外国人を雇用する際も保険加入は必要?手続き方法や注意点を解説
更新日: 2025.6.6 公開日: 2025.6.6 jinjer Blog 編集部
「外国人を雇用する際も保険加入は必要?」
「外国人が保険加入する際の手続き方法や注意点を知りたい」
上記のような疑問や悩みをお持ちではないでしょうか。
外国人を雇用する際は、原則として社会保険への加入が必要です。雇用が決まり次第、事業主は速やかに社会保険加入の手続きをおこないましょう。
本記事では、外国人を雇う際に必要な保険の種類や手続き、注意点などを解説します。保険加入の対象外となるケースにも触れているので、外国人を雇用する際の参考にしてください。
従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
◆この資料でわかること
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- 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
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1. 外国人を雇用する際は保険加入が原則必要


外国人を雇用する際は、原則として社会保険への加入が必要です。日本の社会保険制度では、被保険者の国籍は問われないためです。
しかし、中には、「保険料を支払いたくない」「制度がよくわらかない」などの理由から、加入を避けたがる外国人もいます。ただし、社会保険に加入していない場合、企業側が罰則や追徴金の対象となる可能性があるので注意が必要です。
企業の労務担当者は社会保険制度について知識を深め、雇用した外国人に対し丁寧な説明と適切な手続きをおこないましょう。
2. 外国人を雇用する際に必要な保険の種類


外国人を雇用する際に必要な社会保険の種類は以下のとおりです。
- 雇用保険
- 労災保険
- 健康保険
- 厚生年金保険
それぞれについて、詳しく解説していきましょう。
2-1. 雇用保険
外国人を雇用する場合でも、条件を満たせば雇用保険への加入が必要となります。雇用保険は、労働者が失業した場合に失業給付などを支給する制度です。
厚生労働省は、以下の2つを雇用保険の加入条件として定めています。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 雇用見込みが31日異常である
条件に当てはまる場合、事業主は速やかに雇用保険の加入手続きをおこないましょう。
2-2. 労災保険
外国人を雇用する場合、労災保険への加入も必要となります。
労災保険とは、業務や通勤中にケガ・病気・死亡に対して、労働者や遺族を保護するための制度です。
雇用保険と労災保険をあわせて「労働保険」とよびます。
労災保険の対象となる外国人が本国へ帰った場合は、以下の点に注意が必要です。
| 保険支給額 | 支給が決定した日における売りレートで換算した日本円額になる |
| 海外で治療を受ける場合 | 治療の内容が妥当であると認められた場合のみ支給の対象となる |
| 日本国内に限定される支援制度 | ・アフターケア
・義股など補装具費の支給 ・外科後処置 ・労災就学など援護費 |
厚生労働省のホームページでは、英語や中国語など多言語対応のパンフレットが公開されています。外国人労働者へ説明する際に、ぜひ活用しましょう。
2-3. 健康保険
外国人が3ヵ月を超えて日本に在留する場合、健康保険への加入が必要です。
健康保険が適用される事業所で働く外国人は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険に加入します。一方、職場で健康保険に加入していない場合は、市区町村が運営する国民健康保険に加入する必要があります。
健康保険に加入していなくても罰則を受けることはありません。ただし、医療費は全額自己負担となり、病院によっては診察を断られるケースもあります。
外国人従業員の健康と安定した生活を支えるためにも、健康保険加入の必要性を説明しましょう。
2-4. 厚生年金保険
日本に居住する20歳以上60歳未満の人は、厚生年金保険に加入する義務があります。厚生年金保険の加入手続きは、健康保険と同時におこなうことが可能です。
なお、外国人が自国へ帰った場合でも、以下の条件をすべて満たしていれば「脱退一時金」を受け取れます。
- 日本国籍を有していない
- 日本国内に住所がない
- 公的年金制度の被保険者ではない(厚生年金保険・国民年金保険)
- 保険料納付済期間の合計が6ヵ月以上である
- 老齢年金の受給権を満たしていない
- 障害基礎年金などの年金を受ける権利がない
- 最後に公的年金制度の資格を喪失した日より2年以上経過していない
ただし、脱退一時金を受け取った場合、それまでの年金加入期間は将来の年金受給には反映されません。将来的に日本で年金を受け取る可能性がある外国人には、慎重に判断するようアドバイスが必要です。
参考:脱退一時金は、どのような人が請求できますか。|日本年金機構
3. 外国人を雇用する際に保険加入の対象外となるケース


