障害者雇用促進法とは?目的や対象企業をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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障害者雇用促進法とは?目的や対象企業をわかりやすく解説

車いすに座ってパソコンを操作する男性

「障害者雇用促進法の内容について詳しく知りたい」

「自社は障害者雇用促進法の対象になる?」

「障害者雇用促進法で気を付けるべき点は?」

障害者雇用促進法について、上記の疑問をもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。

障害者雇用促進法とは、障害のある方の雇用を安定させる法律です。要件に該当する企業では、決められた人数だけ障害者を雇用する義務が生じるため、制度を正確に把握しておく必要があります。

本記事では、障害者雇用促進法の内容や、障害者を雇用すべき対象企業、対象となる障害者について解説します。障害者雇用促進法を守らなかった場合のペナルティや、対応する際のポイントもあわせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。


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雇用契約に関するFAQを総まとめ

従業員の採用が決定した際は雇用契約を締結し、法令で定められた事項を明示した上で労働条件通知書を発行する必要があります。しかし、会社によっては独自の試用期間があったり、新たに従業員を採用せずとも既存の雇用契約を更新・変更する必要が出てくるタイミングもあるでしょう。

そのような際に、当サイトでは雇用契約に関して「よくある疑問」を簡単な基礎から応用編まで、まとめて一挙に解説した資料を無料配布しています。
資料では、一問一答形式で勤務形態ごとの契約書における注意点や、試用期間の正しい取り扱い方、さらには契約違反や違法性が疑われる契約トラブルへの対処法をまとめて解説しています。雇用契約に関して抱えている課題に対して、すぐに解決できる資料がほしいという方は、ぜひこちらからダウンロードしてお役立てください。

 

1. 障害者雇用促進法とは障害者の雇用安定を目的とする法律

職場で教えあう人々

障害者雇用促進法とは、障害者が雇用を得て、継続的に職業に従事することを目的に設定した法律です。

障害者が安定的に働き、生活の安定を図れるようにするため、企業の規模に応じて雇用すべき障害者の人数を法律で定めています

障害者雇用促進法は、過去に何度も法改正を繰り返してきました。今後も、法定雇用率を引き上げることで障害者の雇用義務がある企業を増やし、企業あたり障害者数も増加させる方針です。

障害者雇用は、企業側にとってもメリットがあります。多様な人材を確保すれば企業内の多様化も進み、より強固な組織づくりに役立つでしょう。業務を見直すことで業務の効率化につなげられる可能性もあるため、積極的な活用が推奨されます。

2. 障害者雇用促進法で決められた内容

会議で説明する人

障害者雇用促進法では、企業規模に応じて雇用すべき障害者数を設定し、障害者に対する差別の禁止や、合理的な配慮をするよう定めています。障害者であることを理由に不利な条件で雇用してはならず、ハンディキャップに準じて作業環境の調整が必要です。

例えば、障害者であるだけで一般社員より賃金を引き下げたり、昇給の対象から外したりすることは禁じられています。障害の内容や程度に応じて、車いすに合う作業台を用意したり、文字だけでなく口頭での説明をしたりしなければなりません。

また障害者雇用促進法では、障害者の自立を支援する目的から、職業リハビリテーションの推進を図っています。ハローワークには専門の相談員を配置し、地域障害者職業センターにはカウンセラーが在籍しているため、障害者や企業へのアドバイスが可能です。

3. 障害者雇用促進法の対象企業は法定雇用率で決まる

図表を見て電話で打ち合わせる人

障害者雇用促進法では、障害者を雇用すべき対象企業と人数について、法定雇用率を用いて定めています。

民間企業の場合、2025年1月時点での法定雇用率は2.5%です。言い換えれば、常時雇用者が40人の民間企業では、1名の障害者を雇用する必要があります

常時雇用者が39人以下の企業では、障害者を雇用する義務は発生しません。また、80人規模の企業であれば2人、120人規模であれば3人のように、企業規模に応じて雇うべき障害者の人数は増えていきます。

ここでいう常時雇用者とは、1年以上継続的に雇用している、もしくは雇用が見込まれる従業員です。正社員以外にも、パートやアルバイトの雇用形態で働く従業員も対象となります。

雇用者の人数は、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者については0.5人とカウントする決まりです。1人とカウントできるのは、所定労働時間が30時間以上の従業員であり、20時間未満の従業員はカウントできません。

なお障害者雇用促進法は、公共団体や地方の教育委員会を含めたすべての事業主に対して適用され、民間企業とは別の法定雇用率が設定されています。

参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省

4. 障害者雇用促進法の対象者

オンライン会議で談笑する女性

障害者雇用促進法において、雇用すべき対象の障害者と設定されているのは、基本的にはなんらかの障害者手帳をもつ人です。既定の障害者手帳をもたない人を雇用しても、障害者の人数にはカウントできないため注意しましょう。

