振替伝票の役割とは?具体的な書き方や作成時の注意点について確認
更新日: 2024.5.28
公開日: 2022.8.2
jinjer Blog 編集部
企業が扱う金銭のやり取りは帳簿に記載する方法で管理する必要があります。経理担当者が取引の全てを記載する帳簿は仕訳帳と呼ばれます。
仕訳帳は基本的には日付順に記載するため、取引の順番が前後した際にうまくまとめられないなどの問題が起きることがあります。この問題を解決するためには、仕訳帳ではなく伝票を総勘定元帳に転記する伝票制を採用するのが有効です。
伝票制では、入金伝票や出金伝票とともに振替伝票と呼ばれる伝票を活用することがあります。本記事では、伝票制における振替伝票の役割をご紹介いたします。また、振替伝票に記載すべき項目や書き方、作成時の注意点についてもわかりやすく解説いたします。
目次
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1. 振替伝票とは?伝票制における役割
振替伝票とは、現金による入金や出金以外の取引をするときに使用する伝票です。具体的には、銀行口座や小切手、手形を利用した取引がこれにあたります。
伝票制には、仕訳伝票のみで取引を管理する1伝票制のほか、振替伝票を活用する3伝票制や5伝票制といった方法があります。まずは、1伝票制と3伝票制、5伝票制における振替伝票の役割を説明していきます。
関連記事:伝票とは?伝票式会計の種類や伝票の種類、伝票を利用するメリットを解説
1-1. 1伝票制
1伝票制とは、仕訳伝票と呼ばれる伝票にすべての取引を起票することをいいます。仕訳伝票は、総勘定元帳に転記する前の仕訳として使われます。
すべての取引を一元化できるのが1伝票制の良さです。しかし、起票に手間がかかることから、多くの企業や法人は3伝票制や5伝票制を採用しています。
1-2. 3伝票制
3伝票性は、現金を扱う取引を起票する入金伝票と出金伝票に加え、現金以外の取引のすべてを起票する振替伝票の3つから構成されます。
入金伝票は製品を販売したときやサービスの対価を現金で受け取ったときに起票します。逆に、製品を購入したりサービスを利用して現金で支払ったりしたときには出金伝票を起票します。いずれも、相手方の勘定科目と金額のみを記入します。
現金以外の取引は全て振替伝票に起票します。こちらは仕訳伝票と同じように、勘定科目と金額のすべての欄を記入します。
1-3. 5伝票制
5伝票制では、3伝票制で使う入金伝票と出金伝票、振替伝票に加えて、仕入伝票と売上伝票を使います。
仕入伝票には買掛金の取引を、売上伝票には売掛金の取引を起票します。いずれも、取引に対する相手方の勘定科目と金額のみを起票するのが適切です。
売掛や買掛の取引が多く発生する小売業や卸売業には5伝票制が向いています。
2. 振替伝票に記載すべき項目はさまざま
振替伝票を作成する際には以下のような項目を埋めていく必要があります。
- 日付
- 金額
- 借方科目
- 貸方科目
- 摘要
まずは取引がおこなわれた日付と、その取引によって動かされた金額を記入します。
借方科目は伝票の左側にある勘定科目で、仕入れや人件費などについて記載します。逆に貸方科目は伝票の右側にあり、売上や営業外収益などを記載していきます。租税公課など、よく使用する科目に補助項目を作ることも可能です。
振替伝票を作成するときには、購入した品物の名前や種類、取引の内容などを摘要欄に詳しく記載します。摘要欄を埋めておけば、あとから振替伝票を見たときにどのような取引がおこなわれたかを把握でき便利です。摘要欄は、第三者が見ても内容を把握できるようにしておくことが重要です。
3. 振替伝票の書き方とは
振替伝票の書き方は企業によって異なりますが、近年では会計ソフトを活用するケースが増えてきました。会計ソフトを活用すれば作業効率がアップしやすくなるため、最適なシステムを選んでぜひ取り入れてみましょう。
また、手書きで振替伝票を作成したり、エクセル上に記録したりする企業もあります。ここからは、状況に応じた振替伝票の書き方を見ていきましょう。
3-1. 手書きの振替伝票
手書きの振替伝票を作成するときには、右側に借方科目を、左側に貸方科目を記入します。このとき、右側と左側の金額は必ず一致している必要があります。また、借方科目が売掛金だったときに貸方科目が売上になるなど、内容が対応していることも重要です。
