休日と休暇の違いとは?休みの種類や勤怠管理のポイント
更新日: 2023.11.30
公開日: 2021.9.6
OHSUGI

企業が労働者と雇用契約を締結するときは、労働の義務を課すとともに、休む権利も与えなくてはいけません。
労働者が休息を取れる日としては「休日」と「休暇」の2つがありますが、両者の違いについて理解している人はそう多くないでしょう。
この記事では、意外に知られていない休日と休暇の違いについて解説します。勤怠管理や賃金にも影響する内容なので、正しく理解しておきましょう。
1. 休日の定義と種類
休日というと、何となく週末をイメージする人が多いでしょう。しかし、その定義まで知っている人はなかなかいないかもしれません。
まずは、休日の定義と種類について説明します。
1-1. 休日は労働義務がない日のこと
休日とは、そもそも労働義務が課されていない日のことを指します。
労働基準法の32条と35条では、労働時間の限度を1日8時間、1週間で40時間と定め、週に1日以上または4週で4日以上の休日を与えることを義務付けています。ここで定められている休日が、労働者に権利として与えられた休日を指しているのです。
なお、休日をカレンダー通りの休みと考えている人もいますが、決してその限りではありません。いつが休日になるかは、就業規則によって変わってきます。
たとえば、水曜日定休の企業では水曜日が休日になることがありますし、独自に夏季休日などを定めていれば平日が休日になることもあります。
カレンダーでは赤日に設定されている祝日でも、就業規則に規定がない企業では休日とはいわないため注意が必要です。
求人情報に「年間休日120日」などと記載があるときは、このように労働の義務がない日が120日ということになるのです。
1-2. 休日の種類
一口に休日と言っても、じつは以下の2つの種類に分類することができます。
- 法定休日:法律で定められた休日
- 所定休日:会社が任意で設定する休日
週休1日の会社では法定休日のみを与えていることになり、週休2日の企業では法定休日を1日、所定休日を1日与えているということになります。原則休日には労働の義務がないため、会社は従業員に労働を強制することはできません。
ただし急用で進めなければならないプロジェクトがあった場合などに、休日出勤をさせるケースがあります。このように休日管理はイレギュラーが起きやすいため、基本となる休日・休暇の定義や種類を理解しておくことが重要になります。
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2. 休暇の定義と種類
休日と休暇は一見似ていますが、定義は全く異なります。しっかりと区別できるように、次は休暇の定義と種類について見ていきましょう。
2-1. 休暇とは労働義務が免除される日のこと
休暇とは、労働する義務が免除されている日のことです。
休日のように「この日はあらかじめ働く必要がない」と決められた日ではなく、本当は働く必要があるけれど、申請などをおこなうことでその義務を免れる日のことを指します。
たとえば、「本来は出勤予定の月曜日に有給休暇を使って休みにしてもらうケース」などが休暇にあたります。なお、夏季休暇や年末年始休暇が「休暇」にあたるか「休日」にあたるかは、企業によって異なるため注意が必要です。
もともと休みであると会社カレンダーに記載されている場合は休日、「8月1日~8月31日まで自由に3日休んで構わない」というような場合は休暇に分類されます。
少しややこしいですが、「もともと休みだったのか」「本来は働く必要がある日を休みにしたのか」というポイントで判断しましょう。
2-2. 休暇の種類
休暇も休日と同様、2つの種類に分類することが可能です。休暇の種類と具体例をまとめたので、参考にしてみてください。
なお労働基準法の39条によって、6か月以上かつ労働日の8割以上出勤している人に対しては、必ず年次有給休暇を与えることが定められています。年次有給休暇はその名の通り給料が発生する休暇ですが、このほかの休暇については無給でも有給でもかまいません。
そのため、それぞれの無給・有給の判断については企業に委ねられています。休暇を無給にすることはまったく問題ありませんが、あとからトラブルになることを防ぐためにも、あらかじめ就業規則に条件を記載しておくことが大切です。
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2-3. 休暇と休業の違い
休暇と似たものに、休業というものがあります。
休暇と休業は、労働基準法上で明確に区別されていません。どちらも、本来労働すべき日に仕事をせずに休むことを指します。
どこで違いを判断するのかというと、「休む期間」を基準にすることが一般的です。1日単位で取得するものが休暇で、数日単位で連続して休むことを休業と呼ぶことが多い傾向にあります。
