介護保険法とは?老人福祉法との違いや法改正のポイントをわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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介護保険法とは?老人福祉法との違いや法改正のポイントをわかりやすく解説

電卓と聴診器

介護保険法は、急速に進む高齢化社会に対応するため2000年に施行された法律です。介護や支援が必要となった人とその家族を支えるため、国民が共同で介護費用を支える仕組みを整備しています。

一方、老人福祉法は高齢者福祉の基本的枠組みを規定するものです。このように、両法は、目的や提供されるサービスの内容に違いがあります。

企業や介護事業者は、両法の法的な位置づけを正確に理解し、適切に対応することが求められます。本記事では、介護保険法の概要や老人福祉法との違いを解説したうえで、法改正のポイントを紹介します。

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1. 介護保険法とは?

ガベルと書類

介護保険法とは、要介護者が適切に支援を受けられるように制定された法律です。1997年に介護保険法が成立し、2000年に施行されました。

介護保険法の目的は、第1条で以下のとおり定義されています。

この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

引用:介護保険法 | e-Gov 法令検索

1-1. 介護保険法と老人福祉法の違い

介護保険法と老人福祉法は、どちらも高齢者を対象とする法律です。そのため、利用者の手続きをサポートや行政に申請する際、どの制度を利用すればいいかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。

大きく分けると、両法には仕組みや役割に下記のような明確な違いがあります。

  • 制度の目的の違い
  • 対象となるサービスの違い
  • 事業者に求められる対応の違い

介護保険法は、介護が必要となった高齢者や特定疾病患者に対し、公的保険を通じてサービスを提供する制度を定めた法律です。一方、老人福祉法は1963年に制定され、高齢者の生活支援や福祉サービスの基本を定めています。このように、介護保険法は「社会保険制度」、老人福祉法は「福祉措置」に基づいて制定されているので、違いを正確に理解しておきましょう。

参考:介護保険法 | e-Gov 法令検索

参考:老人福祉法 | e-Gov 法令検索

制度の目的の違い

介護保険法の目的は、要介護者が尊厳を保ちながら自立した日常生活を送れるように、社会全体で介護を支える仕組みを構築することです。費用の公平な分担と介護サービスの安定的提供が重視されています。

一方、老人福祉法の目的は、高齢者の福祉向上を基本理念とし、経済的支援や生活基盤の整備を通じて高齢者の生活を保護することにあります。介護保険法が自立支援と持続可能性を重視するのに対し、老人福祉法は高齢者に対する福祉全般の基本原則を示すという点が大きな違いです。

対象となるサービスの違い

介護保険法で提供されるサービスは、訪問介護や通所介護、施設入所など、要介護者の日常生活を直接支援する内容に特化しています。要介護度に応じて利用できる範囲や内容が細かく規定され、利用者は一定の自己負担が必要になることもあります。

一方、老人福祉法に基づくサービスは、老人ホームや老人クラブなど、生活全般の支援や福祉向上を目的とした幅広い取り組みが中心です。生活相談や健康管理といった介護以外の支援も含まれる点が老人福祉法のサービスの特徴です。

事業者に求められる対応の違い

介護保険法に則って事業をおこなう場合は、「指定介護サービス事業者」としての認可を受け、介護報酬請求や人員基準、運営基準などを遵守する必要があります。利用者に対する契約や記録管理などの対応も、法律で定められた義務です。

一方、老人福祉法に基づく事業者は、福祉施設の設置基準や運営指針に従い、高齢者の生活支援をおこなう役割が求められます。

介護保険法では契約と保険制度に基づいた対応が重視されるのに対し、老人福祉法では地域福祉を担う公共性の高い運営姿勢が重視される点が双方の違いです。

2. 【2025年】介護保険法改正のポイント

ブロックをつみあげる

2024年の介護保険法および、施行令、施行規則の改正のポイントは以下の5つです。

  • 介護事業者は財務諸表の公表を義務化
  • 介護サービス・事業者の情報を電子管理化
  • 訪問看護と小規模多機能型居宅介護の組み合わせを容認
  • 介護予防支援を居宅介護支援事業所で提供
  • 科学的介護情報システム(LIFE)の導入促進

また、2025年には「経営情報等の都道府県への報告が原則義務化」という改正もおこなわれています。ここでは、2024年から2025年にかけておこなわれた法改正のポイントについて解説します。

