オンボーディングプログラムとはどんなもの?メリット・デメリットや実施する際の注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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オンボーディングプログラムとはどんなもの?メリット・デメリットや実施する際の注意点を解説

開放的なオフィスでのミーティング

近年は人材不足が深刻化しており、人材の確保や育成が企業の課題になっています。そのような時代で注目されているのが、新規に採用した従業員をサポートする仕組みの「オンボーディングプログラム」です。

本記事では、オンボーディングプログラムの概要やメリット・デメリットを解説します。オンボーディングプログラムを実施する際の注意点についても触れているため、ぜひ参考にしてください。


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1. オンボーディングプログラムとは

会議する人たち

オンボーディングプログラムは、新たに採用した従業員が少しでも早く職場環境や業務に慣れるようサポートする仕組みです。新規採用者の定着率向上と戦力の確保を目的とします。

職場環境が良好であれば、従業員の満足度向上にもつながります。従業員ひとりひとりの満足度が高い職場では、持っている能力を最大限に発揮しやすくなるでしょう。

オンボーディングプログラムは、新入社員研修と混同されることがありますが、異なるものです。入社直後、短期的に支援をおこなう新入社員研修に対し、オンボーディングプログラムは長期にわたり継続的に支援をおこないます。

また、オンボーディングプログラムは新卒社員に限らず、中途採用の従業員も対象です。新卒社員や中途採用者など、それぞれの立場に合わせたプログラムを実施することが求められます。

1-1. OJTとの違い

オンボーディングと同じく新入社員を対象にした取り組みがOJTです。どちらも新入社員を対象としている取り組みではありますが、以下のような違いがあります。

オンボーディングプログラム OJT
実施目的 環境・組織への順応や定着

能力の発揮

即戦力への成長など

業務に必要な知識・スキルの習得
担当者 人事・人材開発部門

教育担当者など

対象者の上司

対象者が所属するチームの教育担当

期間 3ヶ月~半年前後 数日~1年以上
内容 社内ルール・企業理念・企業文化の理解

一般常識の習得など

実践的な知識・スキルの習得

実際の業務のレクチャー

このように、オンボーディングプログラムでは社内ルールや企業理念、一般常識を中心とした内容になっており、組織への順応や定着が主な目的です。段階的に目標を設定し、その達成度や個人の能力によって異なりますが、概ね3ヶ月〜半年ほどの期間でおこなわれます。

一方でOJTは対象となる従業員の知識やスキルの習得を軸にしています。業務の質や効率を上げる教育を目的としているため、新卒者だけでなく中途採用者や人事異動者など、必要に応じて幅広い従業員が対象になり、期間もさまざまです。

1-2. オンボーディングプログラムの目的

オンボーディングプログラムの目的は、新入社員が組織に定着し、能力を発揮できるようにサポートをすることです。

新しい環境で働くことは、多くの人にとってストレスになります。それを会社側からの働きかけによって緩和し、孤立感や不安感を減らし、なじみやすくすることがオンボーディングプログラムです。

新入社員が新しい環境に素早く順応できれば、組織の一員として業務への積極性が生まれはじめます。仕事をこなしていくうちに帰属意識も芽生えやすくなるため、人材の定着・成長にもつながるでしょう。さらに、新入社員が即戦力になり、前向きに働けていれば、周囲の雰囲気もよくなります。

また、企業全体でオンボーディングプログラムをおこなうことで、部署による教育の差を解消しやすくなります。配属後の上司や先輩の指導内容の違いによる格差がなくなり、新入社員の企業に対する理解や姿勢を一定水準で揃えられるでしょう。

2. オンボーディングプログラムが注目されている背景

候補者の履歴書の確認

ビジネスにおけるオンボーディングという言葉は、2000年代には使われていましたが、注目されるようになったのは近年のことです。その背景には、問題視されている少子化による人材不足や人材の流出、心理的安全性を重視する風潮があります。

