人事評価に対する不満の原因とは?対策やフォローのポイントを解説
更新日: 2026.6.2 公開日: 2022.5.6 jinjer Blog 編集部

人事評価とは、従業員の成果や貢献度を評価し報酬や待遇に反映する制度です。
設計段階では完璧だと思われる人事評価制度であっても、すべての人が納得するような評価をおこなうことは困難です。人事評価制度への納得感が低く、不満を抱える従業員が増えていくと、退職や訴訟に発展するリスクも考えられます。そうした問題を解消するには、人事評価制度に対する不満の原因や解決策を知っておかなくてはなりません。
この記事では、人事評価の不満をきっかけにしたトラブルを回避する方法について解説します。
関連記事:人事評価はなぜ必要?導入して考えられるメリットやデメリット
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
1. 人事評価の不満を放置することで起こり得るリスク

人事評価の結果に不満をもつ従業員をそのまま放置しておくことで、起こり得るリスクは主に3つあります。
- 従業員のモチベーションが低下する
- 離職率・転職率が増加する
- 訴訟に発展するおそれがある
それぞれどのような状況に陥っていくのか、詳しく解説していきます。
1-1. 従業員のモチベーションが低下する
人事評価への不満が重なっていくと、「どうせ頑張っても評価されない」と従業員は思い込んでしまいます。やりがいや自信を失えば、従業員のモチベーションは低下してしまうでしょう。そうなれば、自ずと仕事の生産性も低下することになります。
プロセスを評価せず成果のみで評価している場合や、減点方式による人事評価を採用している場合でも、同様のことが起こりやすいです。そのため、従業員の不満が続くようであれば、評価基準や人事評価制度そのものの見直しを検討する必要があります。
1-2. 離職率や転職率が増加する
従業員の退職や転職も、人事評価の不満を放置することで起こり得るリスクです。従業員が不満を抱えた状態だと、会社に見切りをつけて辞めてしまうことも想定されます。そうなれば、新たに人を補充しなければならず、採用や育成のコスト発生は避けられません。
また、同じ理由で複数の従業員が辞めてしまえば、退職率や転職率が増加することで企業イメージが悪化し、今後の採用活動にも悪影響を及ぼすおそれもあるでしょう。
そうならないためにも、設計段階から人事評価のやり方や従業員へのフィードバックの仕方をしっかり検討しておくことが重要です。
1-3. 訴訟へ発展するおそれがある
人事評価への不満を放置することは、訴訟に発展するおそれもあります。
過去には、生命保険会社で働く女性従業員が、既婚者であることを理由に職務遂行能力以外のことを人事評価の判断基準にされたとして、訴えを起こした事件があります。この事件では、企業側の不法行為に基づく損害賠償請求が一部認容されました。
人事評価の公平性や裁量範囲の逸脱が認められる場合や納得性が低い場合は、従業員とのトラブルが勃発しやすいです。男女雇用機会均等法などの関連法規を遵守することに加え、従業員の声にも耳を傾けて十分に注意しましょう。
2. 人事評価に不満を感じている人が多い理由とは?

