給与計算の端数処理で気をつけるべき3つのポイント - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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給与計算の端数処理で気をつけるべき3つのポイント

給与計算ではしばしば端数が生じますが、その処理方法には明確なルールがあります。適当に処理すると法令違反となり、処分の対象になってしまう可能性がありますので注意しましょう。

今回は、給与計算の端数処理で注意したいポイントや、正しい処理の方法をまとめました。

【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算とは?計算方法や業務上のリスク、効率化について徹底解説

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1. 給与計算の端数は原則「切り捨てNG」

給与計算で端数が生じた場合に留意しておきたいのは、原則として「切り捨てはNG」ということです。

労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているため、たとえ端数であっても、勝手に切り捨てて計算するのは法令に違反する行為とみなされます。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

1-1. 例1:労働時間が数分はみ出した場合

たとえば、定時が9時~18時の人が、19時23分まで残業した場合、定時を超えた1時間23分は時間外労働とみなされます。

時間外手当は「1時間あたりの賃金」をベースに計算しますので、23分は端数となりますが、「23分を切り捨てて1時間として計算する」または「3分を切り捨てて1時間20分として計算する」のは法律違反になります。

この例において、法律に違反することなく時間外手当を計算するには、「1時間23分で計算する」または「切り上げて1時間30分で計算する」のどちらかの方法を選択する必要があります。

後者を選択した場合、厳密には賃金の過払いとなりますが、従業員にとって有利な処理であれば、法には抵触しません。

1-2. 例2:計算した残業代に1円未満の金額が発生した場合

1時間23分で計算する場合、1時間あたりの賃金を乗じて時間外手当を算出しますが、時給が950円の場合、1.38333…時間×950円=1,314.1666…円となり、1円未満の端数が生じます。この1円未満の小数を「円位未満」と呼びます。

1円未満の通貨が流通していない現代では、円位未満の金額は数字に関係なく切り捨てるか、あるいは四捨五入するのが一般的です。しかし、労働基準法第24条により、時間だけでなく金銭面でも無条件に端数の切り捨てをおこなうと法律違反となる可能性があります。

上記の例でいうと、端数を切り捨てると法違反とされてしまう場合があります。この場合、適法となるのは「小数点第一位を繰り上げるか、50銭未満の端数切り捨て、それ以上を1円に切り上げる」となります。

また、例として残業時間の計算を取り上げましたが、日割り計算した際に出た円位未満の端数も同様です。ケースとしては、月給制の企業において月の半ばに入社した中途社員への給与などが上げられます。

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1-3. 例外:遅刻時間や早退時間の端数処理に注意

法定外労働時間や割増賃金の端数を切り上げることについては、労働者の不利とはならないため、法律上問題はありません。ただし、遅刻時間や早退時間の端数切り上げに関しては、労働者にとって不利な変更となり、違法とみなされるため注意が必要です。

例えば、5分遅刻してきた従業員の遅刻時間を30分に切り上げて賃金カットするようなケースが該当します。この場合は、遅刻時間どおりの5分でカウントしなくてはいけません。

切り上げ処理をおこなう際は、「労働者にとって不利益にならないか」という点に留意して、判断すると良いでしょう。

2. 給与計算の端数処理の3つのポイント

給与計算では、端数を切り捨て処理するのは違法と説明しましたが、労働者の不利になるものではなく、かつ事務簡便を目的としたものと認められる方法であれば、端数を切り捨て処理しても違法にあたらないとされています。

以下では、労働基準法上認められている端数処理の方法を3つのケースに分けてご紹介します。

参照:「Q10 残業手当の端数処理は、どのようにしたらよいですか。」|厚生労働省 鹿児島労働局

2-1. 割増賃金の計算時の端数処理方法

残業手当や深夜労働手当などの割増賃金を計算する際、以下2つのうちいずれかの条件に当てはまる場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げることができます。

  • 1時間あたりの賃金額および割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合
  • 1ヵ月間における割増賃金の合計額に1円未満の端数が生じた場合

2-2. 1ヵ月の賃金計算時の端数処理方法

1ヵ月分の賃金(差引支給額)の計算時に端数が生じた場合、端数の金額に応じて以下2つの方法により処理することができます。

  • 1ヵ月の賃金額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げる
  • 1ヵ月の賃金額に1,000円未満の端数が生じた場合、端数分を翌月の賃金支払日に繰り越す

ただし、上記2つの端数処理をおこなうには、その旨を就業規則に定めておく必要があります。

2-3. 労働時間計算時の端数処理方法

1ヵ月分の残業や深夜労働、休日労働などの時間外労働を計算する際、労働時間に1時間未満の端数が生じた場合は、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げて計算します。

ここでポイントとなるのは、「1ヵ月分」の時間外労働の合計時間に1時間未満の端数が生じた場合のみ、30分未満の切り捨てが認められるということです。

前述の通り、1日に1時間23分の残業をおこなった場合、端数の23分を切り捨てて1時間とすることは法律で禁じられています。

よって、1日単位で労働時間を計算する際は1分単位で計算し、月の労働時間を集計した際は30分未満の切り捨てが可能になりますので、注意しましょう。

3. 給与計算で出た端数は法律に則って適切に処理しよう

給与計算で出た端数は、原則として切り捨てることはできませんが、一部例外として切り捨てが許可されている方法もあります。

適切な方法で端数を処理しないと、労働基準法違反になってしまう可能性がありますので、正しい端数処理方法をしっかり覚えておきましょう。

端数処理のミスが不安な場合は、自動で端数処理をしてくれる給与計算システムの導入がおすすめです。

【給与計算の方法を知りたい方はコチラ▶給与計算はこれで解決!給与計算の方法や流れなど分かりやすく解説

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