給与計算の端数処理で気をつけるべきポイントを徹底解説! - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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給与計算の端数処理で気をつけるべきポイントを徹底解説!

計算する男性

給与計算ではしばしば端数が生じますが、その処理方法には明確なルールがあります。適当に処理すると法令違反となり、処分の対象になってしまう可能性があるので注意しましょう。

今回は、給与計算の端数処理で注意したいポイントや、正しい処理の方法をまとめました。

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1. 給与計算の端数は原則「切り捨てNG」

バツマークを持った男性

給与計算で端数が生じた場合に留意しておきたいのは、原則として「切り捨てはNG」ということです。

労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているため、たとえ端数であっても、勝手に切り捨てて計算するのは法令に違反する行為とみなされます。

参考:労働基準法第24条|e-Gov法令検索

1-1. 例1:労働時間が数分はみ出した場合

例えば、定時が9時~18時の人が、19時23分まで残業した場合、定時を超えた1時間23分は時間外労働とみなされます。

時間外手当は「1時間あたりの賃金」をベースに計算するため、23分は端数となりますが、「23分を切り捨てて1時間として計算する」または「3分を切り捨てて1時間20分として計算する」のは法律違反です。労働時間(残業時間を含む)は原則として1分単位で計算しなければなりません。

この例において、法律に違反することなく時間外手当を計算するには、「1時間23分で計算する」または「切り上げて1時間30分で計算する」のどちらかの方法を選択する必要があります。

後者を選択した場合、厳密には賃金の過払いとなりますが、従業員にとって有利な処理であれば、法には抵触しません。

関連記事:労働時間を1分単位で計算する原則はいつから?労働時間の把握の義務化を解説

1-2. 例2:計算した残業代に1円未満の金額が発生した場合

1時間23分で計算する場合、1時間あたりの賃金を乗じて時間外手当を算出しますが、時給が950円の場合、1.38333…時間 × 950円 = 1,314.1666…円となり、1円未満の端数が生じます。

1円未満の通貨が流通していない現代では、円位未満の金額は数字に関係なく切り捨てるか、あるいは四捨五入するのが一般的です。しかし、労働基準法第24条により、時間だけでなく賃金でも無条件に端数の切り捨てをおこなうと法律違反となる可能性があります。

そのため、上記の例でも端数を切り捨てると違法とされる可能性が高いでしょう。この場合、適法となるのは「小数点第一位を繰り上げる」か、「50銭未満の端数切り捨て、それ以上を1円に切り上げる」となります。

また、例として残業時間の計算を取り上げましたが、日割り計算した際に出た円位未満の端数も同様です。ケースとしては、月給制の企業において月の半ばに入社した中途社員への給与などが挙げられます。

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1-3. 例外:遅刻時間や早退時間の端数処理に注意

法定外労働時間や割増賃金の端数を切り上げることについては、労働者の不利とはならないので、法律上問題はありません。ただし、遅刻時間や早退時間の端数切り上げに関しては、労働者にとって不利な変更となり、違法となる可能性があるため注意が必要です。

例えば、5分遅刻してきた従業員の遅刻時間を30分に切り上げて賃金カットするようなケースが該当します。この場合は、遅刻時間どおりの5分でカウントしなくてはいけません。

切り上げ処理をおこなう際は、「労働者にとって不利益にならないか」という点に注目して、判断すると良いでしょう。

2. 給与計算の端数処理のポイント

ポイント

給与計算では、端数を切り捨て処理するのは違法と説明しましたが、常に労働者の不利になるものではなく、かつ事務簡便を目的としたものと認められる方法であれば、端数を切り捨て処理しても違法にあたらないとされています。

この章では、労働基準法で認められている端数処理の方法をケースごとに分けて紹介します。

参考:「Q10 残業手当の端数処理は、どのようにしたらよいですか。」|厚生労働省 鹿児島労働局

2-1. 割増賃金の計算時の端数処理方法

残業手当や深夜手当などの割増賃金を計算する際、次の2つのうちいずれかの条件に当てはまる場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げることができます。

  • 1時間あたりの賃金額および割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合
  • 1ヵ月間における割増賃金の合計額に1円未満の端数が生じた場合

例えば、1時間あたりの賃金を計算した結果、1,633.3333…円と計算された場合、50銭未満の端数を切り捨て1,633円と計算が可能です。

また、1ヵ月の残業手当が6,666.6666…円と計算される場合、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げ6,667円と計算できます。

なお、1ヵ月間の割増賃金の合計額に対する端数処理は、残業手当・深夜手当・休日手当それぞれの合計額に対して適用する点に留意が必要です。

参考:しっかりマスター 割増賃金編|厚生労働省

関連記事:割増賃金の基礎となる賃金とは?計算方法など労働基準法の規定から基本を解説

2-2. 1ヵ月の賃金計算時の端数処理方法

1ヵ月分の賃金(差引支給額)の計算時に端数が生じた場合、端数の金額に応じて以下2つの方法により処理することができます。

  • 1ヵ月の賃金額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げる
  • 1ヵ月の賃金額に1,000円未満の端数が生じた場合、端数分を翌月の賃金支払日に繰り越す