人事評価は人が人を評価する仕組みになっているため、どうしても不満が出てしまいます。納得感のある人事評価を実現するためにも、多くの人が人事評価に不満を抱く理由をここで押さえておきましょう。
関連:人事評価で部下がやる気をなくすのはなぜ?やる気を高める方法を解説
2-1. 人事評価の基準が不明瞭だから
多くの従業員は、人事評価の基準が不明瞭であるために公正な評価がされていないと感じています。働きぶりや個々の業績を一定の基準において評価するのは、非常に困難です。
人事評価の基準が曖昧になるのは、評価の仕組みやフィードバックが適切でないためです。特に、人事評価の結果である昇給や降格といった結果のみを従業員に知らせている企業は注意が必要です。
評価内容を適切にフィードバックしなければ、従業員は評価内容が不適切ではないかと不信感を持ってしまいます。
また、複数の評価者がいる場合、人によって評価の内容にばらつきがでることもあります。主観が入って厳しい評価をする、特定の人への評価が甘くなるなど、評価に感情が入りバイアスがかかる例は少なくありません。
評価に個人的な感情が入る原因には、ハロー効果や寛大化傾向などが挙げられます。これらを防止するための対策には、定量基準を設け、基準値を明確化することが有効です。
定量評価が難しい場合は、評価者に対する研修や評価基準のすり合わせも効果的です。当サイトが配布しております「わかりやすい!人事評価の手引き」では、人事評価を正しくおこなうための必要手順や、評価項目の適切な設定方法についても解説しています。
人事評価を適切におこないたい方は、こちらからダウンロードしてご活用ください。
関連記事:人事評価マニュアル作成の手引き!必要性と2つの注意点も解説
2-2. 人格を否定されたように感じるから
人事評価を人格否定のように受け止めてしまうケースもあります。特に、厳しい評価をした場合や、人事評価に関するフォローをしなかったときには、従業員のモチベーションが大きく低下しやすいです。最悪の場合には従業員が退職を決断したり、訴訟に発展したりするケースもあるため気をつけましょう。
人事評価の際にはなぜその評価になるのかを説明することや、良い点を褒めるなどフォローすることが大切です。
2-3. 自己評価よりも他己評価が低いから
自身の頑張りが会社に正当に評価されていないと感じ、人事評価に不満を抱くケースもあります。また、自分では成果を上げていると思っていた部分が評価されなかったり、自分よりも他者が高い評価を得ていたりした場合も、不満を抱えやすいです。
本人の自己評価と企業側の人事評価にはたびたびギャップが起こります。このギャップを埋めるためには、なぜその評価になるのかを本人が納得できるよう説明することが大切です。
2-4. 現場を見ない評価者が判断するから
評価者が現場を見ずに、上辺の成果や売上のみをチェックして人事評価をした場合、従業員には不満が蓄積しやすいです。
特に、近年導入が拡大しているテレワークにおいて、正当な人事評価ができない例は少なくありません。リモートでは仕事ぶりをチェックしにくいため、何を基準に人事評価をおこなうべきかも不明瞭になってしまいます。
現場の状況を見ないままの人事評価を続けると、従業員と評価者の信頼関係も薄れてしまいます。評価者と被評価者の間に、信頼関係が構築されていないと評価に対する不満や不信感は大きくなりやすいです。
2-5. 評価が高くても不満がでることがある
人事評価に対する不満は、多くの場合は「評価が低い」ということが原因で発生します。しかし、評価が高くてもそれが報酬や待遇に反映されていない場合にも不満が出やすいです。
どれほど高い評価を得たとしても、金銭面や待遇面で変化がなければやりがいも感じられません。
人事評価制度は、報酬制度と連動させ「評価が上がれば賃金や職位が上がっていく」という安心感を持ってもらうことが大切です。
3. 人事評価の不満を防ぐ方法

人事評価に対する不満を防ぐには、評価結果に対する納得感を持ってもらう必要があります。そのためには、評価面談を実施してフィードバックをおこなうことが効果的です。しかし、評価面談を実施しても内容によっては効果がなかったり、反感をかったりすることがあります。
ここからは、評価面談の方法とフィードバックのポイントについて見ていきましょう。
3-1. 従業員が自己評価を述べる機会を作る
一方的な人事評価で従業員の処遇を決めてしまうと、不満が蓄積しやすくなります。評価面談の際には従業員が自らの評価について話す機会を設けるようにしましょう。
ただし、その場で自己評価を話すよう促してもなかなかうまくはいきません。前もって面談の内容を伝えておいたり、書式を用意したりといった方法でスムーズに評価面談を進めましょう。
また、話しやすい空気を作ることも大切です。雑談を交えたり、プライバシーを守れる空間を用意したりするなど、被評価者がリラックスできるように配慮しましょう。
3-2. 評価結果のフィードバックは順番に注意する
評価面談の際にはまず従業員の自己評価を聞き、その後評価結果のフィードバックをおこないます。先に評価者が話をすると、被評価者は反発心をもちやすいです。また、正当な自己評価ができなくなる可能性も考えられるため、気をつけましょう。
評価者からのフィードバックはポジティブな面から伝えていくのがセオリーです。続いて、従業員が自己評価で述べた評価と一致しているネガティブな面を伝えていきましょう。従業員が意識していないマイナス評価がある場合には、最後に伝えると受け入れやすいです。
この順番で評価結果のフィードバックをおこなえば、従業員が抱えやすい反発心や評価者への不信感を減らすことができます。
関連記事:人事評価面談のポイントを解説!目的や効果的な質問一覧も紹介
3-3. 今後の課題を相談し共有する
評価面談は現在起きている問題を解決し、課題を共有するまたとない機会です。自己評価と他己評価の内容をもとに、今後の課題や具体的な行動目標を決めていきましょう。
このとき、マイナス面を責めるような言い方をすると従業員の不満が蓄積しやすくなります。非難的にならないよう、今後どうすれば問題を解決できるかを軸に話を進めていきましょう。
また、一方的なアドバイスに終始しないことも重要なポイントです。一方通行の面談をした場合、従業員は意見を聞いてもらえないと判断してしまうことがあります。また、評価を押し付けられたと感じ、反発心を持ってしまう可能性も考えられます。
課題の共有をおこなう際には、従業員に意見を求め双方向のコミュニケーションを取りながらビジョンを見定めていくことが肝心です。
3-4. 評価基準を明確にする
ここまで解説した方法を実践しても、認識よりも低い評価になった場合は、どうしても不満を抱えてしまいます。
しかし、評価基準が明確になっていれば、公平なルールによって評価がされていることが伝わります。「低い評価を得たことはショックだけど基準に則っているから仕方ない」という受け止め方をしやすくなり、自分に足りていなかった部分も認識できます。
公平感は評価に対する納得感につながるため、評価基準をわかりやすく提示し、それを軸に面談をしていく方法もおすすめです。
4. 不満が出にくい評価制度とは

