雇用契約書の製本方法は?知っておくべき手順と契印の押し方、電子化のメリット
公開日: 2025.8.4 jinjer Blog 編集部

毎年、多くの従業員と取り交わす雇用契約書。複数ページにわたるこの重要な書類を、どのように製本・管理していますか?
「ホッチキスで留めるだけでは、ビジネスマナーとして不安…」
「正しい袋とじや契印の押し方が分からない…」
「なにより、従業員の人数分、この製本作業を繰り返すのが大変…」
このような悩みを抱える人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、雇用契約書を製本する目的から、具体的な手順、そして大量の契約書を扱う上で避けては通れない課題と、その解決策となる「電子化」のメリットまで、網羅的に解説します。
目次
人事労務担当者の実務の中で、従業員情報の管理は入退社をはじめスムーズな情報の回収・更新が求められる一方で、管理する書類が多くミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、人事異動の履歴や評価・査定結果をはじめ、管理すべき従業員情報は多岐に渡り、管理方法とメンテナンスの工数にお困りの担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな人事労務担当者の方には、Excel・紙管理から脱却し定型業務を自動化できるシステムの導入がおすすめです。
◆解決できること
- 入社手続きがオンラインで完結し、差し戻し等やりとりにかかる時間を削減できる
- システム上で年末調整の書類提出ができ、提出漏れや確認にかかる工数を削減できる
- 入社から退職まで人事情報がひとつにまとまり、紙やExcel・別システムで複数管理する必要がなくなる
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1. なぜ雇用契約書を製本するのか?その3つの目的


雇用契約書の製本は法律で義務付けられているわけではありません。しかし、後のトラブルを未然に防ぎ、円滑な労使関係を築くための重要な実務慣行とされています。その主な目的は以下の3つです。
1-1. 目的①:ページの差替え・改ざんの防止
製本を行う最大の目的です。雇用契約書には賃金や労働時間といった極めて重要な労働条件が記載されています。製本し、後述する「契印」を押すことで、一部のページが不正に抜き取られたり、差し替えられたりすることを防ぎます。
1-2. 目的②:ページの連続性の証明(契印の簡略化)
製本されていない場合、すべてのページの見開き部分に「契印」を押す必要があります。しかし、適切に製本されていれば、表紙か裏表紙の1箇所に契印を押すだけで、書類全体が一体のものであることを証明でき、押印の手間を大幅に削減できます。
1-3. 目的③:信頼性の担保と丁寧な姿勢の提示
丁寧に製本された契約書は、会社として契約を真摯に扱っているという姿勢を示すことにも繋がります。新しく迎える従業員に対し、安心感を与え、良好な信頼関係を築く第一歩となります。
2. 雇用契約書の製本の具体的なやり方


2-1. 製本テープで製本する方法
市販の製本テープを使う、最も簡単で一般的な方法です。
- 契約書をページ順に揃え、左端を2〜3ヶ所ホッチキスで留めます。
- 製本テープを契約書の縦の長さより少し長めにカットします。
- テープの片側の裏紙を剥がし、契約書の表紙の背表紙側にまっすぐ貼り付けます。
- 契約書の背をテープで包むように、裏表紙側にもしっかりと貼り付けます。
- 上下のはみ出したテープに切り込みを入れ、内側に折り込んで貼り付ければ完成です。
2-2. 紙の帯(背表紙)で製本する方法
製本テープがない場合でも、A4用紙などで帯を作成して製本できます。
- 契約書をページ順に揃え、左端を2〜3ヶ所ホッチキスで留めます。
- 契約書の縦の長さに合わせて、幅3〜4cmほどの帯状の紙(A4用紙の縦をそのまま使うと丁度よい長さになります)を作成します。
- 帯の幅が契約書の厚みより少し広くなるように、帯の長辺に沿って2本の折り目をつけます。
- 契約書の背表紙をその折り目でつけた部分で包むように当て、表紙側と裏表紙側にそれぞれ糊付けします。
簡単な手順ですが、製本時の参考にしましょう。
3. 製本した雇用契約書への「契印」の正しい押し方


製本が完了したら、その契約書が一体のものであることを証明するために「契印(けいいん)」を押します。
- 押す場所: 製本した契約書の表紙または裏表紙と、製本テープ(または帯)にまたがるように押します。
- 押す人: 契約の当事者全員、つまり会社側(代表者印など)と従業員側(認印で可)の両方が押印します。
- 注意点: 契印と、契約書の原本と写しの同一性を示す「割印」は目的が異なるため、混同しないようにしましょう。
4. 雇用契約書の電子化で「製本」作業そのものが不要に


ここまで製本のやり方や書面での契約締結について説明してきましたが、雇用契約書を書面で管理する場合には、用紙代、インク代、ホッチキスの芯、製本テープ代に加え、従業員への郵送費や返送用封筒代、そして締結後の契約書を保管するためのキャビネットや倉庫スペースのコストもかかります。
さらに、手作業である以上、ページの入れ間違いやホッチキス留めの失敗、契印の押し忘れといったミスが発生するリスクは常に伴います。
このような課題を根本から解決するのが、雇用契約の電子化です。電子契約サービスを利用すれば、製本をはじめとする物理的な作業が一切不要になります。
なお、労働条件通知書を兼ねる雇用契約書を電子的に交付するには、労働者本人がその方法を希望していることが法令上の要件となりますので、その点は正しく理解をしておきましょう。
4-1. メリット①:製本・押印・郵送の手間やコストがゼロに
契約書はデータで作成し、システム上で従業員に送付します。
従業員はPCやスマートフォンで内容を確認し、オンラインで同意・署名するだけで完了します。電子化をすると、印刷、製本、押印、郵送、すべての手間がなくなります。
さらに用紙代や郵送費などの物理的なコストが削減できるのはもちろん、電子契約は印紙税法上の課税文書に該当しないため、収入印紙も不要です。
4-2. メリット②:締結までのリードタイム短縮
郵送にかかっていた往復の時間がなくなり、契約締結までの時間が劇的に短縮されます。
入社手続きをよりスピーディーに進めることができます。また製本・押印・郵送作業のためだけに、担当者が出社する必要がなくなります。
4-3. メリット③:管理の効率化とセキュリティ向上
締結済みの契約書はクラウド上で安全に保管されます。
保管スペースが不要になる上、「あの人の契約書はどこに…」と探す手間もありません。検索機能で瞬時に見つけ出すことができます。
5. 非効率な手作業から、戦略的な人事労務へ


本記事では、雇用契約書の製本方法から、大量の契約書を扱う人事業務ならではの課題、そして電子化による解決策までを解説しました。
- 雇用契約書の製本は、改ざん防止と信頼性担保のために重要な実務慣行である。
- しかし、手作業による製本は、膨大な工数・コスト・リスクを内包している。
- 契約を電子化すれば、製本作業そのものが不要になり、人事労務の業務は飛躍的に効率化する。
「1通をきれいに製本する方法」を知ることも大切ですが、企業の成長を支える人事労務担当者としては、その先にある「数百通をいかに効率的に、かつ安全に処理するか」という視点が不可欠です。



人事労務担当者の実務の中で、従業員情報の管理は入退社をはじめスムーズな情報の回収・更新が求められる一方で、管理する書類が多くミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、人事異動の履歴や評価・査定結果をはじめ、管理すべき従業員情報は多岐に渡り、管理方法とメンテナンスの工数にお困りの担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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