住民税は産休・育休中でも支払う必要はある?納付方法や納付書がいつ届くのかを解説
更新日: 2025.6.11
公開日: 2025.6.1
jinjer Blog 編集部
「住民税は産休・育休中でも支払う必要はある?」
「住民税の納付書はいつ届くの?」
上記のような悩みを抱えている方も多いでしょう。
住民税は産休・育休中でも支払う必要があります。前年の所得に対して課税されるからです。支払いを怠ると延滞金が発生したり差し押さえにつながったりする可能性があるため、適切に対応しなくてはなりません。
本記事では、産休・育休中の住民税の納付方法や納付書が届くタイミングを解説します。育休終了後に企業が実施すべき税金の手続きも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 住民税は産休・育休中も支払う必要がある
産休や育中でも、住民税の支払い義務はなくなりません。住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得に対して課税される税金です。
産休や育休を取得する前の年に働いていて一定以上の所得があった場合は、住民税を支払う必要があります。収入がない期間の支出となるため、事前に資金を準備しておくことが大切です。
なお、産休や育休中に給与の支払いがない場合は、所得税の源泉徴収はされません。
2. 産休・育休中の住民税の納付方法
産休・育休中の住民税の納付方法は、以下の2つに分かれます。
- 普通徴収に切り替え従業員が自分で払う
- 特別徴収を継続もしくは一括徴収する
それぞれの方法を詳しく解説します。
2-1. 普通徴収に切り替え従業員が自分で払う
一般的に6月から12月の間に産休・育休を開始する場合は、普通徴収に切り替えて従業員が自分で支払います。
給与から天引きする特別徴収から普通徴収に切り替える際には、従業員の居住する市区町村に企業が「給与所得者異動届出書」を提出しなくてはなりません。
書類提出後、自治体から従業員あてに住民税の納付書が届きます。普通徴収の支払い時期は以下のとおりです。
- 6月
- 8月
- 10月
- 翌年1月
普通徴収は年4回に分かれていますが、特別徴収から切り替わるタイミングによって回数が変わります。
例えば、産休・育休により9月から普通徴収に変更される場合、6月と8月の納期はすでに過ぎているため、10月と翌年1月の年2回で支払わなくてはなりません。時期によっては1回分の支払額が大きくなることを周知しておくとよいでしょう。
2-2. 特別徴収で一括徴収する
特別徴収で一括徴収する場合もあります。産休・育休前の最後の給料から残りの住民税全額を天引きする方法です。
特別徴収は6月から翌年5月までの12回に分かれているため、最後の給料日が1月になる場合は2月から5月までの4ヵ月分を給与から差し引きます。
従業員が1月から5月の間に産休・育休を開始する場合は、特別徴収の一括徴収が原則です。企業で従業員の住民税を管理し、納付しましょう。
また、6月から12月の間でも一括徴収ができます。本人からの希望があれば、一括徴収をおこなうとよいでしょう。
3. 産休・育休中の住民税の納付書はいつ届く?
産休・育休中の住民税の納付書は、特別徴収から普通徴収の切り替え手続きが終わった後に届きます。ただし、企業で一括徴収をした場合やそもそも住民税がかかっていない場合は納付書が届きません。
産休・育休を開始した年に年間の給与収入が一定以上あると翌年度分の住民税がかかるため注意しましょう。翌年度の住民税の納付書は6月に送られてきます。
産休・育休を開始する際に住民税を一括徴収する場合でも、翌年分の住民税の納付書が後から届く可能性があることを伝えておくと、従業員が混乱せずに済むでしょう。
4. 産休・育休中の住民税が高すぎると感じる理由
産休・育休中の住民税が高すぎると感じる理由として、前年の所得に対して住民税が課税されていることが挙げられます。
収入が比較的多かった前年の所得に対して税金が課せられているため、現在の収入状況との間にギャップが生じ、負担が重く感じられるのです。
産休・育休に入り、給与収入がゼロの状態でも前年に所得があれば住民税を支払う義務があります。支払わずに放置すると、延滞金が発生し、最悪の場合は財産の差し押さえにつながる場合があるため注意しなくてはなりません。
住民税の支払いが困難な従業員には、居住している自治体に相談するよう伝えましょう。状況によっては、支払いの延納や分割を受けられる可能性があります。
5. 産休・育休中の給付金は課税される?
産休・育休中に支給される以下の給付金は課税されません。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
出産育児一時金と出産手当金は雇用保険法にもとづき支給される給付金です。法律で課税対象にならないことが定められています。
育休業給付金は雇用保険法にもとづき支給される給付金です。失業等給付に該当し、課税対象になりません。いずれも法律で課税されないことが定められているため、所得税が源泉徴収されずに支給されます。
また、確定申告や年末調整の際に所得として記載は不要です。所得に含まれないため、給付金に対して住民税もかかりません。
一般的に産休・育休中は給与が支給されず、受け取る給付金は所得に見なされないことから翌年度の住民税は少なくなる傾向にあります。
6. 産休・育休中の社会保険料
産休・育休中も社会保険の加入は継続しますが、社会保険料(健康保険、厚生年金保険料)の支払い免除が受けられます。免除を受けるには、書類の提出が必要です。
企業が日本年金機構(事務センターもしくは年金事務所)に申出書を提出することで、企業負担分と従業員負担分の両方が免除されます。従業員が手続きをおこなう必要はありません。
保険料の免除期間は、保険料を納めた期間として扱われます。従業員が将来受け取る年金額に影響はありません。
雇用保険料に免除制度はありませんが、産休・育休中で給与の支払いがない間は支払う必要がなくなります。
7. 育休終了後に企業が実施すべき税金の手続き
育休終了後に企業が実施する必要のある手続きは、以下の2つです。
- 住民税の手続き
- 社会保険料の手続き
それぞれの手続きについて詳しく説明していきます。
7-1. 住民税の手続き
復帰する従業員の住民税が普通徴収の場合は、徴収方法を切り替える手続きが必要になります。従業員の居住する市区町村に、特別徴収への切替申請書を提出しましょう。
手続きが遅れると、従業員は復職後も引き続き自分で納付書を使って納めなければなりません。手間がかかるだけでなく、会社からの天引きと二重払いになるリスクも生じます。手続きは速やかにおこないましょう。
なお、所得税に関しては復職後の給与支払額に応じて源泉徴収を再開すればよいため、特別な手続きは必要ありません。年間の所得税額は年末調整で精算されます。
7-2. 社会保険料の手続き
従業員が当初の予定より早く育休を終了した場合は、企業で社会保険料の手続きをしなくてはなりません。日本年金機構に「育児休業等取得者申出書・終了届」の提出が必要です。
また、復帰後に給与が下がる場合は、「育児休業等取得者申出書・終了届」を提出すると保険料が見直されます。従業員の負担を減らせるため、時短勤務などで給与の減少が見込まれる際には提出するとよいでしょう。
8. 産休・育休中の住民税の取り扱いを従業員に周知しよう
産休・育休中でも前年に一定の所得がある場合は住民税の納税が必要です。従業員が自身で支払う普通徴収と給与から天引きする特別徴収の一括徴収が選べるため、希望に合わせて対応しましょう。
産休・育休を開始するタイミングによっては住民税が高く感じたり1回分の納付金額が大きくなったりします。住民税が給与から一括徴収された後すぐに次年度の住民税が届くこともあるため、従業員が混乱しないよう周知しましょう。
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