忌引き休暇とは?制度設計から日数・給料・運用ポイントまで徹底解説
更新日: 2026.6.30 公開日: 2024.12.24 jinjer Blog 編集部

忌引き休暇は、家族に不幸があった従業員に与えられる特別休暇の一種です。法律で義務付けられた制度ではないため、対象となる親族の範囲や付与日数、休暇中の給料の有無(有給か無給か)といったルールは、各企業の就業規則によって大きく異なります。
本記事では、忌引き休暇の概要や年次有給休暇との違いといった基本事項をはじめ、就業規則へ規定する際のポイント、さらに申請・承認時に使えるメール文例まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。
目次
従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。
◆この資料でわかること
- 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
- 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
- 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
- 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点
多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 忌引き休暇とは


忌引き休暇とは、親族が亡くなった際に取得する休暇であり、「服喪休暇」「弔事休暇」などとよばれることもあります。また、多くの企業では「慶弔休暇」の一類型として規定されています。2020年に労働政策研究・研修機構が実施した調査によると、慶弔休暇の導入率は94.4%でした。
身内が亡くなった場合、遺族は精神的な負担を抱えるだけでなく、通夜・葬儀の準備や各種行政手続きなど、多くの対応をおこなう必要があります。忌引き休暇は、そのような従業員に配慮し、必要な時間を確保する目的で設けられる制度です。
参考:調査シリーズNo.211 年次有給休暇の取得に関するアンケート調査 (企業調査・労働者調査)|独立行政法人 労働政策研究・研修機構
1-1. 忌引き休暇と年次有給休暇との違い
9割以上の企業が導入していると言われる忌引き休暇制度ですが、他にも夏期休暇やリフレッシュ休暇など、さまざまな休暇制度があります。その中でも、法的に義務付けられている「年次有給休暇」との違いを見てみましょう。
| 忌引き休暇 | 年次有給休暇 | |
| 法的義務 | なし | あり(労働基準法) |
| 給与の有無 | 企業の規定によって決まる | 有給 |
| 取得事由 | 主に親族の死亡時 | 事由は問わない |
| 付与日数 | 故人の親等数で設定する | 勤続年数によって決まる |
| 申請について | 緊急性を踏まえ事後申請が認められる場合もある | 原則として事前申請 |
忌引き休暇は、多くの企業で親族の死亡時を対象としていますが、対象範囲や取得条件は企業ごとの就業規則によって異なります。また、婚約者や事実婚パートナーなど、規定上の対象外であっても、個別事情に応じて柔軟に対応されるケースもあります。
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得要件も紹介
2. 忌引き休暇の設計方法


