ストレスチェックの義務化が50人未満の事業所にも拡大予定!導入方法や罰則を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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ストレスチェックの義務化が50人未満の事業所にも拡大予定!導入方法や罰則を解説

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ストレスチェック制度は従業員のメンタルヘルスを守り、健康的で働きやすい職場を作るために導入された仕組みです。将来的にはすべての企業で義務化が予定されており、義務化の範囲は拡大中です。

この記事では、ストレスチェック義務化の現状や予定、導入方法などについて解説します。

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1. 50人未満の事業所も対象に。ストレスチェックの義務化とは

はてな

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスを守るためにおこなう検査です。従業員のストレス状態を把握し、改善するきっかけを作ることを目的としています。

2015年からストレスチェックの義務化が進んでおり、2025年現在は労働者50人以上の事業場に限定して義務化がされています。

この義務化は少しずつ拡大される予定で、2025年3月には労働安全衛生法の改正案が決定し、労働者50人未満の企業でもストレスチェックを義務化する方針が決まりました。2028年までには義務化が実施されると考えられています。

なお、ストレスチェックの対象となるのは正社員だけではありません。以下の条件に該当する場合はパートやアルバイト、派遣社員も対象となります。

  • 1年以上の契約、または更新で1年以上働く予定がある
  • 週労働時間が通常労働者の4分の3以上ある

上記の条件を満たさない場合でも、週労働時間が通常労働者の2分の1以上ある従業員には実施が望ましいとされています。

参考:ストレスチェック制度導入マニュアル|厚生労働省

参考:ストレスチェック制度について|厚生労働省

参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要|厚生労働省

2. ストレスチェックが義務化された背景

男性

ストレスチェックが義務化された理由は、精神障害による労災認定件数が年々増加しており、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ必要性が高まったためです。

厚生労働省の調査では、パワーハラスメントや業務内容の大きな変化が、精神障害の主な原因とされています。これらの問題は、職場の環境改善やメンタル不調の初期発見により改善できるものであると考えられています。ストレスチェックによって早期に問題を見つけることができれば、精神障害に至る前に適切な対応がしやすくなるため、義務化が進められました。

しかし、ストレスチェックの義務化が始まった後も精神障害による労災認定件数は増加し続けています。これはストレスチェックが適切に運用されていないことや、結果を活かした対応ができていないことが原因です。

また、2023年の調査では義務化範囲外の50人未満の事業場ではストレスチェックの導入率が30~49人の事業場では31.7%、10~29人の事業場では53.5%と低い数値であるため、この点も精神障害が減らない一因になっていると考えられています。

こうした状況から義務化が進んでおり、それと同時にストレスチェックの効果的な運用が強く求められています。

参考:令和5年度「過労死等の労災補償状況」|厚生労働省

参考:厚生労働省|労働者の心の健康の保持増進のための指針について

3. ストレスチェック義務化の対象となる事業所

オフィス

ストレスチェックの義務化は少しずつ進んでおり、将来的にはすべての企業に義務化がされる予定です。2025年現在の状況や今後の見通しを知り、ストレスチェックの義務化に備えましょう。

3-1. 2025年3月時点では労働者が50人以上の事業所のみ

2025年3月時点のストレスチェックは、常時使用する労働者が50人以上の事業所に対して義務付けられています。

「常時使用する労働者」の定義は以下のとおりです。

  • 1年以上の雇用契約がある
  • または契約更新により1年以上使用が見込まれる

上記条件を満たしている従業員は、パートやアルバイト、派遣労働者など、正社員以外も該当します。注意が必要なのは、同じアルバイトの従業員でも働いている期間で対応が異なる点です。

例えば、1年以上働いているアルバイトはカウントしますが、3ヵ月だけの短期アルバイトや日雇い労働者はカウントしません。また、派遣労働者の場合、雇用主である派遣元事業所と、実際に働いている派遣先事業所の両方で人数をカウントする必要があります。

なお、現在は努力義務とされていますが、今後は小規模事業所(従業員数50人未満)にもストレスチェックが義務化される予定です。2028年までには義務化が実施される見通しであるため、今は義務化の対象外だとしてもストレスチェック実施に向けた準備をしておきましょう。

3-2. 小規模企業ではストレスチェックの外部委託が推奨されている

小規模企業でのストレスチェックは、外部委託が推奨されています。

産業医の選任が義務化されていない事業場では、従業員の情報管理が難しく、ストレスチェックに求められる従業員のプライバシー保護に懸念があるとされているからです。加えて、従業員数が少ない事業場では、ストレスチェックの業務負担も大きくなりやすい点が問題です。

外部委託を利用すればこうした問題は解決できるでしょう。ストレスチェックを委託できる外部機関は増えており、小規模企業でもストレスチェックを実施する環境は整いつつあります。

しかし、ストレスチェックの外部委託にはコストがかかります。小規模企業がこのコストを負担する必要がでてきてしまう点や、委託先によるサービス内容の差などの問題があるとされ、議論が続いています。