2-1. 介護事業者は財務諸表の公表を義務化

介護事業者は、財務諸表の公表が義務付けられました(第115条44の2第1・2項)。理由は、利用者が介護サービスを選ぶときに、事業者の経営状況を参考にできるようにするためです。

公表対象となる財務諸表には、貸借対照表や損益計算書などが含まれ、事業規模や運営内容に応じた形式での提示が求められます。これらの諸表をもとに、介護事業者が会計年度ごとに、収益や費用などを都道府県知事に報告します。違反した事業者には、監督行政から指導や改善命令、改善されない場合は罰則規定が適用される仕組みです。

財務状況が不透明な事業者もあるでしょう。適切な記録管理や内部統制体制の整備を進め、情報提供をおこなうなど、透明性の高い運営を実現することが求められます。

利用者保護の観点からも、財務諸表の公表は重要であるといえます。

参考:介護保険法 | e-Gov 法令検索

2-2. 介護サービス・事業者の情報を電子管理化

介護サービスや事業者の情報を電子管理する仕組みが導入されました(第115条44の2第3項)。理由は、オンライン上で事業者の情報を管理し、簡単にアクセスできるようにするためです。

これにより、行政機関や関係者がリアルタイムでサービス提供状況や事業者情報を確認できる体制が整います。従来の紙ベース管理に比べ、情報更新の迅速化や集計作業の効率化が可能となります。また、デジタル化が進むと、行政や介護事業者の事務手続きにかかる負担が軽減され、介護サービスの業務に集中することも可能です。

さらに、電子化により利用者のニーズに応じたサービス提供がしやすくなります。利用者も情報を確認しやすくなり、自分に合ったサービスを利用しやすいことも利点です。

ただし、電子管理は個人情報保護法など関連法規に基づき適切に運用する必要があるので、システム導入を検討することをおすすめします。

参考:介護保険法 | e-Gov 法令検索

2-3. 訪問看護と小規模多機能型居宅介護の組み合わせを容認

今回の改正で、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を併用した「複合型サービス」が認められました(介護保険法第8条第23項)。その理由は、在宅での看護サービスの需要が高まってきているためです。

これにより、複数のサービスを組み合わせて利用することが可能となり、利用者の多様なニーズに柔軟に対応できます。ただし、事業者はサービス提供計画の調整や、スタッフ配置の最適化が必要となります。また、併用する場合の費用請求や報酬計算も適正に管理することも求められます。

さらに、併用に際しては、サービス間の連携や情報共有が重要となります。事業者は、他のサービス事業者との連携体制を構築し、利用者にとって最適なサービス提供を実現することも重要な役割です。

参考:介護保険法 | e-Gov 法令検索

2-4. 介護予防支援を居宅介護支援事業所で提供

これまで地域包括支援センターの業務委託を受けていた介護予防支援の提供が、居宅介護支援事業所でも可能になりました(第115条22第1項)。そのため、自治体から指定された居宅介護支援事業所が利用者と直接契約できます。

介護予防支援の提供は地域の高齢者ニーズに応じた対応が求められるため、サービスの質確保と効果測定も重要です。また、行政への報告や記録管理も法的義務として求められるため、体制整備が必要となります。

居宅介護支援事業所は、地域の高齢者に密着したサービスを提供する役割を担っています。この役割に介護予防支援が加わることで、地域包括ケアシステムの中核としての役割を一層強化できます。これにより、高齢者の自立支援や重度化防止を居宅介護支援事業所で包括的におこなうことが可能となります。

利用者は予防支援を身近な場所で受けられるため、要介護状態になるリスクを減らすことが可能です。また、高齢者の健康寿命を伸ばす効果も期待されています。

参考:介護保険法 | e-Gov 法令検索

2-5. 科学的介護情報システム(LIFE)の導入促進

科学的介護情報システム(LIFE|Long-term care Information System For Evidence)の導入が一層促進されました。今回の改正では、LIFEの提出頻度が6ヵ月に1回から3ヵ月に1回に短縮されました。

LIFEとは、介護データを収集・分析し、エビデンスに基づいた介護サービスの提供を支援するシステムです。

導入にあたっては、職員の教育やシステム運用マニュアルの整備が必要です。しかし、事業者はデータを適切に入力・管理することで、介護サービスの効果を科学的に評価できます。さらに、LIFEを活用することで、利用者の状態に応じた最適なサービス提供や、行政による政策立案の基礎資料としての活用も期待されています。

