ロクイチ報告とは?義務の対象企業や提出先・書き方のポイントを解説
更新日: 2026.2.27 公開日: 2025.3.8 jinjer Blog 編集部

「ロクイチ報告とは、毎年6月1日時点での「高年齢者雇用状況等報告」および「障害者雇用状況報告」のことを指します。これらの報告は、対象となる事業主に対して、提出期限である7月15日までに管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ提出することが義務付けられています。
近年の法改正により障害者の法定雇用率が引き上げられていることから、正確な算出と期限内の提出が一層重要です。本記事では、対象企業の範囲や報告書の書き方、提出方法のポイントについて解説します。
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1. ロクイチ報告とは


ロクイチ(六一)報告とは、高年齢者や障害者の就業機会の確保や雇用状況について、事業主が厚生労働省に対して毎年おこなう報告のことです。それぞれ「高年齢者雇用状況等報告」「障害者雇用状況報告」といい、これらを総称して「高年齢者・障害者雇用状況等報告」とよばれています。
ロクイチ報告は、呼び名の由来にもなっている、6月1日時点の状況を報告します。それぞれの概要や報告の目的、違反した場合の罰則などを知っておきましょう。
参考:「令和6年高年齢者及び障害者の雇用状況報告」について|厚生労働省
1-1. 高年齢者雇用状況等報告
高年齢者雇用状況等報告とは、高年齢者雇用安定法に基づき、毎年6月1日時点の定年や高年齢者の継続雇用制度、創業支援などの措置状況、そのほかの高年齢者の就業を確保する状況について、厚生労働大臣に報告する制度です。
高年齢者雇用状況等報告の目的は、高年齢者の雇用確保措置・就業確保措置の実施状況の把握と、実施していない企業に対する指導や助言の実施です。高年齢者の安定した雇用確保や就業機会の確保をするために必要なものだと考えておきましょう。
参考:高年齢者雇用状況等報告記入要領等(令和7年報告版)|厚生労働省
1-2. 障害者雇用状況報告
障害者雇用状況報告とは、障害者雇用促進法に基づき、毎年6月1日時点の障害者の雇用状況を厚生労働大臣に報告する制度です。一定数以上の従業員がいる企業には障害者を雇用することが義務付けられています。
障害者雇用状況報告は、企業がどれくらいの障害者を雇用しているのかを確認し、雇用促進を実現することが目的です。報告内容をもとに、必要に応じて企業に対する助言・指導や調査がおこなわれる場合もあります。
1-3. ロクイチ報告の罰則
高年齢者・障害者雇用状況等報告(ロクイチ報告)は、法律で定められた義務です。「高年齢者雇用状況等報告書」については、高年齢者雇用安定法上、未提出に対する直接的な罰則規定は設けられていません。
ただし、報告書を提出しない場合や、記載内容に不備がある場合には、公共職業安定所(ハローワーク)による行政指導や勧告を受ける可能性があります。さらに、こうした指導・勧告に従わない場合や、雇用改善が進まない場合には、企業名が公表されるリスクもあります。
一方で、「障害者雇用状況報告書」については、障害者雇用促進法により未提出に対する罰則が明確に規定されており、30万円以下の罰金が課される可能性があるので注意が必要です。これは未提出の場合に限らず、虚偽の内容を報告した場合も同様に罰則の対象となります。
このように、ロクイチ報告を適切におこなわない場合、法的・社会的に大きなリスクを伴います。自社が報告義務の対象となるかを正確に把握したうえで、法令に基づき、適切かつ正確に報告をおこなうことが重要です。
参考:障害者の雇用の促進等に関する法律第86条|e-Gov法令検索
2. ロクイチ報告の対象企業


