業績評価の書き方は?目標設定のポイントや注意点を解説
公開日: 2023.5.25 OHSUGI
業績評価とは人事評価の項目のひとつで、企業の業績への貢献度により人材を評価する方法です。売上などに多く貢献する社員を適切に評価でき、モチベーションの向上に役立つなどのメリットがあります。
業績評価では社員の設定した目標を元に評価を行うため、難易度に問題はないか、定量目標になっているかの確認がポイントです。
本記事では業績評価とは何か、目標設定のポイントや評価コメントの書き方、運用時の注意点を解説します。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. 業績評価とは?
業績評価とは会社の業績に対する貢献度に応じ、チームや個人を評価する人事評価基準のひとつです。貢献度は、一定期間における個人が設定した目標の達成度のように、定量化して判定する点が特徴です。
現在では、能力評価・情意評価と合わせ、人事評価の項目として多くの企業で採用されています。
1-1. 業績評価の目的
業績評価の目的は、数値のように客観的で公平な評価により社員の処遇を決定することで、モチベーションを上げることにあります。また、組織への貢献度を評価基準とすれば、会社と社員が目指すべき方向の統一にも役立ちます。
業績評価を導入しないと、高い成果を上げている社員が正しく評価されず、不満の原因となるでしょう。
不満を対処せずに放置すれば、生産性の低下や離職の増加などにつながる恐れもあるため、客観的な指標で評価できる業績評価の導入が必要です。
2. 人事評価の種類
多くの企業で採用される人事評価の項目には以下があります。
2-1. 業績評価
業績や成果など、社員の結果を評価する方法です。数値により貢献度を計ります。
2-2. 能力評価
社員の持つスキルを評価する方法です。すでに取得している資格だけでなく、業務途中で身に付けたスキルも評価します。
2-3. 情意評価
積極性や主体性、マナーなど、社員の勤務態度や意欲を評価する方法です。
なお、企業によっては上記と合わせて以下の方法を取り入れ、より柔軟に社員を評価するケースもあります。
2-4. MBO(目標管理制度)
社員自身が会社の目標を達成できる自己目標を設定し、進捗を管理する方法です。
2-5. プロセス評価
目標の達成だけでなく、それまでのプロセスもあわせて評価する方法です。
以上のように、業績評価だけでなく複数の評価方法を導入すれば、結果重視に偏らず、社員の状態に合わせた評価が可能です。
3. 業績評価の流れ
業績評価では、目標を設定した後で業務に取り組みます。ポイントは一度設定した目標に固執するのではなく、見直しをして柔軟に変更する点です。
業績評価の大まかな流れは以下のとおりです。なお、業績評価の目標はMBOと併用されることが多くなります。
- 個人目標の設定
- 業務遂行
- 期中の目標の見直し
- 業務遂行
- 評価・フィードバック
4. 業績評価における目標設定のポイント
業績評価では、社員が組織目標を達成できる個人目標を管理職との面談も踏まえて、自身で設定します。そのため、管理職は社員の目標が組織目標を達成する内容となっているか、難易度は妥当か、具体的に定められているかなどの確認が必要です。
4-1. 組織目標を達成できる個人目標を設定する
業績評価では組織に対する貢献度を評価するため、会社や組織の目標を達成できる個人目標でなければいけません。言い換えると、どれだけ素晴らしい内容であっても、それが組織目標の達成に貢献しなければ評価されません。
管理職は、面談時に社員の立てた目標が組織目標を達成する内容となっているか確認し、必要があれば修正を指示しましょう。
4-2. SMARTの法則で設定する
SMARTの法則とは、目標を具体化し達成可能性を高めるために使われるフレームワークです。以下を意識すれば現実的な目標を設定できるだけでなく、目標の管理もしやすくなります。
- Specific:何をどのように達成するか具体的に設定
- Measurable:数値化するなど計測可能な方法で設定
- Achievable:達成できる妥当な難易度で設定
- Relevant:組織目標と関連している目標を設定
- Time-bound:いつまでに達成するか期限を設定
4-3. 達成確立が50~80%の難易度で設定する
業績評価の目標は達成確立が50~80%程度、イメージとしては努力して達成できる程度の難易度が望ましいとされています。理由として、目標の難易度は簡単すぎても、難しすぎてもモチベーションの低下につながるためです。
また、業績評価では目標の達成率と、目標自体の難易度の2つの点から評価を行います。社員によってはあえて達成しやすい目標を設定する可能性があるため、管理職が難易度を判断し妥当なものに軌道修正しましょう。
5. 業績評価のコメントの書き方
業績評価では、評価とフィードバック時のコメントも大切な要素です。社員のモチベーションも左右するため、評価は客観的・具体的に行い、あわせて今後の改善点も明記しましょう。
また、コメントではほかの社員との比較など、書いてはいけない内容もあるため注意しましょう。
5-1. 達成できた点や行動を具体的に評価する
業績評価は目標を定量化して定めるため、評価時も評価の根拠が明確となるように、数値や具体例を元にコメントを書きます。なお、目標が未達成であった場合、どの程度達成できているか、達成に向けた行動を具体的に記載し評価します。
5-2. 次期に向けた改善点を記載する
コメントではよい点の評価と、改善点の記載が半々になるようにしましょう。どちらか一方に偏ると、社員のモチベーションを下げる可能性があります。
また、目標達成率が高い社員も、改善点がわかることでより能力を高められます。
5-3. ほかの社員との比較や個人への批判はしない
業績評価のコメントを書くときは、ほかの社員と比較した内容を書いてはいけません。ほかにも、年齢や性別、容姿など社員自身の事柄に関する内容には注意しましょう。
コメントはあくまでも社員の成果に対してのみ、客観的に行うことが大切です。
6. 業績評価を実施するときの注意点
業績評価は数値化して評価できる反面、達成状況に対する解釈が管理職と社員で異なっている場合、評価に納得を得られません。そのため、評価方法の透明性を確保しましょう。
また、目標達成の難易度は、社会情勢が左右するケースもあるため、昇進や昇給の評価は別の方法を採用したほうがよいでしょう。
6-1. 評価方法の透明性を確保する
評価方法の透明性では、まずは組織や会社の目標を明確にしましょう。おおもとの目標が曖昧では、個人目標が組織目標を達成するものであるのか判断できません。評価方法は全社統一の基準を設定しましょう。
目標設定時は、達成度別の評価内容を事前に決めることも大切です。たとえば、目標の80%以上を達成した場合はA評価とするなど、事前に管理職と社員の解釈を一致させると評価への不満を防ぎやすくなります。
6-2. 昇進や昇給評価とは別にすることが望ましい
業績評価は結果重視の指標です。結果は社会情勢や市場動向など、外部要因に左右されることも多いため、昇進や昇給の評価に採用すると、不公平感が強くなります。
そのため、昇進や昇給は結果だけでなく、多面的な指標を用いるようにしましょう。業績評価の結果はボーナスの評価などに採用するケースが多いです。
7. 業績評価は社員のモチベーション維持にもつながる
業績評価は会社の業績への貢献度により人材を評価する方法です。業績評価があることで、売上などに貢献している社員を正しく評価でき、モチベーションの向上にも役立ちます。
業績評価は個人で設定した目標により評価されるため、目標の設定方法がとくに大切です。また、管理職のフィードバックコメントは、社員のやる気を左右するケースも多いため、書き方を参考に適切な内容を記入しましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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