評価制度を導入する際は自社に応じたものを選びましょう。適していない評価制度を選んでしまうと、従業員の不満につながります。
以下の評価方法は近年注目されているものです。社風や解決するべき課題に合わせて、適した手法を検討しましょう。
4-1. 360度評価
従業員同士がフラットな関係を築けている自律型組織であれば、多面評価が可能な360度評価が適しています。
360度評価は旧来型の上から下への評価だけではありません。上司だけでなく、同僚や部下からも評価されるため、さまざまな角度から個人を評価できます。上司から見た対象者と、部下から見た対象者では大きく見え方が異なるケースもあります。その結果、これまでは評価されなかった行動が適性に評価され、評価内容に対する不満を解消できます。
ただし、上司との関係が悪かったり、圧力がある組織では360度評価は正しく機能しません。ほかの評価と併用することも考え、慎重に運用しましょう。
関連記事:360度評価の項目は何を設定する?設定するときの注意点や項目例を解説
4-2. コンピテンシー評価
自社に優秀な成績を残す従業員がいるのであれば、コンピテンシー評価を導入してみましょう。
コンピテンシー評価とは、自社で高い成績を残す従業員やその従業員像をモデルにして、「その成果を再現するために必要な行動」を基準におく評価方法です。
行動特性に着目するため評価項目を定める難易度が高く、導入までに時間がかかります。しかし、自社にあった納得できる人事評価制度を実現可能です。また、人材育成の面でもメリットがあるため、人を育てることにウェイトを置きたい場合に効果が大きい評価方法です。
関連記事:コンピテンシー評価とは?評価基準や導入手順、メリット・デメリットについて解説
4-3. バリュー評価
組織として動いていくためには、従業員一人ひとりの価値観が一致していることが重要です。
バリュー評価は、企業が目標としているビジョンの達成に必要な価値観や行動指針(バリュー)をどれだけ体現できているかで評価します。
組織としてのまとまりは生まれやすい反面、業績で評価されないことに不満を持つ従業員も出てくるかもしれません。そうした不満を解消するために、ほかの評価制度と併用してしっかりと個人の成果も評価することが求められます。
4-4. 成果評価
成果評価とは、従業員が一定期間に出した成果に応じて人事評価をおこなう方法です。
KPIやOKRなどの評価制度を取り入れて、最初に立てた目標に対する達成度合いで評価されます。
評価基準がわかりやすく説明しやすいですが、チームマネジメントや従業員間のフォローなどは評価されにくくなります。定性評価ができる制度も導入し、プロセスや意欲、サポート力など、数値化されない成果に対しても評価ができるようにしましょう。
4-5. 複数の評価方法を取り入れて多角的に評価する
評価制度はあくまで従業員を適切に評価し、報酬などに還元するための仕組みであり、「こうしなければならない」という決まりはありません。
特に成果ばかりを評価すると、他人を蹴落としてでも結果を出そうとして社内が殺伐とした雰囲気になってしまう可能性があります。その反対に行動だけを評価しても、結果を出している従業員の不満につながるでしょう。
各評価指標を取り入れた場合のメリット・デメリットを整理して、複数の評価方法を採用することでいいとこ取りをすることもできます。
KPIやOKRなどの成果指標と、バリュー評価やコンピテンシー評価などの行動指標の二軸で評価すると従業員間の不満も生まれにくくなります。
5. 人事評価に対する不満をゼロにすることは不可能に近い

