社員の離職防止の施策とは?原因や成功事例を詳しく解説
更新日: 2025.7.25 公開日: 2023.10.27 jinjer Blog 編集部

近年は離職者が増え、離職防止に力を入れる企業が増えてきました。
離職者が増えることは企業にとって大きなデメリットと痛手になり、企業成長を遅らせる要因になってしまいます。
本記事では離職の原因や離職拍子のポイントを成功事例と合わせて紹介していきます。
目次
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 離職防止とは


まずは離職防止がどのような施策を指すのか、近年重要視されている理由とあわせて知っていきましょう。
1-1. 社員の離職を防ぐ施策
離職防止とは、社員の仕事離れを防ぐことです。転職や退職を考える原因になる問題を見つけ、解決することをいいます。
離職防止の取り組みは「リテンションマネジメント」とよばれることもあります。「リテンション」の意味は「維持・引き留め」です。
離職の原因は社員によってさまざまであるため、離職を防止するには早いうちに原因を把握し、施策に取り組む必要があります。
1-2. 離職防止が重要視される理由
離職防止が重要視される理由は、近年の日本が抱えている問題とつながっています。3つの大きな理由を知っておきましょう。
人材の確保が難しくなっている
少子高齢化が進む日本では、新卒者が減って人材の確保が昔よりも難しくなっています。
特に専門的なスキルや知識がある人や、優秀な人材は人数も多くないため、企業が求める人材にマッチする人材となるとさらに確保が難しくなります。
転職のハードルが低くなった
ひとつの企業で定年まで勤めあげるという考えは薄くなり、転職は当たり前のようにおこなわれるようになりました。
別の企業からの人材確保がしやすくなった半面、自社から優秀な人材が流出してしまう可能性も高くなっています。人材の流出に対応するためにも離職防止は非常に重要な施策です。
新卒者の離職率が高い
厚生労働省の調べによると、2020年の新規大学卒就職者のうち32.8%が就職後3年以内に離職していることがわかりました。これは前年よりも0.8%ほど上昇している数値です。
特に飲食サービス業や生活関連サービス、娯楽業、小売業などは離職率が高く、人材を確保してもすぐに離職者が多発してしまうという状況です。
何らかの離職防止策を検討しないかぎり、慢性的な人材不足からは抜け出せなくなってしまいます。
2. 離職防止が必要だとされる5つの理由


離職防止が必要だとされる理由は大きく分けると5つあります。
前述した離職防止が重要視される理由と似ている部分がありますが、より企業内の問題に踏み込んで考えていきます。
2-1. 人材の確保・流出防止が難しくなっている
現在日本の会社では、若手人材の確保が困難になっています。若手人材の確保が難しくなっている理由には、以下が関係しているでしょう。
- 少子高齢化
- 転職市場の活発化
- 地方から都市部への人材流出
少子高齢化により生産年齢人口が減っているため、今後も労働力不足が深刻になると見込まれています。
また、年功序列や終身雇用が崩壊し、転職が当たり前の時代になりました。依然として地方から都市部への人材流出も起きているため、地方の中小企業などでは人材の確保が困難な状況が続いています。
人材確保に苦戦を強いられないためには、離職の防止が必要でしょう。
2-2. 穴埋めをするために業務負担が増える
社員が離職すると既存社員の負担が増加します。すでに受け持っている業務に加え、離職した社員の担当業務を引き継ぐため、一時的な業務負担の増加は避けられません。
ほかにも既存社員の負担は、以下のようにさまざまな形で発生します。
- 既存社員の離職につながる
- モチベーション低下を引き起こす
- 離職によりノウハウやスキルが損失する
社員が離職し既存社員の業務負担が増加することにより、次は既存社員の離職につながる可能性も高いです。優秀な社員が離職した場合は、周囲の社員のモチベーション低下を引き起こします。
また、中堅社員が離職すると、長い間培ったノウハウやスキルが失われるため、会社にも大きな損失をもたらすでしょう。
既存社員の負担を増やさないためにも、離職を防止する必要があります。
2-3. 人材の採用や教育のコストが増加する
人材を採用する際はコストがかかるため、企業側の負担が大きいです。具体的には以下のコストが発生、増大すると考えられます。
- 求人掲載費用
- 会社案内用のパンフレット作成費
- 応募者の交通費や宿泊費
- 研修を外部講師へ依頼する場合の費用
- 研修を実施する際の会場費用
交通費や宿泊費などは、採用する人数が多いほどコストも増加します。離職を防止しなければ、コストの負担が大きくなる一方です。
2-4. 「すぐ人が代わる会社」のイメージがつく
社員の度重なる離職により離職率が高くなると、会社のイメージに影響を及ぼします。取引先や顧客は、担当者の入れ替えに敏感であるため、隠しきることは難しいでしょう。
また、離職率の高さは労働環境の悪さを連想させるため、求職者も集まりにくくなるでしょう。
一度イメージダウンすると、回復に時間がかかります。会社のイメージダウンを引き起こさないためにも、離職の防止が必要です。
3. 社員が離職する5つの原因