2-1. 早期離職者が増加傾向にある

オンボーディングプログラムが注目される背景の一つとして、早期離職者が増加傾向にあることが挙げられます。とくに、新卒社員の早期離職率は高く、さらに増加傾向も顕著に表れています。

厚生労働省が公表した令和3年3月卒業者の離職状況を以下にまとめました。

離職率 前年差増減
中学 50.5% ▲2.4P
高校 38.4% +1.4P
短大等 44.6% +2.0P
大学 34.9% +2.6P

このように最も離職率が低い大学卒の場合でも、3人に1人以上が3年以内に離職している状況です。ただし、在職年数が長くなるほど離職率は下がっていきます。新入社員の在職年数による離職率も見ていきましょう。

学歴 1年目離職率 2年目離職率 3年目離職率
中学卒 31.4% 11.1% 8.0%
高校卒 16.7% 12.2% 9.4%
短大等卒 18.5% 14.1% 12.0%
大学卒 12.3% 12.3% 10.3%

いずれの学歴も1年目の離職率が最も高く、徐々に下がっていることがわかります。これは企業風土や環境に慣れ、エンゲージメントが生まれたことが影響していると考えられます。オンボーディングプログラムによって素早く職場になじめれば、離職率はさらに下げることができるでしょう。

こうした離職率の高さや増加傾向、そしてそれを改善するための手段として、オンボーディングプログラムはより一層注目されているのです。

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

2-2. 人材不足が深刻化している

オンボーディングプログラムが注目されるもう一つの背景は、人材不足の深刻化が考えられます。少子高齢化により労働人口が減少し、多くの企業で人材不足が発生している状況です。

帝国データバンクの調査によると、人手不足を感じる企業は50.8%と高い水準になっています。同時期の調査では、3年連続で半分以上の企業が人手不足になっていると回答している状況です。

人手不足になると、一人あたりに課せられる業務量が増え、従業員のワークライフバランスが崩れてモチベーションが下がり始めます。ストレスによるメンタルの不調から、休職や退職のリスクも高まるでしょう。また、人材が足りないと技術やノウハウの引き継ぎもできなくなり、企業の競争力が落ちてしまいます。

こうした人材不足を起因とした企業の危機的状況を回避するためにも、オンボーディングプログラムによる人材の定着と育成が注目されています。

参考:人手不足に対する企業の動向調査(2025年7月)|株式会社帝国データバンク

2-3. 心理的安全性が重要視されている

企業における心理的安全性とは、従業員が自由に発言や意見をし、積極的に挑戦ができるような、安心して行動できる状態を指します。

心理的安全性が確保されている職場では、活発にアイデアや意見が交換されてイノベーションにつながり、従業員同士もよい刺激を受けやすいです。さらに、恐れずに挑戦をし、失敗からも学べる環境であることから、学習や成長が促されます。

さらに、心理的安全性が確保されていると、チーム全体のパフォーマンスが上がり、エンゲージメントも高い状態を維持しやすくなります。企業の生産性があがり、人材の定着にもつながっていくでしょう。

こうした心理的安全性は、オンボーディングプログラムによって高めることができます。心理的安全性によるメリットを受けるという観点からも、オンボーディングプログラムは重要視されています。

3. オンボーディングプログラムの4つのメリット

メリットのブロック

オンボーディングプログラムには以下のメリットがあります。

  1. コストを削減できる
  2. 生産性が向上する
  3. チームワークが高まる
  4. 既存従業員の成長にもなる

それぞれのメリットがもたらす影響を詳しく見ていきましょう。

3-1. コストを削減できる

オンボーディングプログラムを実施することで、コストを削減できます。オンボーディングプログラムで従業員の離職率が低下すれば、人材の確保や育成にかかる経費を減らせるからです。

具体的に以下のようなコストを削減できるでしょう。

コストの種類 具体例
入社前に発生するコスト
  • ・求人広告の掲載料や企業案内の制作費
  • ・説明会やイベントの運営費
  • ・面接官や採用担当者の人件費
入社後に発生するコスト
  • ・研修や教育にかかった費用
  • ・研修や教育担当者の人件費
  • ・離職する従業員に支払った給与や退職金
  • ・福利厚生費