忌引き休暇は法令上の義務ではないため、企業ごとに制度内容を自由に設計できます。ここでは、忌引き休暇制度を設計する際に検討すべき主なポイントについて解説します。
2-1. 対象となる従業員(パート・アルバイトも対象?)
忌引き休暇は任意で設ける福利厚生の一つのため、対象者は各企業が定められます。ただし、パートタイム・有期雇用労働法に基づく「同一労働同一賃金」の考え方では、福利厚生を含む待遇について不合理な待遇差を設けることは禁止されています。
そのため、業務内容や責任の程度が同じであるにもかかわらず、正社員だけに忌引き休暇を認め、パート・アルバイトや契約社員などの非正規雇用者には一切認めない場合、不合理な待遇差と判断される可能性があります。
一方で、所定労働日数や勤務実態の違いを踏まえて、取得可能日数などを調整することは、合理的な範囲であれば認められます。その場合でも、単に雇用形態だけを理由に差を設けるのではなく、制度の目的や実際の働き方に応じて、説明できる運用にすることが大切です。
関連記事:同一労働同一賃金での慶弔見舞金の扱いとは?考え方も解説
2-2. 親族の範囲と付与日数(祖父母も対象?いつから取得?)
忌引き休暇を取得できる親族の範囲や付与日数は、一般的に各企業の就業規則によって定められます。そのため、対象範囲を広く設けるか限定的にするかは、企業ごとの制度設計に委ねられています。
付与日数については、通常、故人との関係性が近いほど長く設定される傾向にあります。これは、葬儀の準備や各種手続きへの対応に加え、精神的負担の大きさなどを考慮したものです。一般的な続柄と付与日数の目安は、次のとおりです。
| 区分 | 続柄 | 付与日数の目安 |
| 配偶者 | 配偶者 | 7〜10日程度 |
| 1親等 | 父母、子※ | 3〜7日程度 |
| 2親等 | 祖父母、兄弟姉妹、孫 | 1〜3日程度 |
| 3親等 | 曾祖父母、おじ、おば、甥、姪など | 1日程度、または対象外 |
※企業によっては、姻族1親等である義父母も、血族の父母と同様の日数を設定するケースも見られます。
ただし、これらはあくまで一般的な例であり、実際の取り扱いは企業によって異なります。制度設計において特に注意すべきなのは、「親族」の範囲に対する認識の違いです。
例えば、企業側が「いとこ」を対象外としていても、従業員が対象に含まれると認識しているケースもあり得ます。そのため、婚姻関係や養子縁組を含め、対象となる親族の範囲を就業規則上で明確に定義しておくことが、トラブル防止や制度運用の透明性向上につながります。
2-3. 給与の取り扱い(無給?有給?)
忌引き休暇は、企業が任意に設ける特別休暇(法定外休暇)です。そのため、取得時の賃金支給の有無は、企業によって異なります。一般的には、福利厚生の一環として一定期間を有給扱いとするケースと、欠勤扱いとして無給とするケースがあります。
また、忌引き休暇制度が設けられている場合、労働基準法上の年次有給休暇とは別制度として取り扱われるので、忌引き休暇を取得しても通常は年次有給休暇の残日数は減少しません。一方で、忌引き休暇が無給である場合や制度自体が存在しない場合には、労働者本人の申請により年次有給休暇を利用して休暇を取得するケースもあります。
さらに、企業によっては福利厚生制度の一環として慶弔見舞金を支給することがあります。これらは、社会通念上相当と認められる範囲内で支給されるものであれば、原則として所得税の課税対象とはなりません。ただし、金額が過大である場合や実質的に給与とみなされる場合には、課税対象となる可能性があるので、税務上の取り扱いには注意が必要です。
関連記事:特別休暇とは?種類や日数の例、有給休暇との違い・取得した場合の給料を解説
2-4. 申請ルール(証明書は必要?)
忌引き休暇の取得については、事前申請を基本としつつ、当日や事後の申請にも対応できる運用とするのが一般的です。通常の休暇とは異なり、忌引きは突然発生するので、従業員の状況に配慮しながら柔軟に対応することが重要です。
また、申請手続きを円滑に進めるため、申請先(上司・人事労務担当者など)や申請方法(電話・メール・システムなど)をあらかじめ社内で統一しておくことが望ましいでしょう。あわせて、申請時に次のような内容を報告してもらうルールを定めておくと、確認や対応がスムーズになります。
- 故人の逝去日時
- 従業員と故人の続柄
- 希望する休暇開始日および取得日数
- 葬儀の日程・場所・形式
- 緊急連絡先
さらに、企業として弔電や供花を手配する場合は、申請受理後に速やかに対応を進めます。慶弔金制度を設けている場合には、従業員がスムーズに受け取れるよう、関連手続きも併せておこなうことが望まれます。
なお、忌引き休暇の取得にあたり、会葬礼状や死亡診断書の写しなどの提出を求める企業もあります。提出を必須とするか簡易確認にとどめるかは企業によって異なりますが、不正防止の観点から、何らかの確認書類を求めるケースが一般的です。
3. 忌引き休暇はいつから取得可能か