ロクイチ報告の対象企業は、高年齢者雇用状況報告と障害者雇用状況報告で異なります。それぞれの報告で義務が課される企業の条件を確認していきましょう。
2-1. 高年齢者雇用状況等報告の対象企業
高年齢者雇用状況等報告書の提出は、原則としてすべての企業がおこなわなければなりません。ただし、厚生労働省によると、従業員20人以上規模の事業所に報告書用紙は郵送されるとの記載があります。なお、たとえ従業員に高年齢者がいない場合も、提出が注意なので注意しましょう。
参考:高年齢者雇用状況等報告記入要領等(令和7年報告版)|厚生労働省
参考:「令和7年高年齢者及び障害者の雇用状況報告」について|厚生労働省
2-2. 障害者雇用状況報告の対象企業
障害者雇用状況報告書の提出は、原則として、常用雇用労働者が40.0人以上(※2026年7月以降は37.5人以上に引き上げ)の事業主に義務付けられています。民間企業の障害者の法定雇用率は2.5%(※2026年7月以降は2.7%に引き上げ)のため、常用雇用労働者が40人の場合、最低でも1人の障害者を雇用しなければなりません。
つまり、障害者を雇用すべき企業には、障害者雇用状況報告の提出義務があるといえます。なお、雇用している障害者の人数が0人の場合でも、報告書の提出義務は変わらないので注意が必要です。
常用雇用労働者とは、原則として次のいずれもの条件を満たす従業員を指します。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 1年以上の雇用見込みがある
したがって、週の所定労働時間が20時間未満の従業員は常用雇用労働者に含まれません。
業種によっては、常用雇用労働者の人数を計算する際に、除外率に基づき一部の労働者を控除します。除外率とは、一般的に障害者の就業が困難とされる仕事に従事する業種(除外率設定業種)の事業所に対する常用労働者数の除外割合のことです。主な除外率は次の通りです。
| 除外率設定業種 | 除外率 |
| 貨物運送取扱業 | 5% |
| 建設業 | 10% |
| 警備業 | 15% |
| 医療業 | 20% |
| 児童福祉事業 | 30% |
例えば、建設業の場合、基準となる常用雇用労働者が50人のとき、除外率10%にあたる5人を差し引いた判定上の人数は45人となります。40人以上のため、この場合は障害者雇用状況報告書の提出義務があります。
参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
参考:法定雇用障害者の数を算出する際の除外率が引き下げられます。|厚生労働省
2-3. 【注意】2024年・2026年に障害者の法定雇用率が引き上げ・対象企業の範囲が拡大!
2024年4月、民間企業の障害者法定雇用率は2.3%から2.5%に引き上げられました。これにより、障害者雇用状況報告の提出義務が課される企業は、常用雇用労働者数43.5人以上から40人以上に拡大されています。
さらに、2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられる予定です。この改正が施行されると、常用雇用労働者数37.5人以上の企業が報告書の提出義務の対象となるため、より多くの事業者が雇用状況の確認と報告の準備を進める必要があります。
また、同じく2024年4月には「除外率」の上限が引き下げられ、それまで除外率が10%以下の業種は除外制度の適用対象外となりました。さらに、障害者人数の算定方法についても改正がおこなわれており、従来の計算方法では正確な雇用率を算出できない可能性があります。
そのため、報告書の作成時には最新の算定ルールを正しく理解し、注意深く計算することが重要です。
参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
3. ロクイチ報告における書き方のポイント


