ピープルアナリティクスとは?活用手順・メリットや成功事例を解説
公開日: 2024.2.29 OHSUGI
ピープルアナリティクスとは、従業員のデータを収集・分析し、人材採用や部署の配属に関わる課題などを解決に導く手法です。
「ピープルアナリティクスの活用手順を知りたい」、「メリットや成功事例はあるの?」など疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、ピープルアナリティクスの活用手順やメリット、成功事例などを解説します。最後まで読むと、実際にピープルアナリティクスを実施する際の手順を把握できるでしょう。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. ピープルアナリティクスとは
ピープルアナリティクスとは、従業員のデータを収集・分析することで、人事領域の課題を解決に導く手法です。
データを用いるため、感覚や経験則から検討するよりも、分析精度の向上が期待できます。
また、個人の思考傾向に偏らない意思決定が可能です。従来は解決に至らなかった人材採用や教育などの課題を、幅広い視野で解決できるでしょう。
2. ピープルアナリティクスの3つのメリット
ピープルアナリティクスのメリットは、以下の3つです。
- 客観的で正確な判断ができる
- 従業員の生産性向上につながる
- 離職を防止できる
2-1. 客観的で正確な判断ができる
ピープルアナリティクスを活用すれば、客観的で正確な判断ができます。収集したデータをもとに、意思決定をおこなえるためです。
人事が主観的に判断すると、自社に適していない人材を採用するリスクがあります。また、人材配置の面でも、従業員の能力を十分に活かせない可能性があるでしょう。
ピープルアナリティクスは、勘に頼るよりも正確な判断ができます。
2-2. 従業員の生産性向上につながる
ピープルアナリティクスを活用すると、従業員の生産性向上につながります。一人ひとりが持つ能力や行動パターンから、ふさわしい部署に配置し、特性にマッチした役割を与えられるためです。
従業員の特性を的確に把握できていないまま人材配置をおこなうと、チームワークの悪化を招きやすくなるでしょう。
ピープルアナリティクスで各従業員に合った環境を見出せれば、最大限のパフォーマンス力を引き出せます。
2-3. 離職を防止できる
ピープルアナリティクスを活用することで、離職を防止できます。退職した従業員のデータを分析すれば、同じ傾向にある社員に適切なフォローができるためです。
具体的な傾向には、以下などがあります。
- 仕事への意欲が低下し会議などでの発言が減る
- 同僚や上司とのコミュニケーションが減る
- 新しい仕事に関心を示さなくなる
データから退職しやすい従業員を把握できれば、面談や業務中のフォローで離職を防止できるでしょう。早期離職はコスト面の負担も大きいため、早めに手を打っておくことをおすすめします。
3. ピープルアナリティクスにおける2つの課題
ピープルアナリティクスにおける課題は、以下の2つです。
- データ収集後の分析が重要
- 従業員に関する個人情報の保護
3-1. データ収集後の分析が重要
ピープルアナリティクスを活用するとデータの収集はできますが、分析は社内で検討しながらおこなう必要があります。
客観的なデータが収集できても、分析に主観性が目立ったり、誤った分析をしたりするとデータの意味がありません。そのため、正確に分析できる従業員を選出しましょう。
分析に誤りがあった場合は、スムーズに軌道修正できるように、分析過程に透明性を確保することも必要です。
3-2. 従業員に関する個人情報の保護
ピープルアナリティクスを活用する上では、従業員の大切なデータを扱うため、個人情報の保護に注意が必要です。
具体的な注意点には、以下などがあります。
- 課題解決に必要なデータのみを収集する
- 従業員にデータを収集する目的を説明する
収集するデータは必要なものに限り、範囲は明確に決めましょう。また、ピープルアナリティクスの実施目的を事前に従業員に説明し、合意を得る必要があります。
4. ピープルアナリティクスの実施手順
ピープルアナリティクスの実施手順は、以下のとおりです。
- データを収集する
- 目的を明確にする
- データを分析する
- 仮説を検証する
4-1. データを収集する
まず従業員のデータを収集します。あらかじめ以下のルールや役割などを決定しておくと、スムーズに実施できるでしょう。
- データファイルの保存場所
- データの更新頻度
- データを管理する担当者
データの種類は幅広くあるため、厳重に管理する必要があります。
