タレントマネジメント導入のステップを分かりやすく解説
更新日: 2025.7.18 公開日: 2022.6.15 jinjer Blog 編集部

タレントマネジメントは、現時点で在籍している従業員のスキルや能力を人材配置に活用し、企業の経営目標達成を目指す人材マネジメントのことです。タレントマネジメントが成功すれば、新たに人材を採用する必要がないので、求人のコストもかかりません。
また、業務効率も上がるため、組織の人事的な課題を解決するのに有用な手法ですが、導入しようと思ってすぐに導入できる類のものではありません。
また、導入時に意識しておくべきポイントを意識できているかどうかで、スムーズに導入・運用できるかどうかが大幅に変わります。
本記事では、タレントマネジメントを導入するためのステップや、導入時に気を付けておきたいポイントなどについて解説します。
目次
その人事データ、ただ入力するだけで終わっていませんか?
勤怠、給与、評価…それぞれのシステムに散在する従業員データを一つに集約し、「戦略人事」に活用する企業が増えています。
「これからの人事は、経営戦略と人材マネジメントを連携させることが重要だ」「従業員の力を100%以上引き出すには、データを活用した適切な人員配置や育成が必要だ」そう言われても、具体的に何から始めれば良いか分からない担当者様は多いでしょう。
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1. タレントマネジメントとは


タレントマネジメントとは、従業員が持つスキルや能力、経験などを人材配置に活用し、企業の成長や生産性の向上につなげる人材マネジメントのことです。
もともとは、アメリカの大手コンサルティング会社が「War for talent(人材育成競争)」というワードを発信したことから生まれた概念で、優秀な人材の発掘や適性配置、育成にいたるまでのプロセスを「タレントマネジメント」として欧米を中心に広がりました。
日本には2010年ごろから普及し始め、現在は多くの企業が取り組んでいます。
タレントマネジメントは、社員だけにおこなうのではなく、パートやアルバイト、非正規雇用など組織に関わるすべての従業員におこなうのが一般的です。
2. タレントマネジメントの目的


タレントマネジメントをおこなう目的は、経営目標を達成するための戦略を、人事的な側面からサポートして実現することです。適切な人材配置を検討したり、個々のスキル活かしたりするマネジメントをおこなうことで、今いる人材に力を最大限に発揮してもらい経営目標を達成するというのが主な目的になります。
タレントマネジメントは、全社員を対象とするのが基本ですが、職種によっては特定の人材を対象にすることもあるかもしれません。しかし、どのような対象であっても、目的は変わりません。
また、経営目標を達成するには、部署をまとめるリーダーも必要です。そのため、タレントマネジメントでは、リーダー候補を育てるというのも目的となります。
3. タレントマネジメントを導入するための6ステップ


タレントマネジメントは一朝一夕に導入できるようなものではありません。
タレントマネジメントを導入するためには、以下のようなステップを踏む必要があります。
①タレントマネジメント導入により成し遂げたい目標・目的の設定
②収集すべきデータの精査
③データの収集および分析
④社内人材の把握
⑤具体的な人事施策の実施
⑥モニタリングによる効果測定および振り返り
ここでは、それぞれのステップについて解説していきます。
3-1. タレントマネジメント導入により成し遂げたい目標・目的の設定
タレントマネジメントは導入すること自体が目的なのではなく、導入することで何かしらの目標や目的を達成するための手段です。
そのため、タレントマネジメント導入にあたっては何よりもまず先に、どのような目標・目的を成し遂げたいかを決めなければなりません。
主力製品の業界シェアを2位から1位に押し上げる、新製品をより早いサイクルで開発できるようにする、顧客満足度を向上させるなど、内容はどのようなものでもかまいません。
目標や目的を設定したら、それらを人事的側面から達成するための手段として、タレントマネジメントの導入を検討することになります。
3-2. 収集すべきデータの精査
タレントマネジメントを活用して適材適所の人員配置をおこなうためには、社内人材のデータが非常に重要です。
そのため、社内人材の情報をデータベース化することになりますが、この際にどのような情報を収集するかについては、それぞれの組織で異なります。
どのような目標・目的のためにタレントマネジメントを導入するのかによって、重要視される人材のスキルやモニタリングの指標も変わってくるからです。
データ収集の時点で方向性を間違えると誤った方向に向かって進んでいってしまうので、どれだけタレントマネジメントをうまく運用できたとしても、当初の目標や目的を達成するのは難しくなるため注意しましょう。
3-3. データの収集・分析
収集すべきデータの精査が終わったら、実際にデータを収集・分析します。
タレントマネジメントはその性質上、全社横断的におこなわれることが多いので、データ収集のフォーマットを統一しておかなければ、情報に過不足が発生して二度手間になってしまうことには注意しておきましょう。
集まったデータを分析することで、社内人材の全容がわかるようになります。
3-4. 社内人材の把握
社内人材の情報がわかるようになると、現状の組織における人事的な問題点が把握しやすくなります。
開発や研究向きのスキルを持った人材が他社よりも少ない、創造力が必要なポジションに保守的な人物が就いているなど、問題点の内容は組織により異なります。
この段階で、必要な人材データが当初想定していたより増えることもあるので、その場合はデータ収集を追加でおこない、必要な情報を過不足なく集めることを心がけましょう。
3-5. 具体的な人事施策の実施
組織の人事的な問題点を打破するためには、具体的な人事施策を実施することになりますが、施策の方向性は大きく分けると、「既存社員の育成」と「新規採用による獲得」の2つになります。
既存社員を育成する場合の具体的な施策としては、研修・ジョブローテーション・OJTなどが挙げられるでしょう。
新規採用で人材を獲得する場合の具体的な施策としては、新卒採用・中途採用・業務提携などが考えられます。
「問題点をどの程度緊急に解決しなければならないか」「社内人材の異動や配置転換などでどの程度対応できそうか」「異動による各部門への影響はどの程度ありそうか」など課題によって、施策における既存社員の育成と新規採用による獲得の比率は変わることになります。
3-6. モニタリングによる効果測定
タレントマネジメントの効果は目に見えにくいため、導入後は定期的に効果測定をおこなって、振り返りや方針の見直しなどを検討しなければなりません。
どのような指標にもとづいて効果を測定するかについては、タレントマネジメントを導入した目的に沿って決めることになります。
タレントマネジメントの成果が想定していたとおりに出ているのであればさらに注力し、うまくいっていない場合はその要因を洗い出して、施策の変更や方向転換に反映させましょう。
4. タレントマネジメント導入時に注意すべき5つのこと


