職業病とは?一覧・なりやすい業種・原因を簡単に解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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職業病とは?一覧・なりやすい業種・原因を簡単に解説

積み木

「職業病とはどのようなもの?」

「どのような仕事が職業病になりやすいの?」

「職業病への対処法は?」

職業病について、上記の疑問をもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。

職業病は、日常的な業務に付随して起こる病気や障害を指します。労災の対象となる立派な病気です。

本稿では、職業病の内容や一覧、職業病に罹患しやすい業種について解説します。職業病が起こる原因と対処法についてもあわせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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1. 職業病とは業務に起因する障害や病気のこと

けがをした男性

職業病とは業務に起因する障害や病気を指します。労働条件や労働環境、業務内容によって発生する、労働基準法に定められた疾患です。

例えば仕事中に同じ姿勢を取り続けていたり、同じ作業を繰り返したりすることで心身に不調をきたしたのであれば、それは職業病と呼ばれます。

腰痛は職業病の代表例です。また、粉塵が舞う環境で作業を続けて起こる呼吸器疾患「じん肺」も、比較的メジャーな職業病といえます。

なお職業病は、以下のものと同義です。

業務上疾病 労働基準法における職業病の呼び名
職業性疾病 医学界における職業病の呼び名

従業員が職業病に陥らないよう、企業の環境整備が求められます。

2. 厚労省が定めた職業病一覧と認定件数

話し合い

厚生労働省では、労働基準法施行規則において職業病リストを定めています。職業病の種類や概要、令和4年度におけるそれぞれの認定件数は以下の一覧のとおりです。

No. 職業病の種類 概要や具体例 認定件数

(令和4年度)

1 業務上の負傷や病気 業務中に起こった病気やケガ 4,553
2 物理的因子に起因する病気(がんを除く) 放射線に起因する障害や、暑熱な場所でかかった熱中症、騒音下での難聴など 900
3 身体に過度の負担がかかる作業に起因する病気 重量物の運搬による筋肉痛や腰痛、パソコン作業による手指への運動器障害など 1,437
4 化学物質に起因する病気(がんを除く) うるしによるかぶれや、低酸素下での酸素欠乏症、木材の粉塵で起こる呼吸器疾患など 228
5 粉じんの吸入に起因する病気 アスベストやセメント、金属粉などを吸い込むことで肺が硬くなり、呼吸困難を引き起こすじん肺症 165
6 細菌やウイルスなどの病原体に起因する病気 患者の診察や介護業務による新型コロナウィルスをはじめとした伝染病への罹患 150,621
7 がん原性物質に起因する病気(職業がん) 石綿やベンゼン、放射線などの発がん性物質への接触で起こるがんへの罹患 1,028
8 長時間労働に起因する病気 長時間労働によるくも膜下出血や心筋梗塞、過労死など 194
9 心理的負荷に起因する精神障害 パワハラによるうつ病や、業務に関する過度なストレスなど 710
10 上記以外の、厚生労働大臣が指定する疾病 リストに定められていなくても、厚生労働大臣によって職業病と認定される病気もある 0
11 その他、業務への起因が明らかな疾病 リストに定められていなくても、因果関係が明らかであれば職業病と認定される 146

上記の表を見てわかるとおり、6の細菌やウイルスなどの病原体に起因する病気の認定件数が最も多くなっています。これは新型コロナウイルスに起因したものが大部分で、それ以外では187件の認定です。

病原体以外では、1の仕事中に負ったケガや、3の身体への過度な負荷によって起こる病気の認定数が目立ちます。

参考:職業病リスト(労働基準法施行規則 別表 第1の2)|厚生労働省

参考:業務上疾病の労災補償状況調査結果(全国計)|厚生労働省

3. 職業病は労災補償の対象になる

面談

職業病は労災補償の対象になります。これは、職業病が業務によって起こるケガや疾患のためです。

ただし、職業病と労働災害はまったく同一のものではなく、厳密には違いがあります。両者のおもな違いは、以下のとおり発症のタイミングです。

職業病 労働災害
発症のタイミング ・継続的

・長期的に業務を続けるうち、少しずつ心身を蝕んで発症することが多い

・突発的

・突発的な事故やケガにより、予想外のタイミングで発症することが多い

職業病が期間をかけて少しずつ進行していくのに対し、労働災害はある日突然起こるのが一般的です。

4. 職業病になりやすい3つの業種

書類

職業病になりやすい業種のランキングワースト3は以下のとおりです。なお、ここでは分類や考察が難しい「その他の事業」は除いています。

No. 業種 職業病が発生した件数(令和5年) 千人あたりの発生人数(令和5年)
1 製造業 2,257件 0.2人
2 運輸交通業・貨物取扱業 1,739件 0.5人
3 建設業 899件 0.3人

上の表を見てわかるとおり、令和5年の職業病の発生件数では製造業がワースト1位となりました。ただし、千人あたりの発生人数、つまり発生割合は、2位の運輸交通業・貨物取扱業や3位の建設業の方が高い傾向が見られます。

