半休(半日休暇)とは?時間休との違いや導入方法を解説
更新日: 2025.3.27
公開日: 2024.12.24
OHSUGI
「半休(半日休暇)とは?」
「半休と時間休の違いは?」
上記の疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
半休とは、有給休暇を半日単位で取得できる制度です。この制度に関しては労働基準法の規定がないため、取得条件や方法、制度内容などは企業が自由に決めることができます。
休暇取得の一つの方法であり、導入することで従業員のライフワークバランス向上を図れるだけでなく、生産性やエンゲージメントの向上につながるので、企業にとってもメリットがある制度といえるでしょう。
ここでは、半休の概要や時間休との違い、半休を導入する際のポイントや注意点を解説していきます。
1. 半休(半日休暇)とは
半休とは、半日単位で休暇を取得することです。労働基準法に定められたものではなく、企業が自主的に取り入れている制度となります。
そのため、半休の具体的な取得方法や条件は企業ごとに異なることが特徴です。導入する場合は就業規則に明記したうえで、制度の内容や手続きを従業員に周知する必要があります。
半休は、社員が仕事と生活のバランスを取りやすくし、心身の負担を軽減するために役立つでしょう。
1-1. 半休における休憩の扱い
「休憩」は、労働基準法において明確に規定されています。
企業は、従業員の労働時間が6時間超えの場合は45分、8時間超えの場合は60分の休憩を与えなければなりません。
これは半休にも当てはまるので、例え半休を取得していても、労働時間が6時間超えであれば45分の休憩を与える必要があります。万が一与えない場合は、労働基準法違反となるので注意しましょう。
1-2. 半休における残業の扱い
「半休」は、半日だけ休むという状態なので、半日は出勤となります。出勤していると通常通りの扱いをしてしまいがちですが、「半休」であっても「休暇を取得している状態」なので、残業をさせないようにするというのが原則です。
とはいえ、業務上どうしても残業をしてもらわなければいけないこともあるかもしれません。そのような場合は、半休であっても労働時間が8時間を超えたら残業代を支払う必要があります。
労働基準法では、労働時間は8時間と規定されており、8時間を超える労働時間は「時間外労働」となります。そのため、半休を取っていても、労働時間が8時間を超えた場合は、割増賃金を支払わなければならないのです。
割増賃金は、労働基準法の規定で「通常の賃金×1.25倍」の割合で計算するので、適切に支払いましょう。
2. 半休と時間休の違い
半休と時間休の違いは、以下のとおりです。
半休 | ・自主的に導入できる制度
・半日単位で有給休暇を取得できる ・法的な上限がない |
時間休 | ・労働基準法に基づく制度
・導入するには労使協定を結ぶ必要がある |
半休と時間休は、どちらも休暇を1日単位以外で取得するための制度ですが、それぞれ異なる特徴があります。
時間休は2010年の法改正で設けられ、1時間単位で有給休暇を取れるようになりました。
ただし年間の上限があり、1日分の年次有給休暇が何時間にあたるかは、企業ごとの所定労働時間により設定されます。時間休の取得は柔軟な働き方を可能にしますが、上限は超えられません。
一方、半休は法的な上限がなく、企業の裁量で利用を許可していることが一般的です。半日単位で取ることができるので、数時間のまとまった休暇が必要な場合に適しています。
3. 半休を取る理由
「半休を取っても意味がないのでは」と思う担当者もいるかもしれませんが、従業員それぞれに半分だけでも休みを取りたい理由があります。
半休を取る理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- 旅行やリフレッシュ
- 葬式や法事
- 体調不良
ここでは、これらの理由について解説します。
3-1. 旅行やリフレッシュ
半休を取る理由としては、旅行やリフレッシュをするときが挙げられます。
例えば、午前中に仕事を終え、午後から旅先へ向かうことで、移動時間を効率的に確保可能です。従業員は、仕事の流れを大きく崩さず、ゆとりのあるスケジュールでリフレッシュできるでしょう。
また、旅行や帰省の際に、週末と半休を組み合わせると、より充実した時間を過ごせます。金曜の午後や月曜の午前に半休を取得すれば、週末に2泊の旅行が可能になります。
特に、月曜の午前中半休は、宿泊料金が高くなりやすい金曜や土曜を避け、日曜の宿泊を選べるので、旅行費用を抑えられるのもメリットといえるでしょう。
3-2. 葬式や法事
半休を取る理由には、家族や親しい人の葬式や法事に参列するときも挙げられます。
葬式や法事は、仕事を途中で離れる必要が出てくることもあるでしょう。特に葬式は事前に予定を組むのが難しいので、従業員からスムーズに業務が引き継げるよう、上司やチームメンバーはしっかりサポートする必要があります。
葬儀や法事というのは、大切な人との最後の別れをおこない、遺族や親族への支援や共感を示す重要な行事なので、企業側は従業員の気持ちを尊重し、柔軟に対応できるよう配慮しましょう。
半休を利用すると、全日の休暇を取らず必要な時間だけを確保し、年次有給休暇を効率的に活用できます。
3-3. 体調不良
半休を取る理由として、体調不良のときが挙げられます。
風邪や頭痛、腹痛、生理痛など「症状は軽いけど業務に集中しづらい」という状態はときは、半休を取得することで無理なく休めます。症状が悪化する前に対処すれば回復も早まるので、業務効率の維持にもつながるでしょう。