このように、新しい人材を確保するための費用や、新入社員を教育する費用、離職の際に発生する退職金など、人の出入りが多いことで発生するコストを大きく減らす効果が期待できます。これらはオンボーディングプログラムにより、新入社員が社内風土や環境にスムーズに順応し、定着できることで発生するメリットです。

3-2. 生産性が向上する

オンボーディングプログラムは、生産性の向上につながります。オンボーディングプログラムの実施で適切なサポートをおこなえば、新入社員が人間関係や業務について悩んだり、不安を感じたりすることが減り、仕事に集中できるようになります。その結果、従業員が自分の能力を発揮しやすくなり、早い段階で戦力になるからです。

新規で採用した従業員が即戦力として活躍することで、「新しい仲間」として既存の従業員も受け入れやすくなり、モチベーションもアップします。組織としての生産性が向上すれば、企業の業績アップも期待できるでしょう。

3-3. チームワークが高まる

オンボーディングプログラムは、従業員同士のチームワークを高める効果も期待できます。オンボーディングでは、新規採用者と既存の従業員でしっかりとコミュニケーションを取っていくことになります。その中で既存の社員は新入社員の人柄や考え方、得意分野や苦手分野などを知ることができ、信頼関係が生まれていくからです。信頼関係が構築されはじめれば、チームの一員として受け入れられているという実感が得られ、新入社員側も質問や相談がしやすくなるでしょう。

個人では達成できない課題や目標に直面した際も、チームとして取り組めば大きな成果を生み出すことがあります。チームで目標を達成できればお互いを認め合う関係性が生まれ、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

3-4. 既存従業員の成長にもなる

オンボーディングプログラムでは、教育担当者はもちろんですが、それ以外の従業員も新入社員をサポートしていきます。その中で既存の従業員は自分を顧みる機会が出てきます。

「もっとこうすれば効率が上がる」「教える立場になって自分の理解度の低さに気づいた」など、新しい気づきを発見することもあるでしょう。

新入社員のサポートをとおして、自分に不足している部分や改善点に気づければそれが成長のきっかけになります。また、優秀な新入社員であれば「負けていられない」というプラスの競争意識も芽生え、良い刺激になるでしょう。

オンボーディングプログラムは新入社員が会社になじむことを主な目的としています。しかし、同時に教育やサポートによって、既存社員の成長にもつながることもメリットとしてあげられます。

4. オンボーディングプログラムの2つのデメリット

デメリットのブロック

オンボーディングプログラムには以下のようなデメリットもあります。

  1. 体制の構築まで時間を要する
  2. 既存の従業員に負担をかける

オンボーディングプログラムを導入する際は十分にこの課題を理解し、対策も考えることが大切です。

4-1. 体制の構築まで時間を要する

オンボーディングプログラムは体制の構築まで時間を要します。教育担当者をはじめ、既存従業員に対してオンボーディングプログラムの意義や内容、適切なサポート方法などの教育や準備が必要だからです。マニュアルの作成や、必要に応じて勉強会や研修を実施することも考えなければなりません。

体制の構築が不十分だと、オンボーディングプログラムは形だけのものになり成功しません。また、認識が誤っていると詰め込み教育で新入社員にプレッシャーをかけてしまい、本末転倒な結果になることも考えられます。実施の際は、物理的・精神的双方の面から念入りな準備をおこないましょう。

オンボーディングプログラムはすぐに実施できるプログラムではありません。企業は既存従業員の理解を求め、計画的に準備を進める必要があります。

4-2. 既存の従業員に負担をかける

オンボーディングプログラムは既存の従業員に負担がかかります。通常の業務に加え、新規採用者のサポートをおこなうためです。また、オンボーディングプログラムに対する勉強も必要になるため、教育担当者や役職の負担は大きくなりやすいでしょう。

