仮払金の精算ルールについて申請・精算フローを踏まえて詳しくご紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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仮払金の精算ルールについて申請・精算フローを踏まえて詳しくご紹介

精算 フロー

仮払金とは、現時点では金額が確定しない費用について「概算」で支払ったお金です。仕訳帳には「仮払金」として計上することで、帳簿上の記入漏れを防げます。ただし、仮払金は決算までに相殺処理をおこなわなければなりません。
ずさんな処理では、後々会計担当に掛かる負担が大きくなるため、正しい申請・精算フローを確立して軽減することが重要となります。そこでここでは、仮払金の処理をスムーズかつミスなくおこなうために必要な「精算ルール」について紹介します。

関連記事:仮払金の基本的な部分を賃借対照表における位置付けからやさしくご紹介

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」

などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで当サイトでは、勘定科目や仕訳に関する基本知識と各科目ごとの仕訳例を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。 会計の理解を深めたい方には必須の知識となりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。


1. 実務における仮払金の扱われ方

仮払金

仮払金とは、詳細が決定しない費用を概算で事前支給した場合に適用される勘定科目です。
仮払金の概要や、財務諸表での扱われ方を紹介します。

1-1. 仮払金が発生するケース

経費の精算には、社員に立て替えてもらった後で精算をおこなう「実費精算」と、概算でお金を支給して、その後に精算する「仮払精算」があります。

仮払金が発生するのは、仮払精算のケースです。
社員の出張・会議やセミナーへの参加、さらには資料購入が必要となった場合などに多く見られるでしょう。

仮払精算のメリットは、社員に一切の経費負担が掛からない点です。額面が大きい場合でも、社員は手出しなしで業務に当たれます。

ただし、概算の出し方が甘かった場合は、社員の手出しが必要です。
何にいくらかかったかを社員自身が細かく把握し、報告しなければなりません。

1-2. 適切な勘定項目に修正が必要

概算で費用を捻出した場合は、勘定科目が何であれひとまず「仮払金」として仕訳できます。
ただし、仮払金はあくまでも「仮」の勘定科目です。精算後に経費の詳細な内容や金額が判明したら、正しい勘定科目で相殺しなければなりません。

あまりにも仮払金で処理している科目が多い場合、後の相殺処理の負担が大きくなります。
ずさんな会計処理をおこなうと、精算チェック漏れや転記ミスが発生しやすく、月末や年度末の決算で大きなトラブルとなるとなってしまうかもしれません。

計上した仮払金について詳細が判明したら、なるべく早めに正しい勘定科目を立てるようにしましょう。

関連記事:仮払金を相殺処理する方法とは?具体例や計上方法を解説

1-3. 貸借対照表では「資産」に分類する

仮払金は「お金が出ていく」というイメージなので、貸借対照表では「負債」に計上したくなるかもしれません。
しかし、仮払金は「資産」の「その他の流動資産」に分類されるのが一般的です。

その他の流動資金とは、現金化しやすい当座資産、棚卸資産以外の資産に充てられる区分のことで、仮払金のほかに仮払消費税や短期貸付などがあります。

仮払金が資産と見なされるのは、社員や役員に「一時的に貸し付けたお金」と見なすためです。
精算をして用途がはっきりと確定するまでは、経費にならないので注意してください。

2. 仮払金の申請フロー

フロー

仮払金の会計処理をスムーズにおこなうためには、「いつ」「どのような理由で」「いくら」仮払金が発生したのかを、把握できるようにしておかなければなりません。

多くの企業では、該当社員に「仮払経費申請書」を作成してもらい、費用の抜け漏れを防いでいます。
ここでは、仮払経費申請書を業務フローに取り入れた場合の、具体的な流れを紹介します。

2-1. 必要な経費を計算してもらう

まずはどのような経費が必要となるか、具体的な金額が必要です。
泊まりがけの出張であれば、社員は交通費・宿泊費・接待費等をまとめて要求することになるでしょう。

それぞれの金額について見積りとトータル金額を算出してもらい、妥当と思われる金額を提示してもらってください。

2-2. 仮払経費申請書を作成・提出してもらう

必要な費用の内訳とおおよその金額が分かったら、それに基づいて「仮払経費申請書」を提出してもらいます。

申請書の様式は企業によって異なりますが、いずれの場合でも以下の項目は必須です。

  • 仮払を受ける人の氏名
  • 仮払日
  • 申請日
  • 仮払金額
  • 目的

このほかに、事務手続きなどで必要な情報がある場合は項目を追加して、自社にとって使いやすい申請書を作成しておきましょう。

2-3. 仮払金を渡す

申請書を受け取ったら、日付や目的に間違いはないか・金額は妥当かどうかをチェックしましょう。
問題がないと判断された場合は、申請が通った旨を書面等で通知し、仮払金を支給します。

支給した金額は「仮払金」として仕訳帳に計上しておきましょう。

3. 仮払金の精算フロー

流れ

仮払金は、一時的に「仮払金」という勘定科目に仕訳をしますが、精算をして正しい勘定科目に仕訳しなければなりません。そのため、支給した後は仮払金をどのように使ったのかがわかる「仮払精算」が必要です。
仮払精算によって勘定科目が決まるので、仮払いを支給した社員に正確かつ詳細な説明を求めましょう。

