保険料控除申告書の書き方は?提出する際の注意点やミスを減らす対策を解説
更新日: 2025.12.25 公開日: 2025.3.1 jinjer Blog 編集部

保険料控除申告書は、従業員の年末調整や確定申告で必要となる書類です。従業員が保険料控除を申請するとき、企業は保険料控除申告書を受け取る必要があります。しかし、正しい書き方を把握していないと、問い合わせがあったときに適切に対応できません。
本記事では、保険料控除申請書の書き方をわかりやすく紹介します。提出が必要な人や添付書類、そのほかの年末調整に必要な書類とあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
人事労務担当者の実務の中で、従業員情報の管理は入退社をはじめスムーズな情報の回収・更新が求められる一方で、管理する書類が多くミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、人事異動の履歴や評価・査定結果をはじめ、管理すべき従業員情報は多岐に渡り、管理方法とメンテナンスの工数にお困りの担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 保険料控除申告書とは


保険料控除申告書とは、給与所得者が保険料控除を受けるために必要な書類です。その年の正しい所得税額を算出する手続きである「年末調整」の際に、従業員が勤め先に提出します。
保険料控除が適用されると、支払った保険料に応じた一定額が所得から差し引かれる仕組みです。課税対象となる所得が少なくなることで、住民税や所得税の負担が軽減されます。
企業は必要事項が正しく記入された保険料控除申告書を受け取り、無くさないように管理しましょう。税務署への提出は不要ですが、求められたとき提出できるように保存することが重要です。
その年の保険料控除申告書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。わかりやすい記載例もあるので、ぜひチェックしてください。
1-1. 保険料控除申告書の添付書類
保険料控除申告書を提出する際には、支払った保険料等を証明する書類を添付または提示しなければならないケースがあります。
保険料控除申告書の提出を求めるとき、以下のような添付書類が必要です。受ける保険控除の種類によって添付書類が異なるため、あらかじめチェックしておきましょう。
| 申請する控除 | 添付書類の概要 |
| 生命保険料控除
地震保険料控除 小規模企業共済等掛金控除 |
保険料控除証明書など保険料の支払い金額を保証する書類
旧生命保険料は剰余金や割戻金を引いた残額が9,000円を超えるときだけ添付する |
| 社会保険料控除 | 国民年金の控除証明書など国民年金保険料の支払い金額を証明する書類
国民年金保険料以外の社会保険料の場合は添付しなくてよい |
保険料控除証明書をなくした場合は、発行元の保険会社に問い合わせることで再発行してもらえます。国民年金の控除証明書は、ねんきんネットやねんきん加入者ダイヤルから再発行の申請が可能です。
参考:控除証明書をなくしてしまったのですが再発行できますか。|日本年年金機構
2. 保険料控除申告書の提出が必要な人


「その年の1月1日から12月31日の期間中に各種保険料を支払った人」は、保険料控除申告書の提出が必要です。年末調整では、以下のような保険料控除の申請が可能です。
| 該当する保険料 | |
| 生命保険料控除 | 一般生命保険料
介護医療保険料 個人年金保険料 |
| 地震保険料控除 | 地震保険契約
旧長期損害保険 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済
企業型DC(企業型確定拠出年金) iDeCo(個人型確定拠出年金) 心身障害者扶養共済制度 |
ただし、自動車保険や火災保険など一部の保険料は該当しないため、注意が必要です。また、社会保険料控除は、給与から特別徴収(天引き)されている社会保険料(厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険など)については、企業側で金額を把握し控除を適用するため、従業員による申告書への記入や控除証明書の添付は原則として不要です。
従業員が保険料控除申告書に記入・申告する必要があるのは、以下の「自分で支払った社会保険料」です。
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料
- 国民年金基金の掛金
- 家族の国民年金保険料や国民健康保険料を、従業員本人が支払った場合
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者掛金(労使折半ではない自己負担分)
申告書に記入する際は、これらの保険料の控除証明書(国民年金の場合は「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」など)を添付してもらう必要があります。担当者はこの点をあらかじめ把握しておくと、従業員からの問い合わせにスムーズに対応できます。
3. 保険料控除申告書の書き方


