昇進を拒否する社員が増えている理由や対応方法を紹介
更新日: 2024.11.20
公開日: 2023.5.27
OHSUGI
一般社員から主任になるなど、従来であれば昇進は喜ばしいことであり、一昔前まではほとんどの社員が目指すキャリアプランでした。しかし、近年では責任を負いたくないなどの理由から、昇進を拒否する社員が増えています。昇進できるほどの能力を持った社員はたくさんいるわけではないため、拒否をされると後任が見つからないことがあるかもしれません。
昇進の拒否が起きる背景は、家庭の事情や自信がないなど本人の理由もありますが、中には管理職になることで業務負担が増加するからという理由もあるため注意が必要です。
本記事では、社員が昇進を拒否する理由や拒否されたときの対処法、会社が昇進を拒否されないためにできることを解説します。
目次
人事評価は、従業員のモチベーションや生産性に直結するため、正しく制度化され運用されていることが欠かせません。労働人口の減少が問題視される昨今では、優秀な人材を採用し定着させること、従業員エンゲージメントを高めることが、企業の成長に繋がるためです。
しかしながら「工数がかかる割には、人事評価をうまく制度化できていない」「制度自体はあるけれど、評価結果を活かせていない」」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 昇進を拒否する社員が増えている理由
昇進とは社員の職位が上がることを意味します。一般社員から主任、課長から部長になるなど、いわゆる「出世」のことで、昔は役職を目指して働くのが一般的でした。
しかし、働き方や価値観が多様化した現代では、昇進したくない社員が増えています。社員が昇進を断る理由は以下のとおりです。
1-1. 業務量と給与が見合っていない
管理職になれば残業代が出なくなるため、昇進を拒否する社員は多くいます。さらに、業務量は増加するため、時間内に仕事を終えることが難しい場面もでてきます。
結果として、社員には業務量と給与が見合っていないと映ってしまいます。「それであれば役職手当などによる給与の増加を捨てても、現在の職位のまま仕事をしている方がメリット大きい」と判断されることで昇進を拒否するケースがあります。
1-2. 仕事に対する責任が重くなる
仕事に対する責任の増加も、昇進に消極的になる理由です。管理職となれば、自身の仕事の範囲が広がるため、裁量権が及ぶ範囲も拡大するだけでなく、部下の管理も必要になってきます。
部下を育成する過程では、失敗の責任をとらなければいけないときもあります。責任を負う範囲だけでなく責任の重さも増加するため、プレッシャーに感じる社員もいるでしょう。
1-3. 自分の時間が削られる
管理職になれば業務量が増え、その結果、自分の時間が削られることを懸念しているケースもあります。プライベートの時間を重視する社員に見られる傾向で、家族との時間や趣味の時間を大切にしている場合、残業によりそれらの時間を削りたくないと考えています。
また、自分の現在の仕事や現場での業務が好きで集中したいため、マネジメント業務を拒否するケースもあります。
1-4. 管理職になる自信がない
ストレス耐性が弱い、リーダーシップが取れない、コミュニケーション能力が低いと感じ、管理職には向いていないと拒否する社員もいます。また、これらの性質的な問題だけでなく、持病を抱えており、体力的な自信がないことを理由に上げることもあります。
なお、性格は社員自身が感じているものと、周りの見方が異なることも多いため注意が必要です。
1-5. 介護や育児など家族の面倒を見る必要がある
社員の中には昇進への希望があっても、「家族を介護している」「子どもがまだ幼い」「家族の面倒を見ている」など、家庭の事情で時間的に難しいと思い断念するケースもあります。
このようなケースの場合、事前に面談をして家庭の状況を聞いておけば違う人材を抜擢できるので、昇進の検討に入る前に対象者の面談をおこなうと良いでしょう。
2. 昇進を拒否されたときの対応方法
社員から昇進を拒否されたときは、まずは理由を確認しましょう。次に、昇進後の業務内容や待遇を詳しく説明し、合わせて昇進を断ることで社員に生じるデメリットも伝えましょう。
なお、正当な理由がなく昇進を拒否された場合、懲戒処分も可能ですが、社員に良い印象を与えないので注意してください。
ここでは、拒否されたときの対応法を解説するので、「処分」という重い対応をする前に実践してみましょう。
2-1. 昇進を拒否する理由を確認する
まずは、なぜ社員が昇進を拒否するのか理由を確認しましょう。介護などの正当な理由であれば、別の社員に昇進を打診したほうが無難です。
責任を負いたくない、管理職に向いていないなどの理由であれば、自信がなかったり初めてのことで不安に感じたりしていることが原因かもしれないので社員の説得を試みましょう。