忌引き休暇をいつから取得できるかは、企業ごとの就業規則によって異なります。例えば、配偶者や父母・子が亡くなった場合には、喪主対応や葬儀準備が必要となるので、死亡当日または翌日から取得できるよう定めている企業も多くみられます。
一方、義祖父母や兄弟姉妹などの場合は、通夜・葬儀の日程に合わせて取得するなど、状況に応じて柔軟に運用されるケースもあります。また、遠方で葬儀がおこなわれる場合には、移動日を含めて取得を認める企業もあります。
忌引き休暇は突然必要となることが多いため、申請方法や取得開始日のルールをあらかじめ明確にしておくことが重要です。また、緊急時には電話やチャットでの事後連絡を認めるなど、従業員の個別事情を踏まえながら柔軟に対応できる体制を整えておくとよいでしょう。
3-1. 忌引き休暇が土日と重なったときはどうする?
忌引き休暇で土日(公休日)を挟んだ場合の対応は、就業規則であらかじめ定めておくことが望ましいです。
例えば、忌引き休暇中に土日が含まれる場合、「公休日は忌引き休暇の日数に算入しない」と規定していれば、従業員は公休日を除いた所定日数分の休暇を取得できます。一方で、「公休日を含めて連続日数として取り扱う」と定めている企業もあります。
このように具体的なルールを事前に整備しておくことで、従業員が円滑に休暇を取得できるだけでなく、運用上の混乱防止にもつながるでしょう。
関連記事:公休とは?意味や有給との違い・給料の扱いをパートアルバイトのケースまでわかりやすく解説
4. 忌引き休暇に関するメール例文


忌引き休暇の申請をメールで受け付ける場合は、企業側であらかじめ対応ルールや返信文例を整備しておくことが重要です。
例えば、従業員から「本日、祖母が亡くなったため、忌引き休暇を申請いたします。」といった簡潔な連絡があった場合、上司や人事労務担当者は「承知しました。必要な手続きについては、後ほどご案内いたします。」と返信するのが一般的です。
また、後日送付する案内メールには、休暇期間や対象親族、就業規則上の取得条件などを確認する内容を盛り込むことで、認識違いや手続き上のトラブル防止につながります。ここからは、申請者向け・承認者向けに分けて、具体的なメール文例を紹介します。
4-1. 従業員が忌引き休暇を申請するメール
従業員が忌引き休暇を申請する際のメール文例は次のとおりです。
件名:忌引き休暇取得申請のお願い
〇〇部 〇〇課
〇〇 〇〇様
お疲れ様です。〇〇です。
このたび、〇月〇日に祖父が亡くなりました。
つきましては、就業規則に基づき、忌引き休暇を申請いたしたくご連絡申し上げます。
取得希望期間は以下のとおりです。
・〇月〇日(〇)~〇月〇日(〇)
急なご連絡となり恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
必要な手続き等ございましたら、ご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
署名
ポイントは、逝去の事実と忌引き休暇を取得したい旨を、簡潔に伝えることです。詳細を長く説明する必要はありません。また、上司や人事担当者が業務調整しやすいよう、休暇の開始日と終了日を明記しておくことも大切です。
4-2. 上司が忌引き休暇を承認するメール
上司が忌引き休暇を承認する際のメール文例は次のとおりです。
件名:忌引き休暇申請の件(承認)
〇〇さん
お疲れ様です。〇〇です。
ご連絡いただきました忌引き休暇の申請について、内容を確認いたしました。
申請のとおり、〇月〇日~〇月〇日の期間で休暇取得を承認します。
業務についてはチーム内で調整しますので、まずはご家族の対応を優先してください。
復帰時期に変更がある場合は、改めてご連絡ください。
このたびは心よりお悔やみ申し上げます。
署名
返信時には、申請内容を確認した旨を明確に伝えることが重要です。あわせて、休暇期間をメール内で再度記載しておくことで、認識違いを防ぎやすくなります。
また、業務面への配慮や状況への理解を示す一言を添えると、従業員も安心して休暇を取得しやすくなるでしょう。
5. 忌引き休暇を導入・運用する際の注意点


