サービス残業の強要が起きていると感じたら?企業が取るべき対策を解説
更新日: 2025.10.7 公開日: 2025.8.29 jinjer Blog 編集部

サービス残業の強要は、企業にとって重大な法的・社会的リスクを伴う違法行為です。問題が表面化すれば、未払い賃金の支払いに加えて、企業の信頼や採用力にまで影響を与えかねません。
この記事では、サービス残業の「強要」とは何を指すのかに加えて、発生しやすい職場環境の特徴や企業が負うさまざまなリスクを解説します。サービス残業の強要が起きていると感じる担当者は、ぜひ参考にしてください。
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1. サービス残業の「強要」の違法性と判断基準


サービス残業の強要とは、本来なら時間外手当が支払われるべき労働を企業がなんらかの形で強制し、賃金を支払わない状態に置く行為を指します。労働基準法第37条に違反する行為です。
労働基準法では、1日8時間を超える労働・週40時間を超える労働をおこなわせた場合、残業代を支払うことが義務付けられています。違反した場合、未払い賃金の支払いに加えて、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
例えば、以下のようなケースが強要と見なされる可能性があります。
- タイムカード打刻後にも業務をさせられる
- 終わらなかった仕事は、持ち帰って家でやるよう指示される
- 朝早く来て業務や掃除をするように命じられる
- みなし残業時間を超えた場合でも、固定残業代を理由に残業代が支払われない
上記のケースは、違法性があるとして問題になるかもしれません。
2. サービス残業の強要が起こりやすい職場の特徴


サービス残業の強要が起きやすい職場には、いくつかの典型的な傾向があります。ここでは3つの主な特徴を紹介するので、勤務先が該当していないかチェックしましょう。
2-1. 長時間労働が常態化している
長時間労働が常態化している職場では、そもそも「残るのが当たり前」という雰囲気が職場に浸透しており、従業員が定時に帰りづらい雰囲気になっていることがあります。とくに、所定労働時間が終わっても役職者や多くの社員が職場に残っているような環境では、仕事を終えて帰ることが心理的に難しくなるでしょう。
また「残業申請をすることは評価に響くのでは」「申請すると怒られるかもしれない」といった空気があると、必要な申請を控え、結果的にサービス残業が発生します。
2-2. 経営層や上司が労働基準法を深く理解していない
小規模企業の経営層や一部の管理職には、労働基準法への理解が不十分なケースも見られます。例えば「みなし残業代があるから追加の支払いは不要」と誤解しているほか「管理職には残業代は出ない」と勘違いしている場合もあります。
従業員が残業代の支払いを求めた際に「細かいことを言うな」といった反応を示す場合もあり、コンプライアンス意識の欠如が強要を助長する要因となります。
2-3. 人手不足と業務過多が慢性化している
人員不足や業務過多の状態が続くと、所定労働時間内に仕事が終わらず、結果としてサービス残業が常態化します。特定の社員に業務が集中しているほか、残業代を払う余裕がないとする企業では「うちは労基法を守っていたらやっていけない」などと開き直る例もあるようです。
法定労働時間の上限を避けるために、時間外労働の記録をつけず、サービス残業するケースも珍しくありません。
3. サービス残業の強要は企業にどのようなリスクをもたらすのか


企業がサービス残業の強要を放置していると、企業は以下のようなリスクを負うことになるでしょう。
- 法的リスク
- 従業員の健康リスク
- レピュテーションリスク
それぞれ詳しく解説します。
3-1. 法的リスク
サービス残業の強要は、労働基準監督署の調査対象となる可能性があります。実態が発覚すれば是正勧告が出され、企業は労働時間管理の改善や未払い残業代の支払いを求められるでしょう。
さらに悪質な場合には、労働基準法違反として刑事罰の対象にもなり、罰金や懲役が科されることもあります。企業としての法的責任を軽視することは、大きなリスクを伴うでしょう。
3-2. 従業員の健康リスク
サービス残業が続く職場では、従業員のモチベーションが低下し、生産性の悪化や離職率の上昇を招くかもしれません。時間外労働が当たり前になると、心身の疲労が蓄積し、うつ病や過労死のような深刻な健康被害につながるリスクも高まります。
こうした健康問題が発生した場合、企業が労災責任を問われる可能性があるだけでなく、組織全体の士気や業績にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
3-3. レピュテーションリスク
サービス残業を放置することで、企業は「労働環境が悪い」「ブラック企業」などのレッテルを貼られ、社会的評価が大きく損なわれるかもしれません。特にSNSや就職情報サイト、クチコミ掲示板などでの情報拡散は、ブランドイメージを深刻に傷つけるものです。
その結果、優秀な人材が集まらなくなり、既存社員のモチベーションや定着率も低下するおそれがあります。企業の成長にとって大きな痛手となるでしょう。
4. サービス残業の強要が発覚したときに企業が取るべき対応


