請負契約書の印紙代について契約金額別に紹介
更新日: 2023.1.12
公開日: 2022.9.9
MEGURO
企業や個人と請負契約書を取り交わす場合、請負金額によっては印紙代が必要です。とはいえ請負契約はさまざまで、契約書を前に「印紙が必要なのだろうか」と悩むケースが少なくありません。
そこで本記事では、請負契約書の印紙代について詳しくまとめました。印紙代が必要となる請負契約書の種類や金額ごとの印紙代、さらには建設工事請負契約の軽減措置の詳細を見ていきましょう。
契約書によっては、印紙税を納めなければなりません。この印紙税の金額は、契約書に記載された取引額によって変動します。
そのため、間違えて多く貼ってしまった、という経験があるのではないでしょうか。
また、購入場所も限られているため、買いに行くのが面倒と感じる人も多いでしょう。
そこで今回、印紙代を削減する方法をまとめた資料を用意しました。
印紙税法により課税対象となる書類やその金額についても解説しているので、「毎回、印紙代を確認している」という方にもおすすめです。
無料でダウンロードできるので、ぜひご覧ください。
1. 印紙代が必要となる請負契約書の種類
請負契約とは、成果物の納品が報酬の条件となっている契約です。住宅工事等の建設関係業務やホームページ作成・ウェブコンテンツ制作といったIT関連業務などで締結されることが多いでしょう。
さまざまな請負契約書の中から、印紙代が必要となることが多い契約書の種類を紹介します。
関連記事:印紙代とは?意味・必要性・購入方法を徹底解説 | jinjerBlog
1-1. 工事請負契約書
工事請負契約書は、発注者が請負人に何らかの工事を発注するときに締結される契約書です。
具体的には、以下のようなシチュエーションが想定されます。
・新築工事
・増改築工事
・外壁工事
・内装工事 など
工事請負契約書の特徴は、「必ず書面で取り交わされなければならない」点です。
工事請負契約に関しては、「契約書を作成・交付する義務」「当事者それぞれが署名(又は記名押印)する義務」が建設業法19条に明記されており、契約書の記載内容についても厳密に定められています。
一般的な契約とは違い「口頭のみ」では法的効力を持たないため注意しましょう。
1-2. 工事注文請書
工事注文請書とは、工事の受注側が「工事を引き受ける」といった意志を明確にするための文書です。「請負契約書」という名称ではないものの、「請負契約の成立を証明している」という点で請負契約書と同等と見なされます。
印紙税法では「契約書には念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書も含まれる」としていることから、工事注文請書も印紙税の対象となり印紙代が必要です。
1-3. 注文請書(物品等)
物品等の注文請書も、受注側が案件引き受けの意志を提示するための文書です。ただし全ての注文請書が課税文書となるわけではありません。
注文請書の内容が請負に関連する場合のみ、印紙代が必要となります。
たとえば商品の売買に関する注文請書は対象外となり、収入印紙の貼付は不要です。
1-4. 広告契約書
広告契約書とは、広告主と広告会社・広告制作会社等で取り交わされる契約書です。「広告の仕事を行い、それに対する対価を受け取る」のが主旨となります。
「請負契約」に該当すると見なされるため、契約書には印紙の貼付が必要です。
1-5. 会計監査契約書
会計監査契約書は、監査人と企業との間で取り交わされる契約書です。
監査は公認会計士(監査法人)によって行われ、契約書は「監査及び四半期レビュー契約書の作成の作成例」(日本公認会計士協会 法規委員会研究報告第14号・平成24年3月22日改訂)をひな型として作成されます。
会計監査契約書には監査の目的や対象事業年度・監査予定時間・報酬の額なども細かく記載されており、「請負契約書に準ずる」とするのが一般的です。
そのため会計監査契約書も、収入印紙の貼付が必要な「課税文書」と見なされます。
1-6. 請負金額変更契約書
請負金額変更契約書とは、請負契約書で取り交わした金額について変更を加える場合に取り交わされる契約書です。請負工事で工事価格の変更があった場合や業務委託の契約金に変更があった場合などに作成されます。
契約金額の変更は契約書の重要事項の変更であり、書類は課税対象となります。
金額を増額する場合は「増額された分の収入印紙代」を貼付しましょう。一方、減額する場合は「記載金額なし」と同様の処理となるため、200円の収入印紙を貼付します。