タレントマネジメントをスムーズに導入してうまく運用するためには、導入時に以下のような点に気を付けておく必要があります。
- 経営層やマネジメント層に重要性を理解してもらう
- 目的を明確にする
- 運用体制をきちんと構築する
- 社員自身に重要性や有用性を実感してもらう
- タレントマネジメントシステムの導入を検討する
それぞれについて、以下で説明します。
4-1. 経営層やマネジメント層に重要性を理解してもらう
タレントマネジメントは、一部の部門やプロジェクトだけで推進されるのではなく、全社横断的に実施されなければあまり効果がありません。
全社横断的に推進するためには、トップダウンで実施するのがもっとも効果的なので、経営層やマネジメント層に重要性を理解してもらうことが必要です。
タレントマネジメント導入によるメリットや、現時点で考えられる懸念点などを上層部に伝えたうえでGOサインをもらい、上層部のお墨付きで推進できる状態が理想的といえるでしょう。
4-2. 目的を明確にする
冒頭でも触れましたが、タレントマネジメントは組織運営上の目的を解決するための手段のひとつです。
そのため、タレントマネジメントを導入すること自体が目的となってしまっていては、決してうまく導入・運用することはできないでしょう。
目的を明確にしたうえで導入して、実際に運用している際も当初の目的に沿った運用になっているかを適宜チェックする必要があります。
4-3. 運用体制をきちんと構築する
タレントマネジメントをしっかり運用するためには人材データの入力が必要になりますし、情報の種類によっては定期的な更新も必要です。
そのため、誰が責任者となってどのような周期・タイミングで情報を更新するのかなどについて、きちんとした運用体制を構築しておかなければなりません。
属人的な運用でうまくいっていたとしても、それは退職や転職・人事異動などによって容易に崩れてしまうので、マニュアルなどを用意してサポートすることも欠かせません。
4-4. 社員自身に重要性や有用性を実感してもらう
タレントマネジメントを適切に運用するためには、それぞれの社員の主体的な参加が欠かせませんが、重要性やメリットを感じにくい状態では人はなかなか動きません。
タレントマネジメントによって適材適所の人員配置がおこなえることや、人材育成がおこないやすくなることなどを説明して、社員の自発的な行動を促すことが重要です。
また、評価項目とタレントマネジメントの項目をリンクさせることで、どのような点が評価されるのかを見える化することも、社員の参画を促すには有効です。
4-5. タレントマネジメントシステムの導入を検討する
タレントマネジメントは、各組織独自のシステムやExcelなどで行うこともできますが、タレントマネジメント向けのシステムも存在しています。
タレントマネジメントシステムは、タレントマネジメントをおこなうためにカスタマイズされたシステムなので、わかりやすさや運用のしやすさにおいて、既存のシステムなどを上回っていることが多いです。
導入には費用が発生するため、費用対効果を検討する必要はありますが、よりよい運用のためにはタレントマネジメントシステムを導入することを考えてみてもよいかもしれません。
5. タレントマネジメントの導入は一歩一歩進めていくことが重要


タレントマネジメントはその規模や性質から一足飛びに導入することは難しく、しっかりとした手順を踏んで導入しなければなりません。
そのため、導入にあたっては経営層やマネジメント層に重要性を理解してもらうこと、導入時には運用体制をきちんと構築すること、導入後は定期的に効果測定および振り返りをおこなうことなどが求められます。
タレントマネジメントを適切に導入・運用できるかどうかで効果が大きく変わる可能性が高いため、期待している効果を得るためにも、慎重に推進するようにしましょう。
もしも、マネジメント経験がなかったり適切な担当者がいなかったりする場合は、タレントマネジメントに特化したシステムの導入を検討することをおすすめします。



その人事データ、ただ入力するだけで終わっていませんか?
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