360度評価の項目は何を設定する?設定するときの注意点や項目例を解説
更新日: 2024.2.29
公開日: 2023.3.6
OHSUGI
360度評価は、立場の異なる複数の評価者からの視点を用いて、多方面的におこなわれる人事評価制度です。上司のみの視点に限らず、同僚や部下の視点も取り入れることで、評価に対する納得感や企業への信頼感を高めます。
今回は、360度評価における評価の項目例や項目設定時のポイントを紹介します。また、360度評価で評価項目を設定するときの注意点についてもあわせて解説します。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. 360度評価とは
360度評価とは、上司、同僚、部下など複数の人が対象者を評価をする新しい評価方法のことです。
従来の評価制度では、直属の上司が部下を評価するのが一般的でしたが、上司という立場から評価できるのは部下の一面に過ぎません。
特定の面だけで従業員を評価すると不公平性が生じやすいことから、近年は同僚や部下など立場の異なる人を評価者に設定し、多角的な評価をするべきという考えが定着しつつあります。
360度評価は、1人の従業員をさまざまな面から観察し、個人の実績や能力をまんべんなく評価できるところが大きな特徴です。
評価をする目的を明らかにして、その目的のために評価項目を設定するとより効果が高まります。実施を有意義なものにするために、評価項目を設定する際は十分な検討が必要です。
2. 360度評価で評価項目を設定するときのポイント
360度評価で評価項目を設定する際は、評価のしやすさや負担増に注意しながら、対象者に適した項目を設定することが重要です。以下の5つのポイントは特に注意しましょう。
2-1. 設問数を増やしすぎない
評価をおこなう際の設問数が多すぎると、回答に時間がかかり、評価者が負担に感じやすくなります。また、評価に時間がかかりすぎると、適切な回答が求められない場合もあるため注意が必要です。
設問数は多くても30問程度にとどめ、15分以内で回答できるようにするのがよいでしょう。
2-2. 選択式と記述式の設問を設ける
選択式の設問は、回答の集計や傾向の把握がしやすいというメリットが、記述式の設問では、具体的にどのような改善策をとるかが見えやすいというメリットがあります。
そのため、設問を設ける際には、選択式と記述式両方の設問を設けるようにするのがおすすめです。
2-3. 選択式の回答項目は5段階もしくは4段階で設定する
選択式の回答項目は、5段階もしくは4段階で設定するようにしましょう。5段階評価の場合には、「非常にあてはまる」「あてはまる」「どちらともいえない」「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」という設問の設定が一般的です。
4段階評価は、5段階評価で起こりがちな「どちらともいえない」といった分析がむずかしい回答を避けたい場合に用い、上記より「どちらともいえない」を省いた設問設定をします。
2-4. 管理職用と一般社員用で評価項目を変える
管理職と一般社員では、立場だけでなく業務の内容や責任の大きさ、視点などさまざまな点に違いがあります。そのためそれぞれの立場に適した評価項目の設定をしましょう。
全ての評価項目を変える必要はありません。管理職用にはリーダーシップや組織運営能力に関連する項目を作ったり、一般社員用には業務遂行能力や創意工夫能力の項目を作ったりするなど、部分的な変更だけでも十分です。
2-1. 点数評価とは別にコメント欄の設置を検討する
評価結果を点数のみで被評価者に伝えてしまうと、低い評価になった理由や改善すべき点が伝わりません。
360度評価をおこなった効果を最大限に引き出すには、コメント欄を設置して評価の理由や評価者の考えなどを伝えるとよいでしょう。そうすることで納得感が増し、被評価者にとってさらにプラスになります。
3. 【管理職・一般社員別】360度評価における評価項目の例
360度評価では管理職用と一般社員用では評価項目を変えると効果的であるとお話をしました。
ここではより具体的に管理職用と一般社員用の評価項目例を紹介します。
3-1. 管理職用の評価項目の例
管理職の評価をおこなう際には、マネジメントの能力を評価する項目が中心となります。
具体的には、リーダーシップを評価するものや組織作りを評価するもの、メンバーの育成を評価するものが設定されます。
① リーダーシップを評価する項目
リーダーシップを評価する項目例には、目標達成に必要な指導力・統率力を評価する項目を設定します。主に、利益の発生を実現させているか、また、チームのビジョンを明確にしてメンバーに理解させているかを評価します。
- メンバーの能力や個性にあわせた指導をおこなっている
- チームの現状をよりよくする計画や目標が明確になっている
- 部下とのやり取りにおいても相手に敬意を払って接している
- 異なる意見も積極的に受け入れている
② 組織作りを評価する項目
組織作りを評価する項目例には、チームのメンバーが目的に真剣に向き合いながら結果を出す方向に向かっているか、メンバーのコミュニケーションの場がきちんと設定されているかなど、より望ましい組織を作り出す上で重要となる部分についての評価をします。
- 組織の統率力があり、部下に対してやる気を起こさせる組織作りができている
- メンバーとコミュニケーションをとる時間を設けている
- 成果をあげた場合でも一部の手柄とせず全体の頑張りとしている
③ メンバー育成力を評価する項目
メンバーの育成力も管理職の重要な評価項目です。
管理職は部下の仕事ぶりに対し正しい評価とフィードバックを実施しているか、また、部下の仕事に対し適切なゴールを設定できているかをメンバー育成力の評価項目として設定します。
- どのようなときでも、メンバーの仕事ぶりに対してよいところを見つけて褒めている
- メンバーの仕事ぶりに対するフィードバックをおこなって、定期的に話し合いの場を設けている
3-2. 一般職用の評価項目の例
一般職を評価するための評価項目は、社員の主体性や実務遂行能力のほか、協調性について評価する項目を設定します。
① 主体性を評価する項目
指示待ちではなく、自分の意思や判断で行動をおこなうことのできる主体性の評価項目を設定します。
ここでは主に、仕事内容や責任の所在を他人任せにせず、自分自身で考え行動できているかについての評価をします。
- 自分なりに工夫しつつ、自ら学ぶ姿勢がみられている
- 仕事をする上で問題が発生した場合には早めに相談をしている
- 何らかの指摘があった場合でも、拒絶することなく意見を受け入れている
② 実務遂行能力を評価する項目
実務を滞りなく完了させるために必要な能力について、実務遂行能力として評価項目の設定をします。
課題解決までの道筋を理解して最後までやり遂げることができるか、チームや顧客、社会全体への利益を考えて業務に取り組むことができているかについて評価します。
- 業務を遂行する上で時間を効率的に使うことができる
- 仕事の現状を正しく認識して、よりよくするためのアイデアがある
- 社内の方針についてきちんと確認し、業務を実施している
③ 協調性を評価する項目
ほかのメンバーとの協調性についても評価をおこないます。
主に困っているメンバーに対して自ら助けることができるか、チームをよりよい方向に導くためのコミュニケーションやフィードバックができているかを評価します。
- 周囲に対しての気遣いを忘れずに関わりを持っている
- 他人の意見やアイデアを受け入れつつ活用することができている
- 周囲に大きな影響を与え、やる気を高めることができている
4. 360度評価の評価項目は役職や業務負担を考えて慎重に設定しよう
360度評価は、多方面からの視点を評価に取り入れることで、客観性および公平性の高い人事評価をおこなうことができます。
360度評価のメリットを最大限に活かすためにも、評価項目を設定する際には注意が必要です。
コア業務を圧迫するほどの負担にならないか、管理職と一般社員で適切な評価項目になっているか、フィードバックはできているかなどといった点を意識しながら、項目や解答欄を設けるようにしましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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