それぞれの伝票は1つの場所にまとめ、すぐに集計できるようにしておきましょう。
3-2. エクセルで作成する振替伝票
振替伝票はエクセルで作成することも可能です。手書きの振替伝票を作成する場合と同じように、右側と左側に分けて各項目を作って必要な事項を入力していきましょう。
エクセルで振替伝票を作成すれば、紙の書類が溜まっていくことがないので管理が楽になります。また、集計作業にもそれほど手間がかかりません。
ただし、専用の会計ソフトではないためデータの取り扱いには十分注意しましょう。データの消去や上書きを防ぐため、管理者を設定したりバックアップを取ったりといった工夫が必要となります。
3-3. 会計ソフトで作成する振替伝票
専用の会計ソフトやクラウドシステムを導入すれば、データを手早く入力でき便利です。決算の際にも仕訳や伝票集計が自動でおこなえるので、煩雑な作業をおこなう必要なく手軽に決算を済ませられます。また、計算ミスが起きにくくなるのも会計ソフトを活用するメリットです。
とはいえ、これまで手書きで振替伝票を作成していた企業にとって、システムの導入はややハードルが高いかもしれません。システムの使い方を担当者が把握し、従業員に周知するためには一定の手間やコストがかかります。
4. 振替伝票の作成方法別のメリット・デメリット
振替伝票は作成方法別にメリット、デメリットがあります。作成方法別のメリット、デメリットは次のとおりです。
作成方法 | メリット | デメリット |
手書き |
パソコンでの作業が苦手な人でも対応できる |
紙の伝票が溜まるため定期的なファイリングが必要 振替伝票を検索するのに時間がかかる傾向にある |
エクセル |
パソコンにあらかじめインストールされていれば無料で使用できる ペーパーレス化を促進できる |
数式の作成が必要 会計ソフトと比較すると財務諸表作成時の集計に時間がかかる傾向にある 取り扱い方法によってはデータが消えてしまう |
会計ソフト |
ペーパーレス化を促進できる 伝票の作成や集計が自動化されるためミスが発生しづらい 伝票の内容を検索しやすい |
ソフト導入にあたってコストがかかる |
それぞれの作成方法にメリット、デメリットがあるため、どの作成方法が自社に適しているかを確認しておきましょう。
5. 振替伝票を作成するときの注意点
振替伝票を作成する際は次の点に注意しましょう。
- 一定期間の保管が必要
- 貸方と借方のズレ
5-1. 一定期間の保管が必要
振替伝票に限らず、経理関係の書類はすべて作成後一定期間の保管が必要となります。法人税法では、振替伝票をはじめ、請求書や納品書、契約書、領収書、貸借対照表や損益計算書などの書類に7年の保存義務を設けています。
また、会社法は売上帳や仕入帳、仕訳帳、総勘定元帳などの書類に対して10年の保存期間を規定しています。これらの要件に該当する書類は必ず10年間保存しておきましょう。
10年という長い期間にわたって紙の書類を保管するのは大変なものです。書類の保管スペースが足りなくなったり紛失が起きたりするリスクを防ぐために、書類の電子化を検討するのもいいかもしれません。
振替伝票をはじめとする伝票類は日々処理が必要となります。取引の多い企業では膨大な伝票を処理しなければならず、ミスが起きてしまうこともあります。
5-2. 貸方と借方がズレていないか確認
振替伝票を作成するときには貸方と借方の合計金額が一致しているかを確かめましょう。合計金額が異なる場合、その確認や修正に余計な時間がかかってしまうことになります。作業の効率化のためにも、丁寧に伝票を作成するよう心がけましょう。
6. 会計ソフトを導入して集計業務を効率化
伝票には現金の入出金について記載する入金伝票や出金伝票のほかに、現金以外の取引について起票する振替伝票があります。振替伝票を作成するときには仕訳の借方や貸方、勘定科目を正しく記入することが肝心です。
振替伝票を従来の紙媒体で作成している企業は少なくありません。しかし紙の振替伝票には、量が膨大になってしまい管理に手間がかかるというデメリットがあります。また、集計の際にミスが起こりやすいのも紙の振替伝票の問題点です。
集計作業の効率化を目指しているもしくは手書きでの作成をやめたいと考えているのであれば、手軽に活用できる会計ソフトを取り入れるのがおすすめです。
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