労働安全衛生法における健康診断の実施は義務?種類・対象者・費用負担を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働安全衛生法における健康診断の実施は義務?種類・対象者・費用負担を解説

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労働安全衛生法では、企業に対して従業員への健康診断の実施が義務付けられています。また、費用の負担や診断結果に応じた事後措置を適切におこなうことも重要です。

本記事では、企業に求められる健康診断の義務や種類、対象者の条件、費用負担の考え方に加え、受診率を向上させるためのポイントについてわかりやすく解説します。

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1. 労働安全衛生法における健康診断の実施は企業の義務

白衣を着た男性

従業員に対する健康診断の実施は、労働安全衛生法第66条により企業に義務付けられています。健康診断を実施しないなど法令に違反した場合は、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、健康診断は実施するだけでなく、結果の記録や本人への通知、医師等からの意見聴取、必要に応じた就業上の措置などの事後措置も適切に実施しなければなりません。

さらに、健康診断の結果は個人情報に該当するので、実施事務に従事する者には守秘義務が課されています。企業には個人情報保護法に基づく適切な管理体制の整備も求められます。

参考:労働安全衛生法第66条、第120条|e-Gov法令検索
参考:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~|厚生労働省

関連記事:健康診断は会社の義務!健診内容や項目、結果の扱い、費用負担を徹底解説

1-1. 2028年4月から従業員数50人未満のストレスチェック義務化!

労働安全衛生法改正により、2028年4月からは常時50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。

ストレスチェックとは、従業員が質問票に回答し、自身のストレス状態を把握するための制度です。従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止するとともに、職場環境の改善につなげることを目的としています。

義務化の対象となる事業場では、原則として年1回以上ストレスチェックを実施し、その結果を本人へ通知しなければなりません。また、高ストレスと判定された従業員から申し出があった場合は、医師による面接指導を実施し、必要に応じて就業上の措置を講じることも求められます。

従業員数50人未満の企業では、これまで制度を導入していなかったケースも少なくありません。義務化開始後に慌てることがないよう、実施体制の整備や担当者の選任などを早めに進めておくことが大切です。

参考:ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策|厚生労働省

関連記事:ストレスチェックとは?必要性・メリット・効果を高める方法を解説

2. 健康診断の種類

健康診断

健康診断の種類は次のとおりです。

  • 一般健康診断
  • 特殊健康診断
  • じん肺検診
  • 歯科医師による健診

2-1. 一般健康診断

一般健康診断は、すべての従業員に対して実施される基本的な健康診断です。従業員の健康状態を把握し、健康リスクを早期に発見するために実施されます。

一般健診は、次の5つに分類されます。

種類 対象者 実施時期
雇用時の健康診断 常時使用する従業員 雇入時
定期健康診断 常時使用する従業員 1年以内ごとに1回
特定業務従事者の健康診断 労働安全衛生規則第13条第1項第2号に該当する従業員 ・6ヵ月以内ごとに1回

・配置換え時

海外派遣労働者の健康診断 海外に6ヵ月以上派遣する従業員 海外に派遣する前と帰国後
給食従業員の検便 事業所に附属する食堂・炊事場で給食業務を担当する労働者 ・雇入時

・配置換え時

参考:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~|厚生労働省

特定業務従事者とは、深夜業務や危険な業務に携わる従業員のことです。健康上のリスクが高いことから、別途設けられています。

2-2. 特殊健康診断

特殊健康診断とは、特定の有害業務に従事する従業員を対象に、一般健康診断ではカバーできない特別な検査を実施する健康診断です。

有害な作業環境や、業務が原因で発生する職業病や健康障害を予防・早期発見し、従業員の健康リスクを最小限に抑えることを目的としています。

化学物質や粉塵、有害な放射線など、健康リスクを伴う業務に従事する従業員の健康を守るために、労働安全衛生法によって義務付けられました。特殊健康診断の対象者は、次のような有害業務に従事する従業員です。

