労働契約書の保管期間や正しく保存する方法を紹介
更新日: 2023.8.28
公開日: 2021.11.12
YOSHIDA
企業に入社する際には企業と雇用者の双方が労働契約書に押印する必要があります。契約内容に納得した上で契約を結びますが、この労働契約書はあとからいつでも確認できるようにしておく必要があります。この労働契約書には保管期間が定められています。勝手に廃棄しないように注意しましょう。
紙で雇用契約書を取り交わしている場合、以下のような課題はないでしょうか。
・労働条件通知書を交付するために来社してもらったり、郵送したりするのが手間
・早く働き始めてほしいが、雇用契約の締結に時間がかかってしまう
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1.労働契約書の保管期間は何年?
労働契約書は基本的に契約者が退職、または死亡してから3年間は保管しておかなければなりません。
退職したその日、死亡したその日から3年間です。
これは労働基準法で定められた期間ですので、これ以内に勝手に破棄しないようにしましょう。
賃金の未払いや残業代に問題がある場合、契約者が死亡し過労死などの可能性がある場合、この労働契約書などを参考に捜査されることになります。
労働契約書だけでなく労働者名簿、賃金台帳、そしてタイムカードと時間外労働計算書も3年間保管しなければなりません。健康診断書も同じく3年間保管しておきましょう。
2.労働契約書の保管で注意すること
労働契約書を保管する際に注意しなければならない点について解説します。
労働契約書さえ保管できていればいい、期間内に保管しておけばいいというわけではありませんので、いつ提出を求められてもすぐに用意できるようにしておいてください。
2-1.タイムカードなどの書類も保管しなければならない
労働契約書だけでなくその契約者のタイムカードや賃金台帳、労働者名簿、時間外労働計算書を一緒に保管しておく必要があります。
退職後に労働の内容に問題が発覚する可能性もあり、訴訟などに至った場合にこれらが証拠になります。
不利になることがあるからといって破棄してしまうと余計に不利になってしまいます。
また、提出を求められた際に破棄しまっていて提出できなかった場合は罰則が科せられる可能性もあるので注意しましょう。
2-2.保管期間の違う書類もある
労働契約書などの契約に関する書類の保管期間は3年間ですが、それ以外にも各書類の保管期間は法律で定められています。
健康保険や厚生年金関連の書類の保管期間は2年間です。
労災保険に関連する書類、労働保険徴収や納付の書類は労働契約書と同じく3年間です。
税法関連の書類は10年間、さらに源泉徴収や扶養控除控え、決算書類、株主総会の議事録などは10年間の保管が義務付けられています。
他にも法律で定められた保管期間のある書類はたくさんありますので、破棄していいか迷ったときは必ず確認しておきましょう。保管期間が定められていない書類に関しては企業が確定させられるため、適宜適切な期間保管した上で破棄するようにしてください。
3.労働契約書の正しい保存方法
労働契約書を保管する際の正しい保管方法について解説します。
保管しているつもりでも正しく保管できていなければ証拠としては成立しません。
とくに電子交付する際などには注意しましょう。
3-1.基本的には書面で保管
労働契約書の書類は、書面で交付した場合は基本的に書面で保管しなければなりません。
現在日本だけでなく世界中でペーパーレス化が進んでおり、テレワークの推進などで今後もさらにペーパーレス化が早まっていくことが予想されます。
ですが、書面でのやり取りが未だに多いのも事実です。
従業員が多い、入れ替わりが激しい企業では労働契約書の多くを保管しておくのは大変ですが、書面での契約書は書面で保管するようにしましょう。
退職年や入社年、氏名順など、各企業にとって見やすい方法で書類を保管しておき、いつでもすぐに提出できるようにしておいてください。
3-2.期間を過ぎたら廃棄してOK
労働契約書などの書類は保管期間が過ぎれば廃棄して構いません。
念のためと長く保管しておいたり、破棄の作業が面倒だからと放置しておいたりすると返ってさまざまな危険が高まります。
個人情報の漏洩や保管スペースが確保できなくなるかもしれません。ファイリングするためのファイルやラックなどの購入費用もかかってしまいます。
契約書を管理する人を配置する人件費もかかるなど、長期間すぎる書類の保管はデメリットが多いです。
面倒かもしれませんが、保管期間を過ぎた書類は定期的に確認して廃棄しましょう。
廃棄の際はシュレッダーを利用し、個人情報が漏洩しないよう注意してください。
3-3.スキャンは原本扱いにならない
ペーパーレス化に伴い名刺などをスキャンして保管する方も多いです。
では労働契約書についてはどうなのかを見てみましょう。
現状の法律では、労働契約書のスキャンしたデータは書類の原本として認められません。
コピー扱いになりますので、原本の提出を求められた際には書面を提出できるよう保管しておく必要があります。
労働契約書を紛失してしまった、破棄してしまったという場合にはスキャンしたデータを提出することになりますが、この場合は偽造できてしまうため証拠としてはかなり弱くなります。
あらかじめ電子で労働契約書を作成していた場合は電子での保管が可能ですので、保管方法などを考える上でも電子契約書に切り替えていくことをおすすめします。
3-4.電子契約書の場合条件を確認
近年は書面ではなく電子契約書を選択する企業も増えていますが、どのような場合でも利用できるわけではありません。さまざまな条件があるので、きちんと確認しましょう。
条件にはまずタイムスタンプや社内規定があることです。これがあることでその電子書類が本物であることの証明になります。電子書類の管理に関するマニュアルもきちんと作成しておかなければなりません。
他にもデータ検索ができるようになっている書類、パソコンなどの画面ですぐに確認できる、紙にプリントできるデータであることなども条件です。
3-5.電子契約書のメリット、デメリットを確認
労働契約書を電子契約書にするメリットはたくさんあります。
保管する場所を取らないため狭い社内を圧迫したり倉庫をレンタルする必要がありません。
距離的に離れていても契約ができるため、リモートワークや業務委託などでも郵送などの時間を取らずにすぐに契約ができます。
デメリットとしてはセキュリティ対策が必要という点があります。社内の誰でもアクセスできるような状況では、個人情報が簡単に漏洩してしまいます。
社内でのデジタル化が進んでいない場合は整備までの手間やコストがかかり、なかなか着手できない場合もあるでしょう。
そもそも労働契約書の電子交付は、雇用者本人が同意しない限りは交付できません。あらかじめ本人に確認し、拒否された場合は書面での交付、保管が必要です。
4.労働契約書のを正しく保管しよう
労働契約書の保管方法について解説しました。
雇用内容を詳しく記載した労働契約書は、契約者が退職、または死亡した日から数えて3年間は保管しておく義務があるので、勝手に破棄しないように注意してください。
また、保管方法にもルールがあります。勝手にスキャンする、電子データのみを保管するなどの方法では労働契約書の原本としては認められないので注意してください。
紙で雇用契約書を取り交わしている場合、以下のような課題はないでしょうか。
・労働条件通知書を交付するために来社してもらったり、郵送したりするのが手間
・早く働き始めてほしいが、雇用契約の締結に時間がかかってしまう
・契約更新の時期になると、大量の労働条件通知書を交付しなくてはならず面倒
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、雇用契約書の電子化です。システムを利用して雇用契約書を電子化すると、オンライン上で雇用契約書の締結や労働条件通知書の交付ができ、時間と場所を選ばずスピーディーに雇用契約を締結することができます。
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