労働契約書の保管期間は5年?正しく保存する方法を紹介
更新日: 2026.6.2 公開日: 2021.11.12 jinjer Blog 編集部

労働契約書の保管期間が5年に延長されたと聞き、これまでどおり3年保存で問題がないのか判断に迷っている担当者も多いのではないでしょうか。法改正後は原則5年とされつつも、経過措置により当面は3年とされているため、制度の理解が不十分なまま運用している企業も少なくありません。
保存年数を間違えたり勝手に廃棄したりすると、労基署調査の際に是正指導の対象となる可能性もあるので注意が必要です。
ここでは、労働契約書の保管期間や正しい保存方法、保存する際の注意点などを解説します。
目次
雇用契約の基本から、試用期間の運用、契約更新・変更、万が一のトラブル対応まで。人事労務担当者が押さえておくべきポイントを、これ一冊に凝縮しました。
法改正にも対応した最新の情報をQ&A形式でまとめているため、知識の再確認や実務のハンドブックとしてご活用いただけます。
◆押さえておくべきポイント
- 雇用契約の基本(労働条件通知書との違い、口頭契約のリスクなど)
- 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
- 契約更新・変更時の適切な手続きと従業員への合意形成
- 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策
いざという時に慌てないためにも、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 労働契約書の保管期間は何年?


労働契約書も、他の契約書類や決算書類と同様に保管期間が決まっています。誤って捨てることがないよう、適切に管理しましょう。
ここでは、労働契約書の保管期間について解説します。
1-1. 労働契約書の保管期間は5年(当面の間は3年)
労働契約書を含む労働関係書類の保存期間は、原則5年と定められています。ただし、附則による経過措置により、当面の間は3年保存でも差し支えないとされています。この「原則5年、当面3年」という整理を正しく理解することが重要です。
また、保管対象となるのは、在籍している従業員だけでなく、退職者や死亡者も含まれるので注意してください。賃金の未払いや残業代に問題がある場合や契約者が死亡し過労死などの可能性がある場合、この労働契約書などを参考に捜査されるので勝手に破棄しないようにしましょう。
労働関係書類の保管に関する経過措置が終了すると、5年保存が完全適用される可能性があるため、将来を見据えた運用設計が求められます。そのため、担当者は自社の保存ルールが最新の法令に沿っているかを確認し、段階的に5年保存へ移行できる体制を整えておくことが重要です。
保存義務に違反すると罰則が科せられる
労働基準法第109条に基づく書類保存義務に違反した場合、同法第120条により30万円以下の罰金が科される罰則の対象となる可能性があります。
保存義務は単なる努力義務ではなく、法的義務として明確に位置づけられている点が重要です。また、労働基準監督署の調査において保存書類の提示を求められた際、適切に管理されていない場合は是正指導の対象となることもあります。
保管期間を守ることは、法令遵守だけでなく、企業の説明責任を果たすうえでも重要だということを覚えておきましょう。
1-2. 2020年の法改正前の保管期間は3年
労働契約書の保管期間は、労働基準法が改正される前は3年間でした。しかし、2020年4月1日からは保管期限が5年に延長されたため、これまでよりも長期間の保管が企業には義務づけられています。この変更には民法の改正により、賃金の債権が消滅する時効が原則5年に延長(ただし労働基準法の経過措置により当面の間は3年)されたことが関係しています。誤って処分しないように注意しましょう。
なお、2020年の労働基準法改正によって、保存期間が延長されたのは雇用契約書だけではありません。履歴書や労働条件通知書、身元引受書など雇い入れに関するすべての書類も保存期間延長の対象となります。さらに、解雇や災害補償などに関する書類も対象となっているため、企業は労働に関係する書類の保存・管理をしっかりと見直さなければなりません。
1-3. 保管期間における経過措置
2020年4月1日の労働基準法の改正に伴い、労働契約書の保管期間が3年から5年に変更されましたが、当面は経過措置が設けられています。これにより、改正前に作成された労働契約書については、旧規定に基づく保管が求められる場合があります。
具体的には、すでに保存期間3年が経過している書類の場合は破棄しても問題ないとされていますが、経過措置がいつまで続くかは未定です。そのため、契約書や関連書類の保管・管理を今一度しっかりと見直すことが重要です。
2. 労働契約書の正しい保存方法