4. ストレスチェックの義務違反をした場合のリスク

男性

ストレスチェックの義務違反をした場合は、罰金や損害賠償が発生したり、企業の存続そのものに関係する大きな問題になったりすることがあります。どのようなリスクがあるのか、しっかりと把握しておきましょう。

4-1. 罰金が科されるケースがある

ストレスチェックの未実施そのものに罰則はありません。しかし、報告義務の不履行や安全配慮義務違反により、罰則が課せられる可能性があります。

報告義務の不履行とは、ストレスチェックの結果を労働基準監督署へ報告しない、または虚偽の報告をすることです。

ストレスチェックの報告を忘れた、または不適切な報告をした場合、企業に50万円以下の罰金が課されることがあります

安全配慮義務とは、企業が従業員の安全や健康を守るために適切な防止策をおこなう義務です。ストレスチェックもこの安全配慮義務の一環であると考えられます。

安全配慮義務を怠った場合は損害賠償が発生することや、行政指導が入るケースもあります。こちらは法的な罰金はありませんが、企業イメージダウンは避けられないでしょう。

4-2. 高ストレス者を放置することになる

ストレスチェックを実施しなかった場合、従業員が抱えるストレスを把握できず、放置することになります。職場の環境や人間関係が原因のストレスの場合、時間が経過すればするほどにストレスは増え、メンタルの不調へとつながります。

高ストレスの状態がさらに悪化すれば、精神障害を引き起こすことになり、やがては休職や退職が発生して労働災害として認定されることもでてくるでしょう。そしてそうした問題を抱えた人の周囲もストレスは広がりやすく、ストレスチェックをしなければそうした連鎖も見つけることができません。

最悪の場合は大量の休職者や退職者を出すことや、安全配慮義務違反などの裁判になることも考えられます。

4-3. 業績低下や会社イメージのダウン

ストレスチェックを実施せず、高ストレス者を放置し続けてしまうと離職者や退職者が発生しやすくなるとお話をしました。

従業員が減ってしまえばその分の労働力が減ることになり、問題を抱えた従業員の周りの人もモチベーションが下がりやすくなります。加えて、メンタルヘルス不調の予備軍も放置することになってしまうため、それによって生産性が低下し、業績の低下を招くことがあります。

また、従業員が辞めやすい企業は評判も悪くなりやすいです。義務違反や法令違反をしていることが知られてしまえば、企業の信頼は大きく落ちてしまうでしょう。取引先との関係悪化や、新卒採用にも大きな影響が出てしまいます。

5. ストレスチェック導入と実施の流れ

男性

ストレスチェックの導入には、スケジュールの決定や社内ルールの検討をはじめ、前もって進めておくべき準備があります。どのような流れで導入するとよいのか、順番に確認していきましょう。

ストレスチェックを自社に導入する際は、以下の手順で進めるとスムーズです。

手順 内容
1. 導入前の準備 ストレスチェックの実施方法やスケジュール、社内ルールを策定する
2. 調査票の配布・記入 従業員にストレスチェック用の調査票を配布し、記入・提出してもらう
3. ストレス状況の評価 調査票の結果を基に、ストレス状況を評価し、医師による面接指導が必要かどうかを判定する
4. 本人への結果通知 ストレスチェックの結果を本人に直接通知する
5. 面接指導の申出 高ストレスと判定された従業員は、医師による面接指導を申し出ることができる
6. 面接指導の実施 医師が従業員と面談し、具体的な改善案を助言する。指導内容は労働者本人と事業者に通知される
7. 就業上の措置実施 事業者は医師の意見を踏まえ、必要な場合は配置転換や労働時間の短縮など、適切な措置をおこなう

調査票の質問事項は国が推奨する57項目を基準にしましょう。

職業性ストレス簡易調査票

引用:ストレスチェック制度導入マニュアル|厚生労働省

ストレスチェック制度は1回で完了するものではなく、毎年の実施が義務づけられています。また、実施して終わりではなく、ストレスチェックの結果を踏まえて必要な対応や面談をすることで効果を発揮できます。

定期的なチェックで従業員の状態を把握し、メンタルヘルスケアと職場環境の改善を目指しましょう。

参考:ストレスチェック制度 導入マニュアル|厚生労働省

6. ストレスチェック義務化の助成金

貯金箱

ストレスチェック義務化に活用できる助成金として、「団体経由産業保健活動推進助成金」があります

団体経由産業保健活動推進助成金の概要は以下のとおりです。

支給対象 「事業主団体」や「労災保険の特別加入団体」

※企業単独では申請できず、所属団体を通じて申請が必要

助成対象 ・健康診断結果の意見聴取

・保健指導

・面接指導・意見聴取

・健康相談対応

・治療と仕事の両立支援

・職場環境改善支援

・健康教育研修

助成金額 費用の90%(上限500万円)

※一定要件を満たす団体では上限1,000万円に引き上げられる場合あり

ストレスチェックそのものに支給される助成金ではないものの、ストレスチェック後の職場環境改善にかかる費用を補助することが可能です。

なお、過去には以下のストレスチェックに活用できる助成金が存在していましたが、令和4年11月9日に廃止されました。

  • ストレスチェック助成金
  • 職場環境改善計画助成金(事業所コース)
  • 職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
  • 心の健康づくり計画助成金

