BCP対策としてクラウドサービスを活用するメリットと選び方のポイント
更新日: 2022.12.13
公開日: 2022.9.15
MEGURO
BCP(事業継続計画)の目的を達成するためにも、クラウドサービス上へのデータやシステム保管は重要な事項となります。
今回は、BCP対策にクラウドサービスを活用すべき理由やクラウドサービスを利用するメリット、またクラウドサービスを利用するときの注意点などを解説していきます。
関連記事:BCP対策の重要性や策定のコツを徹底解説 | jinjerBlog
目次
【弁護士監修】でデジタル改革関連法をわかりやすく解説!
2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。
とはいえ、「何が変わったの?」「どの書類を電子化できるの?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。
デジタル改革関連法の改正で新たに電子契約できるようになった書類について法的根拠をもとに解説しているほか、電子契約を用いた実際の業務フローや電子署名の導入手順までを網羅的に解説しており、これ一冊で電子契約について理解できるため、書類の電子化やデジタル改革関連法に興味があるという方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
1. BCP対策にオンプレミスよりもクラウドサービスが推奨される理由
BCP対策の一貫として、データを守るためにシステムを導入する企業は多くあります。その際に用いられるデータ保管システムには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。
オンプレミス型のシステムは、保管に必要なサーバーや機器の運用を自社でおこないます。事業場内に必要機器の設置をおこなわなければならないため、自然災害などでシステムを設置している事業場が被災したり、システムを設置している場所にたどり着けない状況が発生した場合にはシステムやシステム内のデータを利用することができなくなってしまいます。
クラウド型ではこのようなリスクがないためBCP対策としてはクラウド型のシステムが推奨されています。その理由には、以下の2つが挙げられます。
◇BCP対策にクラウドサービスが最適な理由2つ
・事業資産の損害を軽減できる
・事業の継続や早期復旧が可能となる
ここからは、これら2つの理由について具体的に確認していきましょう。
1-1. 事業資産の損害を軽減できる
クラウドサービス上にデータを保管しておくことにより、災害などでオフィスが利用できなくなった場合でも、データを守ることができます。データへの影響がなければ、事業資産の一つでもあるデータの損害を免れることが可能です。
クラウド上のデータはデータセンター内に保管されていることや、複数のデータセンターにデータが分散して保管されていることから、オフィス内のサーバーが被害を受けたとしてもデータへの影響を最小限に抑えられます。
1-2. 事業の継続や早期復旧が可能となる
クラウド上のデータは、インターネット接続環境が整っていれば、場所を問わずどこからでもアクセスすることができます。
事業場が被害を受けていたとしても、自宅や避難先などから社内のデータを扱うことができるため、非常事態があっても、一部の業務については継続することが可能です。
このような継続可能な業務には、資料や企画書、見積書や請求書などの作成作業のほか、デザイン・動画編集といった制作作業などがあります。
自宅から可能な作業を実施することにより、事業の継続や早期復旧も見込めるようになるでしょう。
2. BCP対策にクラウドサービスを利用するメリット
BCP対策にクラウドサービスを利用するメリットには、以下の3つが挙げられます。
2-1. 業務負担を増やさすデータの保護が可能となる
BCP対策でクラウドサービスを利用することにより、業務の負担を増やすことなくデータを保護することができます。
その理由として、クラウドサービスを提供している事業者により、サーバーの保守やメンテナンスが実施されることが挙げられます。事業者によっては、バックアップサービスをおこなっているところもあるため、データの保管やバックアップの負担を軽減することもできます。
2-2. 緊急時も場所に捕らわれず復旧活動ができる
地震やで事業場が被害を受けたり、台風等で交通機関が麻痺したりすると事業場での業務がおこなえない事態が発生します。
事業場でなければデータを扱えない場合、非常事態の復旧活動に時間がかかってしまいます。クラウドサービスを利用している場合には、社内で使用しているPCでなくともインターネット環境があればデータにアクセスすることができるので、非常事態であっても事業を継続するための業務を続行することができます。
必要な対応や対策を早期に講じることができれば、事業を継続できる可能性が高まります。
2-3. 低コストで運用できる
社内で独自にデータ保管設備を運用する場合と比較し、クラウドサービスを利用することによりコスト面での負担も抑えられます。
もし、クラウドサービスを利用せず、独自にデータ保管設備を用意した場合には、安全性を担保するためにさまざまな設備を揃える必要があります。そのために、莫大な金額を準備しなければなりません。
しかし、クラウドサービスでは、ひと月あたり数万円から30万円程度の利用料でも同等のサービスを受けることができます。
3. BCP対策としてクラウドサービスを利用するデメリット
BCP対策でクラウドサービスを利用する際には、以下の3点に注意が必要です。