業務内容 具体例
有機溶剤業務 トルエン・ベンゼンなどを使用する業務
粉塵作業 石炭や鉱物の取り扱いなど大量の粉塵が発生する業務
特定化学物質の取り扱い 鉛やアスベストなど、有害物質を取り扱う業務
放射線作業 放射線を扱う、また発生する機器を取り扱う業務
振動・騒音作業 長時間にわたって強い振動や騒音にさらされる業務

特殊健康診断の対象者は、健康被害のリスクが高い業務に従事しているため、配置替え時と6ヵ月以内に1回、必ずおこなわなければなりません。

従業員の健康に異常が見つかった場合、該当業務からの除外などの措置を取る必要があります。

参考:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~|厚生労働省

2-3. じん肺検診

じん肺検診は、粉塵を吸い込むことにより発生するじん肺(呼吸器疾患)を早期に発見し、予防するための健康診断です。じん肺検診は次のような業務に従事する従業員が対象となります。

  • 石炭や鉱石の採掘作業
  • セメントやコンクリートを扱う建設作業
  • トンネル掘削や解体作業

じん肺は、長期間にわたり粉塵を吸入することで肺に粉塵が蓄積し、肺が硬化する病気です。進行すると、咳や痰、呼吸困難などを引き起こし、重症化すると命に関わることもあります。

労働安全衛生法では定期的なじん肺検診を義務付けており、実施頻度は原則3年に1回、じん肺の兆候がある場合は1年に1回です。

参考:じん肺法に基づく健康診断|厚生労働省

2-4. 歯科医師による健診

歯科健康診断は、歯や口腔の健康状態を確認し、有害業務による影響の有無を把握するために実施されます。

対象となるのは、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄リンなど、歯またはその支持組織に有害なガス、蒸気または粉じんを発散する場所において、常時業務に従事する労働者です。

実施時期は、雇入れ時、当該業務への配置換え時、およびその後6ヵ月以内ごとに1回です。

参考:労働安全衛生法に基づく⻭科医師による健康診断を実施しましょう|厚生労働省

3. 健康診断の対象者

木の人形

健康診断の対象者は、次のような従業員です。

  • 正社員|全員が受診対象
  • 契約社員・パート・アルバイト|条件によって受診対象
  • 派遣社員|労働契約の締結先ごとに受診対象
  • 役員|役職により受診対象

3-1. 正社員|全員が受診対象

正社員は通常、労働契約に基づきフルタイムで働いているため、全員が1年に1回の定期健康診断の対象者となります。また、有害業務に従事する場合は特殊健康診断の対象です。

なお、定期健康診断の実施時期に、従業員が産前産後休業・育児休業や療養などで休業している場合、その休業期間中に健康診断を実施しなくても問題ありません。ただし、復職後は健康状態を確認するため、できるだけ早い時期に定期健康診断を実施することが重要です。

参考:健康診断Q&A|厚生労働省

3-2. 契約社員・パート・アルバイト|条件によって受診対象

契約社員やパート・アルバイトの従業員は、次のいずれも条件を満たしていれば健康診断の対象者となります。

  • 1年以上の雇用が見込まれている、もしくは1年以上雇用されていること(雇用期間要件)
  • 1週間あたりの労働時間が正社員の4分の3以上であること(労働時間要件)

また、労働時間要件を満たさない場合でも、雇用期間要件を満たし、1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する正社員のおおむね2分の1以上である従業員については、健康診断を実施することが望ましいとされています。

参考:パート労働者にも健康診断が必要? ~ 常時使用する労働者とは ~ 定期健康診断 有機溶剤等|厚生労働省

3-3. 派遣社員|労働契約の締結先ごとに受診対象

派遣社員も健康診断の対象となります。

派遣社員は、派遣元の企業と労働契約を結んでいるため、一般健康診断の実施義務は派遣元に発生する仕組みです。つまり、派遣先の企業に一般健康診断の実施義務はありません。

