電子決裁システム導入のデメリットは?失敗しないためのポイントを解説
更新日: 2024.5.24
公開日: 2024.4.19
OHSUGI
電子決裁システムとは、承認プロセスや文書の作成などを電子的におこなうシステムです。政府がデジタル化の推進に力を入れるなか、導入を検討している企業も多いでしょう。
しかし下記のような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
「電子決裁にもデメリットはあるのではないか」
「導入に失敗しないためにはどのようにしたらよいだろうか」
この記事では、電子決裁のデメリットとメリット、導入が困難なケース、失敗しないためのポイントを解説しています。導入を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
「承認までの流れが遅い」「今誰が稟議を持っているのかがわからない」「承認のためだけに出社しなければいけない」 などのお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ワークフローをシステム化することで、以下のようなメリットがあります。 ①リアルタイムでの承認・進捗状況が把握できる ②リモートワークなどどこにいても稟議対応ができる ③稟議の紛失リスクがない
ワークフローシステムが自社の課題解決につながるかどうかを知るためには、まずワークフローシステムが何かを知っておく必要があります。
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1. 電子決裁システムを導入するデメリット
電子決裁システムを導入するデメリットは以下になります。
- コストがかかる
- 業務フロー・社内ルールを見直す必要がある
それぞれのデメリットを詳しく解説していきます。
1-1. コストがかかる
電子決裁システムの導入には、一定のコストがかかります。具体的な費用は各システムによって異なるでしょう。オンプレミス型・クラウド型のどちらを選ぶかによっても、費用のかかり方は変わります。
オンプレミス型とクラウド型の特徴と費用の違いを表にまとめました。
システムの種類 | 特徴 | 費用 |
オンプレミス型 | ・既製品のソフトウェアを購入・社内のパソコンにインストールする
・独自のカスタマイズができる |
・初期費用・保守・運用コストがかかる
・費用が高い |
クラウド型 | ・インターネット環境を使ってシステムにアクセスする
・社外でも利用できる |
・初期費用がかからず、月額利用料を支払う
・費用が安い |
現在では、費用が抑えつつ社外からでもアクセスできる、クラウド型が主流となっています。しかし、自社のシステムに合わせて自由にカスタマイズしたい場合には、オンプレミス型を選ぶと良いでしょう。
電子決裁システムを導入するにあたり、システムを運用する人材も必要となります。導入を検討する際には、人材配置にかかるコストも考慮しましょう。
1-2. 業務フロー・社内規定を見直す必要がある
電子決裁システムを導入するにあたり、業務フローや社内ルールを見直す必要があります。従来の申請書類の作成から承認までのプロセスを整理し、電子決裁に適した形式に変更しましょう。
また、承認者の役割や権限を明確化しておくと、電子決裁システムの導入がスムーズになります。紙に押印する前提でルール化されていた印鑑の管理や、社内文書の管理方法などの見直しも不可欠です。
さまざまな変更に伴い、社員が戸惑う場面もあるかもしれません。システム導入前後には、多少の混乱やトラブルが起きる恐れもあります。
2. 電子決裁システムを導入するメリット
電子決裁システムを導入するメリットは以下になります。
- ペーパーレス化が進む
- ミスや不正が防げる
- 社員の負担を減らせる
それぞれのメリットを詳しく解説していきます。
2-1. ペーパーレス化が進む
電子決裁システムを導入すると、いままで紙ベースでおこなっていた業務が電子データに置き変わるので、ペーパーレス化が進みます。紙代・印刷コスト、プリンタ・コピー機などのオフィス機器にかかるコストが削減されるでしょう。