社員が離職する原因は、以下の5つです。
- 仕事内容が合っていない
- 成長できる環境ではない
- 給与が低い
- ワークライフバランスが悪い
- 職場の人間関係が悪い
それぞれの原因について詳しく解説していきます。
3-1. 仕事内容や労働環境が合っていない
仕事内容や労働環境が合っていなければ、ストレスや意欲の低下につながるため、離職する原因になるでしょう。社員がミスマッチを感じる理由には、以下があります。
- やりがいを感じられない
- 苦手な仕事が多い
- 求められる能力と一致していない
- 社風が合わない
- 希望する働き方ができない
仕事内容にやりがいや達成感を得られない場合や、苦手な仕事が多い場合にはミスマッチを感じやすいです。
会社が求める能力と持っている能力が合わなければ、ミスを繰り返し、疲労感も増加するため離職につながります。
また、社風が合わないと、上司との相性や仕事への向き合い方にミスマッチを感じやすいです。
3-2. 成長や将来性を見いだせていない
社員にとって会社が成長できる環境ではないことは、離職する原因になります。スキルアップしている実感を得られないと、今後のキャリアに不安を覚え、成長できる会社への転職を考えるためです。
成長できない環境の特徴として、以下が挙げられます。
- 裁量権がない
- 単純作業が多い
- 変化を恐れている
- スキルアップや出世のチャンスがない
社員の意欲があっても会社から裁量権を与えられず、単純作業ばかり割り当てられると成長できる環境とはいえません。
また、会社が既存のルールに固執していると、社員の挑戦意欲が低下するため、成長できないと判断し離職するでしょう。
3-3. 給与や待遇に不満がある
給与が低ければ、仕事に対するモチベーションの低下を引き起こすため、離職する原因になります。
以下が理由で給与が低い場合にも、離職につながるでしょう。
- 仕事量や責任の重さと見合っていない
- 成果に応じて昇給しない
- 評価に納得感がない
仕事量や責任の重さと給与が見合っていないと、不満が募りやすいです。また、年功序列など社員の成果に応じて昇給しない場合も、優秀な若手社員の離職につながる可能性があります。
3-4. ワークライフバランスが悪い
ワークライフバランスが悪く、プライベートの時間がないと離職する原因になります。
長時間労働で残業が多ければ仕事とプライベートにメリハリがなく、疲れも溜まりやすいため効率的に働けなくなるでしょう。
ワークライフバランスが悪い理由には、以下などがあります。
- 個人の希望が通らない、伝えにくい
- 働き方に柔軟性がない
- 経営陣の理解を得ることが難しい
休暇の取得など個人の希望が通りにくいと、結果的に仕事を優先するためプライベートの時間が取れません。
フレックスタイム制やリモートワークなど、働き方を柔軟に変えられないことも仕事以外の時間を確保できない原因になります。
また、従業員が積極的にワークライフバランスの改善に取り組んでも、経営陣の意識を変えなければ改善は難しいです。
3-5. 職場の人間関係に問題がある
上司との相性も含め職場の人間関係が悪ければ、離職する原因になります。職場の人間関係悪化には、以下の理由があると考えられます。
- 上司が意見を受け入れない
- コミュニケーションエラーが生じている
- 情報共有ができていない
上司が部下の意見を受け入れなかったり、頻繁に意思疎通に支障が生じていたりすると、人間関係の悪化を招きます。
また、日頃から社員同士で情報共有ができていなければ、チームワークが悪く疎外感が生まれるでしょう。
4. 離職防止の具体的な7つの施策