忌引き休暇は従業員の心理的負担に配慮した重要な制度ですが、運用ルールが曖昧なままだと、現場対応のばらつきやトラブルにつながる可能性があります。導入時には制度設計と社内周知、運用フローの整理が欠かせません。
5-1. 就業規則にルールを明記して従業員に周知する
忌引き休暇を適切に運用するには、就業規則において対象となる親族の範囲や付与日数、有給・無給の区分、取得要件、申請方法などを明確に定めておくことが重要です。
また、制度を整備するだけでなく、社内イントラネットや説明資料などを活用して従業員へ十分に周知し、制度内容への理解を促進することも重要です。
5-2. 休暇中および復職時の対応を事前に整理する
忌引き休暇に備えて、あらかじめ業務の引き継ぎ体制を整備しておくことは、突発的な欠員による職場内の混乱を防ぐうえで重要です。また、休暇中の連絡の取り扱いや香典返しに関する対応方針を事前に共有しておくと、対応のばらつきを防ぎ、本人の心理的な負担の軽減にもつながります。
また、忌引きは個人的な事情に関わるので、本人の意向を尊重しつつ必要最低限の情報共有にとどめるなど、プライバシーへの配慮も欠かせません。加えて、復職後のフォロー体制を整えておくことも大切です。
休暇が数日から長期間に及ぶと、多くの場合、プロジェクトの進捗や取引先とのやり取りの状況は変化しているでしょう。本人がスムーズに業務へ復帰するには、復職初日に業務説明や引き継ぎ確認の時間を設けたり、上司や同僚が状況を共有したりといったフォローが欠かせません。
さらに、精神面への配慮も重要です。忌引きから復帰後の従業員は、心身ともに不安定な状態にあることが多いです。過度な負担をかけないようにし、必要に応じて面談を実施するなど、段階的に通常業務へ戻れる環境を整えることが望ましいでしょう。
5-3. 年次有給休暇との併用もあらかじめ検討しておく
忌引き休暇の日数を超える場合や、対象外の親族に関する場合には、年次有給休暇を組み合わせて運用するケースも想定されます。そのため、有給休暇への切り替えや併用を認める条件について、あらかじめ整理しておくことが大切です。
例えば、遠方で葬儀がおこなわれる場合には移動時間を要するので、忌引き休暇のみでは対応が難しいケースがあります。また、忌引き休暇の対象外となる親族等が亡くなった際に、従業員から社内期限後に年次有給休暇の取得を希望される可能性もあります。
さらに、「まず忌引き休暇を優先して取得するのか」「本人の希望に応じて選択可能とするのか」といった運用ルールを明確にしておくことで、現場での判断負担の軽減にもつながるでしょう。制度設計においては、柔軟性と公平性の両立を意識することが重要です。
関連記事:有給休暇の事前申請は義務化可能?有給申請は何日前まで?ルールも紹介
6. 忌引き休暇制度を適切に整備して従業員満足度をあげよう


忌引き休暇は、法律で義務付けられた制度ではありませんが、従業員の心身のケアや離職防止につながる重要な福利厚生です。制度を導入・運用する際は、対象親族の範囲や続柄に応じた付与日数、賃金の有無(有給・無給)などのルールを就業規則に明文化し、周知することが欠かせません。
また、突然の事態に備えて申請フローを整え、休暇中の業務フォローや復職後のケア体制を構築しておくことで、職場全体の負担軽減と従業員の安心感につながります。自社の実情に合わせた柔軟で透明性の高い制度設計をおこない、従業員が安心して働ける環境を整えましょう。



従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。
◆この資料でわかること
- 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
- 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
- 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
- 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点
多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
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