一時帰休とは?助成金制度や実施手順をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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一時帰休とは?助成金制度や実施手順をわかりやすく解説

木とビル

一時的に社員を休業させる「一時帰休」という措置があります。仕事の減少に合わせて一時的に従業員を休業させれば人件費の削減が可能です。雇用は確保したままであるため、業績回復後に人材を集める必要もありません。
この記事では、一時帰休の基本的な情報と助成金制度、実施手順などをわかりやすく解説します。一時的な業績不振を乗り切りたいと考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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  • □ 解雇を検討する際に押さえるべき3つの種類と法的要件
  • □ 「不当解雇」と判断されないための具体的な進め方と注意点
  • □ 有期雇用契約における「雇止め」の正しい手順と留意点
  • □ 最新の法改正(2024年4月)に対応した労働条件明示のルール

一つでも不安な項目があれば、正しい手続きの参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 一時帰休とは

意味は何か

一時帰休とは、企業の業績が悪化して仕事量が減った際に、会社の責に帰すべき事由として従業員に一時的に休業してもらうことです。企業としてのイメージダウンは避けられませんが、一時休業をすればリストラや賃金カットをすることなく、人材の確保と人件費の削減の両方を実現できます。

ただし、一時帰休による従業員への影響は大きいため、実施する際は慎重におこなわなければなりません。

対象者についても企業が自由に決められますが、国籍や性別による差別的な選別をおこなわないよう注意する必要があります。

1-1. 一時帰休の期間

一時帰休は企業の期間は法律では定められておらず、業績回復の見通しや資金繰りを考慮して、企業が自由に決めることができます。

しかし、一時帰休中は従業員の給与も減り、不安を大きくしてしまいます。また、一時帰休の期間が長くなると取引先や顧客の信用を落としかねません。

こうした理由から、一時帰休の期間は短いほど良いとされています。数日から長くても1週間ほどを目安とし、可能な限り短い期間にできるように計画しましょう。

1-2. 一時帰休中の過ごし方

一時帰休中の過ごし方は、基本的には従業員が自由に決められます。しかし、何もしないままの日が続いてしまっては、従業員にとってなにもプラスになりません。

たとえば、副業の許可を出して減ってしまう収入分を補えるようにする、スキルアップや勉強会などを提案して有意義に使ってもらうなど、会社が指針を出すことも考えましょう。

一時帰休中は「このまま仕事に戻れないのでは」という不安を従業員が抱えやすいです。その不安から転職を考えてしまわないように、一時帰休中も会社とのつながりを維持できるように工夫しましょう。

2. 一時帰休中の賃金はどうなる?

手当の支払い

一時帰休は業務量の減少や業績悪化を理由におこなわれることが多いです。人件費をはじめとした経費削減を目的としておこなわれますが、一時帰休中も賃金は発生します。計算方法を知って、正しく支給しましょう。

2-1. 一時帰休の間も賃金を補償する義務がある

一時帰休の対象になった従業員に対しても、会社は賃金を休業手当として賃金を補償しなければなりません。

一時帰休による休業手当の支払い対象は、正社員・パート・アルバイト・非正規雇用労働者です。雇用形態による対応の差はありません。ただし、派遣社員に休業を命じた場合には、企業ではなく派遣元が休業手当を支払う形になります。

業績の回復を目的に一時帰休をおこなった場合、事由として当てはまるのは「使用者の責に帰すべき事由」です。労働基準法第26条には、対象者全員に平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことが義務付けられています。

ただし、事業とは関係なく生じた災害が原因となり、やむを得ず一時帰休する場合には休業手当の支払いが義務付けられていません。

参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索

2-2. 休業手当の計算方法

休業手当は、平均賃金の60%以上を支払わなければなりません。計算方法は以下の順でおこなっていきます。

①平均賃金を算出する

休業手当の計算には、平均賃金を用います。平均賃金は以下の計算式で求めます。

平均賃金=休業開始日の直前3か月の賃金総額 ÷ 直前3ヶ月の総日数 × 0.6

②1日当たりの休業手当を算出する

平均賃金を求めたら次は平均賃金を使って1日当たりの休業手当の金額を求めます。

1日当たりの休業手当の金額=平均賃金 × 休業手当支払い率(60%以上)

休業手当の支払い率は最低60%です。この数値以上で計算するようにしましょう。

③休業手当の総支給額を算出する

最後に一時帰休中の休業手当の総支給額を計算します。

一時帰休中の休業手当の総支給額=1日当たりの休業手当の金額 × 一時帰休日数

一時帰休中の賃金として、会社は一時帰休対象者に対してこの金額を支払う義務があります。間違いの内容に計算し、正しく支給しましょう。

3. 一時帰休を実施した企業は雇用調整助成金の受給が可能

助成金の受給

一時帰休を実施した企業は、雇用調整助成金の受給が受けられます。助成金の額は1日の休業手当の額に対して、以下の助成率を乗じた額です。

くわえて、従業員の学び直しの機会を充実させるために、教育訓練をおこなった日数により「教育訓練加算額」が加算されます。

以下の表は、令和6年4月以降に開始する対象期間からの適用です。また、令和6年能登半島地震に伴う特例を利用している事業主には適用されません。

教育訓練実施率 企業規模 助成率 教育訓練加算額
1/10未満 中小企業 1/2 1,200円
大企業 1/4
1/10以上1/5未満 中小企業 2/3
大企業 1/2
1/5以上 中小企業 2/3 1,800円
大企業 1/2