離職を防止するための具体的な施策は、以下の7つです。
- 仕事に対するやりがいを感じさせる
- 多様な働き方に対応する
- 会社の目標やビジョンを共有する
- 退職する理由をヒアリングする
- ワークライフバランスを改善する
- 面談やコミュニケーション機会を設ける
- 管理職のマネジメント力を向上させる
4-1. 仕事に対するやりがいを感じさせる
離職を防止するためには、仕事に対するやりがいを感じさせて「自分は会社にとって必要な人材なのだ」という意識を持たせることが効果的です。
以下のような変化を出すとやりがいを感じてもらいやすくなります。
- 若手のうちから責任のある仕事を任せられる
- アイデアが活かされる
- 意見が反映される
- 裁量権を与える
- 適正で納得感のある評価をする
- お金以外の充実感を与える
自分の業務やアイデアが何らかの形になったり、評価に繋がったりすると多くの人はやりがいを感じます。
労働力としてではなく、会社を支える一因として従業員を信頼して任せることも離職防止につながるでしょう。
4-2. 多様な働き方に対応する
離職を防止するためには、多様な働き方に対応する必要があります。勤務時間や勤務場所が限られていると、結婚や子育てなどのライフイベントにより働きにくさが生じるでしょう。
多様な働き方の例は以下のとおりです。
- フレックスタイム制
- リモートワーク
- 時差出勤
- 短時間勤務
- 副業
幅広い働き方に対応すると、社員の働きやすさにつながるため離職を防止できます。
4-3. 会社の目標やビジョンを共有する
離職を防止するためには、会社の目標やビジョンを社員と共有しましょう。会社の目標やビジョンの達成にいたるまでの道筋が明確になければ、社員は会社の将来性に不安を感じます。
以下の手順を踏むとビジョンを共有しやすいです。
- 現状の自社の役割や外部環境を把握する
- 将来起こりうる課題など5年後、10年後を予測する
- 将来の自社の役割を予測する
- 社員の意見を取り入れながらビジョンを明確にする
- 社内に共有、浸透させる
ビジョンを社内に浸透させるには、社員からの理解を得る必要があるため、経営陣以外の意見も取り入れるとスムーズに進みます。
4-4. 退職する理由をヒアリングする
離職を防止するためには、本音を話せる状況で退職理由のヒアリングをおこないましょう。退職する社員にヒアリングすることで、課題の発見や解決につながります。
ヒアリングする内容は、以下のとおりです。
- 退職したい理由
- 会社の問題点
- 会社の優れている部分
- 上司によるサポートの有無
ヒアリングは社員の本音を引き出す必要があるため、話やすい先輩社員などに面談を担当させることをおすすめします。
退職希望者本人を引き留めることができなくとも、課題を見つけることは大きなプラスになります。積極的にヒアリングを実施しましょう。
4-5. ワークライフバランスを改善する
ワークライフバランスを良くすれば、やりがいや仕事への喜びを感じられるようになり、離職を防ぐとともに生産性も向上するでしょう。
ワークライフバランスを改善する方法には、以下があります。
- ワークライフバランスが悪い原因を洗い出す
- 既存業務を見直し新たなフローやツールを活用する
- 経営陣の理解を得る
近年は業務の効率化が期待できるITツールも多くあるため、導入が進んでいない場合には導入を検討してもよいかもしれません。
4-6. 面談やコミュニケーション機会を設ける
離職を防止するためには、面談やコミュニケーションの機会を設ける必要があります。定期的に面談を実施し、社員同士がコミュニケーションを取れる機会を増やすと、悩みを1人で抱え込むことを防げるでしょう。
具体的には以下の方法がおすすめです。
- 定期的に面談をおこない悩みや課題を共有する
- メンター制度を導入する
- 研修など同期と関わる機会を増やす
- フリーアドレスに変更する
早期離職を防止するためには、特に若手社員のフォローに時間をかけ、積極的なコミュニケーションが欠かせません。
4-7. 管理職のマネジメント力を向上させる
離職を防止するには、管理職のマネジメント力を向上させる必要があります。
管理職のマネジメント力が上がれば、良い職場環境が構築され、自ら成長できる人材が育成されるでしょう。部下のモチベーションの向上にもつながります。
管理職のマネジメント力を向上させるには、以下が必要です。
- 問題解決能力の向上
- 意思決定力の向上
- コミュニケーション能力の向上
日頃から経営陣による指導や研修を通し、管理職のマネジメント力向上に努めると離職の防止につながります。
5. 離職防止の成功事例3選


離職防止として実施し、成功した事例を3つ紹介します。自社が抱える問題や取り組みやすい施策に合わせてぜひ参考にしてください。
5-1. 社員との意見共有
パーソナルトレーニングスタジオを運営するA社の成功事例は、以下のとおりです。
| 課題 | 代表と社員が会話する機会が少なく、課題の発見がしにくい |
| 実施したこと | 離職防止ツールを導入した |
| 効果 | アンケートを用いた社員との意見共有で、悩みを把握できるようになった |
5-2. 新入社員のフォロー体制の強化
飲食業をおこなうB社の成功事例は、以下のとおりです。
| 課題 | ・人材の確保ができない
・若手社員の離職が多い ・研修やフォロー体制が不十分 |
| 実施したこと | ・店長をフォローする役職者の人材要件を明確化した
・人員配置を見直した ・新入社員の個別面談や研修をおこなった |
| 効果 | 新入社員の離職率が低下した課題 |
5-3. 生産性向上と労働環境の改善
宿泊業をおこなうC社の成功事例は、以下のとおりです。
| 課題 | ・人材が不足している
・育児や介護のため離職する人材がいる |
| 実施したこと | ・業務を可視化し、生産性の向上を目指した
・公休日を増やした ・新入社員の研修をおこなった |
| 効果 | ・1人あたりの顧客対応数が増加した
・労働環境が改善された課題 |
6. 自社の問題を洗い出し必要な離職防止策を講じて離職率を下げよう


社員の離職はさまざまな原因から起こります。若手人材の確保が難しい状況になっているため、早いうちに離職の対策に取りかからなければいけません。
人材の流出や不足は企業全体の不活性化や業績低下につながることも多々あります。
退職理由のヒアリングを通して離職する原因を把握した上で、離職防止のための具体的なアクションを起こしましょう。



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