障害者雇用促進法の障害者として、具体的には以下の人が該当します。

  • 身体障害者手帳をもつ身体障害者(重度の場合を含む)
  • 各自治体が発行する療養手帳や、知的障害者と判定する判定書をもつ知的障害者(重度の場合を含む)
  • 精神障害者保健福祉手帳をもつ精神・発達障害者のうち、就労ができる程度に症状が安定している人

障害の重さや週の所定労働時間により、障害者の人数のカウント方法に違いが生じます。具体的なカウント方法は、以下の表のとおりです。

週の所定労働時間 障害の重さ カウント人数
30時間以上 一般 1人
重度(身体障害者・知的障害者) 2人
20時間以上30時間未満 一般 0.5人
重度(身体障害者・知的障害者) 1人
10時間以上20時間未満 一般(精神障害者のみ対象) 0.5人
重度(身体障害者・知的障害者) 0.5人

障害の重さは、身体障害者については1級か2級、知的障害者についてはA(自治体によっては1度もしくは2度)に該当する人を重度とします。

精神障害者については、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の場合、以下の要件を満たす場合は1人、それ以外は0.5人の勘定です。

  • 新規雇い入れから3年以内であるか、精神障害者保健福祉手帳の取得から3年以内
  • 2023年3月31日までに雇用されており、かつ精神障害者保険福祉手帳を所持している

一口に障害者といっても、重症度や勤務時間によって人数の扱いが異なります。障害者の雇用時には、十分留意しましょう。

5. 障害者雇用促進法の改正点

多くの人が集まって会議する様子

障害者雇用促進法は頻繁に見直される傾向があり、近々でも法定雇用率が変更されることが決定しています。具体的な改正点は、2026年7月から2.7%に法定雇用率が引き上げられる点です。

これまで民間企業では、障害者を雇用する必要があるのは常時雇用者数が40人以上の企業でした。2026年7月の法改正以降は、37.5人以上の企業が障害者を雇用する必要があります。

また以前は、障害者の就業が困難な業種の場合、除外率を用いて雇用すべき障害者の労働者数を差し引く措置が取られていました。しかしこの制度自体はすでに廃止されており、現在ではすでに導入済の企業において特例措置として残るにとどまっています。

除外率は段階的に引き下げられていき、将来的には完全に廃止される見込みのため、導入済の企業の担当者は今後の動向に十分留意してください。

参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省

6. 障害者雇用促進法の違反で生じる3つの問題点

プログラミングをする車いす利用者

障害者雇用促進法に違反した場合には、以下のような3つの問題が生じます。

  • 障害者雇用納付金を納める必要がある
  • 改善指導を受ける
  • 企業名が公表され社会的信用を失う

それぞれの内容について、具体的に説明していきます。

6-1. 障害者雇用納付金を納める必要がある

企業規模に応じて、障害者雇用納付金を納める必要がある点に配慮しましょう。常時雇用の従業員が100人以上の企業では、障害者の不足人数1人あたり月々5万円、年間60万円の納付金を納める必要があります。

この納付金は罰金ではありません。障害者を雇用する義務を果たしているか否かでの経済的負担の格差を埋める意図で設けられています。納付金を納めたからといって、障害者雇用に関する違反行為を埋め合わせたことにはならない点には注意しましょう。

6-2. 改善指導を受ける

障害者雇用促進法に違反した場合には、行政からの改善指導を受けます。具体的には、ハローワークから「障害者の雇入れに関する計画」の作成命令が発令され、1月1日から2年間にわたる計画を作成しなければなりません。

指導を受けた企業は計画書を作成するにとどまらず、計画書に沿って粛々と障害者雇用の手はずを整えていく必要があります。

2年間の計画期間を終了した後、以下に該当する場合には、9ヵ月間の特別指導の対象になるため注意しましょう。

  • 障害者の雇用不足数が10人以上
  • 障害者の実雇用率が、全国平均実雇用率に満たない(最終年の前年6月1日時点のデータ)

この段階では、実質的なペナルティの実施までまだ猶予があります。既定の障害者雇用数を満たせるよう、迅速に対策を練ってください。

6-3. 企業名が公表され社会的信用を失う

違反行為に対し、なかなか改善が見られない場合には、労働局や厚生労働省からの指導を受けます。それでも改善されない場合、最終的には社名が公表されることになるので十分注意しましょう。

