する書類に応じて複数の会計帳簿を使い分けることは禁止です。全ての財務書類は、その企業が唯一作成する1つの会計帳簿を基に作成する必要があります。

普段から性質の異なる2つ(もしくはそれ以上)の会計帳簿を作成していた場合、それは二重帳簿となり企業会計原則から逸脱した行為になります。二重帳簿は企業会計の信頼性を損ねる要因となるため、会計実務においては絶対に行わないようにしましょう。

1-2. 単一性の原則は企業会計原則の一般原則の1つ

単一性の原則は企業会計基準における7つの一般原則のひとつとして規定されています。企業会計原則とは、会計実務において慣習的に行われていたルールのうち、公正妥当と判断されるものをまとめて体系化した日本の会計基準です。1949年に、旧大蔵省の経済安定本部・企業会計制度対策調査会(現在の金融庁・企業会計審議会)によって公表されました。

企業会計原則は企業が会計処理を行う際の基本的な考え方や基準を示したものです。法的拘束力こそないものの、日本では企業会計における最も基本的な指針として浸透しており、会計監査の基準としても用いられています。そのため、実質的には全ての企業で企業会計原則に準拠した会計処理が求められます。

近年ではビジネスのグローバル化もあり企業会計において国際会計基準を重視する動きもあります。しかし、根源的な原則としての企業会計原則の重要性は変わっていません。

なお、企業会計原則は「一般原則」「損益計算書原則」「貸借対照表原則」の3項目からなり、特に一般原則で規定される7つの原則は企業会計の根幹となる概念と考えられています。

【企業会計原則における7つの一般原則】

  • 真実性の原則
  • 正規の簿記の原則
  • 資本取引・損益取引区分の原則
  • 明瞭性の原則
  • 継続性の原則
  • 保守主義の原則
  • 単一性の原則

関連記事:企業会計原則とは?7つの一般原則をわかりやすく解説

2. 単一性の原則の目的

目的単一性の原則は会計事象を複数の帳簿で管理する「二重帳簿」の禁止を目的とする原則です。ここでは単一性の原則の目的と二重帳簿の意味を解説します。

2-1. 単一性の原則の目的は二重帳簿の禁止

単一性の原則の目的として挙げられるのが「二重帳簿の禁止」です。企業が作成する財務書類は正規の簿記の原則に従って作成された単一の会計記録に基づかなければなりません。

企業はその業務の中で書式の異なる複数の財務諸表を作成するケースがあります。税務署に提出する確定申告書や株主に向けて公開する決算報告書等のほか、金融機関から融資を受ける際も財務諸表が必要です。

このとき、それぞれの財務諸表で異なる会計帳簿を使い分けるような行為は単一性の原則により禁止されます。基準が異なる財務諸表が複数存在すると利害関係者が本来の財務状況を判断できなくなってしまうためです。また、例え悪意がなかったとしても、二重帳簿の存在が不正行為の温床になるため、企業の会計処理そのものの不信感を招いてしまいます。

会計帳簿は単一性の原則に基づき一元化することが重要です。また、財務諸表を作成する際は必ず単一の会計帳簿を基準としましょう。

2-2. 二重帳簿は1つの事実に対して複数の帳簿を作成する行為

単一性の原則により禁止される二重帳簿とは、1つの事実に対して複数の帳簿を作成することです。その多くは自社で不当な利益を得るため、もしくは自社の不利益を隠匿する目的で作成されます。そのため、二重帳簿で作成される会計帳簿には何かしら意図的な改編が加えられている可能性があります。

例えば脱税のために正規の帳簿よりも利益を少なく計上するパターンです。企業にとって大きな利益を計上することは必ずしも良いことばかりではありません。利益が大きくなればそれに対する税負担も大きくなるためです。企業は金融機関や投資家に対しては利益を大きく計上し、税務署に対しては利益を小さく計上したいと考えるのが企業の本音です。

もちろん二重帳簿は単一性の原則により禁止されていますので、大多数の企業はルールに従って正しい会計処理を行っていることでしょう。もしも自社で二重帳簿を実施しているのであれば、直ちに廃止して会計業務の健全化に努めましょう。

2-3. 単一性の原則は実質一元・形式多元と考えられる

既に繰り返し説明しているように、企業は形式が異なる財務諸表であってもその企業でただ1つの会計帳簿を基に作成されなければなりません。単一性の原則に関する説明では、このことを「実質一元・形式多元」という言葉で表すことがあります。

実質一元・形式多元とは、複数の形式を持ちながらもその実質的な数値は1つであるという意味です。企業会計ではどのような形式の財務諸表・財務書類を作るにしろ、その情報ソースである会計帳簿は常に一元化されていなければなりません。

3. 単一性の原則に反する二重帳簿には罰則がある?

注意ここまでで説明した通り、企業会計原則では単一性の原則により二重帳簿の作成が禁止されています。しかし、企業会計原則はあくまで企業に業務の方向性を示す指針であり、法的な拘束力をもつ決まりではありません。仮に二重帳簿を作成していたとしても、その行為自体に対する罰則はありません。

ただし、二重帳簿によって不当な利益を得た場合や、利益を少なく計上して脱税をしていた場合は、それらの行為に対する刑事責任が発生します。

注意すべきは、企業会計原則それ自体に法的効力がなくても、そこで規定されるルールは会社法や金融商品取引法、税法などと密接に関連している点です。企業会計原則から大きく逸脱する場合は、意図せずに法律に抵触してしまう可能性がある点に留意しましょう。

4. 単一性の原則を守って財務諸表の信頼性を担保しよう

笑顔で握手する女性

単一性の原則は企業会計原則における一般原則のひとつであり、企業に対して二重帳簿の禁止を要請する決まりです。企業が形式の異なる複数の財務諸表を作成する際は、単一性の原則に従いその企業に唯一ある会計帳簿を基準とします。二重帳簿は不正行為の温床となるため、単一性の原則に準拠して財務諸表の信頼性を担保しましょう。

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jinjer Blog 編集部

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