なお製造業を細分化してみると、以下の結果となりました。

No. 業種(製造業限定) 職業病が発生した件数(令和5年) 千人あたりの発生人数(令和5年)
1 機械器具工業 613件 0.2人
2 金属工業 391件 0.3人
3 化学工業 257件 0.2人
4 窯製業品・製土造石業 84件 0.3人
5 繊維工業 35件 0.1人

機械を扱う製造業が最も職業病の発生件数が多いですが、発生の割合でみると金属工業や窯製業品・製土造石業の方が多くなっています。

参考:業務上疾病発生状況等調査(令和5年)|厚生労働省

5. 職業病が発生する3つの原因

疲れた女性

業務に付随して起こる職業病ですが、発生につながるおもな原因として考えられるのは、大まかに分けると以下の3つです。

  • 職場の物理的・物質的な環境
  • 職場の心理的・精神的な環境
  • 従業員に負担のかかる業務体制

それぞれの具体的な内容は以下のとおりです。

5-1. 職場の物理的・物質的な環境

職業病は、職場の物理的・物質的な環境に問題があると発生しやすくなります。高温・低温環境下や騒音環境下での作業など、過酷な労働環境では心身へ負担がかかり、職業病に罹患しやすいでしょう。

炎天下での工事や冷凍室内でのピッキング作業など、業務に付随してある程度避けられない問題もあるものです。しかし、必要に応じてなんらかの工夫ができるケースも少なくありません。前述の例では、保冷機能のついた作業着や、発熱機能をもつジャケットを用意する対策が可能です。

はじめから無理だと決めつけ、なんの対策も講じないのが大きな問題といえるでしょう。

5-2. 職場の心理的・精神的な環境

職業病は、職場の心理的・精神的な環境に問題があっても起こりやすくなります。

例えば、上司からのパワハラや同僚との人間関係のトラブルがあると、精神的に追い詰められることがあるものです。過度なストレスによってうつ病を発症したり、自殺に至ったりする可能性も否定できません。

5-3. 従業員に負担のかかる業務体制

職業病は、従業員に負担のかかる無理のある業務体制によっても起こりやすいものです。

人手が足りず、常に長時間労働を強いる環境下では、心身が疲弊し不調を感じやすくなります。注意力が散漫になることで、思わぬ事故を招く恐れもあるでしょう。

疲労から業務効率も落ちるため、キャパオーバーしたままの体制を維持するのはおすすめできません。

6. 職業病の疑いがある場合の企業の対応

はてなをたくさん浮かべる女性

従業員に職業病の疑いがある場合、企業としては以下のような流れで対応しましょう。

手順 概要
従業員の状態を確認 ・厚労省の発表している職業病リストをもとに従業員の状態を確認

・職業病に該当するケースであれば、労災指定病院での診察を手配

・万が一企業側と従業員側の主張が食い違うようなケースでは、弁護士をはじめとした有識者への相談を検討

労災関連の手続きを実施 ・従業員が労災保険の給付を受けられるよう、労災の請求書を労働基準監督署長に提出
従業員の休養に配慮 ・従業員の病状に合わせ、休職手続きをおこなう

・必要に応じて、業務内容の変更を検討する

従業員の様子がおかしい場合には放置せず、早急に対処するのが大切です。

7. 職業病への2つの対策方法

ヘルメット

企業側が取れる職業病への対策方法としては、おもに以下の2つが挙げられます。

  • 職場環境や業務体制の見直しをおこなう
  • 従業員の健康状態を管理する

具体的な内容は以下のとおりです。

7-1. 職場環境や業務体制の見直しをおこなう

まずは職場環境や業務体制の見直しをおこないましょう。

物理的・心理的に熾烈な職場環境のままでは、職業病の発生リスクがあがります。安心して作業できる労働環境を整備しましょう。

だれかひとりに作業の負荷がかかったり、そもそも部署内で無理のある業務量をこなしたりしていないか見極めることも大切です。

7-2. 従業員の健康状態を管理する

従業員が職業病にかかる以前から、日常的に従業員の健康状態を管理しましょう。定期健診の結果を把握し、問題が起こりそうな従業員に対して早めに対策を講じれば、従業員が職業病に罹患するのを防ぎやすくなります。

産業医との面談も有効です。定期的なストレスチェックも活用するよう検討しましょう。

ストレスチェックは現時点では50人以上の事業所に義務付けられていますが、今後は50人未満の事業所にも義務付けられる予定です。相談窓口を設けるなどの工夫をすれば、従業員が精神的なストレスに向き合いやすくなるでしょう。

必要に応じ、セルフマネジメント研修やストレスマネジメント研修の実施を検討するのも一つの方法です。これらの研修は精神状態の安定やストレスの軽減に役立つばかりか、業務効率の改善効果も見込めます。

自社に合った方法で従業員の健康管理に努めましょう。

8. 職業病に配慮し従業員の健康を守ろう

会議

職業病は、業務の遂行に起因して従業員が罹患する、労災補償の対象となる病気やケガです。そのため、企業側には適切に対処する義務があります

職業病は、職場環境や業務体制に影響されて起こるため、これらの整備が肝要です。また、従業員の健康状態を管理するよう配慮すれば、問題の防止に役立ちます。

職業病にかかりにくいよう配慮し、従業員の健康を守りましょう。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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