雇用調整助成金の申請には、「休業等実施計画(変更)届け」とその他必要書類の提出が必要です。厚生労働省のホームページにて様式をダウンロードし、労働局や書類の受付を実施しているハローワークに提出しましょう。

雇用調整助成金の支給限度日数は、1年間で100日、3年間で150日です。休業手当が平均賃金の60%より少ない場合には助成金が支給されません。

参考:令和6年4月から、雇用調整助成金の制度が変わります。|厚生労働省

参考:雇用調整助成金の様式ダウンロード|厚生労働省

4. 一時帰休と一時解雇(レイオフ)・整理解雇(リストラ)の違い

様々な休業

一時帰休と似た用語に、一時解雇や整理解雇があります。どちらも人件費削減を目的としておこなわれるため、一時帰休と混同しやすいです。どのような違いがあるのか、十分に理解しておきましょう。

4-1. 一時解雇(レイオフ)との違い

一時帰休は休業であるため雇用契約はそのままですが、一時解雇(レイオフ)は雇用契約が一度終了します。

一時解雇(レイオフ)とは、企業の業績が下がった際に従業員を一時的に解雇することです。業績が回復した際には、従業員は再雇用されることが確定しています。

一時帰休は従業員に休業手当を払う必要がありますが、一時解雇(レイオフ)に休業手当はありません。

ただし日本では、従業員を解雇する際に複数の要件を満たす必要があります。簡単に認められるものではないため、日本で一時解雇(レイオフ)を実施するのは難しいでしょう。

4-2. 整理解雇(リストラ)との違い

整理解雇(リストラ)も雇用契約が終了します。

整理解雇(リストラ)とは、企業の業績不振や経営の合理化を理由に人員を解雇することです。一時解雇(レイオフ)のように業績回復後に再雇用されることもありません。

ただし、日本では労働者は労働基準法に守られているため、企業は従業員を簡単には解雇できません。

整理解雇(リストラ)を実施するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避の努力
  • 解雇者選定の合理性
  • 解雇手続きの相当性

不当な解雇はトラブルに発展するため、注意が必要です。

5. 一時帰休によるメリットと課題

メリットのブロック

一時帰休にはコスト削減という大きなメリットがあります。しかし、課題も多いため安易に実施できるものではありません。一時帰休のメリットと課題を理解し、本当に実施するか検討しましょう。

5-1. 一時帰休のメリット

一時帰休のメリットとしてまず挙げられるのは、人件費の削減です。休業手当の支給は必要ですが、一時帰休の対象者が多ければ大幅な削減も可能でしょう。エアコンやパソコンの使用率も下がり、光熱費も抑えやすくなるため、経費の削減もできます。

また、一時解雇とは異なり、一時帰休では雇用契約が継続します。優秀な人材や経験豊富な人材の雇用を維持したまま、一時的に人件費を削減できるというメリットがあります。従業員の雇用を維持できることは、スムーズな業務の再開にもつながります。

業績回復の見込みが見え次第すぐに業務を再開できるというのは、大きな支えになるでしょう。

5-2. 一時帰休の課題

一時帰休の課題としてあげられるのは、人件費の削減効果が一時解雇や整理解雇よりも低く、継続的ではないという点です。一時帰休中は休業手当の支給が必要であり、長くても数週間で終わらせることが望ましいからです。

従業員の負担も一時帰休の課題です。復帰することを前提とした一時帰休だとしても、従業員は「今後どうなるのだろう」という不安を抱えます。その不安が大きくなれば、転職を考える人も出てくるでしょう。通常の賃金の60%まで収入が落ち込んでしまうことも、収入減という大きな負担になります。

6. 一時帰休を実施する手順

手順とPC

一時帰休を実施する際の手順は以下のとおりです。

  1. 実施目的を決め見通しを立てる
  2. 期間・対象者を決める
  3. 休業期間中の条件を決定する
  4. 従業員に説明する

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

6-1. 実施目的を決め見通しを立てる

一時帰休を検討する際には、実施する目的を決めて見通しを立てることが大切です。条件を明確に定めて、それを元に期間や対象者を決めていきます。

  • 業績や行政からの休業要請など、一時休業の判断材料と休業措置の基準
  • 休業期間の目安
  • 休業期間中の業績回復の予測

これらを決めておけば、従業員も一時的な措置であることを理解し、安心できるでしょう。

6-2. 期間・対象者を決める

実施目的や条件に基づいて、一時帰休の期間と対象者を決定します。

期間は業績回復の予測に基づいて、できる限り短くすることが望ましいです。

対象者は、国籍や性別などによって決めてはなりません。業務の内容や部署によって公平に決定するようにしましょう。また、休業しない従業員に負担が増えることを考慮し、休業する従業員の業務に対応しやすい人員を残すことも大切です。