また、家族や子どもが急に体調を崩したときにも半休を取るケースがあります。家族が急病になった際でも、半休があれば周りに遠慮せず対応することができます。
家庭の事情に柔軟に対応できる半休制度が整っていることは、ワークライフバランスの面でも非常に役立ちます。
4. 半休の時間区分|午前と午後で時間が違うのは合法
半休の時間区分は厳密な規定がないため、企業が独自に設定可能です。
厚生労働省の「改正労働基準法に係る質疑応答」でも、半休の時間を労働時間の正確な半分にする必要はないと明言しています。したがって、午前と午後で休暇の時間が異なる設定でも問題ありません。
例えば、8時間勤務の場合、午前半休は9時から12時の3時間、午後半休は13時から18時の5時間となり、勤務時間に2時間の差が生まれます。
ただし、午前・午後で休暇時間に差が生じると、午前半休を取った社員が不公平さを感じる場合もあります。制度に対する社員の納得感を得るためにも、公平に扱う工夫が大切です。
具体的には、所定労働時間を半分に割るなどの対策をおこなうことが望ましいでしょう。
5. 半休を導入する方法
半休の導入方法は、以下の3ステップです。
- 半休のルールを決める
- 就業規則を改正する
- ルールを従業員に周知する
ここでは、それぞれのステップについて解説していきます。
5-1. 半休のルールを決める
半休は労働基準法で明確に定められていないため、企業ごとに細かなルールを定める必要があります。
まずは、半休を取得する際に「取得義務となる年5日の有給休暇」を適用するかどうか決めておきましょう。また、「実働6時間以上の従業員」など半休を取得できる対象となる従業員も明確にしておくことが大切です。
時間区分に関しては、業務やシフトの影響を考慮した上で設定しましょう。
5-2. 就業規則を改正する
半休を導入する際は、就業規則の改正が必要です。
従業員数が10名以上の企業は、改正した就業規則を届け出る義務があるため、以下の書類を用意しましょう。
- 就業規則
- 意見書
- 就業規則(変更)届出書
意見書は、従業員が過半数を占める労働組合からの意見や、従業員の過半数を代表する者の意見を聴取し、記載した証明書類です。
社内での手続きが完了次第、すみやかに書類を労働基準監督署へ提出し、正式な届出を済ませます。丁寧な合意形成と法的な手続きを踏むことで、半休制度の導入が円滑に進むでしょう。
5-3. ルールを従業員に周知する
新たに半休制度を導入する際には、全従業員にルールをわかりやすく周知することが重要です。
就業規則の改正手続きでは、従業員全員の意見を求める義務はありません。そのため、半休が設けられたことを知らない従業員もいる可能性があります。
「半休」の定義は会社ごとに異なるので、ルールを説明しないと、従業員ごとに認識が違ってしまいトラブルになるかもしれません。トラブルを防ぐためにも、制度の内容をわかりやすくまとめた説明資料などを作成し、社内メールや掲示板を通じて広く告知しましょう。
6. 半休を導入する際の注意点
半休を導入する際の注意点は、主に以下の3つです。
- 従業員に対して不利益な扱いは禁止されている
- 半休の取得方法を明文化する
- 半休と時間有給は別のものと考える
ここでは、これらの注意点について解説します。
6-1. 従業員に対して不利益な扱いは禁止されている
半休を導入する際、従業員に対して不利益な扱いをしない配慮が必要です。労働基準法でも、有給休暇の取得に関して、従業員が不利になる取り扱いを禁止しています。
半休を取得する場合も、「不利益な扱いをしない」という方針が適用されます。例えば、半休を取得した従業員に対して賃金を減額したり、そのほかの従業員との不公平な扱いをしたりすることは認められていません。
6-2. 半休の取得方法を明文化する
半休制度を導入するときは、就業規則や社内規定に取得方法を明文化することが不可欠です。
半休を取得する際の始業時刻や終業時刻をはっきりと定めましょう。また、どのような手続きで取得できるかを社員に理解してもらえるような説明が必要です。
就業規則や社内規定に記載が必要な内容は、下記を参考にしてください。
-
- 有給休暇使用の有無
- 取得できる社員の範囲
- 届出先
- 届出方法
- 届出期日
通常の有給休暇の取得方法と同様のプロセスを適用するのが一般的です。社員間で誤解を生まないよう、就業規則に規定を明記し、全員に周知徹底しましょう。
6-3. 半休と時間有給は別のものと考える
半休制度と時間単位の有給休暇は、法的には別の制度として考えましょう。
時間単位の有給休暇は、従業員が1時間単位で休暇を取得できる制度であり、労働基準法に基づいて導入されます。
一方、半休は半日だけ休暇を取得する制度で、適用方法や導入の手続きは時間休とは異なるため混同しないように注意してください。
7. 半休を導入して従業員のワークライフバランスを保とう
半休や時間休は、社員のワークライフバランスを支える重要な制度ですが、導入や運用には慎重な対応が求められます。
そのため、導入する場合は制度の目的を明確にし、就業規則をしっかり整備したうえで、社員への周知や意見を取り入れることが大切です。
また、半休と時間休が異なる制度であることを理解し、それぞれに合った取り扱いをしましょう。柔軟な働き方を実現するためには、社員一人ひとりのライフスタイルに合わせた制度を提供することが求められます。
半休制度を導入するときは、この記事で紹介したポイントを参考に、効果的な運用を目指しましょう。
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