人事評価ソフトはどう選ぶ?導入のメリットや選び方のコツを紹介
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.6.11
OHSUGI
企業には人事評価がつきものですが、実施・管理の手法はさまざまです。Excelや紙のフォーマットで管理している企業もあれば専用の人事評価ソフトを活用している企業もあるでしょう。人事評価は給与にも関わるため、適切に実施、管理する必要があります。そこでこの記事では、人事評価に役立つ人事評価ソフトについて、メリットや選び方のコツなどを紹介します。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 人事評価ソフトとは?
人事評価ソフトとは、従業員の目標やその進捗、達成度合いなど人事評価に関わる情報を一元管理できるソフトです。人事評価ソフトは人事考課ソフトの名でも知られていて、従業員の公平な評価に役立つというのが特徴です。
2. 人事評価ソフトに搭載されている機能
人事評価ソフトにはさまざまな機能が搭載されていますが、その種類は多種多様です。そのため、人事評価ソフトを選ぶ前に、どのような機能があるのかを把握しておくことも重要です。
ここでは、多くのソフトで採用されている機能をご紹介します。
2-1. 従業員の情報管理
人事評価では、評価の対象となる従業員の情報が必要になるため、ほとんどのソフトに従業員の情報を管理する機能が搭載されています。
人事評価ソフト以外でも従業員情報管理はできますが、複数のシステムで情報管理をするのは手間がかかりますし、項目が統一されていないと検索や共有にも時間がかかるでしょう。
人事評価ソフトを使えば、基本的なプロフィールはもちろん、各従業員の目標や業績、プロセスなどの情報まで一元化できるため、情報管理の効率化が図れます。また、セキュリティ対策が重要なマイナンバー管理も可能です。
2-2. 目標や評価方法の設定
人事評価ソフトには、個々の目標や評価方法を設定できる機能も搭載されています。従業員情報と併せて個々の目標を管理・確認できるので、目標達成までのプロセスの軌道修正や達成のための施策を検討することも可能です。
評価方法の基準が明確になるように設定し、いつでもチェックできる環境を作っておけば公平性も保たれるので、評価制度に対する不公平感も解消できます。
2-3. 達成度や評価の管理
人事評価ソフトには、目標の達成度や評価を管理する評価テンプレートが搭載されています。評価テンプレートには様々な種類があり、自社の評価方法に合わせたシートを作成することが可能です。
評価の入力や出力がすべてシステム上でできるため、結果の共有にも手間がかかりません。評価結果を電子化するのも可能なので、複数の社員間でスピーディーに共有できます。
2-4. 評価フローの登録
人事評価ソフトには、評価までのフローを登録・管理する機能もあります。
いくら明確な評価基準を設定していても、評価に至るまでには結果までのプロセスも大事なので、従業員面談をおこなうのが一般的です。
評価フローの管理機能では、評価の設定だけでなく面談の実施状況やフィードバック、自己評価や上司からの評価などのステータスまで管理できるため、より公平性のある評価を可能にします。
また、面談や入力期日、入力漏れを防ぐリマインダー機能もあるので、人事担当者の業務負担も軽減できます。
2-5. 外部連携機能
人事評価ソフトに蓄積しているデータを、外部のシステムと連携できる機能もあります。
すでに導入している労務管理システムや給与管理システム、ワークフローシステムなどと連携すれば、運用の手間を省けます。
連携ができないと、データの整合性が取りにくいことや、余分なコストが発生することもあるため、外部連携は必要不可欠な機能といえます。
3. 人事評価ソフトを導入するメリット
人事評価ソフトの導入によって、従業員の自社への満足度向上や業務の効率化が期待できます。また、人事評価ソフトに蓄積されたデータを基にした戦略的なマネジメント、人材育成も可能です。
3-1. 公平な評価によって従業員満足度向上
人事評価は給与に関係するため、従業員の満足度に大きく影響します。従来の人事評価は評価者の評価基準が曖昧になってしまい、従業員からすると不満を感じてしまう可能性もありました。