一時的に日本に滞在する外国人は、保険加入の対象外となるケースがあります。具体例としては、ワーキングホリデー制度で来日している外国人が該当します。
ワーキングホリデーは、協定を結んだ国。地域の若者が長期滞在し、相互理解を深めることを目的とした制度です。滞在期間中は休暇を楽しむだけでなく、アルバイトや語学学校への通学なども認められています。
ワーキングホリデーで来日した外国人を雇用する場合、雇用保険の加入は対象外です。ただし、健康保険や労災保険への加入は原則必要となるので注意しましょう。
4. 外国人を雇用する際に必要な保険の手続き


外国人を雇用する際に必要な保険の手続きは、基本的に日本人を雇用する場合と同じです。
主な保険の手続き方法は、以下のとおりです。
| 届出方法 | 届出先 | 届出期間 | |
| 雇用保険 | 雇用保険被保険者資格取得届を提出する | 事業所を管轄するハローワーク | 雇用する日の属する月の翌月10日まで |
| 労災保険 | 保険関係成立届を提出する | 労働基準監督署 | 雇用後10日以内 |
| 健康保険・厚生年金 | 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届を提出する | 管轄の年金事務センターまたは年金事務所 | 雇用後5日以内 |
| 国民健康保険 | 国民健康保険異動届を提出する | 各市区町村の担当窓口 | 加入すべき事由が発生した日から14日以内 |
各保険には届出期間が定められているので、漏れなく対応できるようにしておきましょう。
5. 外国人を雇用する際の保険に関する注意点


外国人を雇用する際の保険に関する注意点は以下の2つです。
- 在留資格を確認する
- 届出先や届出期間に注意する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1. 在留資格を確認する
保険の加入手続きは、基本的に日本人と外国人で違いはありません。ただし、外国人を雇用する際は在留資格の確認が必要となります。
適切な在留資格を保有していない外国人を雇用すると、不法就労となり、外国人本人だけではなく企業も処罰される可能性があるためです。
日本で就労が可能な主な在留資格は、以下のとおりです。
| 職種や業種に関係なく雇用可能な在留資格 | 永住者・永住者の配偶者・日本人の配偶者・定住者など |
| 一定の範囲内であれば雇用可能な在留資格 | 研究・教育・企業内転筋・報道・教授・宗教・技能・特定活動・特定技能など |
| 資格外活動の許可を得たら雇用可能な在留資格 | 留学・文化活動・家族滞在 |
たとえ不法就労であることを知らなかった場合でも、事業主に確認義務を怠った過失があれば処罰の対象となります。
参考:日本で働ける外国人・働けない外国人 | 東京外国人雇用サービスセンター
5-2. 届出先や届出期間に注意する
外国人を雇用した際に社会保険の加入手続きをおこなう場合は、保険の種類ごとに届出先や届出期間が異なるため注意が必要です。
例えば、雇用保険はハローワーク、健康保険や厚生年金は年金事務所、国民健康保険は市区町村が窓口となります。提出期限もそれぞれ異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、外国人従業員が退職する場合や本国へ帰った場合も、各保険の資格喪失に関する手続きが必要となります。企業側はスムーズに手続きが進むよう、事前に案内や準備をしておくことが大切です。
6. 外国人を雇う際は保険加入の義務があることを理解しよう


日本人と同様に、外国人も社会保険への加入義務があります。社会保険の加入条件に国籍は関係ありません。
保険の種類によって加入条件や手続き方法が異なるため、外国人を雇う際は、保険の加入漏れがないよう適切な手続きをおこないましょう。
また、日本の社会保険制度は、外国人にとっては理解しづらい部分もあります。事業主自身が制度について理解を深めたうえで、適切な説明やサポートをできるようにしましょう。



従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
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