既存の従業員の協力が得られなければ、適切なオンボーディングプログラムの実施は難しくなります。「新入社員のせいで業務が増えた」とマイナスな感情を持たれないように、企業側には十分な配慮と調整が求められます。オンボーディングプログラムの必要性を説明し、企業や既存従業員にとってどのようなメリットがあるのか理解してもらうことが大切です。

既存の従業員から協力を得られるよう、オンボーディングプログラムの導入前に研修や説明会を実施しましょう。負担が大きくなりすぎないように調節も必要です。

5. オンボーディングプログラムが抱える課題と対策

クエスチョンマーク

オンボーディングプログラムは新入社員の精神的な負担を減らし、即戦力へと育てられるという大きなメリットがあります。しかし、課題もあります。オンボーディングプログラムを成功させるために、課題と対策をしっかりと認識しておきましょう。

5-1. 新入社員の情報が過多になることがある

新入社員が配属された直後は覚えることが膨大にあります。上司や先輩の顔と名前から始まり、社内ルールやコンプライアンス、与えられた業務の流れややり方など、あらゆることを覚え、慣れなければなりません。

そのような状態の新入社員に対し、オンボーディングプログラムを重視するあまり多くの情報を提供してしまうと、処理が追いつかなくなります。情報や覚えるべきものの量に圧倒され、焦りを感じ、自信を喪失してしまうこともあるでしょう。

また、情報ばかりが与えられ、実践の機会に恵まれないというケースもあります。情報と実践の両方をバランスよく取り入れ、戦力としても新入社員を成長させることが大切です。

覚える早さや順応性には個人差があります。それを踏まえて個別のサポートもしつつ、新入社員の様子を見て情報を適切に分割するようにしましょう。

5-2. 指導担当者によって教育の質が違う

オンボーディングプログラムは部署やチーム全体で新入社員をサポートします。その中でも中心となるのが指導担当者です。

周囲の従業員も指導担当者のやり方に続く形でサポートをしていきます。そのため、指導担当者に積極性やコミュニケーション能力が足りていないと、オンボーディングプログラムがうまく進みません。

新入社員とのコミュニケーション不足で信頼関係が構築されないケースや、フィードバックがされず改善点が見いだせない、知識や経験が十分に伝達されないなど、さまざまな問題が考えられます。

オンボーディングプログラムによる教育の質を一定にするには、指導担当者に対する育成が欠かせません。加えて、人選や、指導担当者が積極性をもって取り組める環境づくりも重要です。

指導担当者の評価基準に新人育成の成果を含める、指導の負担を軽減するサポート体制の構築など、指導担当者を支える制度も考えていきましょう。

5-3. 新入社員が自分の立場を誤認する

オンボーディングプログラムで十分なサポートを受けられる新入社員は、知識と経験を増やし、会社になじんでいけるでしょう。

しかし、注意しなければならないのは「教えてもらう立場が当たり前」になってしまうことです。オンボーディングプログラムの初期は、さまざまなことを教育することになります。自然と新入社員は受け身になりますが、それが定着してしまうと自主的に動ける人材にはなりません。

また、「自分が何をすべきか」を十分に理解できず、自分の職務や立場、それに伴う責任を理解できないままオンボーディングプログラムが終了することも考えられます。

この問題を解決するには、新入社員が業務目標やキャリアパスを考えて仕事に取り組むことが求められます。指導担当者と一緒に目標設定したり、会社が何を求めているかを考える機会を作ったりするなど、「自分で考えて行動する」という機会を作るようにしましょう。

6. オンボーディングプログラムの流れと役立つツール

数字の書かれたブロック

オンボーディングプログラムを導入するにあたり、新卒者や中途採用者によって内容が異なる点や、プログラムの流れを知っておかなければなりません。

また、既存の従業員や指導担当者には新たな負担がかかります。それを少しでも軽減するためには適切なツールの使用も考えていきましょう。

6-1. 新卒者と中途採用者向けでは施策が異なる

オンボーディングプログラムは自社に新たに入って来た従業員に対しておこないます。その中には新卒者だけでなく、中途採用者も含まれます。新卒者と中途採用者では、基礎知識が大きく異なるため、オンボーディングプログラムの内容も変えなければなりません。