ただし、派遣社員が有害業務に従事する場合は、派遣先が特殊健康診断を実施する必要があります。また、実施した特殊健康診断の結果を記録した書面を作成し、派遣元に送付しなければならないので注意しましょう。

参考:第3章 派遣元が実施すべき事項|厚生労働省
参考:特殊健診の結果も通知すべきでしょうか|厚生労働省

3-4. 役員|役職により受診対象

役員は、労働者性の有無によって健康診断の受診対象となるかどうかが変わります。例えば、取締役と工場長を兼任しているなど、労働性のある役員は健康診断の対象です。

一方、代表取締役社長など、役員のみに就任している場合は、事業主とみなされるため健康診断の対象になりません。

4. 健康診断の費用は企業が全額負担する

ビルと空

企業が実施義務を負う健康診断費用は、原則として企業が全額負担しなければなりません。これは、健康診断が労働安全衛生法に基づく事業者の義務であり、事業運営に必要な安全衛生管理の一環と位置付けられているためです。

健康診断の費用は、企業が医療機関へ直接支払う方法のほか、従業員が一時的に立て替え、後日領収書を提出して精算する方法でも問題ありません。ただし、最終的な費用負担は企業がおこなう必要があります。

企業は健康診断を確実に受診できるよう、費用負担のルールを明確にし、従業員へ周知しておくことが大切です。

参考:健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?|厚生労働省

4-1. 企業負担の対象外となる健康診断費用とは?

企業が負担すべきなのは、法令で実施が義務付けられている健康診断に必要な費用です。そのため、従業員本人の希望によるオプション検査や法定項目を超える人間ドックの追加検査などは、企業に負担義務はありません。

また、法定健康診断の結果を受けて医療機関で精密検査や再検査、治療を受ける場合についても、法律上、企業にその費用を負担する義務はありません。

とはいえ、健康診断で異常所見が見つかった従業員が精密検査や再検査を受けない場合は、疾病の早期発見・早期治療という健康診断の目的を十分に達成できない可能性があります。

そのため、企業は福利厚生の一環として費用の一部を補助するなど、従業員が受診しやすい環境を整えることが望ましいでしょう。

4-2. 健康診断受診中における給与は支払うのが望ましい

健康診断の受診時間に対する給与については、法律上、企業に支払い義務が明確に定められているわけではありません。

ただし、一般健康診断は業務遂行と直接関係するものではありませんが、労働者の安全と健康を確保するための安全衛生管理の一環として実施されるものです

そのため、従業員が円滑に健康診断を受けられるよう、一般健康診断の受診時間を労働時間として取り扱い、賃金を支払うことが望ましいとされています

一方、特殊健康診断は、有害業務に従事する労働者に対して業務遂行に関連して事業者が実施する義務のある健康診断です。

そのため、特殊健康診断の受診時間は労働時間として取り扱われ、その時間に対する給与を支払わなければなりません。

トラブルを防ぐためにも、健康診断受診時の給与の取り扱いは、社内規程であらかじめ定め、従業員へ周知しておくとよいでしょう。

参考:健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?|厚生労働省

5. 健康診断を実施する際の重要ポイント

ビックリマーク

健康診断は実施するだけでなく、その後の対応や受診しやすい環境づくりまで含めて取り組むことが大切です。ここでは、企業が健康診断を適切に実施・運用するために押さえておきたい重要なポイントを紹介します。

5-1. 従業員には「医師選択の自由」が認められている

労働安全衛生法では、従業員には企業が指定する医師以外の医師による健康診断を受診する「医師選択の自由」が認められています。そのため、企業が指定した医療機関での受診を一律に強制することはできません。

一方で、従業員には健康診断を受診する義務があります。そのため、企業指定以外の医療機関で受診した場合は、その健康診断結果を企業へ提出する必要があります。

また、企業が健康診断の受診を命じているにもかかわらず、従業員が正当な理由なく受診を拒否した場合には、就業規則の内容などを踏まえ、懲戒処分が認められる可能性があります。