保険料控除申告書では、保険料控除の種類ごとに記入欄が用意されています。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
申告書への記入は控除を受ける従業員がおこないますが、質問されることもあるので、総務や経理の担当者は書き方をチェックしておきましょう。
3-1. 生命保険料控除の書き方
生命保険料控除の申告書の書き方は、10月ごろに保険会社が送付する「保険料控除証明書」を参考にしてください。保険料控除申告書の記載に従い、3種類の保険料を別々に計算しましょう。
- 「新保険料」と「旧保険料」の合計額をそれぞれ記入する
- 新保険料を「算式I」に当てはめて計算した金額(最高で4万円)を記入する
- 旧保険料を「計算式II」に当てはめて計算した金額(最高で5万円)を記入する
- 「計算式I」と「計算式II」の計算結果を合計して記入する(最高で4万円)
- 「計算式Iと計算式IIの合計」と「計算式IIの計算結果」を比較して大きいほうの金額を記入する
- 生命保険料控除の合計金額(最高で12万円)を記入する
それぞれの項目の最高額を超えたときは、切り捨ててください。なお、介護医療保険料は、「旧保険料(平成23年12月31日以前)」と「新保険料(平成24年1月1日以降)」の区分は不要です。
3-2. 地震保険料控除の書き方
地震保険料控除は、「地震保険料控除証明書」の内容を参考に記入します。地震保険は火災保険とセットで契約しますが、控除の対象にできるのは地震保険にかかる保険料のみです。
地震保険料控除証明書を確認して、「地震保険契約」と「旧長期損害保険」を区分して記入します。項目を転記したあとは、以下のように計算しましょう。
- 「地震保険の合計金額(最高で5万円)」を計算する
- 「旧長期損害保険の合計金額(最高で1万5,000円)」を計算する
- 地震保険料控除の合計金額(最高で5万円)を記入する
旧長期損害保険の合計金額が1万円を超える場合、「金額×1/2+5,000円」で計算してください。最高で1万5,000円なので、金額が超えたときは1万5,000円とします。
3-3. 社会保険料控除の書き方
社会保険料控除は、会社を通さず支払った社会保険料があったときに、記入する項目です。例えば以下のようなケースが該当します。
- 勤め先が社会保険に加入しておらず自分で社会保険料を支払った
- 日常生活の財産を共にする親族の代わりに社会保険料を支払った
- 転職期間中など自分で社会保険料を支払った期間がある
「保険料の納付書」や「社会保険料控除証明書」から、必要事項を転記します。あとは社会保険料を合計した金額を記入すれば完了です。
3-4. 小規模企業共済等掛金控除の書き方
「小規模企業共済等掛金払込証明書」から、本年中に支払った掛け金の金額を転記しましょう。定められた上限内であれば、すべての掛け金を控除できます。
該当する種類ごとに記入して、小規模企業共済等掛金控除の合計金額を計算してください。なお、企業型DC(企業型確定拠出年金)は、従業員側ではなく企業側が確認して反映させる必要があります。
4. 保険料控除申告書の提出についての注意点


