情意評価とは?行動評価との違いや評価項目の書き方のポイントを解説
更新日: 2026.3.31 公開日: 2023.4.6 jinjer Blog 編集部

近年は、働き方やキャリア観の多様化が進み、従来の評価制度をそのまま維持するのではなく、時代に合わせた見直しが求められています。
情意評価を取り入れれば、従業員の勤務態度や意欲といった数値では測りにくい内面的な要素にも目を向けられ、成果中心の業績評価だけでは把握しきれない側面まで含めた、よりバランスの取れた評価が可能になります。
本記事では、情意評価と行動評価の違いや「規律性」「協調性」など主要な4項目の書き方のポイント、導入時の注意点について、人事評価の質を高めるための具体的なノウハウを解説します。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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1. 情意評価とは?

情意評価とは、従業員の仕事に対する意欲や姿勢、勤務態度などを評価する手法を指します。主に組織内での立ち振る舞いを評価対象としているため、職場のモラルに対する規律性やほかの従業員との協調性などを評価の項目としています。業績評価や能力評価、行動評価など、他の評価手法と組み合わせて用いられるのが一般的です。
情意評価は、数値を評価の基準とせず、目に見えにくい意欲や態度を対象とするため主観が入りやすい性質があります。そのため、適切に情意評価をおこなうには、単なる個人の感情や価値観による主観的な評価にならないよう、細心の注意をしなければなりません。
1-1. 情意評価と行動評価の違い|どう使い分けるべきか?
情意評価以外にも行動評価とよばれる評価基準があります。行動評価は、自社にいる好成績を出している従業員の行動特性をモデル化し、人事評価の基準とします。ただし、すべての行動評価が必ずしも特定の好成績者の特性のみを基準にするわけではなく、職務遂行に必要な標準的行動を基準にすることもあります。
情意評価が「仕事に対する姿勢」や「意欲」といった内面的な要素を評価するのに対し、行動評価は「実際にどのような行動を取ったか」という外面的で客観的な事実を評価します。例えば、「協調性がある」という評価は情意評価に該当しますが、「会議において他部署と積極的に情報共有をおこなった」といった具体的な行動は行動評価に該当するでしょう。
情意評価のみで評価をおこなう場合、評価者の主観が入りやすく、評価のばらつきや不公平感が生じるおそれがあります。そのため、評価の中心を行動評価に置きつつ、情意評価を補助的に活用する方法が有効です。
つまり、「どのような姿勢を期待するのか」を情意評価で示し、「実際にどのような行動を取ったのか」を行動評価で確認するという考え方です。このように両者を適切に組み合わせることで、評価の納得性を高めるとともに、組織として求める行動や価値観を従業員に明確に伝え、組織全体への定着を促せます。
関連記事:行動評価とは?導入の効果や評価項目の例を詳しく紹介
2. 情意評価の評価項目と書き方のポイント

