人員配置とは?その目的や重要性、最適化する方法を徹底解説
更新日: 2024.7.2
公開日: 2022.6.15
OHSUGI
人員配置は組織の戦略的な人材マネジメントの一つであり、組織の方向性やあり方に大きく関わるものです。
人員配置は適材適所におこなうことが求められますが、実際に実行する場合には社員のスキルや適性の把握・人員配置後の効果測定など、いろいろと気を付けなければならないポイントがあります。
本記事では、人員配置そのものの目的や人員配置を適材適所にする目的、人員配置を最適化するために重要なポイントなどについて、解説します。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 人員配置とは
人員配置とは、事業計画や半期の売上目標のような組織で設定した目標を達成するために、組織に所属する人材をどのように配置するかを決める人材マネジメントのひとつです。
業務の重要性や優先度・売上におよぼす影響の割合などを総合的に鑑みて、人的資源を各部門・各仕事に割り振っていきます。
割り振りは人材が持つスキルや経験、これまでの実績などさまざまな部分を考慮しておこなわれます。
昇格や昇進、人事異動、新規採用など、人が増えたり動いたりするタイミングで実施するのが一般的です。
2. 人員配置をする2つの主な目的
人員配置をおこなう主な目的は、「事業計画の達成」と「将来を見据えた人材育成」の2つが挙げられます。
それぞれの目的について詳しくみていきましょう。
2-1. 事業計画を達成する
冒頭で触れたように、人員配置の主要な目的は事業計画を達成することです。
事業計画を達成するためには、組織のさまざまな業務において各社員が想定したとおり、もしくは想定以上のパフォーマンスを発揮しなければなりません。
それぞれの社員には向き不向きがあるため、社員の適性や経験・ポテンシャルなどを踏まえて人員配置をおこなうことが重要です。
一口に人員配置といっても、同じ部署の社員同士で配置転換をおこなうのか、違う部署から社員を異動させてくるのか、逆に違う部署に社員を異動させるのかなど、さまざまな方法が考えられます。
それぞれの組織において正解となる(もしくは正解であると考えられる)人員配置の方法は異なるため、各組織の現状を鑑みたうえで対処しなければなりません。
2-2. 成長や活躍をしやすい環境を作る
ポジションによって必要とされる能力は異なり、たとえば部門長のようなポジションであればマネジメント力・決断力・部下を引っ張っていく力などが求められます。
空いているポジションにふさわしい人材が社内にいるのであればその人を配置すればよいですが、必ずしもポジションにふさわしいスキルを持った人材が社内にいるとは限りません。
中途採用やヘッドハンティングなどで対応するという方法も考えられますが、都合のよい人材がタイミングよく見つかる保証もありません。
そのため、事業計画の達成のためには必ずしも最適な方法ではないとしても、将来的に求められるスキルを習得させるために、人員配置を実施するケースもあります。
組織は今期もしくは今年だけ事業計画を達成すればよいのではなく、今後も達成し続けていくことが求められるため、将来を見据えた判断もしなければならないのです。
3. 適材適所の人員配置が重要
人員配置は空いている場所に人材を単純に配置するだけでなく、適材適所であることが非常に重要です。なぜ重要なのか、適材適所の意味から解説していきます。
3-1. 適材適所とは
適材適所とは組織に所属する各人材を、その人材の能力に応じてふさわしい役職やポジションに配置することです。
保有しているスキルや技術、これまでの経験や経歴などを加味して、その人材が力を発揮しやすい場所に配置することが「適材適所の人員配置」です。
適材適所の人員配置ができれば、能力を発揮できるうえにストレスも軽減してパフォーマンスがあがります。経験もさらに増えることでより優秀な人材への成長も見込めるでしょう。
3-2. 適材適所の人員配置ができていないとどうなる?
