65歳以上の退職手続き|企業が押さえるべき実務と注意点 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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65歳以上の退職手続き|企業が押さえるべき実務と注意点

女性

65歳以上の従業員が退職する際「離職票の交付期限はいつまで?」「社会保険の手続きで漏れはないか」など、疑問や不安を持つ担当者も多いでしょう。

近年の高年齢者雇用安定法の改正により、65歳以上の退職手続きは、企業の人事・労務実務の中でも重要性が増しています。

手続きでミスがあると、法的リスクが生じるだけでなく、退職者の再就職や給付金申請に支障をきたすおそれもあります。

この記事では、企業の労務担当者向けに、65歳以上の退職手続きで押さえておくべきポイントをご紹介します。手続きの基本フローから実務上の注意点まで分かりやすく解説するため、参考にしてください。

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1. 65歳以上の退職手続き|基本フロー

男女

65歳以上の従業員が退職する際のフローは、基本的に一般の退職フローと同様です。ただし、雇用形態や制度上の違いから、確認すべきポイントがいくつか存在します。

ここでは、基本的な手順と注意点を解説します。

  • 退職の意思を確認する
  • 社内のスケジュールを立てる
  • 書類を交付する

1-1. 退職の意思を確認する

65歳以上の従業員が退職する際は、まず退職の意思を確認します。再雇用契約の期間満了による自然退職の場合もあれば、本人都合による退職の場合もあります。

いずれの場合も、退職日と最終出勤日を明確にし、退職届や合意書を文書でしっかりと残すのが大切です。

1-2. 社内のスケジュールを立てる

退職日が決まったら、速やかに社内の関係部署と連携し、必要な手続きを時系列で整理しましょう。

処理漏れや遅延を防ぐには「退職日」を起点にし、スケジュールを逆算して計画を立てるのが効果的です。

1-3. 書類を交付する

退職後には、社会保険や雇用保険の資格喪失届を法定期限内に提出し、離職票・源泉徴収票・退職証明書などの書類も速やかに交付する必要があります。

特に、65歳以上の退職者が再就職を予定している場合には、離職票の交付手続きが重要です。手続きが遅れると、失業給付の申請や再就職先での保険加入に支障をきたすおそれがあるため、スムーズに進めましょう。