4-2. 目的を明確にする
次に、ピープルアナリティクスを実施する目的を明確にしましょう。ただデータを収集するだけでは課題解決につながらないため、以下などの目的を明確に決めてください。
- 早期離職を防ぎたい
- 適切に配属先を決定したい
- 各従業員の特性に合った教育をおこないたい
目的が明らかになっていれば、データの分析もしやすくなります。
4-3. データを分析する
収集したデータを分析します。全てのデータを総合して分析すると複雑になるため、まずは大まかな傾向を掴むことから始めましょう。
徐々に細分化しながら、段階を踏んで分析していくと円滑に進めやすいです。
4-4. 仮説を検証する
データ分析の結果をもとに、仮説を立てて検証します。仮説の立て方や検証の仕方の例は、以下のとおりです。
仮説 | 検証 |
早期離職した人の特徴はコミュニケーション不足 | 積極的にコミュニケーションが取れていない社員を定期的にフォローする |
営業部門で活躍している人の傾向・特性は分析力や言語化能力の高さ | 同じ傾向がある社員を配属させる |
長時間労働は会議の多さが原因 | 会議時間の短縮や、会議の優先順位・必要性を明確にする |
仮説に誤りがあれば再度見直し、繰り返し検証してみましょう。
5. ピープルアナリティクスで扱うデータの例
ピープルアナリティクスで扱う主なデータには、以下があります。
- 人材データ
- デバイスデータ
- 行動データ
5-1. 人材データ
人材データは従業員に関する基本的な情報であり、主な例は以下です。
- 年齢
- 所属部署
- スキル
- 勤怠
スキルに関するデータがあれば、課題解決に必要なスキルを持っている社員をプロジェクトに参加させられます。
5-2. デバイスデータ
デバイスデータは社用のデバイスに残る情報です。具体的には、通話履歴やメールの使用履歴、デバイスの使用時間などを指します。
デバイスデータを分析することで、従業員の業務状況が把握しやすくなるでしょう。
5-3. 行動データ
行動データは、以下などの従業員の社内での行動に関する情報です。
- 会議への参加時間
- 社内でのコミュニケーション状況
- 離席時間やオフィスの入退室に関わる情報
普段から取っている行動パターンからデータを収集します。
6. ピープルアナリティクスの3つの成功事例
以下の3つのピープルアナリティクスの成功事例を紹介します。
- エンゲージメントスコアの向上
- 新卒社員の分析精度の向上
- リモートワーク中の健康管理を強化
6-1. エンゲージメントスコアの向上
自動車の販売などをおこなっているA社では、マネジメント方法の変革やエンゲージメントの向上に課題がありました。エンゲージメントの向上は、スタッフの意識を変える意味でも重要な課題と捉えていたようです。
A社は課題解決のため、従業員のエンゲージメントを可視化するサービスの導入を決めます。
導入後は改善すべき課題の優先順位が明確になり、エンゲージメントスコアも向上したようです。
6-2. 新卒社員の分析精度の向上
クレジットカード業務を展開しているB社では、新卒の配属部署を検討する際の見極めに課題を抱えていました。
B社は課題解決のため、AIを活用した適性検査のサービスを導入し、特性ごとのグループ分けなどをおこなったようです。
導入後には、新卒社員に対する分析結果の精度が向上しました。意思決定に迷いがあった場合にはデータを参照し、判断に役立てています。
6-3. リモートワーク中の健康管理を強化
IT技術を活用したマーケティング事業などを展開するC社では、リモートワーク中の社員の健康管理に課題がありました。リモートワークでの過重労働を抑え、社員の健康を守ろうと検討していたようです。
C社は課題解決のため、PCやアプリの使用状況を可視化できるサービスの導入を決めます。
導入後は、勤務時間とPCの稼働時間の乖離があれば社員に確認するなど、客観的な判断が可能になりました。
7. ピープルアナリティクスを採用や育成に活かそう
ピープルアナリティクスを活用すると、データをもとに客観的な判断ができます。社員の特性を正確に把握し採用や配属をおこなうことで、社員の働きやすさにもつながるでしょう。
ピープルアナリティクスは、目的を明確にして段階を踏みながら分析すると、スムーズに実施できます。
幅広い人事領域で活かし、課題の解決に役立てましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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