3-1. 高年齢者雇用状況等報告書
高年齢者雇用状況等報告書には、次のような事項を記載します。
- 事業主情報
- 定年制の状況
- 継続雇用制度の状況
- 創業支援等措置の状況
- 65歳を超えて働ける制度等の状況
- 常用労働者数
- 過去1年間の離職者の状況
- 過去1年間の定年到達者等の状況
- 経過措置に基づく継続雇用の対象者に係る基準の過去1年間の適用状況
- 65歳を超えて働ける制度の対象者に係る基準の過去1年間の適用状況
- 高年齢者雇用等推進者及び記入担当者
高年齢者雇用状況等報告書を作成する際は、実態や慣行などではなく、就業規則や制度に基づいた内容を記載することが求められます。また、報告書で使われる「従業員」と「常用労働者」は次のように定義が異なるため、事前に正しく理解しておくことが重要です。
| 用語 | 定義 |
| 従業員 | 雇用制度の適用を受ける者。
※雇用保険の被保険者でない者(昼間学生など)も含む。 |
| 常用労働者 | 1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の者。
※雇用保険の被保険者でない者は含まれない。 |
定年制や継続雇用制度など、高年齢者雇用に関する取り組みの内容によって報告書の書き方は大きく異なるので、厚生労働省の記入要領などを確認しながら記入を進めるとよいでしょう。
参考:高年齢者雇用状況等報告記入要領等(令和7年報告版)|厚生労働省
3-2. 障害者雇用状況報告書
障害者雇用状況報告書には、次のような事項を記載します。
- 事業主情報
- 雇用の状況(常用雇用労働者の数や除外率、実雇用率など)
- 障害者雇用推進者及び記入担当者
障害者雇用状況報告書の作成にあたっては、障害者手帳の有無や内容を確認し、適切な区分に分類することが求められます。例えば、たとえば、身体障害者手帳の等級が2級であれば「重度身体障害者」に該当しますが、4級の場合は該当しません。
また、常用雇用労働者の数の算定に注意が必要です。とくに「常用雇用労働者」「短時間労働者」「特定短時間労働者」の定義を正しく理解しておくことが重要です。
| 用語 | 定義 |
| 常用雇用労働者 | 雇用契約の形式に関係なく、1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)。
※昼間学生や複数事業主に雇用される労働者も含まれる。 |
| 短時間労働者 | 常用雇用労働者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者 |
| 特定短時間労働者 | 短時間労働者のうち、1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満である者。 |
報告書に記入する「常時雇用労働者の数」を算出する際、短時間労働者は0.5人としてカウントします。
また、障害者雇用率の算定において、分母である常用雇用労働者には特定短時間労働者は含まれません。一方、分子である常用雇用障害者には、特定短時間労働者のうち「重度身体障害者」「重度知的障害者」「精神障害者」が含まれます。
そのため、定義を誤ると障害者雇用率の算定ミスが生じ、報告書に不正確な記載が発生する可能性があります。
さらに、法定雇用率を満たさない場合は「障害者の雇入れに関する計画」の作成・実施が求められ、それでも改善が進まない場合には特別指導や企業名公表の対象となるリスクもあるのです。
加えて、法定雇用率に達していない企業のうち、常用労働者が100人を超える場合には、障害者雇用納付金が徴収されます。そのため、障害者雇用状況報告書は正確に記入・提出することが重要であり、法定雇用率を満たしていない場合は、早急に改善策を講じる必要があります。
4. ロクイチ報告の提出方法


ロクイチ報告に基づく「高年齢者雇用状況等報告書」「障害者雇用状況報告書」は、定められた期限内に必ず提出する必要があります。ここでは、ロクイチ報告の具体的な提出方法について詳しく解説します。
4-1. 提出先は公共職業安定所(ハローワーク)
ロクイチ報告における「高年齢者雇用状況等報告書」「障害者雇用状況報告書」の提出先は、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)です。
支社や支店がある場合は、それぞれの報告を本社でまとめ、本社を管轄するハローワークに提出します。
なお、一部地域では提出先が労働局となる場合もあるので、事前によく確認しておくとよいでしょう。
参考:令和7年高年齢者・障害者雇用状況等報告の提出について|厚生労働省
4-2. 提出期限は7月15日
ロクイチ報告の提出期限は毎年7月15日です。公共職業安定所からは、毎年5月下旬~6月初旬ごろに対象企業へ報告書が郵送されます。6月1日時点の雇用人数などをもとに、書類の必要事項を記入し、期限までに提出しましょう。
提出期限を守れなかったことで即座に罰則が発生するとは考えにくいですが、報告が遅れたり内容に不備があったりすると、行政指導や改善勧告の対象となる可能性があります。そのため、あらかじめスケジュール管理をおこない、必要な情報を整理しておくことが大切です。
4-3. 提出手段は「窓口」「郵送」「電子申請」のいずれか
ロクイチ報告の提出手段には、次の3つの方法があります。
| 手段 | 概要 |
| 窓口持参 | 事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に直接報告書を持参して提出する方法 |
| 郵送 | 報告書を郵便で提出する方法 |
| 電子申請 | e-Gov(政府電子申請システム)を通じてインターネット上で報告書を提出する方法 |
紙で提出する場合、報告書は3枚複写になっています。「正」と「副」の2枚を提出し、「事業主控」は後で確認できるように紛失しないよう保管しておきましょう。
電子申請で提出する場合は、送信したファイルの内容を印刷するなどして「事業主控」とし、きちんと管理しておくことが大切です。
参考:高年齢者雇用状況等報告書及び障害者雇用状況報告書 記入要領|厚生労働省
4-4. 電子申請のやり方・手順
ロクイチ報告を電子申請でおこなう場合、まず「e-Gov」のホームページにアクセスし、「高年齢者雇用状況等報告」と「障害者雇用状況報告」の申請ページに移動します。
次に、報告書のExcelファイルをダウンロードして必要事項を入力します(※障害者雇用状況報告の場合)。入力が完了したら、申請書の入力画面に移り、「e-Gov電子申請アプリケーション」を起動します。アプリのインストールやアカウント登録が初めての場合は、事前に手続きを済ませておくとスムーズです。
申請書の入力後、必要に応じて報告書ファイルを添付し、電子署名を付与して提出します。提出後は、申請書の控えを必ず保存しておきましょう。
なお、e-Govへのログインには「GビズID」を利用できます。GビズIDは1つのID・パスワードで複数の行政サービスを利用できる共通認証システムです。GビズIDを使うと電子署名は不要ですが、初回利用時には手続きが必要で、取得までに時間がかかる場合があるため、余裕をもって準備しましょう。
5. ロクイチ報告の実施の注意点