1-7. 映画俳優(等)専属契約書
俳優・ミュージシャン等が「自身のスキルを提供する」と契約書で約束する場合も、請負契約と見なされます。プロ野球選手やプロサッカー選手、演出家や脚本家も同様です。
1-8. 業務委託契約書(請負契約)
業務委託は、一定の業務を切り取って別の企業・個人に委託する際に締結される契約です。契約の種類には「請負契約」「委託契約」がありますが、請負契約に該当するものは課税対象となります。
請負契約とは、「成果物の納品」をゴールとする契約です。納期・成果物・成果物の対価が明確に決まっているのであれば、請負契約と見なせます。
一方委任契約は「業務の履行そのもの」を目的とする契約です。成果物の納品は必ずしも必要ではなく、決められた期間に決められた業務を行うことが目的とされます。
業務委託契約書を取り交わす際は、内容によって印紙代の要否を判断しましょう。
2. 請負契約書の印紙代
請負契約書の印紙代の根拠は「印紙税法」です。
経済的な利益が関係する文書は「課税文書」と見なされ、納税の対象となります。収入印紙は印紙税の納付のために貼付されるものであり、額面については印紙税法の定めに従わなければなりません。
印紙税法で定められた課税文書は20種類あります。このうち請負契約書に関連することが多いのは「第2号文書」「第7号文書」です。
それぞれのケースについて、どのくらいの印紙代が必要なのかを紹介します。
2-1. 第2号文書
「第2号文書」は、「請負に関する契約書」全般が該当します。印紙代は、契約書に記載されている額面によって以下のとおり定められています。
2-2. 第7号文書
「第7号文書」は、「継続取引の基本となる契約書」が該当します。印紙代は以下のとおりです。
ただし契約期間の記載のあるものでも、「当該契約期間が3ヵ月以内」「更新に関する定めがない」ものは課税対象に含まれません。収入印紙の貼付は不要です。
2-3. 継続性がある請負契約書
継続性がある請負契約書は、第2号文書にも第7号文書にも該当します。
いくらの収入印紙を購入するか迷うところですが、以下のとおり分類することが法律で定められています。
・契約書に金額の記載がある:第2号文書
・契約書に金額の記載がない(計算できない):第7号文書
収入印紙を貼付する場合は、その契約書が何号に該当するのかを確認しましょう。
3. 建設工事請負契約の印紙税の軽減措置
租税特別措置法の一部が改正され、「建設工事請負契約書」の印紙税には軽減税率が適用されます。
ここからは、建設工事請負契約の印紙代について見ていきましょう。
3-1. 印紙税の軽減措置とは
印紙税の軽減措置とは、「建設工事請負契約書」と「不動産譲渡契約書」の印紙税の税率を低く設定する特別措置です。
建設工事請負契約書とは第2号の「請負に関する契約書」のうち、建設業法第2条第1項に規定する「建設工事の請負に係る契約」に基づいて作成されるものを指します。
注意したいのは、建設業法で規定されている「建設工事」とは、土木建築に関する工事に限定されるものです。
建物の設計・建設機械等の保守・船舶の建造・家具・機械等の製造には、軽減税率が適用されません。
参考:「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について|国税庁
3-2. 建設工事請負契約の印紙税
「建設工事請負契約書」で軽減税率が適用された場合、印紙代は以下のとおりとなります。
なお契約書の記載金額が100万円以下の場合は、軽減税率が適用されません。
3-3. 軽減措置は令和6年3月31日まで
軽減措置は期間が定められており、期間外に作成された契約書は例外となります。
建設工事請負契約書で軽減税率の適用を受けられるのは、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される文書のみです。
4. 請負契約を交わすときは金額に応じた印紙代が必要
請負契約書は、印紙税の対象となる課税文書です。
収入印紙がなくても契約そのものは成立しますが、後に印紙税の未納が発覚すると「過怠税」によって通常の3倍の印紙税が課せられます。
契約書内に記載された額面をチェックし、印紙税法で定められた金額の収入印紙を貼付してください。
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