適材適所の人員配置ができていないと、その人材の能力を引き出すことが難しくなりやすいです。
たとえばエンジニアとして優秀な社員がいたとしても、その社員を営業に配置転換した場合、エンジニアとして働いていたときと同程度の優秀さは発揮できないかもしれません。
また、「自分に合っていない」「持っているスキルや技術を活かせない」というストレスも発生するため、モチベーションの低下も招きます。
しかし、本人も気づいていない才能がある場合もあります。経理として働いていた人が営業に配置転換された場合、どんどん契約を取ってくるやり手の営業マンになるかもしれません。
人材の能力は未知数であるため、適材適所の人員配置ができないからといって、100%デメリットしかないというわけではないのです。従業員本人の考えや希望も考慮して配置することが大切です。
4. 適材適所の人員配置で得られるメリット
適材適所の人員配置では、生産性やエンゲージメントの向上、人件費の削減など会社と従業員双方にとってのメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
4-1. 業務効率が上がり生産性も改善しやすい
仕事は効率的におこなって生産性を上げることが重要ですが、そのためには適材適所の人員配置は欠かせません。
各人材のスキルに沿ったポジションに配置するのと、不得手としているポジションに配置するのでは、当然スキルに合ったポジションの方が効率よく業務を勧められます。
これまでとは異なるポジションへの配置であっても、これまでに培ってきたスキルを活かせるポジションであれば生産性を保つことは十分可能です。仕事に慣れてくれば想定以上の働きを見せてくれる可能性もあるでしょう。
人材の成績だけでなく、スキルや経験も考慮して適材適所の人員配置をすることは、企業全体の生産性向上につながります。
4-2. 従業員エンゲージメントが高まりやすい
「自分に合ったポジションに就けてもらっている」「自分のスキルが活かされる仕事を任されている」と実感できることは、仕事に対する満足感を高めるうえで非常に重要です。
仕事に対する満足感が高まると、社員の会社に対するエンゲージメントも自然と高まるため、離職率の低下につながります。
近年は転職のハードルが下がり、人材が流出しやすくなっています。そのような時代でエンゲージメントを高め、人材を確保しやすくなる点は非常に大きなメリットです。
4-3. 人件費の削減にもつながる
仕事の生産性が高く、自分に合った仕事をさせてもらえるため離職率の低い組織は、自然と活性化していきます。
活性化された組織では、情報交換やコミュニケーションが活発に行われるようになり、個々人のパフォーマンスだけでなく組織としてのパフォーマンスも向上していきます。
その結果、その組織で働けることに充足感を感じ、仕事に向き合う際の心理的な余裕が生まれていくというように、よい波及効果が生まれていきます。
組織を活性化させて組織力を高めるために、適材適所の人員配置が担う役割は非常に大きいといえるでしょう。
5. 人員配置の最適化に必要な5つのポイント
適材適所の人員配置にはさまざまメリットがあることがわかりました。しかし、実際に人材の配置を最適化することは難しいです。以下の5つのポイントを踏まえて十分に検討しましょう。
5-1. 現在の人員配置と各社員のスキルを可視化する
社員がどのようなスキル・能力・経験を有しているかを把握していなければ、適材適所の人員配置をすることはできません。
また、現在の組織の人員配置がどのようになっているかがわからない場合も、全社横断的な適材適所の人員配置は不可能です。
そのため、現在の人員配置および各社員のスキルなどについては、すべてデータベース化して見やすくしてしまうのが望ましいといえます。
それぞれの社員のスキルなどをすべてデータベース化するのは、なかなか骨が折れることではありますが、各社員の協力を得ながら少しずつ進めていきましょう。
5-2. 各社員が希望する業務やポジションを確認する
社員のスキルや能力に沿ったポジションに配置するのも重要ですが、社員本人が希望する仕事に就かせるという視点も同じぐらい重要です。
たとえ自分のスキルに合った仕事ができているとはいえ、何年も同じ仕事をやっていれば、そろそろ違うポジションに就きたいと考える人もいます。
また、モチベーション高く働けるポジションに就くことで、今まで以上の意欲を見せてどんどん知識や技術を吸収していける人もいるでしょう。
自分の希望する仕事ができているという実感は、社員のエンゲージメントを高めるという観点でも重要です。
5-3. 適性検査を有効活用する
社員の仕事に関する適性は社員自身が把握しているのが普通ですが、場合によっては社員自身も気づいていない適性が眠っている可能性があります。
そういった適性を無視したまま人員配置をしてしまうと、せっかくの人的資源が埋もれたままになります。適性検査を有効活用して発掘しましょう。
検査結果は社員本人や人事担当などの主観が入らないものであるため、公平な人事配置に役立ち、社員自身が知らない自分の適性を知るきっかけにもなるでしょう。
「その社員に向いている仕事に配置する」という方向性に役立たせるのと同時に、「その社員に向いていない仕事に配置しない」という方向性にも役立たせることが可能です。
5-4. 人員配置後に適宜効果測定をおこなう
適材適所の人員配置ができているかどうかを確認するためには、人員配置後に適宜効果測定をする必要があります。
人事異動の前と比べて業績がどの程度アップしたかを調査することはもちろんですが、異動した本人や各組織の部門長などに対して、満足度を確認する必要もあります。
人員配置がどのような影響を及ぼしたのかを適宜調査してまとめることで、次回以降の人員配置の方針がよりしっかりとしたものになっていくでしょう。
5-5. 「適材適所」は流動的であることを認識しておく
人員配置をした瞬間は間違いなく適材適所であったとしても、それがその後も適材適所であり続ける保証はどこにもありません。
人は日々成長していくもので、仕事に対するモチベーションや目指す方向性も常に変化し続けるからです。
かつて実施した調査で社員が仕事に対して高い満足度を抱いていたとしても、その満足度は不変ではありません。従業員のパフォーマンスやメンタルにも気を配り、「適材適所」を常にアップデートし続けていくことを心がけましょう。
6. 適材適所の人員配置を常に意識し人的資源を最大限に活用しよう
人員配置は事業計画達成のために人材を割り振ることであり、それぞれの人材のスキルや適性に応じたポジションに配置することが望ましいといえます。
適材適所の人員配置をすることで、社員の生産性が上がってエンゲージメントが高まることで、組織が今以上に活性化されることが期待されます。
ただ、適材適所の人員配置をすることは決して簡単ではありません。それぞれの社員のスキルを可視化したり適性検査を有効活用したりして、できる限り理想的な形に近付けることを心がけましょう。
人員配置後は適宜効果測定を行い、その都度最適な「適材適所」にアップデートしていくことが重要です。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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