社名が公表されれば、社会的責務を果たせていない企業として露呈します。厚生労働省のホームページにも掲載されるため広く社会に知られることとなり、周囲からの信用を失う事態になりかねません。

これまでコツコツと積み重ねてきた企業努力を無にしないよう、障害者雇用について積極的に取り組みましょう。

7. 障害者雇用促進法に対応する際の3つのポイント

楽しくカフェで会議する車いす利用者

障害者雇用促進法に対応する際のポイントは以下の3つです。

  • 社内理解が得られるよう従業員の教育を進める
  • 受け入れた障害者を適切にサポートする
  • 調整金や助成金を活用する

具体的な内容について解説していきます。

7-1. 社内理解が得られるよう従業員の教育を進める

障害者雇用促進法に対応するには、社内理解が得られるよう従業員の教育を進めましょう。

経営陣や人事担当者が熱心に障害者雇用を進めても、実際に現場で働く従業員の理解と協力がなければうまくいきません

例えば、従業員の配慮が足りず障害者が働きにくい現場環境になった場合、労力をかけて雇用した障害者がすぐに離職する可能性があります。また、一般社員と障害者の労働内容に差がある場合に適切なフォローがないと、一般社員が不公平を感じ、不満を募らせる事態にもなりかねません。

社内の受け入れ態勢を整えるとともに、社内研修や会議を実施し、全社の共通認識として障害者雇用に対する知識や理解を深めておきましょう。

7-2. 受け入れた障害者を適切にサポートする

受け入れた障害者に対するサポートも重要です。

障害者はなんらかのハンディキャップを背負っているため、一般の人には思いもよらないところで不便や不安を感じることもあるでしょう。現場任せのまま放置すれば、障害者に多大な負担を強いることになりかねません。

障害者が気軽に相談できるような窓口を設置し、雇用した障害者を継続してサポートできる体制づくりに努めましょう。

7-3. 調整金や助成金を活用する

調整金や助成金の活用も視野に入れましょう。

障害者雇用に積極的に取り組む企業には、雇用の達成状況に応じて調整金や報奨金が支給されます。具体的な支給内容は以下のとおりです。

支給条件 支給額
常時雇用者が101名以上である企業で、障害者の法定雇用率を超過している場合 1人あたり月々2万9,000円の調整金が支給される
常用雇用労働者が100人以下である中小企業において、障害者の雇用率が4%を超える、もしくは雇用人数が必要人数より6人を超える場合 1人あたり2万1,000円の報奨金が支給される

これらの支給金は、障害者の受け入れ態勢を整える資金として活用可能です。

また、状況に応じて以下のような助成金を受け取れる場合もあります。

助成金の種類 管轄
障害者の雇い入れなどを支援する助成金 都道府県労働局・ハローワーク
障害者が働き続けられるよう支援する助成金 同機構の都道府県支部高齢・障害者業務課
障害者雇用の相談援助をおこなう事業者に対する助成金 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

積極的に障害者を迎え入れるのであれば、行政からのサポートを受けられるため、障害者雇用に対して前向きに取り組みましょう。

参考:障害者雇用納付金制度の概要|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

参考:事業主の方へ 5.障害者雇用に関する助成金|厚生労働省

8. 障害者雇用促進法を把握し企業運営の健全化に役立てよう

車いす利用者と女性が笑顔で並ぶ様子

障害者雇用促進法には、障害者に雇用の機会を与え、社会のノーマライゼーションを進める意義があります。

現時点では、40人以上の常時雇用者がいる企業には障害者を雇用する義務があり、2026年7月以降は、37.5人以上の企業で障害者雇用が必須です。

障害者の雇用を上手に活用すれば、経営の多様化や業務の効率化にもつなげられます。法令を正しく理解し、企業運営の健全化に役立ててください。

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雇用契約に関するFAQを総まとめ

従業員の採用が決定した際は雇用契約を締結し、法令で定められた事項を明示した上で労働条件通知書を発行する必要があります。しかし、会社によっては独自の試用期間があったり、新たに従業員を採用せずとも既存の雇用契約を更新・変更する必要が出てくるタイミングもあるでしょう。

そのような際に、当サイトでは雇用契約に関して「よくある疑問」を簡単な基礎から応用編まで、まとめて一挙に解説した資料を無料配布しています。
資料では、一問一答形式で勤務形態ごとの契約書における注意点や、試用期間の正しい取り扱い方、さらには契約違反や違法性が疑われる契約トラブルへの対処法をまとめて解説しています。雇用契約に関して抱えている課題に対して、すぐに解決できる資料がほしいという方は、ぜひこちらからダウンロードしてお役立てください。

 

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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