労働契約書の適切な保管は、トラブルを防ぐためにも企業の信頼性を守るためにも重要なことです。
近年ではデジタル化が進み、従来の紙媒体だけでなく、電子データでの保存も法的に認められるようになりました。しかし、どちらの形式であっても必要な時にすぐに確認や出力できる、改ざんが防止されているなどの法的要件を満たす必要があります。
ここでは、労働契約書の正しい保存方法を解説します。
2-1. 基本的には書面で保管
労働契約書を書面で交付した場合は、基本的に書面で保管しなければなりません。
現在、日本だけでなく世界中でペーパーレス化が進んでおり、テレワークの推進などで今後もさらにペーパーレス化が早まっていくことが予想されます。しかし、書面でのやり取りが未だに多いのも事実です。
従業員が多い、入れ替わりが激しい企業では労働契約書の保管にもスペースや管理コストがかかりますが、書面での契約書は書面のまま保管するようにしましょう。
退職年や入社年、氏名順など、各企業にとって見やすい方法で書類を保管しておき、いつでもすぐに提出できるようにしておきましょう。
2-2. 電子データとしての保管
近年、労働契約書を電子データとして保存する方法も一般化しています。電子帳簿保存法の本格運用の開始にともない、企業における各種書類の電子データ化が急速に進んでいる背景もあります。
さらに、多くの電子契約書類が法的拘束力を持つことが明らかになってきたことも、電子契約普及の後押しとなっています。
電子データとして保存する場合、データのバックアップと情報セキュリティ対策が欠かせません。サーバーのバックアップを定期的におこない、システム障害によるデータ消失を防ぐ対策が不可欠です。あわせて、アクセス権限を厳格に設定し、「誰がいつ閲覧・編集したか」のログを残すことで、内部不正や情報流出のリスクを最小限に抑えられます。
また、国の規制に従い、電子保存が合法であるか事前に確認しなければなりません。特に重要なのが、改ざんを防げているかということです。PDF化する際にタイムスタンプを付与したり、電子署名を利用したりするなどの対策をおこない、後からの改ざんがおこなわれていないことを証明できる状態にしなければなりません
適切な電子保存方法を選ぶことで、管理の手間を省きつつ、迅速に必要な書類を閲覧できます。
ただし、労働契約書の電子交付は、従業員が希望しない限りは利用できません。従業員がが希望しない場合は書面での交付、保管が必要です。
当サイトでは、このように労働条件通知書を電子データ化して締結する際のフォーマットを無料配布しています。社労士の監修付きで、令和6年に労働条件の明示ルールが変更された点も反映したフォーマットです。
労働契約書として兼用することもできる雛形ですので、「これから作る雇用契約書の土台にしたい」「労働条件通知書を更新する際の参考にしたい」という方は、ぜひこちらからダウンロードの上、お役立てください。
3. 労働契約書を電子保存するメリット