万が一、社内でサービス残業の強要が起きていると分かった場合、企業は迅速かつ丁寧な対応を求められます。具体的な対応策を紹介するので、参考にしてください。
4-1. 事実関係を調査し未払い賃金を精算する
サービス残業が発覚した際は、労働時間の実態を正確に把握します。
タイムカードやパソコンのログ、入退室記録、ビジネスチャットの送受信履歴などを照合し、実際の労働時間を正確に把握しましょう。そのうえで未払い賃金の金額を算定し、対象従業員ごとに精算スケジュールを立て、速やかに支払います。
また、関係者へのヒアリングを通じて、業務の実態や指示の有無なども確認しておくことが重要です。
4-2. 労働基準監督署へ誠実に対応する
労働基準監督署から調査が入った場合は、必要な情報を開示し、誠実に対応することが求められます。従業員からの申告や労災申請、過労死・自殺などがきっかけとなる場合もあるため、企業としては平時から労働時間の管理体制を整備しておくことが重要です。
また、36協定の届出内容と実態に乖離があると判断されれば、是正勧告や監督指導の対象となる可能性もあるため、速やかな体制見直しが求められます。
4-3. 再発防止に向けた是正計画を策定し実行する
未払い賃金の支払いに加え、再発を防ぐための是正計画の策定が必要です。例えば以下の例が挙げられます。
- 勤怠管理システムの導入
- 労働時間の記録ルールの明確化
- 管理職への労務管理研修の実施
また、改善策はスケジュール化し、進捗を定期的にチェックします。
5. サービス残業の強要をなくすには?職場改善のポイント


万が一サービス残業の強要が発生している場合は、職場の改善が求められます。ここでは、改善のポイントを3つ解説します。
5-1. 残業申請制度を導入する
残業申請制度は、サービス残業の防止と労働時間の適正管理に効果的です。上司の承認がない限り残業を認めないルールを明確にし、申請基準やルールも整備することで、残業の可視化とコントロールが可能になります。
また、スマートフォンやパソコンから手軽に申請できるシステムを導入すれば、申請の手間を軽減し、運用の定着にもつながるでしょう。申請傾向を分析し、業務改善に役立てる仕組みも重要です。
5-2. 人員配置を見直す
残業の偏りを防ぐには、部署ごとの業務量を可視化し、適切な人員配置をします。繁忙期には、定時退社が可能な部署からの応援体制や、一時的な異動によって業務負担を分散させましょう。
特に管理職など実務を担わない人員が多い部署では、実働ベースの人手不足が見落とされがちです。柔軟な配置転換や応援ルールの整備を進めることが、サービス残業の抑制につながります。
5-3. 勤怠管理システムの導入で労働時間を正確に把握する
サービス残業の防止には、勤怠管理システムの導入も効果的です。
ICカードやスマートフォン、PCログなどの客観的データにより、リアルタイムに労働時間を把握できます。打刻後の残業や自宅での作業時間も把握しやすくなり、正確な残業時間の算出や上限超過のアラート機能も活用できるでしょう。
さらに、長期的な傾向分析などの機能により、サービス残業の予防と是正の両面で大きな効果を発揮します。
6. サービス残業の強要は違法!早めの対応と改善をしよう


サービス残業の強要は労働基準法違反にあたる違法行為です。万が一発生した場合、企業は法的責任やレピュテーションリスク、従業員の健康被害など多大な損失を被る可能性があります。
早期に実態を把握し、適切な対策と再発防止策を講じましょう。



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