LIFEの導入により、介護サービスの質の見える化が進み、利用者やその家族への情報提供が充実します。これにより、サービス選択の際の判断材料が増えるので、利用者の満足度向上が期待されます。

参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

2-6. 経営情報等の都道府県への報告が原則義務化

2025年1月からは、「介護事業者は財務情報や経営状況などを原則として都道府県に報告する義務」が施行されています。報告対象には収支状況や職員配置、サービス提供量などが含まれており、報告書は定期的に提出する必要があります。

都道府県は、ただ提出させるだけでなく、提出情報を基に事業者の運営適正を確認し、指導や助言をおこなわなければなりません。そのため、事業者は正確な記録管理や内部統制体制の整備が求められます。この義務化により、事業者の透明性向上と利用者の信頼確保、行政による監督の効率化が期待されます。

また、経営情報の報告は、地域の介護サービスの需要と供給のバランスを把握するための重要な資料となります。事業者は、地域の介護ニーズに応じたサービス提供をおこなうための参考として、報告内容を活用することが求められます。

3. 育児・介護休業法の改正

手をつないで歩く親子

育児・介護休業法は、働きながら育児や家族の介護をおこなう労働者を支援するための法律です。介護保険法とは別に制定されている法律ですが、介護も含まれる法律なので、従業員の状況によっては改正が関係してくることがあります。

育児・介護休業法も2024年に改正がおこなわれ、介護に関することは以下の内容が2025年に施行されます。

  • 常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直し
  • 介護両立支援制度等の個別の周知・意向確認、早期の情報提供
  • 介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備の措置
  • 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
  • 育児・介護のためのテレワーク等の導入(努力義務)

このような改正により、事業者には労働者が育児休業や介護休業を取得しやすい環境整備が求められています。さらに、男性の育児休業取得促進に向けた制度運用や、休業中の社会保険料免除措置も明確化されています。

この改正では、労働者の両立支援と事業者の運用体制整備が同時に進められることが期待されるので、事業者は適切に対応していきましょう。

参考:育児・介護休業法令和6年(2024年)改正内容の解説|厚生労働省

4. 介護保険法に基づく介護保険制度の概要

オフィス

介護保険法は、介護保険制度の枠組みを定める法律です。法律内容を理解するには、被保険者の範囲や保険料の仕組み、対象となる疾病、そして給付内容といった介護保険制度の全体像を把握することが欠かせません。ここでは、介護保険制度の基本構造について整理します。

4-1. 介護保険制度の被保険者

介護保険制度の対象者は以下の2種類があります。

第1号被保険者 65歳以上の介護保険加入者
第2号被保険者 40歳から64歳までの介護保険加入者

介護保険制度の被保険者は、介護保険法に基づき40歳以上の国民全員が対象となります。第1号被保険者は65歳以上のすべての人で、要介護または要支援の認定を受けた場合に介護サービスを利用できます。第2号被保険者は40歳から64歳までの医療保険加入者で、加齢に起因する特定疾病により要介護認定を受けた場合に限り給付の対象となる仕組みです。これにより、高齢期に限らず中高年世代においても一定の保障が確保されています。

実務上の留意点として、人事担当者は40歳到達時に介護保険料徴収が開始されることを従業員に周知する必要があります。特に年齢層の広い職場では、制度の対象年齢やサービス利用条件を誤解している従業員も多いため、正確な情報提供が重要です。

4-2. 介護保険料の負担者と負担内容

介護保険料の負担者は、40歳以上の方と第2号被保険者を雇用する事業主です。負担内容は第1号被保険者と第2号被保険者で、以下のとおりそれぞれ異なります。

第1号被保険者 介護保険料は、市町村ごとの基準額をもとに、前年の所得などに応じて決定

原則、年金から天引きで徴収

第2号被保険者 加入する医療保険の保険者ごとに介護保険料率が決まり、標準報酬に乗じて算出

雇用者は事業主と折半で支払う

介護保険料は、被保険者全員に納付義務があります。第1号被保険者である65歳以上は、市区町村が所得段階に応じて定める保険料を納付します。年金受給者については年金からの天引きが基本となります。

一方、第2号被保険者である40歳から64歳は、加入している医療保険(健康保険や国民健康保険等)の仕組みを通じて徴収されます。現時点(2025年)の費用負担は、公費50%・第1号保険料22%・第2号保険料2%とされ、国と地方自治体、そして現役世代と高齢者が分担する形で制度が支えられています。