一方、人事評価ソフトでは評価の基準が明確になっているため、従業員に納得してもらいやすくなります。自分が正当に評価されていることが分かれば、従業員の自社に対する満足度の向上が期待できるでしょう。
従業員の自社への満足度は、意欲を持って業務に臨むうえで大切な要素です。従業員が自社への満足度を高く持っていれば、意欲的に業務に臨めるため、効率や生産性の向上が期待できます。
3-2. 人事評価にまつわる業務の効率化
人事評価は、従業員に設けられた目標の進捗や達成度合いの確認をはじめ、さまざまな工程を経て行われます。その際、紙やExcelで人事評価を管理していると何度も同じ数値を入力するようなことが発生する可能性もあるでしょう。
人事評価ソフトを導入することで人事評価にまつわる業務を効率化できます。そのため、担当者の業務負担が軽減され、他の業務に時間を割けるようになります。
3-3. 戦略的な組織作りが可能
人事評価ソフトは、従業員のスキルや過去に経験した業務の可視化が可能です。そのため、従業員のスキルや過去の実績を基に、効率よく適材適所の人材配置ができます。また、新規にプロジェクトチームや部署を立ち上げる際も、人事評価ソフトに蓄積されたデータを基に、戦略的に組織を編成できます。
3-4. 人材育成に活用
人事評価ソフトに蓄積されたデータは、人材育成にも活用可能です。例えばスキルに乏しい従業員に対してはセミナー参加を促すというような、弱点を補うための対策が施せます。また、経験や豊富なスキルを持つ従業員がいれば、積極的に周囲にノウハウの共有を促すことで、全体の底上げも期待できるでしょう。
3-5. 部署を異動した場合でもデータを引き継げる
紙やExcelで人事評価を管理している場合、部署を異動した際にそれまでの評価データを引き継げなくなってしまいます。しかし、人事評価ソフトを全部署で導入することで、従業員が異動した際でもスムーズに過去のデータを引き継ぐことができます。
4. 人事評価ソフトの選び方
人事評価ソフトは数多く発表されています。そのため、導入にあたっては次のような点を意識しましょう。
- 目的にあったソフトか
- 自社の評価制度との親和性があるか
- 操作性に長けているか
- セキュリティに優れているか
- 既存のシステムと連携可能か
- サポート体制が整っているか
関連記事:中小企業にとって人事評価システムは必要?メリット・デメリットを知り導入すべきか判断しよう
4-1. 目的にあったソフトか
人事評価ソフトを選ぶうえでは、導入の目的を明確にしておきます。例えば人事評価を効率的に行いたい、公平な評価をしたいといったように、目的を明確にすることが大切です。明確にした目的に対して、達成できるソフトを選ぶようにしましょう。
4-2. 自社の評価制度との親和性があるか
自社で評価制度が既にある場合は、導入するソフトとの親和性を確認します。例えば自社の評価制度で重視する項目があるか、自社の評価制度向けにカスタマイズ可能かどうかなどを確認しておきましょう。
4-3. 操作性に長けているか
人事評価ソフトを導入しても、操作しづらければ効率性の向上にはつながりません。そのため、導入を検討している人事評価ソフトが操作性に長けているかも重要です。例えばスマホから簡単にアクセスできる、アイコンやグラフなどで直感的に操作できるなどに着目しましょう。
4-4. セキュリティに優れているか
人事評価には従業員の個人情報も含まれています。そのため、セキュリティに優れていることもソフト選びのポイントです。人事評価ソフトのセキュリティは、社内のサーバーでシステムを構築するオンプレミス型、クラウドサーバーでシステムを構築するクラウド型の2つで特徴が異なります。
オンプレミス型はセキュリティは堅牢ですが、コストが発生してしまいます。一方クラウド型は導入コストが低い傾向にあります。クラウド型でセキュリティを意識するのであれば、IPアドレスの制限機能がついているなど、ベンダーごとのセキュリティ対策を確認しましょう。
4-5. 既存のシステムと連携可能か
人事評価は給与や勤怠管理と大きく関係しています。そのため、人事評価ソフトを選ぶうえでは、既存の給与システムや勤怠管理システムと連携できるかを確認しましょう。給与システムや勤怠管理システムと連携することで、人事評価にまつわる業務をより効率的に進められます。
4-6. サポート体制が整っているか
人事評価ソフト導入後のトラブルに備えて、サポート体制が整っているかもソフト選びでの重要なポイントです。例えばトラブルや課題が発生した際にサポート担当者がいることで、人事評価を運用しやすくなります。
