KPIの設定方法や設定するときの注意点を詳しく解説
更新日: 2023.11.17
公開日: 2023.3.10
OHSUGI
企業が目指すべき最終的なゴールのことをKGI(Key Goal Indicator)と呼びます。KGIの補助的な役割を果たす指標が、本記事で取り上げるKPI(Key Performance Indicator)です。効果的なKPIを設定するためにはどのような点を意識すればよいのか、KPIの設定方法や注意点、SMARTの法則のポイントをわかりやすく解説していきます。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. KPIとは?
KPI(重要業績評価指標)は、企業の最終的なゴール(=KGI)を達成するために必要なプロセスを評価し、定量的に表す指標を指します。
たとえば「売上1億円」がKGIの場合、目標を達成するにはさまざまなプロセスが必要です。売上を増やすには、そもそも案件の獲得数を増やす必要があります。また、案件の獲得数を増やすためには、顧客のアポイント数を増やしたり、架電数を増やしたりしなければなりません。
KGI | 売上1億円 |
KPI | ● 案件の獲得数100件 ● アポイント数1,000件 ● 架電数2,000件 |
上記の例では「案件の獲得数100件」「アポイント数1,000件」「架電数2,000件」の3つがKPIに当たります。つまり、KPIはKGIを細分化し、目標達成に向けて必要なプロセスを定量的に評価するための指標を指します。
2. KPIの設定方法
KPIを設定する手順は3つのステップに分けられます。
- KGIを設定する
- KGIに必要な要素を分解する
- KPIの実現に必要な要素を考える
2-1. KGIを設定する
まずは企業が目指すべきゴールとなるKGIを設定しましょう。KGIは日本語で「重要目標達成指標」と呼ばれるとおり、企業の戦略やビジョンと関連したものの必要があります。
たとえば、1年間の売上目標、前年比の利益率、サービスの利用者数などのゴールがKGIとして設定されます。
2-2. KGIに必要な要素を分解する
KGIを設定したら、KGIを達成するために必要なKPIを細分化していきます。このステップで役に立つのが、KPIツリーと呼ばれるフレームワークです。
KPIツリーはロジックツリーを応用し、KGIの構成要素をツリー状に書き出していく手法を指します。たとえば、KGIに売上を設定する場合、売上に関連した購入者数や顧客単価などのKPIを書き出していきます。KPIツリーを利用することで、KPIを漏れなく重複なく洗い出すことが可能です。
2-3. KPIの実現に必要な要素を考える
KPIを実現するためのタスクも書き出しましょう。たとえば、Webサイトのコンバージョン率アップがKPIの場合、KPIを実現するための施策を洗い出します。
KPI | コンバージョン率◯%アップ |
タスク | ● LPのデザイン向上 ● サイト導線の改善 ● 新規キャンペーン |
KPI管理シートを作成すれば、KPIやタスク、タスクごとの担当者や進捗状況を整理し、実際の業務に落とし込めます。
3. KPIを設定するときの注意点
KPIを設定するときは「SMARTの法則」を意識しましょう。SMARTの法則は、目標管理制度(MBO)における目標設定に使われることが多いフレームワークです。SMARTの法則は、KPIを設定する際にも役に立ちます。
- わかりやすく具体的に設定する(Specific)
- 数字やデータで表せるものを設定する(Measurable)
- 現実的に達成可能なものを設定する(Achievable)
- KGIと関連したものを設定する(Relevant)
- 期限を決めて設定する(Time-bounded)
SMARTの法則のポイントをわかりやすく解説します。
3-1. わかりやすく具体的に設定する(Specific)
KPIはわかりやすく具体的なものを設定する必要があります。抽象的なKPIを設定すると認識の齟齬が生まれ、KPIの達成率が低下する可能性があります。
また、複雑すぎるKPIもNGです。チームや個人が同じレベルで認識を共有できるよう、シンプルかつ明確なKPIを設定しましょう。
3-2. 数字やデータで表せるものを設定する(Measurable)
KPIは数値化可能なものを設定しましょう。数字やデータで表せるKPIを設定すれば、KPIの達成率を計算し、KGIの実現に向けた進捗状況を定量的に評価できます。数字やデータで表しづらい、定性的な成果指標をKPIとして設定するケースはほとんどありません。
3-3. 現実的に達成可能なものを設定する(Achievable)
KPIは十分に達成可能なものを設定する必要があります。非現実的なKPIを設定すると、チームや個人のモチベーション低下につながる可能性があります。
ただし、簡単に達成可能な目標をKPIとして設定するのも逆効果です。目標達成率が60~70%となるようなストレッチゴールを設定することで、チームや個人が殻を破るのを後押しし、パフォーマンス向上につながります。
3-4. KGIと関連したものを設定する(Relevant)
前述のとおり、KPIはKGIと直接関わりのあるものを設定しましょう。KPIは、あくまでもKGIを実現するための中間目標にすぎません。KPIを達成していく過程で、KGIの実現に近づくような目標を設定しましょう。
3-5. 期限を決めて設定する(Time-bounded)
KPIには必ず期限を設けましょう。期限を設定していないKPIは、後回しにされる可能性が高くなります。KPIに期限を設け、メリハリを付けて業務を遂行することが大切です。
4. KPI設定における失敗例と対処法
KPI設定のよくある失敗例は2つあります。
失敗例 | 対処法 |
KPIの数が多すぎる | KPIの数を3~5個程度に絞る |
KPIのボトルネックの発見に時間がかかる | 先行指標に着目する |
4-1. KPIの数が多すぎる
KPIの数が多すぎると、チームや個人のリソースが分散され、KPIの達成に時間がかかります。1つのKGIにつき、KPIの数は3~5個程度が理想的です。
KPIの数が10個を超えると、KPI設定がうまくいかなくなる可能性が高くなります。KPIの優先順位を見直し、KPIの数を絞り込むことが大切です。
4-2. KPIのボトルネックの発見に時間がかかる
もうひとつのよくある失敗例が、KPIのボトルネックの発見が遅れ、施策の見直しに時間がかかるケースです。
対処法として、KPIには成果がすぐに表れやすい「先行指標」と、成果が表れるのに時間がかかる「遅行指標(結果指標)」の2種類があることを知っておきましょう。遅行指標に目を向けても「施策のどの部分が悪かったか」「ボトルネックがどこにあるか」を見つけるのに時間がかかります。KPIのボトルネックをすみやかに発見したい場合は、先行指標に着目することが大切です。
5. KPIの設定方法を知り、KGIと連動したKPIを考えよう
KPIは、KGIを達成するための中間的な目標を指す言葉です。KPIはKGIから逆算し、KGIの実現に必要なプロセスを洗い出すことで設定できます。
KGIの内容を考えるときは、SMARTの法則と呼ばれるフレームワークを活用しましょう。KPIの設定方法を知り、KGIと連動したKPIを設定することが大切です。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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