新卒者向けの研修内容は、ビジネスマナーやコンプライアンスの習得、学生気分からの抜け出しなど、「少し前まで学生だった」ことを念頭にした内容になります。

社会人としての基礎知識を身に着けさせるために、多くの経験やコミュニケーションが非常に重要です。

一方で中途採用者は、新しい会社でのルールや価値観、企業の方針などを理解してもらうことに重点を置きます。前職とのギャップに苦労しないようにフォローしましょう。

また、中途採用者は即戦力を期待されていることが多いです。業務で必要になる知識をつけてもらいつつ、新しい人間関係の構築がしやすいようにサポートしましょう。

6-2. オンボーディングプログラムの流れ

実際にオンボーディングプログラムをおこなっていく際は、以下のような流れが一般的です。内容は異なるものの、新卒者・中途採用者どちらの場合でも基本の流れは同じです。

知識をインプットする

オンボーディングプログラムは知識のインプットからスタートします。例えば自社の経営理念や組織体系、業務フローなどを動画や資料を用いてわかりやすく説明していきましょう。部署ごとにインプットすべき内容が異なる場合、それぞれに応じた学習コンテンツを用意しておきます。

さまざまなシーンを想定したケーススタディを実施する

知識をインプットするだけでなく、アウトプットすることも大切です。そのため、さまざまなシーンを想定したケーススタディを実施しましょう。特に業務シーンを想定したケーススタディを実践することで、現場のルールを把握しやすくなります。

学習度合いを確認する

オンボーディングプログラムで学んだ知識は、試験によって学習度合いを確認しましょう。オンボーディングプログラムの学習期間で学んだことをどれだけ理解できているのか、テストを実施して確認します。テストには基準を設けて、新入社員に合格を目指してもらいましょう。

6-3. オンボーディングプログラムに役立つツール

オンボーディングプログラムは新卒者・中途採用者を問わず、新しく人を採用した場合におこなう必要があります。オンボーディングプログラムの初期に教える、企業理念や社内ルールなどはほとんど変化しない部分です。こうした部分のDX化を進めることができれば、オンボーディングプログラムの負担を大きく減らせます。

動画をはじめとしたデジタルコンテンツや、理解度をチェックする問題シートなどを活用し、学びをDX化していきましょう。

同時に用意したデジタルコンテンツの学習度合いを図れる仕組みの構築も必要です。誰がどこまで学習しているのか、この後はどのようなプログラムで進むのか、などを可視化できれば、より効果的な学習ができるでしょう。

他にも、目標達成やプロジェクトを可視化できるツールや、情報共有がしやすくなるツールなど、オンボーディングプログラムに役立つものは多くあります。自社や業務の内容に応じて取り入れていきましょう。

7. オンボーディングプログラムを実施する際の注意点

注意のイメージ

オンボーディングプログラムの効果を出すために、以下の5つのポイントを重視しましょう。

  1. 信頼関係の基礎を構築するためのサポートをおこなう
  2. 短期的ではなく中長期的に継続しておこなう
  3. スモールステップで進める
  4. メンター制度を導入する
  5. メンターの育成にも注力する

それぞれの内容を詳しく解説していきます。

7-1. 信頼関係の基礎を構築するためのサポートをおこなう

オンボーディングプログラムを実施する際、人事担当者は信頼関係の基礎を構築するためのサポートをおこないましょう。オンボーディングプログラムを成功させるためには、既存従業員も含めた良好な信頼関係が必要不可欠です。チーム内で人間関係の土台ができていれば、心理的安全性も確保しやすくなり、新入社員も自然な形でチームの一員として活躍できるようになるでしょう。