2-2. 昇進後の業務内容や待遇を詳しく説明する
昇進を拒否する社員の多くは、管理職になるメリットよりもデメリットが大きいと感じています。イメージと実際の昇進後の待遇が乖離していることもあるため、まずは昇進によりどのように業務内容や待遇が変化するか説明しましょう。
具体的には以下の内容を説明し、その中でもメリットを強調するとよいでしょう。
- 待遇・給与がどのように良くなるか
- 具体的な業務内容
- 責任や権限の範囲
- 昇進後のキャリアの展望
これらのメリットを伝えたうえで、社員から質問があれば丁寧に答えます。
2-3. 昇進を拒否するデメリットを説明する
昇進を拒否する社員の多くは、将来的に生じるデメリットまで考慮できていない可能性があります。今、昇進を拒否すれば、昇格や昇給にも影響する恐れがあるなど、同じ会社で働く上で生じる問題的を説明しましょう。
具体的には以下のとおりです。
- 今後、管理職になるチャンスはなくなること
- 昇格だけでなく昇給も難しくなること
- 正当な理由なく昇進を拒否すれば解雇される恐れがあること
デメリットは、あくまでも本人のために伝えることなので、威圧的な言い方にならないように注意しまYそう。
2-4. 必要があれば昇進後の業務量などを調整する
社員を説得するうちに、昇進後の要望などを聞き出せる可能性もあります。その場合、意見はできるだけ聴取し、可能な限り働きやすい環境を整えるようにしましょう。
昇進をしたいと考えているものの不安感から尻込みしている場合、サポート体制の充実により、説得できる可能性があります。
3. 昇進拒否に対する法律はあるのか
昇進拒否に対する法律はありませんが、説得や昇進後の仕事のサポートなどを打診しても昇進を拒否された場合、会社はその社員の懲戒処分も可能です。
懲戒処分にするためには、労働契約や就業規則上で昇進や配置転換の可能性を定める必要があります。また、管理職候補として採用している場合も昇進が前提と考えられます。
会社は組織の円滑な運用のために、配転命令や解雇を行える人事権を有しています。正当な理由がない昇進の拒否は、業務命令違反に該当するため、人事権により解雇を含む懲戒処分が可能です。
しかし、昇進を検討するほど優秀な社員を懲戒処分とし、モチベーションの低下などで退職された場合、企業にとって大きな痛手となります。
また、社内の雰囲気にも影響するためおすすめできる方法ではありません。
4. 昇進を拒否されないようにする方法
昇進というのは、「働きが認められた」「会社に必要とされている」など社員に満足感を与えるものです。それでも拒否する人がいるのは、現在の管理職の働き方を見て昇進したいか、したくないかを判断する社員が増えていることが考えられます。
昇進を断られてしまうと、新たな人材を探さなければならず、人事の手間が増えてしまいます。
ここでは、昇進を拒否されない方法を解説するので参考にしてみてください。
4-1. 管理職の労働環境を改善する
管理職の仕事が魅力的に映れば、昇進したいと思う社員は増えるでしょう。そのためにも、まずは管理職の労働環境を改善しましょう。改善するには、以下の点を見直してみることが大切です。
- 業務量と待遇は釣り合っているか
- 職務に見合った権限を与えているか
- 管理職をサポートする体制は整っているか
これらの点を確認し、不足している部分がある場合は早急に改善していきましょう。
4-2. 社員の意向を把握する
どれだけ優秀であっても、昇進する意志がないもしくは希望しない社員もいます。そのため、管理職候補者の採用では、適性検査や面接の結果から昇進する意志がある者を採用しましょう。
また、社員に対しては定期的な面談を実施し、今後のキャリアプランや本人の健康、家庭の状況を確認しておくことも重要です。定期的に本人の意志や状況を確認することで、内示を出したときに昇進を拒否されるリスクを軽減できます。
5. 社員が昇進したくなるような労働環境を整えることが大切
社員が昇進を拒否する理由はさまざまです。中には、課長や部長など直属の上司の仕事量の多さから、昇進に否定的になっているケースもあります。
そのため、社員本人の昇進意欲を確認するだけでなく、現在働く管理職の労働環境を整えることも大切です。
業務管理システムや勤怠管理システムは、管理職の業務効率化や見える化に役立つので、無駄な仕事量の増加を防ぐ効果が期待できます。このように、ITツールも積極的に活用して働きやすい環境を作り、昇進制度による社員のモチベーションをあげていきましょう。
人事評価は、従業員のモチベーションや生産性に直結するため、正しく制度化され運用されていることが欠かせません。労働人口の減少が問題視される昨今では、優秀な人材を採用し定着させること、従業員エンゲージメントを高めることが、企業の成長に繋がるためです。
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