労働契約書の保管を電子化することは、セキュリティ対策が必要になる、導入や運用のコストがかかるなどのデメリットがあります。
また、社内でのデジタル化が進んでいない場合は、なかなか着手できない場合もあるでしょう。
しかし、労働契約書を電子契約書にするメリットはたくさんあります。ここでは、メリットの具体的な内容を解説します。
3-1. 入社手続きが簡単になる
電子契約書を使用することで、入社手続きが大幅に簡略化されるメリットがあります。
労働契約書を電子化する場合、労働者と企業が労働契約を締結する段階からすべて電子データでおこなわれるため、採用から就労するまでの手続きが簡略化され、プロセスが迅速化します。遠隔地にいる従業員でも電子署名でサインをおこなえるため、物理的な移動の制約がなくなります。さらに、必要な書類を一元管理することで、情報の共有がスムーズにおこなえます。
また、電子契約で労働契約を締結する際には、暗号化などのセキュリティ機能が活躍します。これにより、データの正当性や有効性を保持しやすくなり、より安全な環境での手続きが可能となります。
3-2. 人事労務担当者の工数を削減し業務効率を上げる
電子保存により、労働契約書管理の効率が大幅に向上します。その理由は、紙媒体で保管するよりも書類の検索や取り扱いが容易になり、管理の手間が大幅に削減されるからです。これにより、人事労務担当者の工数が削減され、より重要な業務に集中することが可能となります。
また、書面で雇用契約を締結する場合には、契約書の作成から台帳への収納までさまざまな作業が必要でしたが、電子化によりこれらの手間と時間を大幅に短縮できます。契約業務における作業効率化や、保存場所の省スペース化などのメリットも得られるでしょう。
さらに、電子契約書を使用することで、入社手続きも簡単になり、新入社員のスムーズなスタートをサポートできます。
3-3. コスト削減に役立つ
電子契約書の導入は、紙媒体の管理にかかるコストを削減できるのもメリットです。物理的なスペースが不要になるため、保管場所の費用も節約できます。
また、通信費や印刷費用、郵送費用に加え、契約書の作成に必要な紙代やインク代などさまざまなコストの削減にもつながります。特に、契約書を作成する機会や数が多い企業では、これらの削減効果により年間数百万円単位でのコスト削減が実現できるかもしれません。
4. 労働契約書を電子保存する際の注意点


労働契約書の電子保存は、業務効率化やペーパーレス化の観点から多くの企業で導入が進んでいます。一方で、電子保存に関する法的要件や運用上の留意点を十分に整理しないまま進めてしまい、結果として保存義務を満たしていない状態になるケースも少なくありません。
特に、紙の契約書を電子化した場合と、最初から電子で締結した場合では、考え方や管理方法が異なります。また、ヒューマンエラーのリスクが低い電子データという油断から、管理体制が曖昧になりやすい点も注意が必要です。
ここでは、労働契約書を電子保存する際の注意点を解説します。
4-1. 電子保存の要件を満たしていない
労働契約書を電子保存する場合、単に紙書類をPDF化して保管するだけでは、必ずしも法令上の保存義務を満たしたことにはならないという点に注意が必要です。
電子帳簿保存法や関連通達では、保存されたデータが真実性および可視性を確保していることが求められています。具体的には、後から内容を改ざんできない仕組みや、必要に応じて速やかに内容を確認できる状態であることが重要です。
これらを満たさず、フォルダにデータを格納しているだけの運用では、労基署調査などの際に不適切な保存と判断される可能性があります。電子保存をおこなう際は、形式だけでなく、保存要件を踏まえた管理方法になっているかを確認する必要があります。
4-2. 紙ベースの契約書を電子契約と同じ扱いにしてしまう
労働契約書の電子化において間違えやすいのが、紙で締結した契約書をスキャンしたデータと、電子上で締結した契約書を同一のものとして扱ってしまうケースです。
紙で署名・押印して成立した契約書は、あくまで書面契約であり、電子データはその写しに過ぎません。一方、電子上で合意が完結する契約は、成立方法自体が異なります。この違いを整理しないまま管理すると、保存方法や説明責任の整理が不十分になります。
特に調査対応時には、契約の成立経緯や原本性について説明を求められることがあります。そのため、契約書がどの方法で締結されたものかを明確に区別し、それぞれに適した保存管理をおこなうことが重要です。
4-3. 管理体制が不十分なまま運用する
電子保存では、紙での保管以上に管理体制の整備が重要です。保存場所や閲覧権限が明確に定められていない場合、誰でも契約書データにアクセスできる状態となり、情報漏えいや改ざんのリスクが高まるので注意しましょう。
また、担当者交代時に管理方法が引き継がれず、契約書の所在や保存状況が不明確になるケースも見受けられます。このような状態では、保存期間を守っているかどうかの確認も困難になります。
そのため、電子保存をおこなう場合は、保存ルールや権限管理を社内で明確にし、継続的に運用できる管理体制を整えることが不可欠です。
5. 労働契約書関連の保管で注意すること


