【脱ハンコを目指す企業必見】法的なポイントと失敗しないための進め方
公開日: 2025.8.4 jinjer Blog 編集部

DX推進や働き方改革が不可欠となる現代において、「脱ハンコ」は多くの企業にとって重要な経営課題です。しかし、その必要性を認識しつつも、「法的に問題ないのか」「何から手をつければ良いのか」といった点で、推進に踏み切れないケースも少なくありません。
本記事では、脱ハンコを推進する上で不可欠な法的知識と、企業が直面しがちな課題、そしてその解決に向けた具体的なアプローチを解説します。
目次
- 「承認者が出張/直行/休暇などの不在で稟議が止まってしまう…」
- 「期日のある申請の進捗状況に関する問い合わせ対応に追われている…」
- 「稟議承認のためだけに出社するのはもうやめたい…」
このような課題は、ワークフローの見直しで解決できるかもしれません。本資料では、紙やExcelでの申請・承認業務が抱える課題と、システム化によって得られる解決策をわかりやすく解説しています。
◆この資料でわかること
- 自社の運用に合わせた承認ルートの組み方(直線・並列・条件分岐など)
- 導入で失敗しないためのシステム選定・運用のポイント
興味はあるけれど「何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 脱ハンコ推進の土台となる法的知識


脱ハンコを検討する上で、まず押さえるべきは、その法的根拠です。これを理解することが、社内での合意形成における強力な土台となります。
1-1. 押印の法的義務は限定的
一般に「契約書には押印が必要」と考えられていますが、法律で押印が義務付けられている書類はごく一部です。2020年に政府が公表した見解でも、民間企業の取引において、契約書などに押印がなくとも、その契約の法的効力は変わらないことが確認されています。
このことから、日常業務で発生する押印の多くは、法律ではなく、長年の商慣習や企業独自の社内規程に基づいていることが分かります。脱ハンコの第一歩は、この事実を正確に認識することから始まります。
1-2. 電子署名の法的有効性
押印の代替手段となる電子署名については、「電子署名法」によってその法的効力が裏付けられています。この法律は、本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書は、真正に成立したもの(=手書きの署名や押印がある文書と同様)と推定することを定めています。
したがって、適切なシステムやサービスを利用すれば、法的な有効性を担保しつつ、安全に業務の電子化を進めることが可能です。
2. 企業が脱ハンコを始めるための具体的なアプローチ


法的な安全性を確認した上で、次に社内の業務プロセスに目を向け、現実的なステップで改革を進めていくことが推奨されます。
2-1. STEP1: 社内における押印業務の棚卸しと分類
まず、自社にどのような押印業務が存在するのかを「棚卸し」し、その目的別に分類することが有効です。一般的に、押印業務は以下の2種類に大別できます。
- 対外的な契約に関する押印: 取引先との契約書や覚書など。企業間の正式な合意形成が主目的。
- 社内的な承認・稟議に関する押印: 稟議書、経費精算、各種申請書など。日々の業務プロセス管理や内部統制が主目的。
2-2. STEP2: 解決すべき課題の優先順位付け
上記の分類に基づき、どちらの業務がより大きな課題となっているかを検討します。
多くの企業では、日々大量に発生し、「ハンコ出社」の直接的な原因となりやすいのは、後者の社内的な承認・稟議に関する押印です。この「ハンコリレー」の非効率性を解消することが、全社的な生産性向上に最もインパクトを与える可能性が高いと考えられます。
3. 脱ハンコ導入時に想定される企業の課題と対策


ツールの導入を進める際には、いくつかの課題が想定されます。事前に対策を検討しておくことで、より円滑な移行が期待できます。
3-1. 業務フロー変更への現場の抵抗
新しい業務フローへの変更は、現場の従業員にとって負担となり、心理的な抵抗感を生むことがあります。
これに対しては、トップダウンでの指示だけでなく、「手作業による確認の手間が削減される」「本来のコア業務に集中できる時間が生まれる」といった、現場目線でのメリットを丁寧に伝え、理解を求めるプロセスが重要です。
3-2. 新規システム導入のコスト
システムの導入には初期費用や月額費用が発生します。
しかし、この投資を検討する際は、現状維持によって発生し続けている「見えないコスト」と比較することが不可欠です。押印のためだけにかかる人件費、紙・印刷・郵送・保管にかかる費用などを可視化し、長期的な費用対効果を示すことで、社内の合意形成がしやすくなります。
3-3. 経営層・関連部署の合意形成
脱ハンコの推進には、経営層や法務・経理といった関連部署との合意形成も欠かせません。
データに基づいた客観的な説明責任を果たすことで、全社的な協力体制を築きやすくなります。
4. 目的別に見る脱ハンコツールの選び方


課題の優先順位が見えたら、次はその解決に最も適したツールを選定します。
4-1. 対外的な契約を電子化する場合
企業間の契約締結プロセスを電子化することが主目的であれば、「電子契約サービス」が適しています。契約の締結と法的効力の担保に特化した機能を有しています。
4-2. 社内承認プロセスを電子化する場合
一方で、日々の「ハンコリレー」をなくし、社内の意思決定を迅速化することが目的であれば、「ワークフローシステム」が最も直接的な解決策となります。
このシステムは、稟議や申請といった社内業務のプロセス全体を電子化するために設計されています。
5. 脱ハンコは業務変革の第一歩


それは、法的知識に基づき、自社の課題を正確に把握し、適切な手段で業務プロセスそのものを変革していく経営改革の一環です。
特に、多くの企業で非効率の温床となっている社内承認プロセスに焦点を当てることが、成功への近道となる場合があります。



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