報告書の記入ミスは、企業に対する指導や改善命令の対象となる可能性があるため、正確かつ適切な手続きをおこなうことが重要です。ここでは、ロクイチ報告をおこなう際に注意すべきポイントについて詳しく紹介します。
5-1. 正確な時点の情報を用いる
ロクイチ報告では、毎年6月1日時点での従業員の雇用状況を基に報告をおこないます。そのため、報告書作成には6月1日時点の最新情報を正確に管理することが重要です。
毎年報告しているからといって、例えば事業年度開始日である4月1日時点の情報を流用すると、誤った内容で提出してしまう可能性があります。また、電子申請に使用する書類も、6月1日以降に更新された最新のものをダウンロードして入力する必要があります。
5-2. 就業規則で高年齢雇用状況を確認する
高年齢者雇用状況等報告書を作成する際は、実状や慣行の記入ではなく、就業規則の内容を記述しなければなりません。例えば、慣行による定年制は存在するが就業規則に定年制の記載がない場合は、無しと記入します。
就業規則に次のような制度の定めがある企業では、雇用状況について記述する際、過去1年間の定年到達者数も書き込まなければなりません。
- 定年制度
- 継続雇用制度
各制度の定めの上限年齢により記入欄が異なるため注意が必要です。
参考:高年齢者雇用状況等報告記入要領等(令和7年報告版)|厚生労働省
5-3. 雇用障害者数の数え方を把握する
雇用障害者数の数え方では、障害区分と程度と所定労働時間数により、次のようにカウント率が異なります。
| 週所定労働時間 | 30時間以上 | 20時間以上30時間未満 | 10時間以上20時間未満 |
| 身体障害者 | 1 | 0.5 | – |
| 重度の身体障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 知的障害者 | 1 | 0.5 | – |
| 重度の知的障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 精神障害者 | 1 | 1 | 0.5 |
※精神障害がある短時間労働者には、算定特例が適用されて当分の間1カウントになります。
また、重度身体障害者と重度知的障害者に該当する労働者には、1人を2人として数えるダブルカウントが適用されます。ただし、これらの労働者が短時間労働者に該当する場合は、1人としてカウントされる点に注意が必要です。
5-4. 書き方を厚生労働省の記入要領で確認する
ロクイチ報告の実施の注意点として、書き方を厚生労働省の記入要領で確認することも挙げられます。
高年齢者雇用状況等報告書は、制度や定年の年齢などの状況別で書き方が異なるためです。障害者雇用状況報告書においても、除外率設定業種を営む複数の事業所があるケースでは、書き方が異なります。
自社の状況に適した書き方や様式を選ぶためにも、厚生労働省の記入要領を熟読して参照しながら必要事項を書き入れましょう。
参考:令和7年高年齢者・障害者雇用状況等報告の提出について|厚生労働省
6. ロクイチ報告は企業の義務!提出期限を守れるように対応しよう


ロクイチ(六一)報告とは、事業主が厚生労働省に対しておこなう、自社の高年齢者や障害者の就業機会の確保や雇用状況に関する報告のことです。法律で定められた義務があり、未報告や虚偽の内容に対する罰則もあります。
必要書類を揃えて必要事項を書き入れ、郵送や持参の場合は管轄の公共職業安定所に提出しましょう。なお、電子申請も可能ですが、専用の様式が用意されているため注意が必要です。
本記事の実施の注意点なども参考にしつつ、ロクイチ報告について理解を深めて、期限までに申請や提出を完了してください。



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