休日出勤のルールは?割増賃金が必要な場合や計算方法を解説
更新日: 2025.6.23
公開日: 2025.6.23
jinjer Blog 編集部
「休日出勤をお願いしたいけれど法律違反かどうか心配」
「休日出勤した場合の給与をどうしたらいいかわからない」
上記のお悩みのある経営者の方もいるのではないでしょうか。
休日出勤とは一般的に法定休日に出勤することです。法定休日や所定休日の区別、36協定の締結といった様々なルールが関わってきます。対応を誤ると従業員とのトラブルに発展するかもしれません。
本記事では、休日出勤の定義やルール、割増賃金が必要なケースなどを詳しく解説します。割増賃金の計算方法も解説するので、休日出勤させる場合の決まりを知りたい方は参考にしてください。
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目次
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
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1. 休日出勤の定義
休日出勤とは、法定休日に従業員を出勤させることです。
休日は法定休日と法定外休日(所定休日)の2種類があります。
法定休日は労働基準法で付与が義務づけられている休日のことで、原則1週間に1日付与しなければいけません。法定休日の出勤は休日出勤に該当します。
一方、法定外休日は法定休日には該当しない休日で、会社が就業規則などで定めている休日のことです。法定外休日は法律上の休日ではないため、出勤しても休日出勤になりません。
例えば、週2日の休日があり、土曜日を法定休日、日曜日を法定外休日としている会社の場合なら、土曜日の出勤は法定休日の出勤のため休日出勤です。しかし、日曜日の出勤は法定外休日の出勤のため、通常の出勤扱いになります。
2. 従業員を休日出勤させる場合のルール
従業員を休日出勤させる場合のルールは以下のとおりです。
- 36協定を締結する
- 36協定の範囲内である
- 労働契約や就業規則に休日出勤を明記する
2-1. 36協定を締結する
従業員を休日出勤させるには、36協定(さぶろく協定)を締結する必要があります。
36協定とは労働者と使用者(事業主)との間で交わす労使協定の一つです。正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。
従業員の過半数が加入している労働組合、または従業員の過半数代表者と36協定を締結していない場合、休日出勤は命令できません。
協定を結ぶための届出書は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
参考:時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)|厚生労働省
2-2. 36協定の範囲内である
従業員を休日出勤させられるのは、36協定の範囲内のみです。
36協定では主に以下のルールなどが定められています。
- 時間外労働をおこなう業務の種類
- 時間外労働の上限時間
- 休日出勤の上限日数
- 1日・1ヵ月・1年あたりの休日出勤の上限日数
36協定で決めた上限を超える休日出勤は違法となり、命令できません。例えば、36協定で休日出勤の上限を1ヵ月あたり2日までとしている場合、1ヵ月で3日以上の休日出勤は不可です。
2-3. 労働契約や就業規則に休日出勤を明記する
従業員を休日出勤させる場合、労働契約や就業規則に休日出勤があることを明記している必要があります。
休日出勤を命令できる根拠となる労働契約や就業規則がない場合、休日出勤は命令できません。
休日出勤の有無や命令可能性については、契約書や就業規則に明確に定めておくことが重要です。
3. 休日出勤させた場合の賃金の計算方法
休日出勤させた場合の賃金は以下の計算式で求められます。
(月給÷1ヵ月あたりの平均労働時間)×割増率×休日労働時間
まず月給÷1ヵ月あたりの平均労働時間で1時間あたりの賃金を求め、割増率と労働時間をかけます。
休日出勤の割増率は最低35%です。
例えば月給30万円、1ヵ月あたりの平均労働時間が160時間の従業員に8時間の休日出勤をさせた場合、以下のように賃金を計算できます。
(30万÷160)×1.35×8=20,250円
割増率の詳細は厚生労働省のホームページを参考にしてください。