また、休暇は労働者が休息をとってリフレッシュすることが目的であるのに対し、休業は「働きたくても働けないため休む」という意味合いを持つこともあります。そのため、長期に渡って働けない状態が継続する産前や産後の休暇には、「休業」という言葉を使うのです。
ぜひこの違いを意識して、今後は「休暇」と「休業」を使い分けてみてください。
3. 休日と休暇の勤怠管理をおこなうときのポイント
休日と休暇を正しく管理して勤怠管理をおこなうためには、2つのポイントを意識することが大切です。最後に、勤怠管理のポイントについて見ていきましょう。
3-1. 休日の割増賃金に注意
従業員が申請を出して企業が承認したうえで休みが取れる休暇とは異なり、休日には予期せぬ業務が発生する可能性があります。たとえば、会社の日曜日が休日であっても、お客さんの要望により日曜日に出勤する必要が出てくることは多々あるでしょう。
休日の出勤は可能ですが、そもそも労働する義務がない日に仕事をさせることになるため、企業は割増賃金を支払わなくてはいけません。
法定休日に従業員を働かせると35%以上の休日手当、所定休日に働かせて週の労働時間が40時間を越えると25%以上の割増賃金が必要になります。
割増賃金を考慮せずに従業員を出勤させてしまうと、労働基準法違反になってしまうため十分に注意しましょう。
また、休日出勤をさせる場合は、振替休日か代休のどちらかを取得させる必要があります。休日出勤の同一週に振替休日を取得させるのであれば休日手当は不要ですが、代休の場合は休日手当を一旦支払わなくてはいけません。振替休日と代休で対応が異なるため、合わせて注意しましょう。
3-2. 勤怠管理システムを利用する
企業には、法律または企業が独自に設定した休日や休暇、休日の労働についてしっかりと把握して管理することが求めらます。
勤怠や賃金に関わるこういった管理は非常に複雑で、ミスが許されません。そのため、紙やエクセルなど手作業によって管理するのではなく、勤怠管理システムを導入することがおすすめです。
勤怠管理システムを導入すれば、会社の休日を反映することによって休日出勤した従業員がひと目でわかるようになります。また、従業員ごとの年次有給休暇についても正確に把握することが可能です。
管理の手間が大幅に省ける上、休暇の管理や給与計算を間違えて信頼を落としてしまうことも防げるでしょう。休日や休暇の勤怠管理をより効率化して正確におこうためにも、ぜひ勤怠管理システムを活用してみてください。
4. 休日や休暇を取得させる重要性
従業員に休日や休暇を取得させることは、単に労働基準法によって定められたルールを遵守するためだけではありません。
従業員に長時間労働をさせつづけると、疲労が蓄積されていき、仕事の生産性が落ちてしまいます。さらに、ミスなども起こりやすくなり、場合によっては経営を揺るがす致命的なダメージになりかねません。
このような生産性の低下やミスを防ぐには、従業員に休日や休暇を取得させて、しっかりと心身ともにリフレッシュさせることが重要です。
また、休日や休暇を充実させることは、従業員のエンゲージメントを高めて離職を防ぎ、企業のイメージアップにも繋がっていきます。
休日や休暇の管理も重要なマネジメントの一部と捉え、上述で紹介した勤怠管理システムなどを活用しながら、従業員へ休日や休暇の取得を促していきましょう。
5. 休日と休暇の違いを理解して正しく勤怠管理しよう
休日と休暇は非常に似た言葉ですが、休日は「そもそも働く義務がない日」、休暇は「本来働く義務があったが、申請によって義務を免除された日」のことを意味しています。全く意味が異なるので、しっかりと区別しておきましょう。
休日と休暇の勤怠管理は複雑になりやすいため、勤怠管理システムを利用して自動化することがおすすめです。勤怠管理に課題を感じている企業は、ぜひ勤怠管理システムの導入を検討してみてください。
関連記事:法定休日と祝日の違いや割増賃金の計算法を詳しく解説
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
・打刻漏れの確認や労働時間の集計だけで数日かかってしまう
・有給休暇の残日数確認の問い合わせ対応が業務を圧迫している
・シフトの収集や作成に時間がかかって他の業務ができない
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。システムであれば打刻漏れを減らせるほか、労働時間は自動集計されるため、ミスと工数を減らすことが可能です。
このほかにも便利な機能で勤怠管理の工数削減ができるため、勤怠管理システムで何ができるか気になる方は、以下のボタンからクラウド型勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の紹介ページをご覧ください。
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