電子データは、紙の書類に比べて検索・紹介が容易です。電子印鑑の導入では、印鑑の押印のためにオフィスへ出社する必要もなくなります。
2-2. ミスや不正が防げる
電子決裁システムでは、ミスや不正を未然に防げます。電子決裁システムには決められた記入形式があるため、記入ミスが起こりにくくなるでしょう。ミスが発生した場合でも、簡単に修正が可能です。
また、電子決裁システムでは承認フローが透明化され、システムの操作履歴も残ります。だれが操作・承認したかがすぐに追跡できるので、不正や改ざんの防止にもなるでしょう。権限コントロールにより、権限を持たない社員による不正な処理も防止できます。
2-3. 社員の負担を減らせる
電子決裁システム導入により、決裁プロセスの迅速化・業務の効率化・人的ミスの防止などが期待でき、従業員の負担を軽減できます。
電子決裁システムは場所にとらわれず業務を進められるため、テレワークの普及・定着にもつながるでしょう。システム導入時はシステムの操作方法を学ぶ必要があり、負担を感じるかもしれません。
しかし長期的に考えれば、社員の体力面・精神面を支える大きなサポートツールとなるでしょう。
3. 電子決裁システムの導入が困難なケース
電子決裁システムの導入が困難なケースは以下になります。
- 紙の資料・申請書類が多い
- 電子決裁をおこなう環境が整っていない
- 取引先が電子決裁に対応していない
それぞれのケースについて、詳しく解説していきます。
3-1. 紙の資料・申請書類が多い
紙の資料・申請書類を使用しなければならない職場では、電子決裁システムの導入により業務が増えることも考えられます。
電子決裁では、紙の資料・申請書類を電子化する作業が必要です。紙の資料・申請書類の数が多い環境ではかえって業務が増え、非効率化する可能性が高くなるでしょう。
実際に多くの自治体では住民からの申請書を紙ベースで受け取るケースが多く、電子化が進みにくい要因となっています。
3-2. 電子決裁をおこなう環境が整っていない
電子決裁システムをおこなう環境が整っていない場合、システムの導入は困難です。システムには、業務用の端末や安定的なネットワーク環境が必要となります。
ネットワーク環境がない・ネットワーク環境はあるが安定的ではない職場は数多くあります。一人ひとりが端末を持っていないケースも考えられます。
職場の環境が電子決裁システムに合っているかをチェックし、状況によっては電子決裁を取り入れる部署と取り入れない部署を分ける必要もあります。
3-3. 取引先が電子決裁に対応していない
取引先が電子決裁に対応していない場合、取引先に協力を求めなくてはなりません。取引先が電子決裁に対応できない場合には、従来の決裁方法を継続することになります。
取引先に電子決裁を勧める場合には、電子決裁の効率性や利便性を説明しましょう。もし取引先が電子決裁のセキュリティに懸念を持っているのなら、セキュリティ対策を強化し信頼性を高める必要があります。
取引先が電子決裁に対応していない場合には、状況に応じて柔軟に対応策を検討しましょう。
4. 電子決裁システムの導入で失敗しないためのポイント
電子決裁システムの導入で失敗しないためのポイントは以下になります。
- セキュリティを重視する
- 電子決裁システムによる業務範囲を明確にする
- だれでも簡単に操作できるシステムを選ぶ
各ポイントについて説明していきます。
4-1. セキュリティを重視する
電子決裁システム導入の際には、セキュリティの強化が重要です。電子決裁では、重要な文書や承認プロセスがオンラインでおこなわれます。
データのなかに社内の機密情報や個人情報が含まれている場合が多いでしょう。もし情報漏洩や不正アクセスが起きれば、企業は大きな損害を受けることになります。
以下は、セキュリティを強化するための方法です。
- 多要素認証を採用する
- データを暗号化する
- システムのセキュリティアップデートをおこなう
- 社員にセキュリティ意識を高めるための教育をおこなう
オンプレミス型のシステムは、社内の限られた範囲でシステムを構築するため、外部からの攻撃リスクが低いです。