4. 休日出勤として割増賃金が必要なケース
休日出勤として割増賃金が必要なケースは以下です。
- 法定休日出勤の場合
- 代休をとる場合
4-1. 法定休日出勤の場合
法定休日に出勤させた場合、休日出勤として割増賃金を払いましょう。
法定休日は原則週に1日付与する休日です。法定休日の曜日は企業が自由に定められます。
例えば水曜日を法定休日と定めている場合、水曜日に出勤させると休日出勤として割増賃金が必要です。
4-2. 代休をとる場合
休日出勤をして代休をとる場合も割増賃金を払いましょう。
代休とは法定休日に出勤したあとに代わりに取得できる休日です。代休は休日出勤の事実があったあとに支払われるもので、従業員が法定休日に労働した事実は変わりません。
したがって、代休をとる場合にも割増賃金が必要です。
5. 休日出勤で割増賃金が不要なケース
休日出勤で割増賃金が不要なケースは以下です。
- 法定外休日出勤の場合
- 振替休日がある場合
- 管理監督者の場合
5-1. 法定外休日出勤の場合
法定外休日に出勤させた場合、割増賃金の支払い義務はありません。
法定外休日は法律で決められた休日ではなく、企業が任意で付与する休日です。法律で定められた法定休日とは違い、法定外休日の出勤は割増賃金ではなく通常通りの賃金を払います。
5-2 振替休日がある場合
振替休日がある場合、休日出勤をさせても割増賃金は必要ありません。
振替休日とは、休日と平日の勤務日を入れ替える制度です。振替休日の手続きをすることで休日ではなく労働日となるため、休日出勤にはなりません。
ただし、振替休日はあらかじめ手続きが必要です。すでに休日出勤したあとに代わりの休日を設定する場合は代休となり、割増賃金が発生します。
5-3. 管理監督者の場合
管理監督者の場合、労働基準法で定められた労働時間や休日が適用されないため、割増賃金は必要ありません。
管理監督者とは、企業経営に近い判断や裁量を持つ、特別な立場の労働者のことです。管理監督者は単なる管理職ではなく、特殊な立場であるため、何をもって管理監督者とするかは慎重に検討する必要があります。
一般的には、業務内容や権限が経営者とほぼ同等で、立場にふさわしい賃金を受けていることが条件です。管理監督者の定義は企業によってあいまいのため、社内で条件をよく検討したうえで管理監督者の該当者を判断しましょう。
6. 休日出勤に関する注意点
休日出勤に関する注意点は以下のとおりです。
- 土日や祝日は関係ない
- 勤怠を正確に把握する
- 従業員に過度な負担を強いない
6-1. 土日や祝日は関係ない
休日出勤であるかどうかの判断に土日や祝日は関係ありません。
休日出勤に該当するのは法定休日の出勤です。
例えば水曜日を法定休日、日曜日を法定外休日としている週休2日の会社の場合、土曜日や日曜日の出勤は休日出勤ではありません。祝日も法定休日ではないため、通常の出勤として賃金を計算します。
とくに給与計算において混乱しやすいため、給与を担当する経理や人事の担当者に法定休日と法定外休日の違いをしっかり把握させましょう。
6-2 勤怠を正確に把握する
正確な勤怠記録は、休日出勤時の割増賃金を適切に支払ううえで不可欠です。
法定休日に出勤させた場合、35%の割増率を加えた賃金が必要です。したがって、だれがいつ出勤したのか正確に把握して賃金を計算する必要があります。
勤怠システムを導入するなどして適切な勤怠管理をおこない、ミスなく給与計算ができるようにしましょう。
6-3. 従業員に過度な負担を強いない
休日出勤をさせる際は、従業員に過度な負担を強いないよう注意しましょう。
36協定の内容に沿っていれば休日出勤を命令できますが、高頻度の休日出勤は従業員の心身に大きなストレスを与えるおそれがあります。
ストレスによるミスの増加や離職などを防ぐため、従業員の負担を考えて慎重に休日出勤を命令しましょう。
7. 休日出勤のルールを理解してトラブルを防ごう
休日出勤とは法定休日に従業員を出勤させることをいいます。一般的に「休日」には法定休日と法定外休日があるため、2つの違いを正確に把握することが大切です。
休日出勤は36協定を締結し、労働者が合意したルールの範囲内で実施しましょう。
なお法律に則っていても従業員の心身の負担となることがあるため、本当に必要な場合に休日出勤させるようにしてください。
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