人事評価制度には不満がつきもので、大切なのは不満が発生した場合の対応です。不満をプラスに変えるためのポイントを解説します。
5-1. 人事評価への不満は必ず発生するものと捉える
どのような人事評価制度でも、どこかで必ず不満は発生するものと捉えるとよいでしょう。これは、「評価する側とされる側がいる」という性質上、なかなか避けられないものです。
評価者の教育をしっかりおこない、評価基準を明確にしていけば、不満を減らすことはできます。しかし、評価者との相性や個人の性格や価値観などは、変えることが難しい部分です。また、「低い評価を得た」という事実に対して、不満を持つというのはごく自然な感情の変化です。仮に人事評価をAIによっておこなったとしても、不満はでてしまうでしょう。
こうした避けようのない不満は、面談によってフォローすることで解消でき、上手くいけばプラスに変えられます。人事評価に対する不満をゼロにすることよりも、不満を受け止めて対応することが大切です。
5-2. 不満に対するフォローが重要
人事評価に対する不満への対応には、個別の面談が効果的です。以下の3つのポイントを押さえ、被評価者の話も聞きながら評価内容を説明しましょう。
評価結果と評価基準を説明して納得感を高める
人事評価への不満の多くは「低い評価に納得がいかない」というものです。評価結果に納得してもらうには、「何を基準に評価しているのか」を伝えるとよいでしょう。
評価基準がわかれば「何が足りないのか」「なぜ評価されないのか」がわかります。また、軸となる評価基準を知ることで、公平性も示すことができるため、納得感をもってもらいやすくなります。
評価が下がっても取り返せることを伝える
評価基準を理解しても、評価が下がると人間の感情として不満や不安を感じやすいです。「もうダメかもしれない」と落ち込んでしまうと、モチベーションは上がりません。ネガティブになりすぎないように、評価が下がっても取り返せることをしっかりと伝えましょう。
「評価が下がった原因が今日わかったのだから、頑張ればまだまだ巻き返せる」などのように、面談で得た情報を今後に活かし、評価を上げるモチベーションにしてもらうことが大切です。
プラスの表現を意識する
評価が下がった対象者への言葉は、ネガティブなものになりやすいです。評価が下がったという結果だけで、対象者は落ち込んだり、憤慨したりします。そこに追い打ちをかけてしまわないように、面談ではプラスの表現が求められます。
よい評価を得ている部分や、対象者が上げた成果を褒めたり、伸びしろがまだあることを伝えたりするなど、プラスの内容もしっかりと入れましょう。
また、指摘する際もネガティブな表現だけにならないように注意が必要です。たとえば「協調性が足りない」という指摘は「チームに貢献すればもっと評価される」というように、解決策や「どうすればよくなるか」を伝えると受け入れやすいです。
6. 人事評価の透明性と公平性を確保して不満を減らそう

人事評価の不満は従業員のモチベーション低下だけでなく、退職者を出してしまう結果にもつながります。また、訴訟に発展するリスクもあります。
人事評価の不満に向き合い対処をおこなえば自社の人事制度がブラッシュアップされていくでしょう。また、生産性やモチベーションの向上、人材流出の阻止にもつながります。しかし、どのような人事評価制度でも不満をゼロにすることはできません。評価面談を実施し、フィードバックをおこなうことが非常に大切です。
適切に評価面談をおこなえば、人事評価の納得感を高めて、評価結果を活かした活躍をしてもらいやすくなります。面談をする際は対象者の話を聞くことや、ポジティブな表現を増やすことなどを意識すると成功しやすいです。人事評価の不満を人材育成にもつなげるために、不満の原因究明や解消方法をぜひ取り入れてみてください。
関連記事:人事評価とは?制度概要や評価基準・実施する目的や課題、導入方法を解説
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
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