5. 人事評価ソフトの導入手順
人事評価ソフトの導入は、社を挙げて取り組むべきことです。そのため、人事労務担当者を中心に人事評価ソフト導入チームを立ち上げて、スケジュールに応じて導入を進めていくことが大切です。
人事評価ソフトを導入する際は次のような手順で進めていきましょう。
- 現状の課題を洗い出す
- 課題解決に必要な機能をチェック
- 操作性を確認する
- 運用ルールを決める
- 人事評価ソフト導入を周知する
5-1. 現状の課題を洗い出す
人事評価ソフト導入による効果を最大限に引き出すには、現状の課題の洗い出しが必要です。単に「他の企業が導入しているから」や「従業員が納得するから」などの曖昧な理由で導入すると、コストをかける意味がありません。
まずは、人材育成や評価制度、マネジメントなどにおける現状の課題を洗い出しましょう。「従業員のモチベーションアップに活かす」「公平な人事評価で従業員の不満を解消する」など導入目的を明確にすることは、人事評価ソフト導入に失敗しないための大事なポイントです。
人事評価ソフトの導入は、社を挙げて取り組むべきことです。そのため、人事労務担当者を中心に人事評価ソフト導入チームを立ち上げて、スケジュールに応じて導入を進めていくことが大切です。
5-2. 課題解決に必要な機能を確認する
課題を洗い出したら、解決に必要な機能を確認しましょう。
搭載されている機能はソフトごとに異なるだけでなく、機能の数も違います。自社の課題解決に不要な機能が搭載されていると、運用するうえで余分な手間がかかるかもしれません。また、多機能なソフトはその分費用もかさむため、余計なコストがかかります。
必要な機能を確認しておけば、無駄を省くだけでなくソフトの絞り込みにも役立つので、導入の際には課題解決に適した機能をしっかり把握することが重要です。
5-3. 操作性を確認する
必要な機能が搭載されているソフトでも、操作性が複雑で使いこなすのが難しいと業務負担増になるため、操作性を確認してください。
特に重要なのは、実際に運用する担当者が使いこなせるかどうかです。上司の判断だけで決めてしまうと、担当者の不満につながることもあるため、人事評価ソフトを使う人が操作性を確認するようにしましょう。
人事評価ソフトには、トライアル期間を設けていたり、無料体験をおこなっていたりするるものもあります。これらを上手に活用して、スムーズに導入できる環境を整えましょう。
5-4. 運用ルールを決める
操作性が確認できたら、次は運用ルールを決めます。
評価項目や評価基準はもちろん、評価方法、目的達成までのゴールを明確にすることが、従業員のモチベーション維持・アップにつながります。
運用ルールが曖昧では、従業員の不信感や疑心暗鬼を引き起こすかもしれません。
数値化できる項目、客観的な判断による項目などをバランス良く配置し、ルール化することで従業員の満足度を上げることも大事な導入ステップになります。
5-5. 人事評価ソフト導入を周知する
人事評価ソフトを導入したら、従業員への周知を徹底しましょう。
このときに重要なのは、ただ導入したことを周知するのではなく、導入目的や導入することのメリット、評価基準や評価フローなど詳細な情報を共有することです。
詳細な情報を共有しておくことで、人事評価に対する従業員の不安や不信も解消できます。また、公平な評価制度の導入は、会社への信頼感にもつながるため離職防止にも役立つでしょう。
周知させるのは手間がかかるかもしれませんが、「知らなかった」「聞いてない」ということがないよう、従業員全員に伝達することが導入成功のポイントになります。
6. 人事評価ソフトを導入して従業員の満足度向上や評価業務の効率化につなげよう
人事評価は給与に関わるため、公平な評価が求められます。人事評価ソフトの導入は公平な評価につながるため、従業員の満足度向上が期待できます。また、人事評価ソフトは人事評価業務の効率化も実現できることから、担当者の負担軽減にもつながります。
人事評価ソフトを選ぶ際は自社の目的に合っているか、操作性に長けているかなどを確認するようにしましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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