保険料控除申告書の提出について、企業が確認しておくべき注意点をまとめました。
- 提出のルールを決めておく
- 内容に不備がないかチェックする
- 転職した場合は新しい勤め先に提出する
トラブルやミスを防止するために、あらかじめチェックしておきましょう。
4-1. 提出のルールを決めておく
保険料控除申告書を提出する期限や再提出など、提出に関するルールを決めておくことが重要です。
企業は年末調整に関する書類を、「その年の最後に給与などの支払いを受ける日の前日」までに税務署に提出します。提出が遅かったり再提出が遅れたりすると、「その年の最後に給与などの支払いを受ける日の前日」に提出できない可能性があります。そのため、提出期限や再提出の期限をしっかり決めておく必要があるのです。なお、期限に間に合わなかった場合は、従業員自身が確定申告で申請する必要があります。
4-2. 内容に不備がないかチェックする
従業員から受け取ったあとは、不備がないか必ずチェックしましょう。具体的には以下に注意が必要です。
- 必要事項の記入漏れ
- 数字や契約内容の転記ミス
- 控除額の計算間違い
不備を放置した場合、支払うべき税金に過不足が発生する可能性があります。訂正や修正を求める必要があるので、早いタイミングで確認しましょう。
よくある従業員の不備としては、以下のようなものが挙げられます。
- 控除証明書の証明額を記入している
- 控除額の上限を超えた申告をしている
- 控除証明書の提出方法が従業員で異なる
控除証明書の証明額を記入している
保険料控除額を申告する際、控除証明書に記載されている「証明額」ではなく、「申告額」を記入する必要があります。しかし、多くの従業員が控除証明書に記載された「証明額」をそのまま申告額として記入してしまうケースが見受けられます。このミスは、証明額が先に目に入りやすいため、誤って記入されることが多いです。
このような記入ミスを防ぐためには、事前に「証明額ではなく申告額を記入すること」を徹底して周知することが不可欠です。特に、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の控除証明書が発行されない場合には、「国民健康保険の納付額のお知らせ」などの納付額が確認できる書類を参照するよう指導し、正しい額を申告するようにします。さらに、記入時に参照した書類を必ず添付することを忘れないように指導しましょう。
控除額の上限を超えた申告をしている
生命保険料や地震保険料などの保険料控除には、控除額に上限が設けられています。従業員がこの上限を超えて申告してしまうことがしばしばあります。特に、上限があることを知らない、または知っていながら手元にある全ての証明額を記入してしまうケースです。
担当者が申告内容をチェックする際には、全ての情報を確認した後に、上限を超えた申告額に気づくことがあります。そのため、不要な確認作業が発生し、作業が遅延する原因になります。
控除証明書の提出方法が従業員で異なる
控除証明書の提出方法について、従業員が正しい方法を理解していない場合、提出された証明書が不完全であったり、必要な情報が読めなかったりすることがあります。これにより、照合作業がスムーズに進まず、時間がかかる原因となります。
スムーズに突合作業を進めるためには、従業員に対して「控除証明書の提出方法」を明確に指示することが必要です。具体的には、「どの情報が必要か」「どのように書類を提出するか」など、正しい手順を伝えることが大切です。従業員がどの情報が重要かを理解すれば、無駄な手間を減らして効率的に作業を進めることができます。
4-3. 転職した場合は新しい勤め先に提出する
保険料控除申告書は、年末調整の時期に所属している企業に提出します。中途入社した従業員には、勤め先からもらった源泉徴収票の提出を求めましょう。
転職するまでに個人で支払っていた社会保険料があるなら、記載する必要があります。なお、退職後に年をまたいで転職した場合は、従業員が自ら確定申告をしなければいけません。
4-4. 年末調整に間に合わなければ従業員に確定申告してもらう
従業員によっては保険料控除申告書を始めとして、必要な書類の提出が年末調整に間に合わないケースがあります。万が一、年末調整に間に合わなかった場合や、申告書類の不備などが発生した場合には、従業員に確定申告をしてもらう必要があります。
確定申告は従業員の負担になってしまうため、年末調整に間に合わせるようにアナウンスしておきましょう。
5. 保険料控除申告書のミスを減らすには


保険料控除申告書は記入欄が多く、控除証明書との突合も必要なため、記入ミスや添付漏れが発生しやすい書類です。特に、紙でのやり取りが中心の場合、従業員による書き間違いや証明書の紛失、回収漏れなどが起こりやすく、担当者の確認作業にも多くの時間がかかります。
こうしたヒューマンエラーを減らすには、電子データでの管理を取り入れることが有効です。従業員が入力した内容を自動チェックできるシステムを活用すれば、誤記入や証明書の添付忘れを未然に防げます。
また、電子データを活用すれば、扶養控除等申告書や基礎控除申告書など年末調整で必要な書類も一括管理できるので、提出漏れや確認作業の負担軽減にもつながります。
6. 保険料控除申告書を電子データで管理する際の注意点