3-1. バックアップ先の準備が必要
BCP対策でクラウドサービスを利用する際には、クラウド上にデータを保管するだけでなく、別にバックアップ先を用意しておく必要があります。
万が一、クラウドサービス側で不具合が発生した場合、別途バックアップ先を用意していないと重要なデータが完全に消失してしまうことになりかねません。そうなると業務に影響し、顧客の信用を失うこともあるので注意が必要です。
特に重要なデータは3箇所に、2種類以上の方法で、内1つは事業場から離れた遠隔地に保管するという「3-2-1」ルールに倣い保管をおこないましょう。遠隔地での保管が難しい場合は、パブリッククラウドを活用することもおすすめです。
3-2. データの利用量で料金が変動する可能性がある
クラウドサービスでは、バックアップのデータ要領と利用内容に応じて月額料金が変動するクラウドサービスも多くあります。そういったクラウドサービスを利用している場合には、クラウド上に保管するデータが多くなればなるほど、当然のことながらサービスの利用料が増えることになります。
不要なデータまで保管していると、本来支払う必要のない無駄な費用を支払うことになるため、クラウドサービス上に保管するデータについては的確に判断しましょう。
書式が古いものなど、不要になったり重複したりしているデータがないかなど、定期的にクラウド上のデータを整理する時間を設けることで、無駄なコストがかかってしまうことを予防できます。
また、ハイブリッドクラウドの構築もコスト削減に有効です。重要な資料のみを契約しているクラウドサービスへ保管し、重要度が高くないものは、パブリッククラウドを利用し保管するといった使い分けをおこなうことで、データ容量を抑えましょう。使用頻度が高い書類のひな形等は、パブリッククラウドに保管しておけば非常時でも簡単に従業員がアクセスでき、業務を滞りなくおこなうことができる可能性が高まります。
3-3. サービスの安全性やセキュリティ体制を確認する必要がある
サービスの安全性やセキュリティ体制は選択するクラウドサービスによって様々です。料金の安さで選択してしまい、セキュリティが十分でないサービスを導入してしまった場合、情報漏洩やサイバー攻撃による情報の消失などの被害を受ける可能性もあります。
BCP対策にクラウドサービスを利用する場合には、セキュリティの認証を受けているかどうかなど、安全性や確実性を担保できるクラウドサービスを選ぶようにしましょう。
クラウドへの自動バックアップやデータの分散保管、データセンターの自社拠点からの距離などといった項目をチェックし、クリアしているサービスを選択するのがおすすめです。
4. BCP対策としてのクラウドサービスの選び方
BCP対策としてクラウドサービスを利用することが決まったけれど、どのサービスを選定したら良いのか分からないということもあるでしょう。クラウドサービスを選ぶ際の留意点を解説します。
4-1. BCP対策に適した仕組みの有無
上述の通り、最低限BCP対策に適した仕組みがあるかどうかをチェックしたうえでのクラウドサービス選択をおこないましょう。
クラウドへの自動バックアップ機能やデータの分散保管機能が備わっていない場合、緊急時に扱えるデータが古かったり、データが失われたりするリスクが否定できませんので注意しましょう。
4-2. 過去の導入実績
より安全にデータ保管をしたい場合には、過去の導入実績にも注目してみましょう。
多くの導入実績があることはもちろんのこと、さまざまな規模の企業で扱われていたり、官公庁や金融機関に導入されていたりするクラウドサービスであれば、より安心してBCP対策に導入することができるのではないでしょうか。
4-3. データの保管場所
データを保管するデータセンターの場所についても、クラウドサービス選定の際に確認しておきましょう。
クラウドサービスによっては、国内だけでなく、国外にもデータセンターを持つサービスがあります。
自社のデータ保管において、国内のみのデータセンターで保管したいのか、また、国内外でデータを分散させたいのかをよく検討し、より条件にあったサービスを選ぶようにするとよいでしょう。
4-4. 自社にとって使い易いサービスかどうか
導入しても使いこなせないサービスであれば無駄なコストになってしまいます。書類データの保管だけでなく、事業に利用するシステムのデータの保管や構築を想定している場合には、設定が複雑になる場合もあります。
社内にクラウドシステムに詳しい人材がいない場合は、専任のサポートが受けられるかどうかなど、クラウドサービスのサポート体制の手厚さも検討要素に加えると良いでしょう。
また、単純に書類データを保管するだけであれば、複雑なシステムを利用する必要性は低いといえるので、どこまでの機能を活用するかを想定したうえで、自社にとって使い勝手の良いサービスを選定しましょう。
5. 自社に適したBCP対策のためにはクラウドサービスの選定が重要
クラウドサービスをBCP対策に適用することにより、業務負担を増やさず、安全な環境下でデータ保管が可能となります。
また、独自にデータ保管設備を準備する場合と比較し、割安で同レベルのサービスを受けることも可能です。
なお、自社に適したBCP対策をおこなうにあたってクラウドサービスの選定をおこなう際には、BCP対策に適した仕組みの有無や過去の導入実績、データセンターの場所について確認をしてみましょう。
その結果、自社の条件に合致したサービスを選ぶことで、より納得のいくクラウドサービス活用が可能となるのではないでしょうか。
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