男女雇用機会均等法のセクシャルハラスメントとは?事業主がとるべき防止策を解説
更新日: 2025.2.28
公開日: 2025.2.28
OHSUGI
「男女雇用機会均等法のセクシャルハラスメントとは?」
「セクシャルハラスメントの防止策を知りたい」
上記のような疑問や悩みをお持ちの方もいるでしょう。
男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントとは、職場において労働者の意に反し、性的な言動をおこなう行為です。
男女雇用機会均等法は、従業員が安心して能力を発揮できる職場環境を整えるために制定されました。セクシャルハラスメントの防止策についても定められており、企業は適切な措置をおこなうよう義務付けられています。
本記事では、男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントや事業主がとるべき防止策についてまとめました。男女雇用機会均等法に違反した場合のリスクや罰則についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
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1. 男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントとは
男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントは、以下の条件をすべて満たす行為が対象となります。
- 職場においておこなわれていること
- 労働者の意に反していること
- 性的な言動がおこなわれていること
1-1. 職場においておこなわれていること
男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントは、職場においておこなわれている行為が対象です。
職場とは、従業員が業務を遂行する場所であり、通常就業する場所以外でも職場に該当します。取引先の事務所や顧客の自宅、移動に利用する車中なども対象です。
また、勤務時間外の宴会の場も実質上業務の延長とみなされ、職場に該当します。
1-2. 労働者の意に反していること
男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントは、労働者の意に反している行為が対象となります。
労働者は性別や雇用形態にかかわらず、雇用する従業員全員が対象です。正社員はもちろん、契約社員や派遣社員、アルバイトなどの非正社員も含まれます。
1-3. 性的な言動がおこなわれていること
男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントは、性的な言動がおこなわれていることを指します。
性的な言動は、性的な内容の発言だけではなく性的な行動も対象です。性的な言動にあたる可能性が高い内容を以下にまとめました。
性的な発言 |
|
性的な行動 |
|
異性に対してだけではなく、同性におこなう行為もセクシャルハラスメントに該当します。
参考:職男女雇用機会均等法におけるセクシュアルハラスメント防止対策 | 香川労働局
参考:職場におけるセクシュアルハラスメントとは | 岐阜労働局
2. 男女雇用機会均等法で想定される2種類のセクシャルハラスメント
男女雇用機会均等法におけるセクシャルハラスメントは、以下の2つに分類されます。
- 対価型セクシャルハラスメント
- 環境型セクシャルハラスメント
2-1. 対価型セクシャルハラスメント
対価型セクシャルハラスメントとは、セクシャルハラスメントにあたる行為を拒否した影響で不利益を受けることです。
不利益の具体例としては、解雇や降格、減給などが挙げられます。
参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント|厚生労働省
2-2. 環境型セクシャルハラスメント
環境型セクシャルハラスメントとは、セクシャルハラスメントにあたる行為により、就業環境が害されることです。
具体的には、業務に対するモチベーションや集中力の低下が挙げられます。
対価型セクシャルハラスメントと比較すると判断が難しく、セクシャルハラスメントであることに気づかないケースも少なくありません。環境型セクシャルハラスメントは、行為がエスカレートしやすいので注意が必要です。
参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント|厚生労働省
3. 職場のセクシャルハラスメント防止対策は企業の義務
男女雇用機会均等法では、企業に対してセクシャルハラスメントの防止対策を講じるよう義務付けています。
企業として実施すべき防止策は以下のとおりです。
- 事業主の方針を明確化にして周知・啓発する
- 相談や苦情に対応できる体制を整備する
- 事後に迅速かつ適切な対応をおこなう
- 相談者や行為者のプライバシーを保護する
3-1. 事業主の方針を明確化にして周知・啓発する
事業主は、セクシャルハラスメントを禁止する方針を就業規約に定め、従業員に周知・啓発する必要があります。
従業員に周知・啓発するための方法を以下にまとめました。
具体例 | |
周知する方法 |
|
啓発する方法 |
|
セクシャルハラスメントについての方針は性別や雇用形態にかかわらず、全従業員に対して周知・啓発するようにしましょう。
3-2. 相談や苦情に対応できる体制を整備する
セクシャルハラスメントの被害にあった従業員の相談や苦情に対応できる体制を整備しておくことも重要です。具体的には、相談窓口の設置が挙げられます。
相談窓口は面談に限らず、電話やメールなどのツールも利用できるようにして従業員が相談しやすい仕組みにしましょう。
また、セクシャルハラスメントの相談や苦情に適切な対応をするためには、専門的な知識とスキルが必要です。社内で相談担当者を任命できない場合は、社外相談窓口の設置を検討してみてもよいでしょう。
3-3. 事後に迅速かつ適切な対応をおこなう
セクシャルハラスメントの相談や苦情を受けたら、担当者には迅速かつ適切な対応が求められます。
まずは、被害者と加害者を隔離しましょう。同じ環境のままにしておくと、さらなるトラブルに発展するおそれがあるためです。配置換えが理想的ですが、難しい場合は自宅待機などの方法を検討しましょう。
つぎに、被害者と加害者の双方からヒアリングを実施します。事実関係について調査するためです。必要に応じて、周囲の同僚などからもヒアリングを実施しましょう。
調査の結果、セクシャルハラスメントに該当する行為があったと認められたら、加害者に妥当な処罰を下し再発防止策を立てます。
3-4. 相談者や行為者のプライバシーを保護する
セクシャルハラスメントの相談や苦情を受けた場合、相談者のプライバシーを保護しなければいけません。プライバシーの保護が不十分だと、被害者が安心して相談できないためです。
また、行為者のプライバシーについても保護する必要があります。とくに事実関係が明らかになるまでは冤罪の可能性もあるので、慎重に対応しましょう。
参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント|厚生労働省
4. 男女雇用機会均等法に違反した場合のリスク・罰則
男女雇用機会均等法に違反すると、企業は厚生労働大臣から報告を求められるケースがあります。事実関係を調査したうえで実際に違反があった場合、企業に対して助言や指導、勧告をおこなう必要があるためです。
厚生労働大臣の報告に応じなかったり虚偽の報告をおこなったりすると、20万円以下の過料が科せられます。
また、勧告に従わなければ世間に企業名が公表され、社会的信用を失墜させるでしょう。
5. 男女雇用機会均等法を理解しセクシャルハラスメントを防止しよう
男女雇用機会均等法は、従業員が安心して能力を発揮できる職場環境を整備するための法律です。セクシャルハラスメントに対する防止対策についても定められているので、企業は適切な措置をおこなう必要があります。
男女雇用機会均等法に違反した場合、過料が科せられたり企業名が公表されたりするため、企業にとって大きなリスクとなります。
男女雇用機会均等法を正しく理解し、セクシャルハラスメントを防止しましょう。
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