情意評価の評価項目には、主に「規律性」「協調性」「積極性」「責任感」の4つの項目があります。ここでは、それぞれの評価項目とその書き方のポイントを解説します。
2-1. 規律性
規律性とは、組織のルールや職場の約束事を理解し、それに沿った行動ができているかを評価する項目です。規律性を情意評価の対象とすることで、従業員の規範意識が高まり、組織全体の秩序や業務の円滑な運営につながる効果が期待できます。
【主な評価観点】
- 勤怠(遅刻・欠勤・早退)が適切に管理されているか
- 就業規則や業務ルールを遵守しているか
- 報告・連絡・相談を適切なタイミングでおこなっているか
評価を記載する際は、「規律を守っている」「問題がない」といった抽象的な表現ではなく、「遅刻や欠勤がなく勤怠が安定している」「社内ルールを理解し、指示に沿って業務を遂行している」など、具体的な行動事実を示すことが重要です。行動に基づいた記述とすることで、評価の客観性や納得性を高められます。
2-2. 協調性
協調性の評価項目では、業務の成果向上に向けて、周囲の従業員と連携しながら業務を進められているかを評価します。協調性はチーム全体の生産性や業務効率に影響するため、重要な評価項目の一つです。
【主な評価観点】
- 周囲と円滑にコミュニケーションを取れているか
- チームワークを意識した行動ができているか
- 他者の意見を尊重し、柔軟に対応できているか
記載する際は、「協調性がある」といった抽象的な表現ではなく、「他部署と積極的に情報共有をおこない業務を円滑に進めている」「周囲の意見を取り入れながらチーム全体を意識した行動ができている」など、具体的な行動や周囲への影響がわかる表現を用いることで、評価の客観性が高まり、評価しやすくなります。
2-3. 積極性
積極性は、与えられた業務をこなすだけでなく、自ら課題を見つけ、主体的に行動できているかを評価する項目です。積極性の高い従業員は、業務改善や新たな取り組みにつながる行動を生み出しやすく、組織全体の生産性向上にも寄与します。
【主な評価観点】
- 自主的に業務に取り組んでいるか
- 新しい業務や課題に前向きに挑戦しているか
- 改善提案や工夫が見られるか
書き方のポイントとして、「積極的」「意欲的」といった評価だけではなく、「業務改善の提案をおこない作業効率向上に貢献した」「未経験の業務にも自ら手を挙げて取り組んだ」など、主体的な行動や具体的な成果につながった事実をもとに記載する点が挙げられます。
2-4. 責任感
責任感の項目では、与えられた業務や役割に対して当事者意識を持ち、最後までやり遂げようとする姿勢や行動を評価します。担当業務に責任を持って取り組めているかどうかは、業務の正確性や成果の安定性にも大きく影響するため、評価項目として重要な要素といえます。
【主な評価観点】
- 担当業務を期限内に確実に遂行しているか
- 問題発生時に責任をもって対応しているか
- 業務の結果に対する当事者意識があるか
書き方として、精神論にならないよう、「担当業務を期限内に完遂し品質面でも安定した成果を出している」「トラブル発生時も状況を報告し最後まで対応を継続した」など、結果と行動をセットで表現するのがコツです。
3. 情意評価を導入するメリット

情意評価を導入することで、数値では測りにくい従業員の行動や意識を可視化でき、よりバランスの取れた人事評価が可能になります。ここでは、情意評価を導入することで得られる具体的なメリットを紹介します。
3-1. 従業員の多面的な評価が可能となる
情意評価を導入すれば、従業員を多面的に評価できます。業績評価が成果や数値を中心とした評価であるのに対し、情意評価では仕事への取り組み姿勢や協調性、責任感など、数値には表れにくい要素も評価対象となります。
そのため、結果だけでは把握できない貢献度を評価に反映でき、より実態に即した評価につながるでしょう。また、業績が十分に上がらない場合であっても、真摯に業務へ取り組む姿勢や組織への貢献が認められる従業員を適切に評価できるので、従業員の納得感やモチベーションの向上にも寄与します。
3-2. 組織の一体感を高められる
情意評価では、協調性やチームワーク、組織への貢献姿勢といった、業務への取り組み方や行動面が重視されます。そのため、個人の成果だけでなく、組織全体を意識し、周囲と連携しながら業務を進めているかどうかも評価の対象となります。
このような評価をおこなうことで、従業員同士が互いに協力し合う風土が形成されやすくなり、職場の一体感やコミュニケーションの活性化が期待できるでしょう。その結果、従業員の帰属意識の向上にもつながります。
3-3. 目指すべき人材育成につながる
情意評価を導入することで、組織が目指す人材育成につなげられます。従業員が業務を遂行するうえで求められる姿勢や行動を評価項目に反映することで、組織が求める人物像を明確に示せます。
評価基準を通じて、従業員は求められる行動や姿勢を具体的に理解でき、自身の成長目標を設定しやすくなるでしょう。その結果、企業理念や価値観に沿った人材育成を体系的に進められます。また、情意評価の評価項目は、上司と部下の面談においても、行動の振り返りや今後の成長課題を共有するための指標として有効に活用できます。
4. 情意評価を導入する際に顕在化しやすい課題とその対応

