ハロー効果の例やピグマリオン効果・ホーン効果との違いを解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2023.5.29
OHSUGI
ハロー効果やピグマリオン効果、ホーン効果などに代表される心理現象は、教育や人事の面で活用されることが増えました。その中でもハロー効果は、人事評価や採用面接時に留意しなければいけない現象です。正しく理解することで、人事業務に役立てることができます。
本記事ではハロー効果を中心に、社会的心理現象の意味や違いを解説します。無意識の心理をコントロールし、優秀な人材の確保や育成にお役立てください。
目次
取り組みに向けたファーストステップを事例中心に解説!
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1. ハロー効果とは?
ハロー効果とは、何かを評価する際に対象の中でも特に目立つ特徴に引きずられ、それ以外の評価が歪んでしまう現象です。ハロー効果の名称や種類について知っていきましょう。
2. ハローは光の輪を意味する
ハロー効果は英語では「halo effect」です。haloは聖人や天使を描く際に表現されることが多い、頭の上にある光の輪を指す言葉です。
後光が指している様子を表現していることから、後光効果と呼称されることもあります。また認知の歪みを発生させるため、ハローエラーとよばれることもあります。ハロー効果は社会心理学用語の1つですが、近年はマーケティングでの活用や人事採用時の注意点などとして使われることが増えました。
2-1. ポジティブ・ハロー効果
ハロー効果の中でも、よい印象に引きずられることをポジティブ・ハロー効果といいます。例えば、容姿が整っている人が採用面接で有利になったり、有名なタレントを宣伝に起用することで商品のイメージがよくなったりするなど、論理的ではない評価の向上がポジティブ・ハロー効果です。
2-2. ネガティブ・ハロー効果
ネガティブ・ハロー効果は、1つのよくない印象が全体の評価を下げてしまう現象です。一般的にはマイナスだと思われない特徴だとしても、評価者が望ましくないと感じる部分が強く出てしまうと、ネガティブ・ハロー効果が発動してしまいます。好みや先入観で認知に歪みができ、正しく評価が下せなくなるため、人事では特に留意すべき現象だと考えられています。
3. ハロー効果の例
ハロー効果の具体的な例を4つ紹介します。これらはポジティブ・ハロー効果、ネガティブ・ハロー効果のどちらにもなり得るものです。
3-1. 学歴やスキルによって人を判断する
人事採用のシーンで該当することが多いのが、出身大学や保有スキルなどだけで人を判断するケースです。例えば、有名大学出身という印象によって、本人の言動が知的に見えてしまったり、語学が堪能という理由で語学とは関係のない能力まで高いだろうと判断したりする現象が当てはまります。
3-2. 有名人を応援や宣伝に起用する
好感度が高い有名人を応援演説や商品の宣伝に起用すると、あの人がおすすめしているのだから大丈夫だろうというように、根拠のない好印象を抱きやすいです。これはポジティブ・ハロー効果として、テレビCMや選挙演説などでよく見られる例です。しかし、起用した有名人が不祥事を起こした場合は、あんな人を使っていたなんて信用できないと、ネガティブ・ハロー効果に転じやすいです。
3-3. 容姿や第一印象で評価が変わる
人の評価は容姿や第一印象だけで正しく下すことは困難です。しかし、それが分かっていても容姿や第一印象でハロー効果が発動し、評価が変わることが多いです。端麗な容姿で礼儀正しい人は、性格や人格まで優れていると思われやすくなり、好意的に発言を受け止めてもらえます。反対に無表情であったり、自信がなさそうな挙動が多かったりすると、その後の言動もマイナスに受け止められやすくなります。
3-4. 販売員の容姿で商品の価値が変化する
アパレルショップの店員が着こなしている服は売れやすい、イケメンほどセールスが成功しやすいといった話はよく聞きます。これらもハロー効果の一種です。容姿が整っている人や、おしゃれに気を使っている人は、商品の価値を高めてその後のセールストークも好意的に受け止められます。反対に野暮ったい印象や衛生的に見えない販売員は、商品の価値を下げてしまいます。
4. ハロー効果とピグマリオン効果の違い
ピグマリオン効果もハロー効果と同様に、何かの影響を受けて心理が変化する現象です。しかし、ハロー効果とピグマリオン効果では全く違う性質を持っています。それぞれの特徴と違いを解説します。
4-1. ピグマリオン効果は他者の期待に影響される
ピグマリオン効果とは他者から期待されることで、それに応えようという心理が生まれ努力をして成績を向上させたり、結果を出したりする現象です。
例えば、同程度の能力があるネズミを2つのグループに分け、1つのグループには学習能力の向上を期待して丁寧に扱い、もう1つのグループには特別な意識は向けずにいたとしましょう。この場合、前者の期待されたネズミの方が実験で優秀な成績を出します。これがピグマリオン効果です。
4-2. ハロー効果とは影響を受ける立場が違う
ハロー効果は、評価対象の目立つ特徴に引きずられて、全体の評価が変化する現象でした。つまり、評価する側が評価される側の特徴に影響を受ける現象です。
ピグマリオン効果は、評価される側が評価する側に期待されることで変化するため、影響が出る立場が逆です。
また、ハロー効果は実際に能力の変化がなくても評価が変わりますが、ピグマリオン効果は本人の能力に変化が出る点も違いの1つです。
5. ハロー効果とホーン効果の違い
ハロー効果とよく似た心理現象として取り上げられるのがホーン効果です。ホーンは「horn(角)」のことで、悪魔の角をイメージしている言葉です。そのまま、悪魔の角効果とも呼称されます。ハロー効果との違いについて解説します。
5-1. ホーン効果はネガティブ・ハロー効果と同義
ハロー効果のポジティブ・ハロー効果は、聖人に後光が指しているようにプラスの評価を引き出しやすい現象でした。一方で、ホーン効果は悪魔の角が生えているように、マイナスの評価を引き出しやすい現象として分けられています。これはハロー効果の一種であるネガティブ・ハロー効果と同じです。
5-2. ハロー効果とホーン効果の使い分け
ハロー効果とホーン効果を使い分ける場合は、ハロー効果をプラスへの認知の歪み、ホーン効果をマイナスへの認知の歪みとして考えると分かりやすいです。
聖人の後光と悪魔の角は、対極に存在するものです。そのため、ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果よりも、より想像しやすく、留意事項としての解説や言葉の意味を説明する際に伝わりやすいかもしれません。
6. ハロー効果やピグマリオン効果は優秀な人材の確保に欠かせない知識
ハロー効果やピグマリオン効果は、ビジネスシーンで取り上げられることが多い心理現象です。特に人事採用ではハロー効果による評価の変化は軽視できず、採用担当者は十分に理解して留意しなくてはいけません。
ハロー効果を知れば採用面接時に客観的や俯瞰的な視点で見ることができ、人材をより正確に評価できるようになります。また、ピグマリオン効果は採用した人材を育成する際に活躍する心理現象です。適切に活用して人材を揃え、育める環境を整えましょう。
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