クラウド型は、クラウド事業者がセキュリティを保証するため、システムに対するセキュリティ対策を自社で講じる必要がありません。しかしクラウド型はネットワーク接続が必要なため、オンプレミス型よりは外部からの攻撃リスクが高くなります。
4-2. 電子決裁システムによる業務範囲を明確にする
電子決裁システムを導入する際には、どの業務プロセスに電子決裁を適用するか明確にする必要があります。あらかじめ「契約書の承認」「経費精算」「人事手続き」など、スムーズにしたい業務、課題のある業務を抽出しましょう。
業務範囲がはっきりしていれば、システムを選ぶ際に比較検討しやすくなります。また業務範囲を限定することで、セキュリティ対策も講じやすくなるでしょう。
4-3. だれでも簡単に操作できるシステムを選ぶ
電子決裁システムを選ぶ際には、だれでも簡単に操作できるシステムを選びましょう。
操作が難しいと、使用する社員がストレスや不満を感じる可能性が高くなり、システムの定着が難しくなります。電子決裁システムに関する社員への教育にも、長い期間を要することになるでしょう。
また操作が複雑であるほど、ミスが生じる可能性も高くなります。パソコンの操作に慣れていない社員でもスムーズに使用できるかどうかを、システムの選考基準にすることがおすすめです。
さらに、電子決裁を導入することを決めた場合には、急な導入での混乱を避けるために、事前に社員へアナウンスしましょう。使用方法をあらかじめ共有しておく、デモ画面を試しに使ってもらうなどの対策も必要です。
5. 電子決裁システムは自治体でも導入されている
近年、日本では業務を極力オンライン化する動きが加速しています。これは企業のみならず、自治体にも広がっています。行政機関では公文書の決裁業務が多く、一連の手続きを手作業で行うと時間がかかります。2018年7月に閣議決定された電子決裁移行加速化方針では、公文書の作成から保存・管理・移管まで一貫して電子的に行うことが目指されています。
自治体が公文書電子化を進めることで、業務効率の向上、コスト削減、透明性の向上など多くのメリットが期待されます。しかし、導入には特有の課題もあります。ここでは具体的な自治体での導入事例を交えつつ、自治体における公文書電子化について深掘りします。
5-1. 電子決裁システムを導入している自治体の導入事例
多くの自治体が電子決裁システムを導入しており、その一例として佐賀県庁が挙げられます。佐賀県庁では2004年頃から徐々に決裁の電子化を進め、2019年には全庁の決裁処理を全面的に電子化しました。このシステム導入により、同庁は約3,500名の職員にタブレット端末を配布し、平均週1回の頻度でテレワークを実施しています。
電子化前は、承認者が庁内に不在の場合、文書の回覧が遅れることがありました。しかし、電子決裁システムにより、出張や在宅勤務時でも迅速に対応が可能となりました。進捗管理も可視化され、回覧の確認作業が大幅に軽減されました。
導入当初は、Word、Excel、PDFなど異なる文書形式の確認に手間がかかるという課題がありましたが、ファイルをイメージ処理するシステムに改良したことで、使い勝手が向上しました。これにより紙を使う必要がない状態を実現しました。
佐賀県庁のような成功事例は、決裁システムの導入を検討する自治体や企業にとって大変参考になるでしょう。今後は県民が利用する申請手続きなどもオンラインへ移行することが期待されています。
6. デメリットを踏まえて電子決裁の導入を検討しよう
電子決裁システムには、「コストがかかる」「業務フロー・社内ルールを見直す必要がある」などのデメリットがあります。
しかし「ペーパーレス化が進む」「ミスや不正が防げる」「社員の負担を減らせる」などのメリットにも注目しましょう。総合的に考えればプラスの面が大きいのではないかと考えられます。
電子決裁システムの導入が困難なケースもあるため、自社の状況がシステムに合っているかを熟考すべきでしょう。セキュリティの強化や業務範囲の明確化、操作性の確認もシステムの導入には欠かせません。
デメリット・メリットを考慮しつつ、失敗をしないポイントを押さえて、電子決裁システムを自社に取り入れましょう。
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