給与計算では、40歳到達月から自動的に介護保険料控除を開始する処理が必要です。システム更新漏れや控除誤りがあると従業員の不信感やトラブルにつながるため、定期的なチェックと従業員への通知を徹底することが求められます。

参考:介護保険制度について|厚生労働省

4-3. 対象となる主な疾病

先に説明したとおり、第1号被保険者は、原因を問わず要介護または要支援の認定を受けた際に、介護サービスを受けることが可能です。一方、第2号被保険者が介護サービスを受けるには、介護保険制度で指定している以下の特別疾病に該当する必要があります。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

参考:介護保険制度について|厚生労働省

介護保険料は40歳から徴収されるので、従業員によっては40歳から利用できると思っている人もいるかもしれません。そのため、人事担当者は特定疾病に関する知識を持ち、「介護保険の利用可否」に関する正確な情報を伝えられるようにしておくことが重要です。

また、産業医や健康保険組合と連携し、従業員やその家族が制度を円滑に利用できる体制を整えておきましょう。

4-4. 給付の内容

介護保険の給付は、要介護認定を受けた被保険者に対し、現物給付を基本として提供されます。主なサービスには、訪問介護、訪問看護、通所介護、短期入所生活介護、福祉用具貸与、住宅改修などが含まれます。また、施設サービスとしては特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などがあり、利用者は原則として1割(一定の所得を超えた場合は、2~3割負担)の自己負担でサービスを受けられます。

ただし、際限なく給付を受けられるわけではありません。給付限度額は要介護度ごとに設定されており、超過分は全額自己負担となります。ただし、高額介護サービス費制度によって一定の自己負担額を超えた分は払い戻される仕組みも整備されています。

参考:サービスにかかる利用料 | 厚生労働省

5. 介護保険法に基づくサービス・施設の仕組み

ブロックと手

介護保険法では、介護サービスや施設の種類や提供体制についても詳細に定められています。

ここでは、介護支援専門員の役割やサービス事業者の指定制度、介護保険施設の種類など、制度の実施を支える仕組みを整理して紹介します。

5-1. 介護支援専門員とは

介護支援専門員とは、要介護者や要支援者の相談に乗ったり、生活環境や心身の状況に応じてケアプランを作成したりする国家資格者です。具体的には、訪問介護やデイサービスなど、介護サービスの提供について計画をする、介護事業者や行政との間に入って調整を図るなどの業務をおこないます。別名、ケアマネージャーとも呼ばれています。

利用者が適切な介護を受けられるよう支援するのが主な仕事ですが、介護給付の管理もおこないます。サービス利用実績を毎月確認し、給付に必要な書類の作成や提出などの事務手続きをするのも介護支援専門員の重要な仕事です。

介護保険法では、介護支援専門員の義務や禁止事項などを定めているので、介護支援専門員はその内容に従って支援を提供する必要があります。

5-2. 介護サービスの指定制度

介護保険法では、介護サービスを提供する事業者に対し、地方自治体からの指定を義務づけています。一定の基準を満たした事業者のみが、保険給付の対象となるサービスを提供できる仕組みです。

具体的には、以下の事業者に対して指定制度が設けられています。

事業者 概要 指定者
居宅サービス事業者 訪問介護や訪問看護、リハビリなど、利用者の自宅で提供されるサービスを実施。 都道府県
地域密着型サービス事業者 認知症対応型通所介護や小規模多機能型など、地域に密着した10種類のサービスを提供 市町村
居宅介護支援事業者 利用者の依頼を受け、介護サービス計画の作成や関係機関との連絡調整をおこなう 市町村
介護予防サービス事業者 介護予防を目的とした訪問看護やリハビリなど、12種類のサービスを提供 都道府県
地域密着型介護予防サービス事業者 認知症対応型の通所介護や小規模多機能型など、地域密着型の介護予防サービスを提供 市町村
介護予防支援事業者 介護予防サービス利用のための計画作成や連絡調整をおこなう 市町村

5-3. 介護保険施設の種類

介護保険法では、介護保険施設の種類についても明確に定めています。介護保険施設の種類は、指定介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院の3種類で、概要は以下の表のとおりです。

