特別休暇とは?その種類や導入のポイント・注意点を解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2021.9.6
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企業が従業員に休暇を与えるときは、法律で定められた年次有給休暇のほかに、企業が独自に設けた特別休暇を与えることができます。特別休暇は福利厚生として企業価値を高めたり、従業員のワークライフバランスの実現を手助けしたりと、メリットの多い休暇です。
今回は、そんな特別休暇について紹介します。具体的な種類や導入のポイント、注意点をしっかりと押さえて、特別休暇を効果的に運用していきましょう。
1. 特別休暇とは?
有給休暇はよく耳にするかもしれませんが、特別休暇という言葉を聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。まずは、特別休暇の意味について見ていきましょう。
1-1. 特別休暇は福利厚生として与える休暇のこと
特別休暇とは、企業が自由に設定できる休暇のことです。福利厚生の一環として活用されており、付与する日数や休暇の内容については、各企業が独自に決定できます。
毎週与えられる法定休日や所定休日、有給休暇に加えて特別休暇を与えることで、以下のメリットが得られます。
- 従業員のワークライフバランスが向上する
- 従業員のモチベーションがアップして生産性が向上する
- 従業員からのエンゲージメントが向上して離職率が低下する
- 企業のアピールポイントとなって求人応募が増える
- 企業のイメージアップになる
このように、特別休暇は企業にとっても従業員にとってもメリットが豊富な休暇です。積極的に利用することで、企業の利益や社会的価値の向上が目指せるでしょう。
1-2. 特別休暇と有給休暇の違い
特別休暇と似たものに、有給休暇があります。有給休暇は、その名の通り給料が支払われる休暇のことです。
一般的に有給休暇と呼ばれているのは、労働基準法で付与することが定められた「年次有給休暇」です。労働基準法では、6か月以上かつ全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、勤続年数に応じた年次有給休暇を与えることを義務付けています*。
対して、特別休暇は付与することが義務付けられておらず、有給にするか無給にするかについても企業の判断で決められます。両者はまったく異なる休暇の種類であるため、しっかりと区別しておきましょう。
また、休暇と休日の違いが明確に答えられない場合も、法律違反をしてしまう可能性があるため、こちらも明確な区別が必要です。
*参考:e-Gov|労働基準法
関連記事:年次有給休暇とは?付与日数や取得義務化など法律をまとめて解説
2. 特別休暇の主な種類
特別休暇は企業が独自に設定できるため、各企業でさまざまなものが運用されています。ここでは、定番の特別休暇と少しユニークな特別休暇の一例を見ていきましょう。
◎定番の特別休暇
- 慶弔休暇
- 傷病休暇
- ボランティア休暇
- バースデー休暇
- アニバーサリー休暇
- リフレッシュ休暇
- 教育訓練休暇
- 介護休暇
◎ユニークな特別休暇
- 失恋休暇
- プロポーズ休暇
- 二日酔い休暇
- 山ごもり休暇
- 親孝行休暇
このように、特別休暇の内容は非常に多種多様です。福利厚生を充実させたいときは、ぜひ自社ならではの特別休暇を設定してみてください。
3. 特別休暇を新設するポイント
ここからは、特別休暇を新設するときのポイントを紹介します。効果的な特別休暇の導入を実現するためにも、しっかりとチェックしておきましょう。
3-1. 特別休暇の目的を検討する
まずは、新設する特別休暇の目的を検討しましょう。目的によって、最適な特別休暇は異なります。
たとえば従業員の長時間労働が問題になっている企業では、3日連続して取れるリフレッシュ休暇を1年に1回義務付けるといったアイデアが浮かぶかもしれません。
企業のPRをするためであれば、ほかの企業にはないユニークなアイデアを盛り込んだ特別休暇がおすすめです。話題になり、企業の注目度が一気に上げられるでしょう。