電子データによる保険料控除申告書の管理をおこなう場合、法令で定められた条件を満たす必要があります。保存方法やセキュリティ対策を適切に整備することで、紙書類と同等の信頼性を確保しながら、業務効率化を実現できます。
ここでは、電子データ管理における具体的な条件やセキュリティ対策などを解説します。
6-1.電子データによる管理が認められる条件と保存期間
保険料控除申告書を電子データで管理する場合は、国税庁が定める「電子帳簿保存法」のスキャナ保存の要件を満たす必要があります。主な要件はタイムスタンプの付与や履歴が残るシステムでの保存、検索機能の確保(日付、金額、取引先の検索)などです。
要件は改正されることもあるので、最新の法令に基づき、適切な対応をおこなってください。
保存期間は紙書類と同じく7年間です。システム上で適切にバックアップを取り、検索機能や閲覧履歴を管理することで、税務調査にも対応できる状態を保つことが重要です。
参考:Ⅱ 適用要件|国税庁
6-2.控除証明書データの取得と活用方法
近年は、生命保険会社や地震保険会社などから「控除証明書データ」が国税庁を通じてオンラインで取得できるようになっています。
そのため、従業員がマイナポータル連携を利用すれば、控除証明書を自動で取り込み、申告書に反映させることも可能です。
これにより、記入内容の不一致や添付漏れのリスクを低減でき、担当者のチェック作業も大幅に削減できます。電子データ活用すれば、業務の正確性とスピードの両立も可能になるでしょう。
6-3.電子データ管理時のセキュリティ対策
電子データで保険料控除申告書を管理する際は、個人情報を安全に取り扱うためのセキュリティ対策を徹底する必要があります。まず、アクセス権限の設定をおこない、担当者以外が申告書データを閲覧・編集できないように制限します。例えば、人事部門と経理部門で閲覧範囲を分け、管理者権限を持つユーザーを限定することで、情報漏えいのリスクを軽減できます。
また、通信経路の暗号化をおこなうことも重要です。クラウド上でデータをやり取りする際は、SSL/TLSなどの暗号化通信を採用しているサービスを利用し、社外ネットワークからアクセスする場合はVPN接続を活用すると安全性が高まります。
さらに強化したい場合は、多要素認証(2段階認証)を導入しましょう。ID・パスワードに加え、ワンタイムパスコードや生体認証を組み合わせることで、第三者による不正アクセスを防ぎます。
他に、定期的なバックアップを実施し、災害やシステム障害に備えてデータを複数の場所に保管することも大切です。バックアップデータは社外サーバーや専用ストレージに保存し、復元テストをおこなうことで有事の際にも迅速な対応が可能になります。
これらの対策が難しい場合は、クラウドサービス提供会社のセキュリティ基準を確認しましょう。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得している事業者を選定することで、一定の安全性が担保されます。これらの対策を組み合わせれば、電子データ管理におけるセキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
7. 従業員からの問い合わせに対応するために書き方を把握しておこう


保険料控除申告書は、年末調整において正確な税額計算をおこなうための重要な書類です。
従業員が多い場合は大変かもしれませんが、提出ルールの設定や内容のチェック体制を整えることで、記入ミスや提出漏れを防ぐことができます。さらに、電子データによる管理を導入すれば、控除証明書の紛失防止や確認作業の効率化も可能です。
ただし、従業員からの問い合わせに的確に対応するためには、書き方の基本や制度の仕組みを理解しておくことも大切です。
添付書類や注意点もチェックしておき、スムーズに年末調整を終わらせられるようにしておきましょう。



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