上記の助成金は事業場単位で事務負担が大きく、事業場間で格差が生じていたため、「団体経由産業保健活動推進助成金」に統合・改編された経緯があります。

参考:団体経由産業保健活動推進助成金のご案内|厚生労働省

参考:独立行政法人労働者健康安全機構|団体経由産業保健活動推進助成金とは

7. ストレスチェックを実施する際の3つの注意点

ビックリマーク

ストレスチェックは従業員への配慮や、結果の保管、形骸化させないための工夫など、さまざまな注意点があります。ストレスチェックを意味のあるものにするために、特に以下の5点に注意しましょう。

7-1. 従業員のプライバシーを守る

社内でストレスチェックの結果を知ることができるのは、原則として受検者本人のみです。事業主や役員、従業員の上司などが結果にアクセスすることは禁止されています。事業主が結果を受け取るには、必ず本人の同意を取得しなければなりません。

なお、ストレスチェックの結果を受けて従業員が面接指導を希望する場合は、その旨を事業主に伝える時点で、結果提供に同意したとみなされます。

ストレスチェックを含む、従業員の健康情報の取り扱いは企業と従業員で定めるルールに従う必要があります。これを「健康情報取扱規程」といいます。健康情報取扱規程を定め、周知できればストレスチェックを受ける従業員の不安は解消しやすくなります。

ストレスチェックの受検率を上げるためにも、より明確に記載して改めて周知しましょう。

7-2. ストレスチェックの結果で不利益を出さない

ストレスチェックの結果は、あくまでも従業員の健康を維持する目的にのみ使われるものです。ストレスチェックの結果や、面接指導によって就業に関する措置を求められた場合に、従業員が不利益を被る扱いをしてはなりません。

たとえば、高ストレス者に対して解雇や退職の勧奨、不当な配置転換、職位の変更などをすることは決してあってはならないことです。

ストレスチェックを拒否する人や結果を企業に開示しない人などに対しても同様です。ストレスチェックは人事評価とは関係のないものであることを、経営者や役員、人事担当者など関係者は十分に理解する必要があります。

7-3. 労働者に受検義務はない

ストレスチェックの実施が義務付けられているのは事業者であり、労働者に受検の義務はありません。

労働者のストレス状態を把握するのではなく、労働者が自身のストレスに気づき、対策を講じる機会を提供することが目的であるためです。

労働者はストレスチェックを受けない選択をしても、不利益な扱いを受けることはありません。受検しなかったことを理由に人事評価を下げたり、未受検者に対して過度なプレッシャーをかけたりすることは禁止されています。

受検率を高めるためには、ストレスチェックの意義をしっかりと説明し、労働者の理解と協力を得るよう努めましょう。

7-4. 結果は最低5年間保存する必要がある

ストレスチェックの結果や関連記録は、労働安全衛生規則に基づき最低5年間保存する必要があります。

従業員のメンタルヘルス対策だけでなく、法的な紛争が生じた場合に重要な記録として役立つためです。

なお、記録の保存責任は、基本的に実施者(医師、保健師など)や実施事務従事者にあります。ただし、事業者が結果を受け取った場合、その保存責任は事業者に移るため注意が必要です。

ネットワーク上で保存する際は、パスワードやアクセス制限を設定し、第三者が容易にアクセスできないようにしましょう。

紙媒体で保存する場合は、施錠可能なキャビネットに保管し、アクセスできる担当者を限定して厳重に管理します。

参考:労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル|厚生労働省

7-5. ストレスチェックの結果分析と改善が重要

ストレスチェックの結果、高ストレス者とされた従業員には医師による面接指導が必要です。面談をした結果、企業は必要とされる職場環境の改善や就業上の措置をおこなう必要があります。

この医師による面接指導は企業側が強制するものではありません。あくまでも従業員から申し出があった際に実施するものです。

そのため、面接指導を希望しないケースも多く、そのような場合は結果を分析して企業側がフォローをする必要があります。ストレスの原因への対応をすることや、社外の相談窓口を紹介することなどが挙げられます。

加えて、医師による面接指導を受けやすくする工夫もしていきましょう。高ストレス者は周囲に自分の状況を知られることを恐れ、他人の視線をとても気にしやすいです。プライバシーを守れることと、面接の必要性を十分に理解してもらいましょう。

8. ストレスチェック義務化の準備を進めよう

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ストレスチェック制度は、従業員のメンタルヘルスケアを促進し、職場環境の改善を図るための重要な取り組みです。

労働者が自分のストレスに気づき、適切な対応を取るきっかけを作ることで、健康的で働きやすい環境の実現につながります。

将来的には規模を問わずに、すべての企業にストレスチェックが義務化される予定です。まだ準備を進めていない場合は、義務化に向けて導入を検討し、従業員の健康維持に努めましょう。

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