例えば、賃金総額が42万4,530円の場合、50円未満の端数を切り捨てて42万4,500円とすることが可能です。また、42万4,000円と処理し、残りの1,000円未満の端数「530円」を翌月に繰り越して支給することもできます。

ただし、これら2つの端数処理をおこなうには、その旨を就業規則に定めて従業員に周知しておく必要があります。

2-3. 労働時間計算時の端数処理方法

1ヵ月分の残業や深夜労働、休日労働などの時間外労働を計算する際、労働時間に1時間未満の端数が生じた場合は、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げて計算します。

ここでポイントとなるのは、「1ヵ月分」の時間外労働の合計時間に1時間未満の端数が生じた場合のみ、30分未満の切り捨てが認められるということです。

前述の通り、1日に1時間23分の残業をおこなった場合、端数の23分を切り捨てて1時間とすることは法律で禁じられています。

よって、1日単位で労働時間を計算する際は1分単位で計算し、月の労働時間を集計した際は30分未満の切り捨てが可能になるので、この2つを混同しないように注意しましょう。

関連記事:タイムカードの計算で15分や30分の切り捨ては違法!正しい勤怠管理の方法を解説

2-4. 減給の制裁をする場合の端数処理方法

通常の勤務において20分の遅刻があった場合でも、15分単位や30分単位で端数処理をして賃金を計算することは認められません。しかし、就業規則に基づき懲戒処分として減給をおこなう場合、遅刻時間を端数処理して賃金計算に反映することが認められる可能性があります。ただし、減給額は以下の上限を超えてはなりません(労働基準法第91条)。

  • 1日あたりの平均賃金の半額
  • 1回の賃金支払期間における賃金総額の10分の1

減給を適用する際は、就業規則で事前に明確に定めておくことが必須であり、合理的な範囲内でおこなう必要があります。また、過度な減給は、懲戒権の濫用や違法な賃金減額とみなされるリスクもあるので注意が必要です。

参考:労働基準法第91条|e-Gov法令検索
参考:賃⾦計算の端数の取扱い|厚生労働省

関連記事:労働基準法第91条に規定された「減給の限度額」とは?法律上の意味や計算方法

2-5. 時間単位の有給休暇を計算する際の端数処理方法

労使協定を締結すれば、年に5日を上限として、年次有給休暇を時間単位で付与できます。例えば、1日の所定労働時間が8時間であれば、最大40時間(8時間 × 5日)の時間単位の有給が付与可能です。

一方、1日の所定労働時間が7時間45分の場合、単純計算では最大38時間45分となります。しかし、15分単位や30分単位での分単位付与は認められていないため、端数は時間単位に切り上げる必要があります。具体的には、7時間45分を1時間に切り上げて計算し、最大40時間の時間単位休暇として扱います。

なお、1日の所定労働時間が日によって異なる場合は、1年間の平均所定労働時間を基に時間単位休暇を計算します。

参考:労働基準法第39条|e-Gov法令検索
参考:3.年次有給休暇の時間単位付与|厚生労働省

関連記事:時間単位の有給休暇とは?制度内容や導入方法を解説

3. 給与計算の端数処理方法を変更する場合の対応方法

契約とパートナーシップの概念

給与の計算方法や支払方法は、労働基準法第89条に基づき、あらかじめ就業規則(賃金規程)に定め、従業員に周知しておく必要があります。そのため、端数処理の方法も規程に明記しておくことが必要です。

つまり、システム改修などに伴い端数処理の方法を変える必要がある場合、賃金規程の変更も必要です。従業員に不利益が生じる変更の場合は、原則として労働者の合意が必要です(労働契約法第9条)。ただし、合理的な理由があり、変更後の内容を従業員にきちんと周知している場合は、合意がなくても変更が認められる可能性があります(労働契約法第10条)。

正しい手続きに基づき端数処理方法を変更しなければ、法令違反となり、罰則が科せられたり、従業員から損害賠償を請求されたりするおそれもあるので、慎重に変更手続きを進めましょう。

参考:労働基準法第89条|e-Gov法令検索
参考:労働契約法第9条、第10条|e-Gov法令検索

関連記事:雇用契約の条件は途中で変更できる?契約期間内に変更する方法をご紹介

4. 給与計算で出た端数は法律に則って適切に処理しよう

法律関連

給与計算で出た端数は、原則として切り捨てることはできませんが、一部例外として切り捨てが許可されている方法もあります。

適切な方法で端数を処理しないと、労働基準法違反になる可能性があるので、正しい端数処理方法をしっかり覚えておきましょう。

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jinjer Blog 編集部

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