なお、退職日までに書類の準備が間に合わない場合は、郵送で対応する旨をあらかじめ伝えておくと、双方の安心につながります。

2. 65歳以上の退職手続きに必要な書類と提出先一覧

はてな

65歳以上の退職手続きでは、企業が社内外で対応すべき書類がいくつかあります。

退職時に必要な書類等を以下に分類し紹介します。

  • 従業員から受け取るもの
  • 企業から渡すもの
  • 外部機関への提出が必要な書類

2-1. 65歳以上の従業員から受け取るもの

65歳以上の従業員が退職する際、企業側が本人から受け取るものは主に以下の通りです。

従業員から受け取るもの 詳細
退職届 正式な退職意思の確認と、退職手続きの起点となる書類

ただし、再雇用契約の満了による自然退職の場合は提出不要となるケースもある

退職所得の受給に関する申告書 退職金支給時に必要

退職金を支払う場合に退職者から「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらう必要あり

提出がない場合、退職金に対して一律20.42%の源泉徴収税が課されるため注意

会社からの貸与物(パソコン・携帯電話・制服・社章など) 貸与物は、退職日までにすべて返却してもらう

チェックリストなどを活用しながら管理すると、返却漏れ防止になる

健康保険証 本人分だけでなく、扶養家族分も含めて返却が必要

健康保険証は退職日までは有効なため、有給消化中に最終出社日を迎える場合などは、退職後に郵送で返却してもらう

参考:A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁

2-2. 企業側から渡すもの

企業から退職者に交付すべき書類は以下の通りです。退職者の転職や年金、保険の手続きに関わるため、漏れなく渡しましょう。

企業側が渡すもの 詳細
源泉徴収票 退職日から1ヵ月以内に、退職者本人へ交付する義務がある

最終給与と退職金の源泉徴収票は、それぞれ別で発行する

離職票 65歳以上の退職者でも、雇用保険の被保険者であれば、一定の要件を満たすことで「高年齢求職者給付金」を受け取れる

離職証明書をハローワークに提出し、離職票を取得したうえで速やかに退職者へ交付する

59歳以上の離職者には、離職票の交付希望の有無にかかわらず交付が必要なため、65歳以上も同様に必ず交付する

年金手帳(2022年4月以降の再発行は基礎年金番号通知書)・雇用保険被保険者証 会社で保管している場合は、必ず退職者に返却する

いずれも今後の各種手続きや、再就職時に必要になる重要な書類

退職証明書 退職者から請求があった場合に交付する

記載内容は在職期間や退職理由などが含まれ、転職先への提出や国民健康保険・国民年金への加入手続きなどに使われる

・健康保険資格喪失証明書 健康保険の任意継続制度や、国民健康保険への加入の手続きに必要となる場合がある

退職者から請求があった場合は、速やかに発行する

参考:被保険者についての諸手続き|厚生労働省 徳島労働局

2-3. 外部機関への提出書類と提出先

企業が外部機関へ提出すべき主な書類と提出先は、以下の通りです。

書類名 提出先 提出期限
健康保険・厚生年金資格喪失届 年金事務所 退職日から5日以内
雇用保険資格喪失届 ハローワーク 退職日の翌々日から10日以内
離職証明書 ハローワーク 被保険者が離職した日以後速やかに(10日以内が目安)
給与支払報告書 退職者の住所(退職日時点)がある市区町村、または本人 退職日の翌年1月31日
給与所得者異動届出書 税務署 退職月の翌月10日

なお「給与支払報告書」は、前年中に退職した従業員の年間給与額が30万円以下の場合、提出を省略できる自治体もあるようです。ただし、すべての自治体が対象ではないため、事前に確認しておくと安心です。

外部機関へ提出する書類は、提出期限が厳格に定められています。漏れなく期限内に対応しましょう。

3. 65歳以上の退職手続きにおける社会保険・雇用保険の取り扱い

年金手帳

65歳以上の従業員であっても、在職中は社会保険・雇用保険に加入しているケースがあります。加入状況によって退職時の手続き内容が異なるため、退職時には正確に確認し対応しましょう。

各保険の取扱いについて、詳しく解説します。

3-1. 社会保険(健康保険・厚生年金)の取扱い

65歳以上の退職者も、健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続きが必要です。退職日の翌日が資格喪失日となり、5日以内に事業所を管轄する年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出します。

提出時には、以下の書類を添付します。

  • 健康保険被保険者証(本人・被扶養者分)
  • 高齢受給者証などの認定証(交付されている場合)

紛失などの理由で健康保険証を回収できない場合は、資格喪失届に理由を記載するか、もしくは、「回収不能・滅失届」を添付します。

また、健康保険組合に加入している企業では、年金事務所だけでなく健康保険組合にも提出が必要です。

保険料は資格喪失日の前月まで発生するため、月末退職の場合は給与から2ヵ月分の保険料が控除される可能性がある点にも注意が必要です。

3-2. 雇用保険の取扱い

雇用保険の資格喪失届は、退職日の翌日から10日以内にハローワークへ提出しましょう。

59歳以上の従業員は離職票を発行する必要があるため、資格喪失届に加えて離職証明書も提出します。

また、以下のような添付書類が求められます。

  • 労働者名簿
  • 出勤簿
  • 賃金台帳
  • 退職理由を確認できる書類(退職届など)

手続き完了後、ハローワークから離職票1と離職票2が発行されるため、速やかに退職者に交付します。

65歳以上の退職者は「高年齢求職者給付金」の対象となる場合があるため、離職票の交付遅れがないよう注意が必要です。

4. 65歳以上の退職金や給与清算での注意点

ブロック

65歳以上の退職者に対しては、退職金や最終給与の精算をおこなう際に、税務・労務の両面から正確な処理が必要です。

退職金は「退職所得」として扱われ、所得控除後の金額の50%に税率が適用されます。

計算時は、「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無を確認しましょう。提出がない場合、退職金全額に一律20.42%の源泉徴収税が課されるため注意が必要です。

参考:退職金と税|国税庁

また、最終給与の計算では、未消化の年次有給休暇の買い取りなどが発生するケースもあります。社会保険料の精算と併せて、正確な計算が求められます。

5. 65歳以上の退職手続きに関する注意点

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65歳以上の従業員が退職する際には、有期契約の終了が「不当な雇止め」と受け取られないよう注意が必要です。

例えば、従業員が契約更新を希望しており、過去にも継続的に契約更新されていた場合、「雇止めが無効」と判断されることがあります。

契約を更新しない場合は、事前に方針を説明し、理由を丁寧に伝えましょう。

厚生労働省の指針では、有期契約を更新しない場合は、少なくとも契約満了日の30日前までに告知することを推奨しています。

参考:有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について|厚生労働省

6. ポイントを押さえて退職手続きをスムーズに進めよう

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65歳以上の従業員の退職手続きは、基本的な流れは通常と同様ですが、再雇用契約の終了や高年齢者特有の制度により注意すべき点が多くあります。

契約内容や保険の手続き、給与・税務処理などを一つずつ整理し、社内外の関係先と連携して進めましょう。

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