損金算入が可能な租税公課の対象について解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.5.10
FURUYA
損金算入とは経費として計上しないものを損金として計上する方法のことです。損金算入ができる租税公課を知っておくことで、節税対策にも繋がります。今回は、損金算入について、メリットやデメリットも含めて紹介します。
1.租税公課とは
租税公課とは、租税と公課の2つの意味の言葉を合わせて作られた勘定科目です。租税とは国税や地方税を意味していて、公課とは交付金や会費などを意味しています。すべての税金や公費金などが租税公課の対象となるわけではないことを知っておく必要があります。
租税だと固定資産税や消費税、都市計画税などは対象となり、法人税や市町村税は租税の対象とはなりません。一方公課は、印鑑証明書や住民票の発行手数料などが対象として挙げられます。
ただし、消費税は税込経理方式と税抜経理方式という2つの処理方法があり、税込経理方式でなければ租税公課の対象とはなりません。税金によって条件がある可能性があるので、注意して取り扱うことが大切です。
関連記事:租税公課とは?計上の可不可など知っておくべき点をわかりやすく解説
2.損金算入とは
はじめに、損金算入の仕組みについて正しく理解をすることが大切です。損金算入とはなにか、損金と経費との違いや損金不算入について、損金算入のメリットとデメリットも含めて詳しく解説します。
2-1.損金と損金算入
損金とは、法人税を計算するときに用いられ、損失を意味する言葉です。損金が多いと所得も少なくなるので、課税される法人税も少なくなります。
損金と混同されがちな言葉として、費用があります。近い部分もありますが、損金=費用ではないため、注意が必要です。費用として認められるものの中には、損金として認められないものがあるのが特徴となっています。
会計上費用としていないものを税務上は損金とすることを損金算入と言います。損金算入の代表的なものとして、法人事業税が挙げられます。
2-2.損金不算入とは
損金不算入とは、損金算入とは逆に会計上は費用であっても損金とならないものを指します。役員報酬や寄付金などが損金不算入にあたり、損金として計上することができません。
交際費も原則的には損金不算入の項目ですが、いくつかの条件を満たせば損金算入をすることができます。交際費の中でも社外飲食接待費に関しては、800万円又は50%まで損金算入が可能ですし、会議費は全額損金算入可能です。
どの項目が損金算入ができて、どの項目ができないのかを確実に把握して、正しい形で処理を行うことが重要となります。
2-3.損金算入のメリットとデメリット
続いて、損金算入のメリットとデメリットについて解説します。損金算入のメリットは、節税対策ができるという点です。法人税は、会計上の利益に値する益金から、損金を差し引いた額に課税されます。つまり、損金の額が大きければ大きいほど課税される額が少なくなるので、税金も少なくなります。
一方、デメリットは、キャッシュフローの悪化を招く可能性があるということです。キャッシュフローとはお金の流れを意味していて、一定の会計期間内にどのくらいお金が入り、流れたかを示す流れのことです。
節税対策のために、あらゆるものを損金として計上していては、手元に残るお金が少なくなってしまいます。節税対策とキャッシュフローのバランスを考えて損金算入を行うことが大切です。
3.損金算入ができる租税公課とできない租税公課
法人事業税が損金算入できると先述しましたが、その他にも損金算入できる租税公課はあります。ここからは、損金算入ができる租税公課とできない租税公課について解説します。
3-1.損金算入ができる租税公課
以下が、租税算入ができる租税公課の一部です。
・固定資産税
・不動産取得税
・印紙税
・自動車税
・登録免許税
・軽油取引税
・都市計画税
・消費税(税込経理方式)
・労働保険・社会保険の追徴金及び延滞金 など
このような税金を損金算入できます。また、消費税は処理の方法で損金算入できるかできないかが変わってくるので注意が必要です。税込経理方式で処理すれば損金算入を行うことができます。
関連記事:収入印紙の仕訳は租税公課になることについて詳しく解説
関連記事:租税公課消費税について経費計上のために覚えておきたいポイント
3-2.損金算入ができない租税公課
先述したとおり様々な税金や公課が損金参入できる一方で、以下の租税公課は損金不算入の扱いとなります。
・法人税
・法人地方税
・加算税
・延滞税
・法人税から控除される所得税
・罰金、過料、科料
以上のような租税公課は損金算入をすることができません。間違って損金算入することがないように注意が必要です。
4.租税公課の損金算入時期
続いて、租税公課の損金算入時期について解説します。税金の損金算入は、申告納税方式と賦課課税方式の2種類があり、税金によってどちらの方式で損金算入をするのかが変わってくるので注意してください。
4-1.申告納税方式
申告納税方式とは、納税者自身が税務署に申告をすることで納税額が確定し、確定した税金を納める方式のことをいいます。申告納税方式で損金算入できる税金は以下の通りです。
・消費税
・酒税
・事業税
・相続税
・法人県民税、法人市民税
申告納税方式で損金算入をする場合は、納税申告書を提出した日と更正決定日を含む事業年度の損金として扱います。
4-2.賦課課税方式
賦課課税方式とは、国や地方自治体が納める税金の額を計算し、納税者に対して通知する方式のことです。賦課課税方式で損金算入できる代表的な税金は以下の通りです。
・固定資産税
・不動産取得税
・自動車税
・都市計画税
賦課課税方式で損金算入をする場合は、賦課決定の日の事業年度の損金として扱います。ただし、納期の開始日の事業年度または実際に納付した事業年度に損金経理をした場合は、損金経理を行った日の事業年度となるので注意してください。
5.損金算入に複数年かかるものもある
これまで損金算入の時期について、原則的には事業年度に行うと解説しましたが、減価償却と繰延資産については、損金算入に複数年かかることを知っておく必要があります。ここからは、減価償却と繰延資産について解説します。
5-1.減価償却
減価償却とは、建物や機械のような固定資産を取得するために支払った費用を、取得したその年にすべて損金算入として計上するのではなく、数年に分けて計上する方法です。
毎年どの程度の金額を、何年にかけて計上するのかは自由に決めていいものではなく、固定資産の種類によって決められています。しかし、使用期間が1年未満のものや取得した価格が10万円以下のものに関しては、取得した年にすべて計上することになるので注意が必要です。
5-2.繰延資産
繰延資産とは、支出をした後でも支出の効果が及ぶ期間に繰り返し損気算入できる費用のことをいいます。繰延資産ができる資産は以下のようなものがあります。
・創立費
・開業費
・開発費
・株式交付費
支出の効果が1年以上に渡って配分されることを償却といい、任意償却、均等償却、少額繰延資産の3種類の方法で処理をすることができます。
6.損金算入できる租税公課を理解しておこう
ここまで、損金算入についてや、損金算入が可能な租税公課について解説しました。損金算入の仕組みを理解し、損金算入ができる租税公課とできない租税公課があることを知った上で正しく損金算入の処理を行うことが大切です。
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