情意評価は、意欲・態度・協調性など数値化しにくい要素を評価できる一方で、運用を誤ると評価の納得感や公平性を損なうおそれがあります。ここでは、情意評価を導入する際に特に顕在化しやすい課題とその具体的な対応策について整理します。
4-1. 行動基準が曖昧になり評価の方向性がぶれやすい
情意評価は、態度や姿勢といった抽象的な要素を扱うので、「積極性がある」「協調性が高い」といった評価項目が曖昧になりやすい傾向があります。その結果、評価者ごとに解釈が異なり、評価の基準や方向性が統一されないケースも少なくありません。
また、目標設定や評価基準が不明確なままでは、適切な評価がおこなえず、従業員の納得感やモチベーションの低下を招くおそれがあります。そのため、評価に対する認識を上司と部下の間で事前にすり合わせておくことが重要です。
その際、評価項目ごとに「どのような行動を評価するのか」を具体的な行動レベルで定義しておく必要があります。例えば「協調性」であれば、「チーム内で情報共有を自主的におこなっている」「他部署との調整を円滑に進めている」といった具体的な行動例を示すことで、評価基準を共通認識として明確にできます。
4-2. 評価者の主観に左右され不公平感が生じやすい
情意評価は、数値や成果のように客観的な基準で測定しにくいので、評価者の価値観や被評価者との人間関係が影響しやすいという特性があります。その結果、「上司によって評価に差がある」「特定の人物を優遇しているのではないか」といった不公平感が生じやすくなります。
評価者と被評価者との関係性によっては、同じ行動であっても評価が分かれる可能性があり、被評価者が評価結果に不満や不信感を抱くケースも少なくありません。そのため、情意評価を適切におこなうには、評価の公平性と納得感を高めるための対策が不可欠です。
具体的には、評価者研修を実施して評価の目的や基準、考え方を統一することが重要です。また、複数の評価者が関与する「複眼評価」や、評価理由をコメントとして記録する仕組みを導入すれば、評価の透明性を高められます。
さらに、上司だけでなく同僚や部下など、さまざまな立場から評価をおこなう360度評価を活用すれば、多面的な視点から行動を捉えられ、評価の偏りを抑える効果が期待できます。その結果、従業員が評価内容に納得しやすくなるでしょう。
関連記事:360度評価の項目は何を設定する?設定するときの注意点や項目例を解説
4-3. 思い込みや先入観による評価エラーが発生しやすい
次のような無意識の思い込みによる評価エラーは、情意評価だけでなく人事評価全般において生じやすい課題の一つです。
- ハロー効果:評価の際に目立つ特徴に引きずられてほかの評価までが歪められてしまうこと
- 中心化傾向:評価結果が中央値付近に集中してしまい差がつきにくくなること
- 寛大化傾向:評価対象者に対する気遣いから全体的に評価を高めにつけてしまうこと
これらの評価エラーが発生する主な要因として、評価者側に明確な評価基準が設定されていないことが挙げられます。評価基準が曖昧なままでは、評価者の主観や印象に左右されやすくなり、評価の公平性・妥当性が損なわれかねません。
そのため、情意評価をおこなう際には、あらかじめ評価の基準や判断の観点を具体的に定めておくことが重要です。評価期間中の行動や事実に基づいて評価することを徹底し、その内容を記録として残す運用が有効とされています。
さらに、評価結果についてフィードバック面談の場で説明する機会を設けることで、評価者自身が無意識の思い込みに気づきやすくなり、評価の納得性や評価制度全体の質の向上にもつながります。
5. 情意評価の運用には「人事評価システム」の導入がおすすめ

情意評価は、協調性や責任感、主体性など数値化しにくい要素を評価対象とするので、評価者ごとの主観や判断基準のばらつきが生じやすいという課題があります。その結果、評価の公平性に対する従業員の不信感や、評価結果への納得感の低下につながるケースも少なくありません。
こうした課題を防ぐためには、人事評価システムの導入が有効です。人事評価システムを活用すれば、評価項目や評価基準を明確に設定・共有できるほか、評価履歴の蓄積や評価コメントの可視化が可能となり、評価プロセスの透明性を高められます。また、評価の入力・集計作業を効率化できるので、評価者の負担軽減にもつながるでしょう。
さらに、評価結果を人材育成や配置検討、昇給・昇格判断と連動させれば、情意評価を単なる印象評価ではなく、組織全体の成長を促すための制度として活用できるようになります。情意評価を適切に機能させるためには、評価基準の整備とあわせて、システムによる継続的かつ客観的な運用体制を整えることが重要です。
関連記事:人事評価システムは必要?比較する際におすすめの選び方やメリットを解説
6. 情意評価を上手に活用して従業員の仕事へのモチベーションを高めよう

情意評価は、従業員の仕事に対する意欲や姿勢を評価する手法で、従業員の数値に表れない要素を評価できるので、多面的かつ適正な評価が可能です。
そのため、業績を思うように上げられない従業員にとっては、仕事に対する意欲や姿勢を評価の対象としてもらえることで、人事評価への不満を軽減できるでしょう。
また、従業員の仕事へのモチベーションを高められるという点でも、情意評価は有効な手段です。情意評価のメリットや注意点を意識し、公正な評価で従業員のエンゲージメント向上を目指しましょう。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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