6-3. 休業期間中の条件を決定する

一時休業期間中の条件も明確にする必要があります。

一時帰休は一時的な措置であり、従業員が戻ってきてスムーズに業務を再開できることが大きなメリットです。このメリットを活かすために、一時帰休対象者が離職しないように配慮することが大切です。

一時休業中は休業手当として平均賃金の60%を支給することになります。この支給額に上限はないため、従業員に寄り添った金額を設定しましょう。

6-4. 従業員に説明する

一時帰休の準備が整ったら、従業員にしっかりと説明します。

労使協定がある場合は、その内容に基づいて説明と協議をおこないましょう。

労使協定がない場合は、一時帰休が必要な理由や、今後の見通しなどを説明します。そのうえで労働組合か労働者の代表者と労使協定を締結します。労使協定は助成金の申請にも必要になるため、しっかりと締結して協定書を保管することが重要です。

参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索

7. 一時帰休を実施する際の3つの注意点

注意点

一時帰休を実施する際の注意点は以下のとおりです。

  • 雇用調整助成金の対象となるのは雇用保険の加入期間が6ヵ月以上の従業員
  • 休業中も社会保険料の支払い義務はある
  • 従業員の不安に寄り添うようにする

それぞれの注意点を詳しく解説します。

7-1. 雇用調整助成金の対象となるのは雇用保険の加入期間が6ヵ月以上の従業員

雇用調整助成金は、事業主が判定基礎期間の初日から起算して6ヵ月以上前から雇用保険の適用事業主であること、また、基準期間の末日の属する月の前月から起算して1年間に、雇用保険の被保険者として引き続き雇用されている期間が6ヵ月以上の者が事業主に雇用されていることなど、複数の要件を満たす必要があります。以前勤務していた企業で加入していた期間は含まれないため注意しましょう。

休業手当の支給は、雇用調整助成金の支給とは独立した労働基準法第26条に基づく事業主の義務です。助成金の対象外である従業員に対しても、企業の責に帰すべき事由による休業であれば、休業手当の支払い義務が発生します。

7-2. 休業中も社会保険料の支払い義務はある

休業中でも社会保険の被保険者資格は存続します。基本的に社会保険料は通常の給与を元に決定するため、多くの場合社会保険料は変わりません。

ただし、以下の場合は社会保険料の月額変更の対象となります。

  • 休業手当が通常時の報酬よりも低い状態が3ヵ月以上続いた場合
  • 休業手当が通常の報酬よりも2等級以上差がつく場合

社会保険料の「随時改定」の手続きを取れば、4ヵ月目から標準報酬が改定されます。

基本的には休業手当から従来の社会保険料を支払う必要があるため、休業手当が通常の報酬よりも低い場合には、社会保険料の天引きにより手取り額がさらに低くなるでしょう。

一時帰休を実施する際には、対象となる従業員に社会保険料に関する説明も必要です。

参考:一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて|厚生労働省

6-2. 従業員の不安に寄り添うようにする

一時休業と聞くと、多くの従業員は「業績が悪化した」「そのまま解雇になったらどうしよう」「収入が減って苦しくなる」という不安を抱えます。会社はそうした不安を理解し、寄り添うことが大切です。

特に一時帰休中の賃金は、従業員に落ち度がないにもかかわらず減ってしまいます。ここに不安や不満を抱える人は多いため、休業手当として支給する金額は熟慮する必要があります。従業員が戻ってこなければ事業は継続できません。業績の回復だけでなく、従業員との信頼関係を崩さないように十分に配慮しましょう。

8. 一時帰休は従業員の負担に配慮して実施を検討しよう

従業員のサポート

一時帰休は従業員との雇用契約を継続したまま休業させられるため、人材が流出する心配がなく人件費を削減できます。休業中は休業手当を支払う義務がありますが、雇用調整助成金の利用も可能です。
しかし多くの場合、休業している間は従業員の収入が減少します。職場に残った従業員の負担も大きくなる場合が多いでしょう。従業員の生活や労働環境も考慮し、一時帰休は最短の期間で実施することが求められます。
実施する際には、従業員の不安を解消できるよう、従業員一人ひとりに適切なサポートをおこないましょう。

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労働者保護の観点から、解雇には様々な法規定があり、解雇の理由に合理性が無ければ認められません。
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  • □ 解雇を検討する際に押さえるべき3つの種類と法的要件
  • □ 「不当解雇」と判断されないための具体的な進め方と注意点
  • □ 有期雇用契約における「雇止め」の正しい手順と留意点
  • □ 最新の法改正(2024年4月)に対応した労働条件明示のルール

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