大切なのは、人事だけではなく現場社員の声を踏まえて今の課題を把握し、特別休暇を新設する目的について考えることです。広い視野を持つことを心がけましょう。
3-2. ルールを就業規則に規定して周知する
特別休暇の目的と具体的な内容が決定したら、就業規則に記載しましょう。ここで決めておきたいのは、以下の内容です。
- 特別休暇の目的
- 取得できる日数対象者
- 申請方法
- 取得期限
- 有給か無給か
ポイントは、前項で決めた目的に合ったルールにすることです。社員のリフレッシュを促進する休暇であるのに、申請方法が難しかったり取得期限が長かったりすれば、なかなか休暇の取得は促進できないでしょう。目的に合ったルールにすることを意識しましょう。
就業規則を変更したら、社員に周知して導入の準備を整えておきます。
関連記事:無給休暇とは?欠勤・有給休暇との違いや給料の有無を分かりやすく解説
3-3. 特別休暇に関する変更を届け出て運用開始する
就業規則を変更して特別休暇を設けた場合は、必ず管轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。ちなみに届出は、持参でも郵送でもできます。都合のいい方法を利用してください。
届出が完了したら、特別休暇の運用を開始しましょう。せっかく設けた特別休暇なのですから、従業員がしっかりと利用できるよう、企業や上司が休暇の取得を促進するように働きかけることが大切です。
4. 特別休暇を導入する際の注意点
最後に、特別休暇を導入する際の注意点について2つ見ていきます。特別休暇を「ただあるだけの制度」にしないためにも、しっかりと注意点を押さえておきましょう。
4-1. 形骸化させないように注意する
特別休暇は、社員のモチベーションアップや企業のPR、労働環境の課題解決などのために設けられることが多いかもしれません。こういった明確な目的をもって特別休暇を設置するのであれば、制度を形骸化させないことが非常に大切です。
そもそも今まで有給休暇が取りにくい環境であった企業の場合、特別休暇を導入しても取得率は低くなってしまうでしょう。また従業員が特別休暇を申請したとき、周囲の同僚や上司が気持ちよく休暇を取らせなければ、誰も特別休暇を申請しなくなるでしょう。「特別休暇を新設したものの、形だけの制度で誰も利用しない」といった課題を抱える企業は、決して珍しくありません。
こういった事態を防ぐために、単に特別休暇を設けるだけではなく、休みを取りやすい労働環境や勤務体制を整えることが非常に大切です。まずは、現場にいる社員にヒアリングすることで業務上の課題や問題点を改善することからはじめましょう。企業の自己満足にならないように特別休暇を運用していくことを意識してください。
4-2. 査定へ反映させないことが望ましい
特別休暇は企業が自由に定めて付与できる休暇です。そのため、休暇の取得を給与や賞与、人事査定などに反映させるかどうかも、企業の判断で決められます。
しかし、福利厚生であるという特別休暇の性質上、こういった査定への反映は避けておいたほうがいいでしょう。査定に影響することになれば、休暇の取得をためらう従業員が増えてしまい、休暇の本来の目的を果たせなくなってしまうためです。
休暇の取得をあらゆる査定や評価に影響させず、従業員が安心して制度を利用できる評価制度を整えることが重要です。
5. 特別休暇で社員のエンゲージメント向上を目指そう!
特別休暇は、企業が独自に設けられる休暇のことです。有給休暇のように取得させることは義務付けられていませんが、導入することで企業のイメージアップや社員のモチベーション向上などが目指せる、メリットが多い制度です。
ただし特別休暇の制度を導入しても、実際に取得できる環境が整っていなければ、形だけの制度になってしまいます。休みを取りやすい労働環境を整えるのはもちろんのこと、休暇があらゆる査定に影響を与えない評価制度にするなど、会社全体で特別休暇を取得しやすい環境に整備することが肝心です。特別休暇の検討を機に、ぜひ労働環境や評価制度も見直してみてください。
関連記事:休日と休暇の違いとは?休みの種類や勤怠管理のポイント
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