具体的には、従業員が交流できる研修やイベントなどの開催が挙げられます。ランチ会や懇親会で親睦を深めるのもよいでしょう。また、心理的安全性についての理解も重要なため、必要に応じて既存社員の教育も視野に入れるとよいです。

7-2. 短期的ではなく中長期的に継続しておこなう

オンボーディングプログラムは短期的でなく、中長期的におこなうことが重要です。継続的にサポートすることで、従業員は成長を持続できるためです。即戦力として活躍してもらうことも大切ですが、短期間で育成しようとすると無理が生じます。新入社員を追い詰めてしまわないように、焦らずに教育することが求められます。

定期的にフィードバックをおこなって業務の進捗状況や課題を確認し、従業員のペースを尊重した成長をサポートしていきましょう。また、業務外の悩みも相談できるメンターを任命することも効果的です。気軽に相談できる相手が1人でもいれば、問題を抱え込まず、解決に向けて動きやすくなります。

7-3. スモールステップで進める

オンボーディングの初期段階では、新入社員に対してさまざま教育をしていくことになります。知識を伝えることは重要ですが、あまりにも多くの情報を一度に伝えてしまうと、大きなプレッシャーになる可能性があります。とくに社会経験が浅い新卒者は、混乱してしまうかもしれません。

オンボーディングプログラムでは、従業員が一度に多くの情報を処理することを避け、学ぶべき内容を小分けにして提供することが大切です。最初の数日は会社の文化や基本的な業務フローに集中し、徐々に役職特有の業務やツールの使い方に焦点を当てます。これにより、情報量を調整しながら、従業員が一度に多くのことを吸収できるでしょう。あわせて定期的にフィードバックをおこない、理解度を確認することでスムーズな進行を促進できます。

7-4. メンター制度を導入する

メンター制度とは、先輩社員(メンター)を後輩社員(メンティ)の相談相手として配置し、対話によって悩みや課題の解消をサポートする制度です。

メンター制度を活用することで、新入社員は安心して質問をしたり、仕事の進め方を学んだりできます。制度導入にあたってポイントになるのが、メンター役の選定です。メンターは、経験豊富で新入社員の成長をサポートできる人物を選びましょう。経験やスキルだけでなく、人間性も見て選定することが大切です。

メンターは新入社員にとっての相談役として、失敗を恐れず学ぶための心理的安全性も提供する役割です。しかし、それと同時にメンターが自分の業務に集中できる体制も整えることも大切です。

7-5. メンターの育成にも注力する

メンター制度を導入する場合は、メンターの育成が欠かせません。メンターの能力やメンターとしての責任の認識が足りていないと、メンティに対して不適切な対応をしてしまう恐れがあるからです。メンターによってメンティの成長が阻害されたり、追い詰められるようなことがないように、入念な準備が求められます。

メンターの育成では、メンターとしての役割や責任を明確にし、新入社員への接し方、フィードバックの与え方、問題解決のアプローチについての研修をおこないましょう。また、メンター同士での意見交換や経験共有の場を設け、メンターとしてのスキル向上を図ります。メンターにも評価とフィードバックを提供し、成長を実感できる仕組みを整備すれば、より効果的に新入社員へのサポートが可能です。

8. オンボーディングプログラムを実施して従業員の満足度を高めよう

成功を祝いあう男女

オンボーディングプログラムは、新たに採用した従業員が少しでも早く職場環境や業務に慣れることを目的とします。従業員の満足度を高め、コストの削減や生産性の向上などさまざまなメリットが期待できるでしょう。
オンボーディングプログラムは、体制を構築するまでに時間を要します。マニュアルの作成などの準備が必要となるためです。すぐに実施できるものではないことを理解し、計画的に準備を進めて体制を整えていきましょう。
また、既存の従業員の協力が得られなければ、オンボーディングプログラムは成功しません。オンボーディングプログラムを導入する前に研修や説明会などを実施し、必要性やメリットを理解してもらうことが重要です。
オンボーディングプログラムで従業員の満足度を高め、離職率の低下と定着率向上を図りましょう。

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jinjer Blog 編集部

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