労働契約書関連の書類は、単に所定の年数保存すれば足りるものではなく、保存対象となる書類の範囲や他の労務関係書類との関係を整理したうえで管理する必要があります。
保管期間の起算日を誤ったり、関連書類を保存していなかったりすると、法令違反と判断される可能性もあります。また、書面保存と電子保存では管理方法や確認体制も異なるため、形式的に保管しているだけでは十分とはいえません。
ここでは、労働契約書関連の保管で注意することを解説します。
5-1. タイムカードなどの書類も保管しなければならない
労働契約書は単体で保管すればよいわけではなく、その契約者のタイムカードや賃金台帳、労働者名簿、時間外労働計算書を一緒に保管しておく必要があります。
退職後に労働の内容に問題が発覚する可能性もあり、訴訟などに至った場合にこれらが証拠になるからです。
不利になる恐れがある場合でも、破棄してしまうと余計に不利になってしまいます。
また、提出を求められた際に破棄済みで提出できなかった場合は、罰則が科せられる可能性もあるので注意しましょう。
5-2. 保管期間が違う書類もある
労働契約書をはじめとした契約に関する書類の保管期間は5年間(当面の間は3年)ですが、それ以外にも各書類の保管期間は法律で定められています。
保管期間が定められている書類はいくつもあるため、破棄していいか迷ったときは必ず確認しておきましょう。
保管期間が定められていない書類に関しては、企業の判断にゆだねられているので、適宜適切な期間保管した上で破棄するようにしましょう。
2~3年間の保管が必要な書類
企業に存在する書類のなかでも、以下は2~3年間の保存が必要です。
|
保存期間 |
書類の種類 |
|
2年間 |
・健康保険に関する書類(資格取得確認通知書、資格喪失確認通知書、被保険者標準報酬決定通知書) ・雇用保険に関する書類 |
|
3年間 |
・労災保険に関する書類 ・労働保険の徴収・納付の書類 |
なお、雇用保険に関する書類のうち、離職票、雇用保険被保険者資格取得確認通知書など被保険者に関する書類は、4年間の保管が義務付けられているので注意しましょう。
※健康保険・厚生年金保険・雇用保険に関する書類は、原則として「その完結の日」から起算して期間を計算します。労働基準法関連の書類とは起算日の考え方が異なる点に注意してください。
7~10年間の保管が必要な書類
7~10年間の保管が義務づけられているのは、下記の書類です。
|
保存期間 |
書類の種類 |
|
7年間 |
・取引に関する帳簿 ・源泉徴収簿 ・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 |
|
10年間 |
・決算書類 ・株主総会の議事録 |
7年から10年間の保管が義務付けられている書類は、企業の財務状況や経営の透明性を確保するうえで欠かせません。適切に管理して、期間内は保管しておきましょう。
6. 労働契約書は保管期間と保管方法を守って取り扱おう


雇用内容を詳しく記載した労働契約書は、契約者が退職、または死亡した日から数えて5年間(当面の間は3年)は保管しておかなくてはいけません。
以前は3年の保管期間が定められていましたが、延長されている点に留意して正しく保管するようにしましょう。電子保存すれば、入社手続きをはじめ労務の負担を軽減可能です。
なお、企業にある書類のなかには、健康保険に関する書類や株主総会の議事録など3年以上の保管が義務付けられているものもあるため、混同しないよう注意が必要です。
また、保管する際は真実性を確保し、すぐに閲覧できるようにしておくことが重要です。特に電子データで保管する際は要件を確認し、証拠として有効な形で保管しましょう。



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