施設名 概要
指定介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) 常に介護が必要で自宅での生活が難しい高齢者が対象。食事や入浴、排せつなど、日常生活に必要な介護や支援を長期にわたって提供する施設
介護老人保健施設 病状が安定しており、在宅復帰を目指す高齢者が対象。医師や看護師、リハビリ職などが配置され、医学的管理のもとでリハビリを中心とした支援をおこなう施設
介護医療院 長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者が対象。療養機能と生活支援機能を併せ持ち、医療と介護を一体的に提供する施設です。施設の人員基準からⅠ型とⅡ型がある

6. 法改正に対する事業者に必要な対応

チェックのブロック

法改正により、介護保険法や育児・介護休業法の規定が変更された場合は、従業員への周知や運用体制の整備などの対応が求められます。

対応は事業者ごとに異なりますが、基本として制度内容を正確に理解し、従業員への説明や社内研修、社内規程の改定を適切におこなうことが重要です。スムーズに対応することで、法令遵守を徹底しつつ、従業員が制度を活用しやすい環境を整えることができます。

ここでは、法改正がおこなわれた際に必要となる、事業者の対応を解説していきます。

6-1. 法改正の内容を従業員に説明する

まずは、介護保険法や育児・介護休業法など最新の法改正内容を従業員に正確に伝えましょう。法改正の内容を従業員に適切に伝えることは、企業のコンプライアンスを確保する上で最も基本的かつ重要なステップです。

法改正により、休業取得条件や介護サービスの利用方法、報酬請求や情報管理の方法が変更になることがあります。その際、従業員が制度を正しく理解できなければ制度の活用が難しくなります。

そのため、改正点や具体的な影響をわかりやすく整理し、社内通知や説明会、資料配布を通じて周知を徹底する必要があるのです。また、質問や疑問に対応する窓口を設置し、従業員が安心して制度を利用できる体制を整えることも重要です。

適切な説明により、従業員の理解度向上と制度活用促進、さらには法令遵守の強化が期待されます。

6-2. 法改正に対応するための内部研修の実施

法改正に伴う社内対応を円滑に進めるためには、従業員への研修が不可欠です。特に、人事・総務部門の担当者は、改正内容を深く理解し、実務に落とし込む能力が求められます。そのためには、厚生労働省や各都道府県が提供する研修プログラムを積極的に活用し、最新の情報をキャッチアップすることが重要です。

また、従業員の改正法への対応を確実にするためには、内部研修を計画的に実施する必要があります。研修では、法改正の内容に加え、具体的な業務への影響や対応手順、書類作成や情報管理の方法まで教育することが重要です。

介護事業者や人事部門の担当者だけでなく、現場で制度を活用する従業員全体を対象とし、ケーススタディやロールプレイを交えることで理解度を高められます。研修実施後には、理解度の確認やフィードバックをおこなうことも重要です。また、必要に応じて補足教育を実施することで、現場の混乱を防ぎ、法改正への円滑な対応が可能となります。

また、研修記録の保管は法令遵守や内部監査の観点でも重要です。

6-3. 社内規程規定の改定

法改正に対応するためには、就業規則や育児・介護休業規程など、社内規程の見直す必要があります。わかりにくい場合は、厚生労働省が提供する「モデル就業規則」や「改正法令対応ガイドライン」を参考にしましょう。

改定で重要なのは、休業取得手続き、期間、給付金の取り扱い、労働時間調整のルールなどを明確に規定し、改正内容を適切に反映させることです。例えば、育児・介護休業法の改正により、休業の取得手続きや期間、給付金の取り扱いが変更された場合、これらを社内規程に明記し、従業員が容易に理解できるようにしましょう。

また、社内規程の改定後には、従業員への周知を徹底してください。周知できていないと、改定内容が実務に適用されない可能性があります。また、規程改定後は、運用状況を定期的に確認し、実務上の問題点があれば速やかに修正する体制を整えておきましょう。

法改正は一度で終わるものではないため、定期的に見直しをおこない、常に最新の情報を反映させることが重要です。

7. 介護保険法の改正に注意しよう

介護する女性

介護保険法は、介護を必要とする方を支援する法律です。制度をうまく活用することで、要介護者の家族がいる従業員は、訪問介護やデイサービス、施設入所などのサービスの費用の給付を受けることが可能になります。

ただし、介護保険法は改正されることもあるので、制度を正確に把握し、法令に基づいた運用体制を整えておく必要があります。また、従業員への周知や社内規程の改定など、適切な対応も求められます。

労務担当者や企業経営者の方は、従業員が介護保険法の対象者となった際に適切に介護保険料を納められるよう、理解を深めておきましょう。

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