ただし、懲戒処分はあくまで最終的な手段と考えるべきです。まずは受診の必要性を丁寧に説明し、受診できない事情がある場合は本人から十分に話を聞いたうえで、日程や方法を調整するなど、可能な範囲で柔軟に対応することが重要です。

また、トラブルを防ぐためにも、就業規則に健康診断の受診義務や正当な理由なく受診を拒否した場合の取り扱いを明記し、あらかじめ従業員へ周知しておくことが大切です。

参考:健康診断Q&A|厚生労働省

5-2. 健康診断の事後措置も企業の義務

企業の義務は、健康診断を実施して終わりではありません。健康診断の結果に基づき、必要な事後措置を講じることも、労働安全衛生法で義務付けられています。

まず、企業は健康診断の結果を従業員本人へ通知するとともに、健康診断個人票を作成し、法令で定められた期間(一般健康診断は原則5年間)保存しなければなりません。

また、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断などの実施結果について、健康診断結果報告書を所轄の労働基準監督署長へ遅滞なく提出する必要があります。

さらに、健康診断の結果で異常の所見が認められた従業員については、医師等から就業上の措置に関する意見を聴取し、その内容を踏まえて、労働時間の短縮や作業内容の変更、配置転換など、必要な措置を検討・実施しなければなりません。

このほか、健康の保持・増進を図るため、再検査や精密検査の受診を勧奨したり、医師や保健師による保健指導を案内したりすることも大切です。なお、保健指導については、特に健康の保持に努める必要がある従業員に対して実施するよう努めることが事業者の努力義務とされています。

参考:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~|厚生労働省

関連記事:健康診断の結果の保存期間は?保管までの流れや関連法律を解説

5-3. 健康診断の未実施・不適切な対応によるリスク

健康診断を実施しなかった場合や、健康診断後に必要な事後措置を講じなかった場合は、労働安全衛生法違反となる可能性があります。

労働基準監督署から是正指導を受ける場合があるほか、違反内容によっては労働安全衛生法に基づく罰則の対象となることもあるでしょう。

また、従業員の健康状態を適切に把握・管理できないことで、疾病の重症化や労働災害につながるおそれがあります。企業が安全配慮義務を十分に果たしていなかったと判断された場合には、損害賠償責任を負う可能性もあります。

労働安全衛生法違反は法的なリスクだけでなく、従業員からの信頼低下や企業イメージの悪化にもつながるので、健康診断と事後措置は適切に実施しましょう。

関連記事:労働安全衛生法に違反した場合の罰則と違反事例、企業の果たすべき対策を解説

5-4. 健康診断を受診しやすい環境づくりが重要

定期健康診断は法令で実施が義務付けられていますが、受診しない従業員がいることも少なくありません。受診率を向上させるには、受診しない理由を把握し、それぞれの原因に応じた対策を講じることが重要です。

受診しない理由 主な対策
業務が忙しく受診時間を確保できない
  • 勤務時間内で受診できるようにする
  • 受診日や受診時間の選択肢を増やす
健康診断の必要性を十分に理解していない
  • 健康診断の受診が法令上の義務であることを周知する
  • 健康管理の重要性を継続的に伝える
診断結果や病気の発見に不安を感じている
  • 再検査・精密検査の案内
  • 専門医を紹介する

6. 健康診断を適切に実施して従業員の健康管理に役立てよう

電球にこ

労働安全衛生法に基づく健康診断は、企業の義務です。診断費用は原則として企業が負担し、従業員に負担がかからないよう配慮することが求められます。

一方で、業務の都合や健康診断に対する不安などを理由に、受診をためらう従業員がいるケースもあります。企業は従業員に健康診断の重要性を伝えつつ、受診しやすい環境を整えることが大切です。

健康診断に対する重要性を再確認し、従業員一人ひとりの健康を守る体制を強化しましょう。

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