ここでは、仮払金を精算するときの流れを紹介します。

3-1. 「仮払経費精算書」を作成・提出してもらう

仮払金の使用を終えた社員には、「仮払経費精算書」を作成・提出してもらいます。
これは、かかった費用の詳細を記載してもらう書類で、費用を使った日付や金額・用途は必ず書いてもらいましょう。

また、仮払経費精算書には支払いが確認できる書類が必要なので、領収書やレシート等を貼付するよう求めてください。

なお、残金があった場合は、書類と一緒に返金してもらいます。万が一、不足があった場合は、立て替えた金額と用途を記載してもらいましょう。
この場合も、不足した理由とお金を使った事実が分かる明細書などが必要です。

3-2. 仮払経費精算書を精査する

提出された仮払経費精算書は、経理担当者が精査します。
添付されているレシートや領収書などと書類を照らし合わせて、不備や記入ミスがないかどうかを確認しましょう。

仮払経費精算書の内容に不備がなければ、精算は終わりです。
社員に返金する必要があれば、必要な金額を支給してください。

3-3. 仮払金の相殺処理をおこなう

仮払金の処理が終わったら、帳簿上の「仮払金」という勘定科目を実際の科目で相殺しましょう。
仮払金という科目を立てることは問題ありませんが、決算時まで残しておくのは好ましくありません。

仮払金の詳細が判明した時点で、処理をおこなうのがベターです。

3-4. 仮払金の仕訳例

仮払金の具体的な仕訳と相殺処理の仕方を見ていきましょう。
以下は、出張に出掛ける社員に10万円の仮払金を支給したケースです。

仮払金を支給した時点では「現金」が減るため、借方に仮払金・貸方に現金の勘定科目を立てましょう。

借方 貸方
仮払金 100,000円 現金 100,000円

社員が仮払経費精算書を提出し、費用の詳細がわかったら、改めて相殺処理をおこないます。
このとき振替仕訳もおこなうため、仮払金は貸方に記載してください。

仮払金が余った場合は、「現金」とし、貸方の仮払金と金額がそろうようにします。
摘要欄には「仮払金精算」と記載しておけば、後の確認がスムーズです。

借方 貸方
旅費交通費 50,000円 仮払金 100,000円
交際費 10,000円    
現金 40,000円    

一方社員の手出しがあった場合は、貸方に「現金」の勘定科目を立て、不足した金額を記載します。

仮払経費精算書で認められた金額と同じになるよう、借方・貸方ともに金額を合わせてください。

借方 貸方
旅費交通費 90,000円 仮払金 100,000円
交際費 30,000円 現金 20,000円

4. 仮払金の未精算分が残った場合の問題点

必須ポイントを踏まえることが重要

仮払金は、取引内容の確認を長期間放置してしまうと、実際の取引内容を調べるために時間と手間がかかってしまうため、なるべく早めに精算をおこなうべきといわれます。
また、確認をしないまま未精算分が残ってしまうと、後々問題が起こる可能性もあります。

ここでは、税務署視点・金融機関視点からどのような問題が起こるのか解説していきます。

4-1. 税務調査で追求されるおそれがある

「仮払金」として計上されている費用は、企業の業務と関係のない資金として使われていたり、役員や社員の給与・貸付金として使われていたりするケースが少なくありません。
仮払金を多用していたり未精算が常態化していたりすると、税務調査で追求されるおそれがあります。

万が一、仮払金の処理方法に不備があった場合は、行政指導が入ったり説明を求められたりするでしょう。

また実際に「不適切な費用」と見なされた場合は、申告そのものに不備があったとして何らかのペナルティを課されるかもしれません。

4-2. 融資を受けにくくなるおそれがある

「その他流動資産」に該当する仮払金、前渡金、前払金について、金融機関は非常に警戒しています。
不自然な金額が記載されていたり未精算分があまりにも多かったりする場合は、粉飾決算や資金の用途が適切でない可能性を疑われるでしょう。

金融機関は、信用のない企業への融資はおこないません。
そのため、場合によっては仮払金の不適切な処理が原因で、資金繰りが苦しくなってしまう可能性があるため注意が必要です。

5. 仮払金の精算ルールを徹底しスムーズに処理しよう

説明

仮払金は非常に融通を利かせやすい勘定科目ですが、未精算分をためてしまうと後処理に困ります。
資金の正当な使い道を示す勘定科目への仕訳はとても重要なので、精算ルールを徹底し速やかな処理を目指しましょう。

仮払金の精算をスムーズにおこなうポイントは、申請書と精算書を用意して、仮払金の詳細を書面化することです。
書類がきちんと残るので後の確認が容易で、ミスが起こりにくくなります。

仮払金の未精算が常態化すると、企業会計の信用問題にも関わるため、仮払金は精算ルールに則って処理することを徹底してください。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

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jinjer Blog 編集部

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