雇用契約と業務委託契約の違いとは?メリット・デメリットを解説

新たに従業員を雇用するにあたって、雇用契約や業務委託契約を結ぶ方は少なくありません。給与や福利厚生などのルールを決めるのに重要な契約ですが、雇用契約と業務委託契約に違いはあるのでしょうか。

そこで、雇用契約と業務委託契約の違い、雇用者側から見たそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

1. 雇用契約と業務委託契約の違いは使用従属性の有無

雇用契約と業務委託契約の大きな違いは「使用従属性」にあります。使用従属性があれば雇用契約、なければ業務委託契約です。

雇用契約を結んだ場合働く人は「労働者」となり、雇用主からの命令や指示にある程度の拘束力が生じます。

さまざまな場面で使用従属性が認められる場合には、たとえ契約書に業務委託契約書と書かれていても雇用契約と見なされることが少なくありません。

雇用契約の場合、労働者に対しては労働基準法による保護が適用されます。

一方、業務委託契約は、ある特定の仕事を行った個人や事業者に対して依頼主が報酬を支払うという形態の契約です。

業務委託契約には雇用主と労働者という使用従属性はなく、2つの独立した個人もしくは事業者間の契約ということになります。したがって仕事を請け負った側は労働者ではないため、労働基準法など法律の保護を受けることはできません。

1-1. 使用従属性が認められる要素

使用従属性が認められる要素には主に以下5つがあります。

  • 勤務場所や勤務時間などの決まりがある
  • 指揮命令がある
  • 就業規則や服務規律がある
  • 福利厚生制度の恩恵を受けている
  • 仕事の成果ではなく、働いたことに対して報酬が支払われている

たとえば仕事をするための勤務場所や勤務時間などの決まりがあるかどうかが関係します。さらに、業務を行うにあたって指揮命令があるかどうかも重要な要素です。

どちらも勤務地や勤務時間、業務上の指示を労働者が拒否できないのであれば、雇用契約であると考えられます。

就業規則や服務規律があったり、福利厚生制度の恩恵を受けていたりする場合も雇用契約であると判断されるでしょう。さらに、仕事の成果に対してではなく、働いたことそのものに対して報酬が支払われている場合には雇用契約となります。

こうした要素を総合的に見て、契約の形態が判断されます。

2. 雇用者側からみた雇用契約のメリット・デメリット

では雇用者側から見た雇用契約の2つのメリットと1つのデメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット1|生産性が向上する

雇用契約を結ぶことができれば、雇用主はある程度の拘束力を持って労働者に業務上の指示や命令を下すことができます。

その結果業務が滞ることなく進行し、定められた納期に製品やサービスを提供することが可能となるでしょう。

業務委託契約の場合にはある仕事を受けてくれる個人・事業主が必ず見つかるとは限りませんが、雇用契約であれば確実に業務を進めることができます。

メリット2|定着率が向上し、ノウハウが蓄積する

2つ目のメリットは、従業員の定着率が向上するという点です。

雇用契約を結ぶ場合、通常雇用契約書が交わされます。雇用契約書には労働環境や給与、福利厚生などについて詳しい情報が記載されています。労働者にとって、どのような条件で働いているのかが明記されているのはとても安心です。

そのため従業員の定着率が向上することが予想されるでしょう。同じ従業員に長期間働き続けてもらえれば、知識や技術などのノウハウが蓄積していきより完成度の高い業務が行われます。

デメリット1|費用がかかる

雇用契約のデメリットとして挙げられるのは、多額の費用がかかるという点です。雇用契約を結ぶ場合、従業員は労働基準法による保護を受けることになります。

したがって、雇用主は社会保険料や労働保険料を支払わなければなりません。雇用保険を締結している労働者が増えれば増えるほど、保険料の負担は増えていくでしょう。

3. 雇用者側からみた業務委託契約のメリット・デメリット

では、雇用者側からみた業務委託契約の2つのメリットと1つのデメリットを見ていきましょう。

メリット1|人件費の削減になる

業務委託契約の非常に大きなメリットの1つは、人件費の削減です。業務委託契約であれば、各種保険料の支払いを行う必要はありません。

さらに、源泉徴収や従業員の確定申告を行う必要もないため、事務処理を最小限に抑えられます。

メリット2|成果に対してのみ支払いが生じる

雇用契約の場合、たとえ従業員がまったく仕事をしていなかったとしても給与を支払う必要があります。

しかし、業務委託契約の場合、労働そのものではなく成果物に対して支払いが生じるため、無駄に報酬を支払うことがありません。仕事が発生したときだけ依頼すればよいので無駄を省くことができるでしょう。

デメリット1|業務の質を維持するのが難しい

業務委託契約のデメリットは、業務の質を維持するのが難しいという点です。

ある仕事を別々の人に依頼した場合、同じ質の仕事をしてもらえるとは限りません。使用従属性がないため、委託先に指示・命令することはできず、業務の質を雇用主が管理することはできないでしょう。

さらに、専門性の高い業務を委託する場合、雇用契約にある従業員に作業させるよりもコストがかかるケースがあります。

4. 契約の形態をよく検討して適したものを選ぼう

雇用契約と業務委託契約のどちらも雇用主にとってメリットとデメリットがあります。

どちらが適しているかはどのような製品・サービスを提供しているかによって異なるため、雇用主がよく検討したうえで判断しなければなりません。

製品やサービスの質、コストなどを総合的に考慮して、よりメリットの大きな契約を選ぶようにしましょう。